『マッドサイエンティストの手帳』839
●マッドサイエンティスト日記(2024年10月後半)
主な事件
・KLL例会(18日)
・播州龍野いたりきたり
・衆院選(27日)
10月16日(水) 穴蔵
薄曇。穏やかな秋の1日。終日穴蔵で過ごす。
・横浜市青葉区で高齢男性が緊縛された死体で発見されたというニュース。
身内ではないかとびっくりする。
テレビで見ると、丘陵の麓の屋敷で、別人であった。
青葉区鉄町で、ここの百年前の風景は佐藤春夫が「田園の憂鬱」で詳述している。
再読。昔は「草深い農村」であったが、背後の丘陵は今も変わらないようである。
※10月20日に強盗殺人犯のひとり(宝田真月・22歳)を逮捕。やはり闇バイトで、関東の一連の強盗事件つながり。
指示役の名が色々あがっているが、中に「夏目漱石」というのがいる。青葉区事件で「佐藤春夫」を使ってたら粋なんだが、連中にそんなセンスは期待できないな。(10/21)
10月17日(木) 穴蔵
晴。秋晴れの1日。
ほぼ終日穴蔵。色々読んだり少し書いたり昼寝したり。
外出は昼、タカセ市場まで。重量物(飲料系)の運搬のみ。
・昨日の横浜市青葉区の強盗殺人事件の続報。目が離せない。
複数の土足の足跡、不審者目撃情報など、一連の闇バイト強盗との関連は濃厚である。
「憂鬱な田園」でなんということをやってくれるのだ。
・西田敏行氏の訃報。76歳は若すぎる。まだまだ、80歳、90歳の役柄があったはずだ。
歌手やタレントとしても活躍されていたが、やはり役者であり、「名優」であった。
1度だけお目にかかったことがある。
1981年2月、東京でのあるパーティの流れで、深夜にSF関係者と四谷の某ライブハウスになだれ込んだ。
山下トリオ出演日で、そこにタモリが西田敏行氏を連れて現れた。
それから明け方まで大騒ぎになったのだが……西田さんにはタモリが紹介してくれて握手を交わした。
やがて山下トリオの演奏でなぜか「宇宙船が危機状態に陥る場面」が演奏され、タモリの司令官が危機回避の指令をつぎつぎに発する……そんなライブが続くところに、西田敏行がコンピュータの声で、
「バクハツマデアトニフン」
これはバカ受けであったなあ。
西田氏、33歳の時のはずである。
10月18日(金) KLL例会
薄曇。過ごしやすい秋の日(テレビは暑い暑いと騒がしいが、わたくしは与しない)。
昼前に出て阪急で兵庫県(三宮)へ越境。こちらも(衆院選/県知事選というのに)静かなもの。
東遊園地を散策。秋の花が咲いていた。
*
去年に較べると少し寂しいような。
午後、区民センターで神戸文芸ラボ(KLL)の例会。
JRのトラブルなどで少し遅れたが、久しぶりにメンバー全員が顔を揃えた。
例によって合評よりも雑談の方が長く、「音楽(合唱)」「映画(TVドラマ含む)」「電子コミックサイト」「舞台演出」に関する議論が半分以上となった。
後期高齢者が半分以上だから、鑑賞の仕方も大きく異なる。
わたくしは「現物」を読む(見る、聴く)まえに批評を読むことはめったにないが、媒体が多様化し、作品が量産される時代にあっては、こんな姿勢を貫くのは無理らしい。
そもそも批評家というのが、職業として成り立たない(小説家もそう)のだから。
KLLの目指すところは、それでも「活字媒体」のはず……なんだがなあ。
難しい時代になっておるのだ。
10月19日(土) 穴蔵
曇。昼間から雨になり降り続く。
終日穴蔵。色々読んだり、昼寝したりしているうちに夕刻となる。
専任料理人に数皿並べてもらってビール。
最後にキャラメルリンゴのケーキというのが出てきた。
*
紅玉が並び出したから作ったのだとか。
これで白ワイン。早寝。
10月20日(日) 穴蔵
秋晴れ……というより、晩秋の寒い1日。
またコタツは出さないが、寝具や衣類はそろそろ冬物を用意した方がいいような。
……と思いつつ、面倒で何もせず。
終日穴蔵。
人出が多そうで外出もせず。雑事はすべて明日(平日)に送る。
10月21日(月) 穴蔵
平日である。
午前、近所の某院で定期健診。数値は正常……といわれるが、低血圧ではないか心配になる。
穴蔵に戻り、あちこちに連絡色々。明日は播州龍野行きとなる。
午後、梅田うろうろ。平日だがインバウンド多く、裏道散歩して帰館。
また夕刻まで雑件処理。SF系のことは何もせず(できず)。
殺し屋の宍戸錠が「どうも雑用が多くていけねえ」とつぶやいたシーンを思い出す。
専任料理人が並べた数皿でビール、酎ハイ。
*
本日は標準的なメニューというか。居酒屋メニューより少し家庭料理寄り。
早寝させていただく。
10月22日(火) 大阪←→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
タイムマシン格納庫に寄った後、実家へ。
この夏、3ヶ月ほど無人状態にした間に、何ヵ所かややこしい状態になっている。
某工務店に見てもらい、対応の打ち合わせ。
大掛かりなリフォームも可能だが、応急的な対応でも当分は持つという。ただ、家屋は(周辺の雑草も含めて)こまめに手を入れてないと老朽化が早いのも確か。
今回は問題箇所の修理だけを依頼することにする。
書斎をこちらに移すかどうか、迷うところだ。
色々片づけ、掃除。午後の電車で帰阪。
・尾関章氏の訃報。胆のうがんで。73歳。
肩書は元朝日新聞論説副主幹となっているが、今世紀初めは大阪勤務だった。
2002年に関西の宇宙作家クラブが浅田稔研究室を見学させていただいた時に同行され、その後、色んな機会に会ったり、セミナーに呼んでいただいたりした。その後、東京に戻られ、科学部長だったと思う。
2009年の市立科学館20周年セレモニーでの湯川秀樹に関する講演は、「湯川日記」発掘の体験をベースに科学の昭和史を検証する、大変興味深い内容だった。
当時からロボットや量子論に詳しく、退職された今も、おそらくAIについては独自の見解をお持ちだったはず。それらがもう伺えないのは何とも残念だ。
10月23日(水) 穴蔵
曇、時々晴れ間あり、一時小雨。
天候不安定につき、終日穴蔵。
一応机に向かうが、必要あって横山やすしのことをチェック。
『まいど! 横山です』を読み出すとやめられなくなり、引き続き関連書数冊。
寝屋川で未明に殴られたのが1992年8月6日未明。摂津市の自宅で死亡したのが1996年1月21日。51歳。
もう30年になるのだ。
たちまち夕刻。ちょいと一杯。
BSで『網走番外地 荒野の対決』を見るが、途中でやめる。
日活の渡り鳥シリーズの東映版みたいな、ヘンな作品だ。
ラストで杉浦直樹と斬り合って、ストップモーションで終る作品と思っていたら、別作品だったような。
10月24日(木) 穴蔵
薄曇。終日穴蔵。
一応机に向かうが、ベッドに寝そべってあれこれ読んでいる時間の方が長い。
選挙カーが来ないのはありがたく、こんなに静かな選挙戦はここに住みはじめて40年以上、初めてではないか。
隣接地がいつまでも廃墟のままであってほしい。ノラたちも幸せであろう。
たちまち夕刻。
おや、最初に並ぶ居酒屋メニュー数皿の中に四方竹(しほうちく)が。
この時期のみ出回る高知産のタケノコ。
*
これらでビール。あと洋風メニューでワイン少しばかり。
毎日こんな生活でいいのだろうか。いいのである。残り少ないのだから。
10月25日(金) 穴蔵
秋晴。終日穴蔵。
机に向かうが……ぞうもこの数ヶ月、椅子の動きがよろしくない。
キャスターを見ると、ホイールのカバー(タイヤに相当する部分?)が劣化して、部分的にはがれ落ちている。
このエルゴヒューマン、買ったのが9年前だからしかたないか……とも思うが、「最後の椅子」にするつもりである。
amazonで調べると、交換用のキャスターがあった。しかも2000円以下。さっそく発注(10時頃)する。
* *
と、明日到着の予定が、昼前に「発送しました」のメール。午後には「本日お届け」となる。なんという早さ。
たちまち夕刻……「配達中」らしいが、まだ届かない。「自宅」で晩酌。飲み終えて、玄関ドアを開けたら、置き配で廊下に荷物が置いてあった。
さっそくキャスターを交換。抜き差しだけで、簡単に交換できたが……サイズが一回り小さいような。
椅子を動かさない限り、座り心地は変わらないはずだが、何というか、ベンツに軽ワゴンのタイヤをつけたような気分である。
そのうち慣れるか。
・文化勲章、文化功労者の発表。ちばてつや氏に文化勲章はなにより。
わたくしは河田聡先生の文化功労者がいちばんうれしい。
河田先生には21年前、アトムの誕生日でご挨拶した。当時は阪大FRC機構長でもあった。業績もさることながら、驚いたのは「抜群の話術」だった。「オチ研」出身だったのである(後日「オチ研出身の研究者が米朝アンドロイドを開発する」話を書いたが、じつは河田先生がモデル)。半年後に出した『桂歌之助』をお送りしたら、わざわざ電話くださり、「落語会にも行きたいのだが、なかなか時間がとれなくて」とのことだった。
おめでとうございます。
10月26日(土) 穴蔵
曇。静かな土曜日である。
終日穴蔵。10時間ほどエルゴヒューマンに座って過ごす。
外出は飲料系重量物の運搬役で食品スーパー往復のみ。
お、先月から開店準備していた「誰も見たことのないうどん屋」疾風勁草が本日オープンである。
*
客は入ってない。今夜と明日が「オープニングパーティ」で、営業はその後らしい。
見たところ、うどん屋というより酒場のような。
しばらく観察したい。わが予想がずばり当たった本日ハタダ勝みたいにならないことを祈る。
10月27日(日) 衆院選/ニューサン
予報は曇のち雨だったが、秋晴れ。選挙日和ではなかろうが。
・午前、衆院選の投票に行く。
出口調査やってたらデタラメで応じてやろうと思ってたが、出口に誰もおらず。
30分後で専任料理人が行ったら、どこかがやってたらしい。残念。
選挙にこんな楽しみしかない。困ったものだ。
・午後、歩いて茶屋町〜三番街〜ホワイティ梅田を抜ける。日曜で、えげつない人出。困ったものだ。
ニューサントリー5へ。「昼下がりライブ」を聴く。
本日はニューオリンズ・レッドビーンズの出演日。
*
レッドビーンズは来年、結成40周年を迎える。
記念コンサートも予定されていて、その準備のための写真撮影も行う。
今や円熟の境地……でもなく、ますます上昇中。特に保田さんのアルバート(河合さんの楽器を譲り受けたひとり)の音色がいい。
夕刻帰館。
・夜、数皿並べてもらって、ビールを飲みつつテレビで「開票速報」……というより、「出口調査報告」を見る。
まだ投票箱を閉じたばかりというのに「当確」がぞろぞろ。
ただし、20時に大勢判明が通例だが、今回はそうでもないような。
そうなると、実際の開票速報は22時を過ぎてからになりそうな。
とても起きてられない。酎ハイ飲み終えたあたりで早寝させていただく。
10月28日(月) 穴蔵
3時に目覚める。かなり強い雨。
開票速報見ると、まだ全部終わってないが、大勢は決まっていて「保守(自公)過半数割れ」の文字が目立つ。
わが予想は大外れ。
細かいところ色々見るに、大きく3つの要素から予想していたのが、すべて裏目にでている。
どんな予想(決してそれを望んでいたわけではない)をしていたのか、何も書いてないのだから、黙っておればいいのだが、ともかくわたくしが国民(府民)感覚をまったく誤解していたことだけ表明しておきたい。
要するにボケてきたのである。
この分だと、アメリカ大統領選も兵庫県知事選も、予想は外れそうな。
案外いい世の中になるのだろうか。
朝には雨がやみ、曇天。わがアタマも雲がかかったようで作用せず。
終日穴蔵。何もせず。
10月29日(火) 大阪←→播州龍野
定刻4時起床、一連の朝の儀式のあと、早朝の電車で播州龍野へ移動する。
実家に9時着。屋内の片づけ開始。9時半に工務店から2名到着。
建具補修作業開始。
まかせておけばいいはずが、家具の移動や、中のガラクタ整理など、やること多し。
13時までの予定が1時間超過。
得々まで行って遅めの昼飯。
あと、散乱しているガラクタ(母が貰って箪笥の上に並べていたネコのぬいぐるみとか人形がやたら多い)の片づけが残っているが、もう体を動かすのが面倒になった。また泊りがけでくるしかないようだ。
夕刻の電車で帰阪。
入浴後、一杯飲んで早寝。
10月30日(水) 穴蔵
秋晴れ……というより、冬が近く、寒い。室温はほぼ終日24℃。まだ暖房は必要ないが、室内はそろそろ冬モードにした方がいいようだ。
トラが廃墟の屋根で日向ぼっこしている。
*
また来る冬をどう過ごすのか。廃墟の中に「暖房」はまったくないからなあ。
終日穴蔵。
昨日の疲労が抜けず、トラに倣って、寝て過ごす。
10月31日(木) 穴蔵
薄い雲がかかっているが、好天。
台風21号の影響で明日から雨らしい。
洗濯物を出し、穴蔵の掃除、寝具を冬物に交換する。
寝心地が良さそうなので、横になって本を読んでいると、3時間ほど昼寝してしまった。
たちまち夕刻。
おっ、枝豆・ヤキトリ・肉豆腐など、居酒屋メニューが5皿並んだ。
*
ありがたく、ビール。あとは焼酎、本日から湯割りに切り換える。
テレビでハロウィーンの騒ぎ中継しておる。
渋谷は「来るな」というキャンペーン?中で、それを中継するというのもヘンな話だ。
渋谷のハロウィーンを見たのは6年前だったか。ハチ公はフェンスで囲われてなかったと思うが。
毎年思うのだが、仮装の連中、全部が都心に住んでいるわけではないだろう。
帰る時、電車が郊外に出て、車内で仮装してるのが自分ひとりになったら、恥ずかしくないのだろうか。
帰宅するまで浮かれつづけとは思えないのだが。
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