『マッドサイエンティストの手帳』815
●マッドサイエンティスト日記(2023年10月後半)
主な事件
・KLL例会(20日)
・創サポ講義(21日)
・播州龍野/日生(26日)
10月16日(月) 穴蔵
ほとんど眠れぬまま……午前四時になった。いつもなら起床時間である。
ゴミ出し。ついでにネコのエサ場を見る。
公園の一角が立入禁止になり、コーン上でLEDの工事灯が点滅している。
隣りの市営廃墟はフェンスで囲われ、「動物への餌付け禁止」の掲示が並ぶ。
*
フェンス下にエサが3皿並べてあり、半分以上残っている。
野良猫戦線は停戦状態なのか水面下で継続中か……世界がまるで読めない。
一連の「朝の儀式(朝食を含む)」を済ませてから就眠、10時過ぎまで眠る。
あとは終日穴蔵。
秋晴れ。仕事まがいの作業はたいして進まず。
どうも「小便の出」ばかりが気になって落ち着かぬ日である。
10月17日(火) 穴蔵
秋晴れ。好天。終日穴蔵にあり。
だいぶ体調は戻ってきた気がする。
少しは仕事もするのであった。いと少なしを。
歩かねばならぬ。午後、30分ほど近所を散歩。
公園の花壇が壊され始めた。次に藤棚も撤去の予定。
*
野良の当面の生息領域(夜間)が急拡大する。
嫌猫派は梅田住宅管理センターや公園管理事務所にしつこく電話して「エサやり」の苦情をいう。やたら掲示板や貼紙が増える。
愛猫派にとってはエサやり領域がますます狭まる。
冬が近い。どうなることやら。
10月18日(水) 穴蔵
秋晴れ。終日穴蔵。
体調はまあまあ。
週末に講座が2件あるのでその準備。資料読みとメモ取り、自分の原稿も。
だいぶ効率が上がって来た……ような気もする。
健康のため、午後、30分ほど散歩。
工事中の公園と市営廃墟の周辺をウロウロ。
ベランダから野良が一匹歩いているのが見えたが、行ってみるともう姿はない。
野良の生息地を見下ろすように野々村竜太郎の生家(右端2階)は佇んでいるのであった。
*
このまま豊崎歴史遺産として、大淀のアトリエと共に残してほしいものだ。
10月19日(木) 穴蔵
秋晴れ。終日穴蔵。
気分良く机(PC)に向かって過ごす。
30分ほど近所を散歩。公園の解体作業さらに進行中。
たちまち夕刻。
*
おとなしく過ごしたので、明日からは外出である。
夕空がいいなと眺めていたら、天気予報は曇から雨。それも外出予定時間に合わせたように降るような。
気が重くなってくる。
10月20日(金) KLL例会
晴。だんだん雲が増え、昼前に出る頃には曇。
阪急で三宮へ。
東遊園地には秋の花が咲き乱れていた。
*
午後、神戸文芸ラボ(KLL)の例会に出席。
エッセイ8篇、短篇2篇を中心に合評会形式で行う。
わたくしには、昔、某料亭が起こした珍事件をChatGPTで再現する設定の話が面白かった。
その他、海外作品の著作権管理を委託されている「サブ出版」の姿勢は会社によってひどく異なる、脚指の骨折は「手の打ちようがない」か、食材が二足(鳥)から四足(動物)に変わって日本人の体格が変化した、など面白い話題多し。
岡山の某さんから日生経由で熊野那智大社の御守をいただいた。
*
帰宅後、ありがたく机の前、プリンター上に置かせていただく。
幸い雨に遭わずに帰館できた。これもご利益か。
10月21日(土) 創サポ講義
終日穴蔵。あれやこれや。
夕刻に出て、地下鉄で谷町のCANVAS谷町へ。
創作サポートセンター講義。短篇4篇。
それぞれに面白い作品が揃った。今後のことがあるので詳しくは書けないが……
・入院体験から着想したというホラー。「病院の怪談」というのは穴場ではないか。あんなに「人の死んだ部屋」の多い建物はないはずだから。そこに「内側から鍵のかかる病室」があるという……
・落語台本を短篇にアレンジして「軽妙な語り口」を試みた作品。狙いは成功している。
・大草原を改造馬とともにモンゴルの大ハーン像を目指して旅する少女。長篇の切り出し短篇。風景描写と背景の設定が秀逸。
・時代小説を極限まで遡れば、縄文小説、さらには「原始人小説」まで行けるはずで、その「ある意味で愚直な」実践作。どんな表現形式をとるかで印象が大きく変わるが、作者は誠実な方法を選んでいると思う。
広義にはすべてSFといっていい作品であった。
10月22日(日) 穴蔵
4時に目覚める。
普段のペースに戻ってきたが、あとしばらく、おとなしくしていることにする。
5時過ぎから「らくごのお時間」を見る。
10周年だそうな。特別企画で、桂南天が「動物園」を演り、あと、小佐田さん・ライオンキングの俳優・天王寺動物園の飼育係がそれぞれの立場から「深掘り」……これは(俳優がライオンの動作をやってみせたり)面白い趣向だ。来月は「時うどん」らしい。
終日穴蔵。
ラスカルズのCDに関して問い合わせが2件(メールと電話)。
どう考えてもわたくしなんかより詳しい人から。困ってしまうね。
皆さん、河合良一を聴き直しの日々らしい。
音源の有無を即答できないので、手持ちのものについて、リストだけ作っておくことにする。
終日excelでの作業。とりあえずタイトルと録音日と演奏会場だけは入力できた。
2001年までは一応ディスコグラフィがあるが、それ以降の音源の方が多いし、しかも「半私家版」的なのがずいぶんあって、全貌が掴めないのである。
データの交換はぼちぼち進めることにしよう。
10月23日(月) 穴蔵
午前9時に近所の某医院へ。定期健診。数値は極めて正常であった。
あとは穴蔵にてあれやこれや。
午後、散歩に出る。
久しぶりに梅田貨物線の北側を歩いてみる。
と、旧高架が西から取り壊されて、豊崎第6架道橋近くまで迫っている。
中津支援学校の前あたりは、もう「更地」である。
*
能勢街道をくぐって貨物線の北側へ。
冨島神社〜新御堂〜左岸線の換気塔工事現場〜豊崎神社とまわって、貨物線の南側へ戻る。
と、豊崎神社の(貨物線を隔てて)南側の西日本JRバスの営業所が閉鎖?
*
いつもはバスが20台ほど並んでいる駐車場がガランとしている。
何ができるのか。常識的には集合住宅だろうが、それでは面白くない。
注目して見守ることにする。
時々、北西方向も歩かねばいかんなあ。
10月24日(火) 穴蔵
秋晴れ。気分は梅雨空。
午前、近所の某所へ出向く。わが思い込みは杞憂にすぎぬとご意見をいただく。
落ち込んでいてもしかたない。
しばらく普通の生活を心がけよう。執行猶予期間のようなものである。
午後は穴蔵。
何もしないうちにたちまち日が暮れる。
10月25日(水) 穴蔵/梅地下話
秋晴れ。少し元気が出てきた。
なお、昨日「執行猶予期間」と書いたら、何か刑事罰を受けたのかと問い合わせいただいた。
これは単なるダジャレです。「センセイ、オシッコと言うよ」の意味。じつは少し血尿がつづき、それで落ち込んでいたのである。
閑話休題……
午後、近所の喫茶店でKさんというライター(兼不動産関係の業界人)と会う。
業界のPR媒体の記事用に、梅田地下街について意見をうかがいたいと。
昔の話はできるが、最近の開発状況はそう詳しくない……といったら、住宅開発も含めて、最近の状況にはすごく詳しい人であった。
しかも、SFは好きで、ニューオリンズ・ジャズも好き(なんと、ニューオリンズ・レッドビーンズの初代ドラマーだったという!)、ニューサンもよく行くという。今まで顔を合わせなかったのが不思議。
役に立てたのかどうかわからないが、どんな記事になるのか楽しみな。
半世紀近く経って、かんべさんは「日本シリーズ」、わたくしは「梅地下」か。
近所の公園を抜けて帰館。
工事が本格化して、公園の半分以上が工事用フェンスが囲われた(来年には工事塀で遮蔽される予定)。
*
ここに外形20メートル、深さ40メートルの貯留池が掘られ、そこから横に新御堂の下をJRとの交差点あたりまで掘り進めるというから、5年で終るはずもなし。10年は塀が撤去されることはあるまい。
大事故を期待……してはいかんか。
10月26日(木) 播州龍野/日生
朝、横浜から長男がクルマで帰ってきた。珍しく平日に休みがとれたとか。
午後だと思っていたら、(高速料金の都合で)朝4時前に東名にのって、9時半頃に到着。
明日いっしょに播州龍野往復の予定だったが、明日は天気が悪そうなので、本日に変更する。
ということで、専任料理人もいっしょに、3人で播州龍野へ向かう。
10時に大阪を出て、中国道〜山陽道を走り、正午に実家に到着。
雑事の処理。1時間半ほどで片づいてしまった。
せっかくなので、本日、日生へも行こうということになる。
日生で『眉村卓と日生』開催中で、ふたりとも見たいという。
播州龍野は西播(兵庫県西部)、日生は備前(岡山県東部)で、クルマで1時間ちょっとの距離である。
午後3時頃に加子浦歴史文化館に到着。
*
そう広い会場ではないが、眉村さんのデビュー前の「詩」から遺作まで、60年間の仕事と生活がまとめられていて、充実した展示である。
この企画展については、わたくしがグダグダ書くよりも、アニマ・ソラリスに雀部陽一郎さんが見事なレポートを書かれているので、こちらご参照を。
付け加えるなら、先日(10月21日)に行われた「聖地巡礼」(日生の眉村さんゆかりの場所を巡る企画)のレポートが写真入りで追加展示してあることだろう。なんという早業!
その「聖地」でいちばん気になったのが、眉村さんが1年ほど生活した鴻志寮の跡である。
わたくしが2年半前に行った場所は社宅跡で、寮はもう少し下、海に近い場所にあったことだ。
さっそく鴻志寮の跡へ行く。
*
石垣の上、コンクリート作りの建物の下あたりに木造の寮があったらしい。
海(当時は岩場があった)に近く、「夜中にカニが這い上がってきた」のもわかる。
聖地巡礼パネルにあった写真(悦子さんが寮を訪ねてきた時の写真)と同じ背景で記念撮影。ミーハーであるなあ。
* *
背後の島のかたちが同じで、たしかにこの場所だったとわかる。
クルマなので、今回もカキオコはパス、日生〜赤穂〜相生〜2号線〜山陽道〜中国道〜新御堂と走って、19時前に帰館。
長男は未明の横浜から1000キロ近く走ったことになる。ご苦労様でした。
10月27日(金) 穴蔵/ウロウロ
秋晴れ。終日穴蔵……のつもりだったが、長男帰省中であり、昼、家族でぶらぶら歩き。
中崎町〜天五商店街〜ぷららあたりまで。
焼肉か寿司かで寿司になり、つぎに立ち食い(面白そうな店が出現している)か否かで意見が分かれ、最終的には、人とほとんど接触しない寿司屋になる。
これはこれで面白い店であった。
買い物する家族とわかれてひとり帰館。
午後は穴蔵。もっぱら読書。
たちまち夕刻……とつぜんの雷雨。予報通りであった。
夜は串カツがどんどん並ぶ。
*
ビールは抑制中なのだが、少し元気が出てきた。
10月28日(土) 穴蔵
定刻午前4時に起き、6時に横浜へ帰る長男を見送る。
あとは終日穴蔵。
ボケーーーーーッと過ごしていたら、13時過ぎに長男から無事帰ったと連絡あり。まあよかった。
と、1時間ほどして、
「昨日、丸見えで嫌な寿司屋といってた店、爆発事故みたい。ニュースでやってる」
とメールあり。
ネットで見ると……
「午後0時50分ごろ、天神橋4丁目のすし店でカセットコンロが爆発、店内にいた約10人がやけどなどを負った」
天満駅前路地の天満鮨ではないか。
昨日、寿司を食べようかと、この路地を通りかかって迷った店である。
店内丸見えの店は困る。わたくしはすぐ南側の「寿司の奥田」の方に興味があったのだが、立ち食いは嫌と専任料理人が反対、結局もう少し北にある某店にしたのであった。
天満鮨にしてれば自慢できたのだが……残念。
10月29日(日) 穴蔵
目覚めれば日曜日であった。
今頃だが、矢野アロウ氏の『ハヤカワSFコンテスト』大賞の受賞を知る。
おめでとうございます。
わたくしはこの人の実力を認めており(特にこの3年ほど)いつか出てくる方だと信じていた。
「ホライズン・ガール〜地平の少女〜」で受賞。受賞作は12月に刊行されるらしい。何よりであった。
受賞作は長篇? もしかして「大人になる」も収録されるなら、さらに嬉しい。
今後のご活躍を祈ります。
終日穴蔵。
本日までイケフェス(生きた建築ミュージアム・フェスティバル大阪2023)開催中で、行ってみたいところが何ヵ所かあるのだが、一万歩以上はちょっとつらい。
来年元気なら行くことにしよう。
午後、30分ほど近所の建築散歩。
近くの庭のタヌキが気になる。
*
豊崎二丁目の札を掛けている。確かに二丁目であるが。
10月30日(月) 穴蔵
目覚めれば月曜であった。
世間の方々は働いておられるが、わたくしは無為に過ごすことにする。
終日穴蔵。
移り行く雲を眺めているうちに、たちまち夕刻。
食事をして早寝することに。
10月31日(火) 穴蔵
目覚めれば月末であった。
穴蔵にて月末の処理事項あれこれ。
昼過ぎに散歩兼ねて外出、ATM、ジュンクドーなど回り、豊崎を帰館。
おや、新しい大淀のアトリエ?が「使用中」であった。
*
普通の会議室のようである。なんか面白くないなあ……というよりガッカリ。
また穴蔵にこもる。
・蕨郵便局に拳銃男が立てこもり。夕刻からテレビ中継を見るが、なかなか進展しない。
午後9時、1名人質に立てこもったまま。明け方の突入になるか。
・筒井康隆『カーテンコール』(新潮社)を読みはじめる。
帯に「これがわが最後の作品集になるだろう」とあり、「信じていません!」と担当編集者の注記(同感)がある。
25篇、一気読みはとても出来ない。就眠前に数篇ずつ読むことにする。
SF HomePage