『マッドサイエンティストの手帳』809

●マッドサイエンティスト日記(2023年7月後半)


主な事件
 ・穴蔵の日々
 ・KLL例会(21日)
 ・播州龍野いたりきたり


7月16日(日) 穴蔵
 3連休2日目。
 午前1時に目が覚め、あとは終日、小刻みに寝たり起きたり。
 出歩く気分にならず、終日穴蔵。
 外は絵に描いたような炎天。
  *
 眼下の市営廃墟に終日ネコの姿はなし。

7月17日(月) 穴蔵
 3連休3日目。「海の日」だが、何を祝うのかわからん日。
 睡眠不規則、本日も炎天、身体不調、頭脳朦朧、終日穴蔵。
 先日来、気分が重いのは、インボイス制度のことが頭にあるからだろう。
 文筆関係ではタブー視されているような気配があるが、わたくしの場合は「別事業」に関して。
 この制度の本質的なところは「今までネコババしてきた零細業者(免税業者)から消費税を巻き上げる」ことにあるのだろう。
 その嫌な「巻き上げ役」を政府は購入業者(課税業者)に押し付けた。
 とんでもない手間(適格請求書の発行と保存など色々)がかかるし、どちらも言い出すのは嫌だし、経過措置(これもややこしい)があるから当分様子見……ということだろうか。
 テレビで伝票のデジタル化CMがやたら目立つが、便乗組なのだろう。
 色々思い悩むが、播州龍野での「事業」については「何もしない」ことにする。
 少し気分が楽になってきた。
 たちまち夕刻。
 3皿ばかり並べてもらってビール。
  *
 あと、しらすパスタで白ワインを飲む。
 明日は連休明け。少し歩くことにする……つもり。

7月18日(火) 穴蔵
 やっと連休明け。
 朝5時半から直射光を浴びて室温急上昇、エアコンを稼働させる。
 朝から某「取り下げ書」を作成する。
 現段階では正式の書式はないので、あちこちのネット記事を参照して作成。苦労するぜ。
 某センター宛に郵送する。
 ポストまで行ったついでに少し散歩……と思ったが、炎暑、「冷える帽子」をかぶっていても、体全体が炙られるようで耐えられず、市営廃墟を一回りして帰館。
 各地で猛暑日の報道。正午、アメダスは33.1℃、穴蔵のベランダは38℃である。
 午後はエアコンつけて昼寝。

7月19日(水) 穴蔵
 晴れたり曇ったり。室温30℃、ベランダは29〜33℃で推移。涼しい日である。
 終日穴蔵。
 午後30分ほど散歩。
 新御堂Tビルの前に百日紅が咲き出した。
  *
 わが実家の樹の影響で、わたくしには晩夏の花の印象が強い。宿題に追われていた時に窓の外に咲いていたからである。
 秋は間近……そうなると冬遠からず、また寒い季節がくると思うと気が滅入ってくる。
 晩酌後、ちょっと夜更かし。
 22時からeTVで『山下洋輔 最後の講義』を見る。外はとつぜん雷雨になった。
 最後のとは……と心配したが、「もし今日が人生の最後なら、何を伝えたいか」という意味であった。
 国立音大生を集めてのフリージャズ講義。いつもながら、チャレンジ精神を引き出す技術と話術が素晴らしい。

7月20日(木) 穴蔵
 相変わらず眠り不規則。
 晴。朝は直射光が差し込むが、9時頃からは爽やかな天気である。
 終日穴蔵。
 昼のニュースで近畿は梅雨明け(したらしい)が報じられた。
  *
 市営廃墟にネコの姿は見当たらず。
 雲の行き来を眺めつつ、資料を再読、メモ取りして過ごす。

7月21日(金) KLL例会
 朝から直射光。梅雨明けである。
 午前に出て阪急で兵庫県へ越境、三宮へ。
 少し早めに到着、こちらにしかないATMに寄ったり、某店舗を覗いたり。
 元町や湊川方面にも行きたい場所があるのだが、本日は時間なし……神戸は別の日に終日うろうろする方がいいようだ。
 昼、センタープラザでカツ丼と思ったら満員である。
 少し西にあるホルモン屋で500円のホルモン丼を試みる。
  *
 これが大当たり。信じがたいコスパである。他にもチゲなどあり、そうなるとビールが飲みたい……やはり別の日に来た方がいいような。
 午後は神戸文芸ラボ(KLL)の例会。
 久しぶりにメンバー全員が揃った。
 その分、雑談も多くなって、17時ギリギリまで。幾つかの議論は積み残し。
・恐怖とは何か。昔見た映画『脱出』のラストシーンを思い出させるエッセイ。あれが恐怖の本質であったか。
・人間の不幸をどう描けばいいか。昔、とつぜん「人生相談」を持ちかけられたことを思い出したが、あれは喜劇だった気がする。
・吉原を舞台にした某大名の跡目争い、花魁の正体が実は……という奇抜な設定は、書きようによっては傑作長篇になりうると思うが、作者がどこまで一作に集中して時間をかけかれるかだろう。などと気楽な感想をいえた立場ではないのだが(当方は時間はあっても体力が)。
 ……などと考えさせられること多し。
 夕刻帰阪。
・コロナ感染者(1医療機関の平均値)
 7/21(金)発表。大阪10.22人。東京8.25人。全国11.04人。
 ついに10人台に乗る。マスコミはあまり騒がんなあ。
 まだ第8波ピークの1/3だと強弁もできるが、沖縄は31.83人で、第8波ピークをとっくに超えている。

7月22日(土) 穴蔵
 晴。朝から直射光を受け、2時間ほどエアコン稼働、あとは扇風機。
 土曜(休日)、学生・生徒・学童どもは「夏休み」入り。梅田は人出が多いことであろふ。
 終日穴蔵。
 色々なこと思い悩むうちに夕刻。一杯飲んで早寝することに。
 本日、生存確認のみ。

7月23日(日) 穴蔵
 相変わらず睡眠不安定。3時頃に目が覚めてしまう。
・5時〜MBS「らくごのお時間」を見る。
「春朝・吉弥と一之輔 三人噺」から、先月の吉弥「親子酒」につづいて、本日は桂春蝶『中村仲蔵』……芝居噺である。
 10数年ぶりに見るが、うまくなったなあと感心。芸風は親父とは違う(基礎体力の違いがいちばん大きい)が、ところどころにやはり親子と感じるところがあって、これは先代を知らないとわからんだろうな。機会があれば別の噺も聴きたい。
・午後、シンギュラリティサロン(オンライン開催)。
 今年も前半が終ったので、恒例「2023上半期10大ニュース」……ChatGPTがらみのニュースが多いが、それ以外、ついていけない話題が多い。AIに抜かれたのではなく、わがインテリジェンスがAIよりも低下しているのである。嗚呼。
 たちまち夕刻。
・ビール、酎ハイ飲みつつ、BSで『リオの男』を見る。半世紀ぶり。テンポよいギャグもアクションもほぼ記憶通りであった(『カトマンズ……』の方はあまり覚えていない)。
 傑作だが、しかし何度も見る作品ではない。岡本喜八やドン・シーゲルと根本的に何かがちがう。このへん、突き詰めて考える気力がもうないのが情けない。

7月24日(月) 穴蔵
 睡眠不安定。3時に目覚める。
 朝の行事(朝食含む)色々。
 5時半から直射光。本日も炎天なり。室温が上がり、7時半から2時間ほどエアコン稼働。あとは扇風機。
 終日穴蔵。
 懐かしき植木等のステテコ姿(デザインは長男が送ってくれたモダンなもの)で過ごす。
・森村誠一氏の訃報。90歳。黙祷。
 作家的姿勢としては密かに尊敬している方であった。特にこの時の爆笑スピーチ以来、大ファンである。
 たちまち夕刻。
 暮れなずむ北梅田を眺めつつビール、冷酒。
  *
 小曽根実とPARK STREET KID featuring 北村英治『PARK STREET KID』を聴きつつ。
 北村英治93歳、瑞々しい音色である。

7月25日(火) 穴蔵
 相変わらず睡眠不安定。。
 早朝は曇っていたが、8時頃から直射光、本日も炎天となる。
 終日穴蔵。
 気になるニュースが多く、テレビとネットを見て過ごす。
・札幌の頭部切断持ち去り事件
 7月1日深夜〜2日未明にホテル「LET'S」で女装マニアの会社員が殺され、頭部が持ち去られた。
 引きこもり?の田村瑠奈(29)、親父の精神科医・田村修(59)が逮捕され、その妻・田村浩子(60)も逮捕の報。
 どうなることやら、展開がさっぱり読めない。精神科医を鑑定留置することになるのか?
 当分「憶測報道」で騒がしいことになる。
twitterがなくなる? イーロン・マスクが「青い鳥に別れを告げる」と発言。
 わたくしはtwitterもfacebookもやってない(アカウントを持ってない)のでほとんど関係ないが。
 ただ、先日来、アカウントなしではtwitter記事が読めなくなり、何店かのライブ情報がわからなくなったのが、不便といえば不便。
 わたくしはスマホの使用もやめようか迷っているので、混乱が続くことを願う。
・天五のカラオケパブオーナー殺害の宮本浩志、上告せず、懲役20年が確定。仮釈があっても、出てくるのは十数年先だろう。
 生きてるうちには見ることはない。残念……でもないか。
ビッグモーターの記者会見を見る。
 兼重宏行(71)社長が明日退任。問題の根源といわれた副社長・兼重宏一(35)も退任。新体制で信頼の回復を目指すというが、院政を敷かぬはずはなし。
 ま、過去も将来もわしゃ関係ない会社だから、どうでもいいんことだが。
・午後、BSで「ウォーターワールド」を10分ほど見るが、面倒になって昼寝。
 たちまち夕刻。
・串カツでビールを飲んでいたら、遠雷のごとく花火の音が響く。
 天神祭の奉納花火の音である。4年ぶりの復活。船渡御もやってるようだ。
 90年代は北浜の「アイル・コレ・モタ」で先代桂歌之助の落語会があり、眼下に船渡御を見、ワインを飲みながら花火を眺めたものであった。
 アイルのクライマックスは2000年の今日。歌やん「百噺完結」の日であった。
 この日は「香淳皇后の斂葬の儀」とかで、天神祭が26日に変えられた。ついでにコンコルドの墜落というオマケまでついた。じつに歌やんらしい世紀末である。
 その後、歌やんは体調を崩して、2002年正月に逝去。
 わたくしにとって、天神祭は20世紀で終った祭りなのである。

7月26日(水) 穴蔵
 晴天。朝から直射光、2時間ほどエアコン稼働させる。
 終日穴蔵。
 外は炎暑(らしい)。が、夏至から1月ほど、日昇は遅く、日没は早くなってきた。秋は近いのである。
 生産的なことできぬまま1日が過ぎる。
 本日は生存確認のみ。

7月27日(木) 穴蔵
 晴天。朝から直射光、2時間ほどエアコン稼働させる。
 終日穴蔵、のつもりだったが……
 ニュースでは全国的に「命に係わる危険な暑さ」「災害級の暑さ」らしい。
 14時、ベランダ38℃、アメダス37.8℃。
 運動不足なので、「冷える帽子」をかぶって散歩に出る。
 梅田芸術劇場の南側、ロフト西側のゲーセン(アミュージアム)が取り壊し中であった。
  *
 ここは「ええ歳こいたおっさん」(ダンレボおじさんという)がよく踊っていた場所である。
 元気にしているのだろうか。女装はしていなかったから、首を切断されてはいないと思うが。
 ここに何ができるのか。古書店かパソコンショップだといいのだが、無理だろうな。
 ジュンクドーを覗いて、さっさと帰館。
 また穴蔵にこもる。

7月28日(金) 穴蔵
 朝から直射光。本日も世間は「命に係わる危険な暑さ」らしい。
 所用あって、昼、歩いて駅前第1ビルの中央郵便局まで。
「冷える帽子」かぶって三番街まで。あとは地下街だから、暑さは感じないが、人出の多さには驚く。特にホワイティから阪神デパートあたり。半数はマスクなしのようである。
 さらに酷いのが駅前ビル地下に並ぶ「飲み屋街」、どことも昼間から盛況で、アクリル板なし、盛大に飛沫を飛ばしている。
 地上は炎暑、地下は唾液飛散か。
 そそくさと帰館。
 午後は穴蔵。
 本日発表のコロナ感染者(1医療機関の平均値)
 大阪13.56人、東京9.35人、全国13.91人。ますます増加中。
 困ったものだ。

7月29日(土) 大阪→播州龍野→神戸→大阪
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 夏休みで電車が空いているので助かる。あ、土曜であったか。
 9時頃に実家へ。
 庭ではクマゼミが盛大に鳴いている。
  *
 書庫で資料調べ2時間ほど。
 扇風機しかないが、暑さは感じず。しばらくこちらに滞在してもいいかな……
 もっとも、午後は暑くなるだろうし、夜は寝苦しいだろうし、もう少し先にするか。
 昼、タイムマシン格納庫に寄る。
 こちらもエアコンなし。ファンだけ。
  *
 正午44℃であった。15分ほどいて退散。
 午後の姫新線で姫路、新快速で三宮。
 久しぶりに神戸新聞カルチャーセンターヘ。
 高井信さんの出講日で、講義の合間に訪ね、資料の受け渡し、ついでにロビーで1時間半ほど雑談。
 名古屋ではミュータンツの定例会合がまだつづいているとか。
 ただ、会員がだんだん「減少」していく事情はどことも同じらしい。安否の確認会みたいな雰囲気になってしまう。
 夕刻帰館。
 さすがに疲れた。一杯飲んで早寝。

7月30日(日) 穴蔵
 晴。朝から直射光。午前、2時間ほどエアコン稼働。
 世間は日曜日。
 外出することなく、終日穴蔵にこもる。
 午前、雑件処理。色々メール応答など。
 午後、youtubeに『ゴルゴ13』(1973年の高倉健版)が「限定配信」されているので見る。初見。
 これは失敗作というより駄作、むしろ愚作に近い……理由を書き出すとキリがない。
 高倉健はミスキャストとは思わないが、佐藤純彌ともあろう者が、劇画をまったく理解できなかったのだろう。脚本がK・元美津というのに、アクション(動かないことも含めて)、カーチェース、女の魅力、狙撃の緊張感など、演出はすべてペケ。
 千葉真一の方(「九龍の首」)が、マンガ的なだけまだマシであった。
 ゴルゴは映画には向かないのだな。
 たちまち夕刻。
 専任料理人が色々並べたので晩酌開始するが……最後に鰻があるという。
 運動していないので食べきれず、数皿を明日用に残す。
  *
 ということで、最後にミニうな丼をいただくが……
 正直なところ、わたくしは土用だからといって、こんな俗っぽいことはしてほしくないのである。
 早寝させていただく。

7月31日(月) 穴蔵
 相変わらず睡眠不安定。
 早朝は曇あり、直射光はなく、まあまあ快適な日である。
 終日穴蔵……のつもりだったが、月末であり、色々処理事項もあって、昼間1時間ほど外出。
 郵便局、ATMなど一回り、新御堂沿いに帰館。
 と……豊崎2丁目信号を渡ったところ、というよりも「麦と麺助」の行列の少し北側に、トンカツ屋がオープンしている。
 ノボリに「本日ハタダ勝」とある。新規開店で本日は無料か! とメニューを見ると、結構な価格である。
  *
 ここは6、7年前に、野菜の直販所として作ったがうまく行かなかったようで、倉庫になっていた建物。安普請である。
 一時期、380円の牛丼を前の駐車スペースで売ったが、すぐ終った。この牛丼はうまかったはずだが、場所が悪かったのだろう。
 ウチのすぐ近くに御徳屋という焼肉屋があり、5年前に昼、店の横で380円の牛丼を売っていた。
 これは好評で、おなじ形式で、こちら側(新御堂側)でも売り出したが、長続きしなかった。
 そこに値段は高級店並のトンカツねえ(ちなみに「本日ハタダ勝」は店名である/ややこしい)。
 結構うまい380円の牛丼のあとに、900円のカツ丼ではねえ。
 2,3ヶ月前にオープンしていたらしいから、それなら少し南(豊崎南公園横)の「ニューベイブ」(これも高級店)とほぼ同時か。
 豊崎がトンカツ激戦地になるとは思えず……ま、健闘を祈る。
 午後は穴蔵。
 月次の事務処理をやってるうちに7月が終る。


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