『マッドサイエンティストの手帳』838

●マッドサイエンティスト日記(2024年10月前半)


主な事件
 ・播州龍野いたりきたり
 ・大阪JAZZ@放出(13日)


10月1日(火) 穴蔵
 目覚めれば10月。October the first であった。
 この日は「すべてが手遅れ」の気がしてしまう。そしてホイルの凄さを思う。これ年中行事。
 5:30の空。秋晴れである。
  *
 秋分の日から1週間、明らかに日の出が遅くなっているのがわかる。冬は近い。
山藤章二氏の訃報。30日。87歳。老衰。1度描いてもらったことがあるなあ。新聞隅に小さい顔(大臣サイズ)だったけど。
 新政権誕生のたびに新閣僚の似顔絵が新聞に載ったものだった。あれがなくなってから政治がつまらなくなった気がする。
唐沢俊一氏の訃報。24日。66歳。虚血性心不全( 心臓発作)。SF大会でアホな企画にいっしょに出たのは30年ほど前であったか。ともかく好奇心旺盛で、恐ろしく領域の広い人だった。貸本マンガの変な作品発掘には敬服していた。孤独死であったと聞くとちとつらい。
 終日穴蔵。
 散歩はジュンク堂往復のみ。
KOTOBA秋号。特集は「世界は科学の言葉でできている」。
 松原仁教授の「AIで『虚無回廊』を完結させる」試みが興味深い。こんなプロジェクト?がスタートしているはと知らなかった。ただ完成の見込みは……こちらが生きているうちに読めるかどうか不安になる。
 生きてなきゃいかんなあ。

10月2日(水) 穴蔵
 晴。終日穴蔵。
 いちばんアタマが冴える季節のはずなのに、不規則睡眠で1日を過ごしてしまう。嗚呼。

10月3日(木) 中之島クロス
 外出の日だが、朝から雨になった。
 11時頃に出て、地下鉄で梅田、ドーチカ南端から地上に出て堂島川を渡る。
  *
 中之島の歩道を下流へ10分ほど歩き、中之島クロスの渡辺病院へ。散歩を兼て来るにはいいが、雨の日はやはり不便だ。桜橋時代が懐かしい。
 3ヶ月ぶりの健診。諸数値は良好、ただしクスリは継続である。
 その目的について質問したが、こちらの予想(某器官の衰えのサポート)とは違い、不測の事態に備えての「予防」だけであった。それならいいですよ、ともいえず。手塚さんの後輩に当たる医師だからなあ。
 午後、ドーチカに戻り、アバンザのジュンク堂を覗き、谷本盛雄の大量放火殺人現場を見物、駅前第1ビルのたかはたで遅めの昼うどん、梅地下を三番街まで抜けて、歩いて帰館。
 雨のせいか、インバウンドは少なく助かる。
 久しぶりに1万歩を超えた。

10月4日(金) 穴蔵
 曇天。9時前から雨になる。全国的に雨天……らしい。
 終日穴蔵。
・午後、BSで久しぶりに『決断の3時10分』を見る。
 やはり残酷なドンパチ過剰のリメイク版『3時10分、決断のとき』より数段いい。ヴァン・ヘフリンの若さに驚く。脳内でわが老化にあわせてヘフリンも老化が進んでいたのだ。嗚呼。
・雨がやんだので近所を散歩。
 豊崎第6架道橋跡の手前にある「R Hotels Inn」が(コロナで2020年11月に閉館していた )が改装中である。
  *
 The GALA Hotelとしてオープンするらしい。インバウンド目当てで再開か。ま、健闘を祈る。
 たちまち夕刻。一杯飲んで早寝させていただく。

10月5日(土) 穴蔵
 曇。8時頃からだんだん晴れて、昼前には秋晴れ。
 一昨日、T先生から「歩いてますか」と念押しされ、「はい」と答えておいたのだが、ウソはいかん。
 反省して、午後、人気のない東北方向を散歩。
 豊崎神社〜左岸線工事現場〜本庄公園。新規工事が始まりそうな場所が多い。全部チェックしているとつき合いきれない。
 花の少ない時期。工事予定地に紫の花が咲いていた。
  *
 デュランタであったか? 知らんけど。
 タカセ市場に寄り、飲料系重量物(約6s)を下げて帰館。4000歩ほど。いい運動になった。
 たちまち夕刻。
 某記念日だが、しんどいので、専任料理人が「買ってきたもの」ですますという。
 それにしては豪勢な。
 一杯飲み、半分ほどは明日に残す。

10月6日(日) 穴蔵
 秋晴れである。
 午前、クリックポストの投函あり、北郵便局まで。ついでに散歩することに。
 うめきた西側の道(梅田貨物線の線路跡)が恐ろしく広い道路になるのか?
 今はフェンスで区切られているが、内側の線路跡東の道も「一般人」が歩いている。いずれ合体するのか。
 梅田西ランプあたりから、阪急中津の高架下を抜けて、ひょっとしたら城北公園通りにつながるのだろうか。
 そうなると、ウチの近所が合流点になるが、まさかなあ。
 生きているうちは、注目して見守りたい。
 北郵便局〜スカイビルの里山〜滝見小路を抜けて、うめきたのグラグリを初めて横断する。
  *
 午前中で、市民諸君もインバウンドもあまりいなかった。そう面白くもなし。カマボコ屋根の廃墟が懐かしい。
 グラフロ西の銀杏並木を歩いて帰館。
 午後は穴蔵にこもる。
 秋が静かに深まっていく気配がする。

10月7日(月) 天神橋界隈
 雲多く、時々晴れ間。
 朝8時過ぎに出て、天六の某院まで歩く。
 ここ3年の年中行事。4年前の10月に半月ほど入院して以来、年に1度、10月はじめの検査が習慣になった。
 レントゲン撮影のあと、9時過ぎにK先生の診察。異状なし。
「もう4年ですね。また来年の10月にしますか」「生きとればまいります」
 某院を出て、ぶらぶら南下。北区役所まで歩き、雑事処理。
 西側の扇町公園に行く。
 おなじみのベンチ。藤棚には凌霄花がかぶさるように咲いていた。ここに座って、しばらく休憩、瞑想にふける。
  *
 このベンチは3年前に、兵庫県稲美町で甥っ子2人を焼殺した松尾留与が逮捕された場所である。
 今年2月に地裁は懲役30年の判決を出したが、検察は控訴中。どうなることか。
 当時4,5人いた「わが生活圏の殺人者」のうち、決着していないのは松尾だけになった。
 本庄、中崎、豊崎を歩いて昼前に帰館。
 午後は穴蔵にこもる。

10月8日(火) 穴蔵
 曇時々雨。肌寒い1日である。
 終日穴蔵。
・午前、ネットで日活『ある脅迫』(1960)を見る。初めて。
 蔵原惟膳の初期の傑作。金子信雄と西村晃が地方銀行を舞台に渡り合う。ともに名演。
 ともにその後名優に成長するが、こんな地味な俳優ふたりを主演に製作したところが凄い。
・昼、1時間ほど近所を散歩。3000歩ほど。
・午後、ネットで日活『街が眠る時』(1959)を見る。
 高校時代に何度も見た傑作。今見ると、宍戸錠の凄さに圧倒されていたことがわかる。
 ラストで、新聞記者の長門裕之と殺し屋の宍戸錠が格闘して、長門が勝つのは(体格からいっても)不自然。
 たまたま手にしていた「旧友」の遺品で顔を殴ったのが功を奏した……とでもすればよかったのに。
・たちまち夕刻。
 一杯飲んで早寝。

10月9日(水) 穴蔵
 未明までの断続的な雨が朝にはやみ、だんだん晴。
 終日穴蔵にて(非SF系)雑事。しかし全然片づかない。
 ボケの進行で能率が落ちているのは確かだが、本日は「先方」の事情。連絡待ちが反応なく、郵便物も届かない。
 イライラしていてもしょうがない。
 午後1時間ほど近所を散歩。
 東北方向……貨物線跡の工事現場に沿って歩き、豊崎神社に参拝。願い事は特になし。
  *
 神社周辺にも更地が増えた(特に広いのはJRバス北営業所跡地)。また工事現場が拡大するのだろう。
 本庄公園から東海道線の高架に沿って南下。
 A先生のアトリエ前を通過。ちょうど先生が西側のアトリエ?に入りはるところだった。
  *
 忙しく仕事をしておられるのだ。神社周辺を含む豊崎界隈の新建築であればいいが。
 うめきたの影響?で周辺にこれだけ新築工事が多いと、豊崎には(3丁目だけでなく)Aカラーを強く残してほしいのである。
 豊崎2丁目の信号を渡って、麺助の西側。疾風勁草の内装工事中である。誰も見たことのないうどん屋が出現するらしいが。
 5000歩を超えたあたりで帰館。
 また雑事。どうも週末からの3連休に食い込みそうな。

10月10日(木) 穴蔵
 秋晴れの1日。
 相変わらず「いつかイライラする日々」……なんて書いても、河野典生を思い出す人はもう少ないだろうな。
 昼前にやっと某郵便物届く。引き続き電話連絡もあり。色々調整。明日からの予定を決める。
 今年の10月は「たそがれの国」どころか、ややこしく騒がしい月である。
 10月27日に衆院選挙で近所が騒がしくなるし、11月5日に米大統領選挙、11月17日に兵庫県知事選挙。
 野次馬的興味は尽きない。
 午後1時間ほど近所を散歩。3000歩ほど。
 たちまち夕刻。
 野菜の多いメニューが並ぶ。
  *
 鶏ガラのスープで作ったリゾットで白ワインを少しばかりグビグビ。なかなか結構な。
 ノーベル文学賞……わが予想は外れた。
 ふて寝するのである。

10月11日(金) 穴蔵/ウロウロ
 秋晴れの1日。
・午前、梅田ウロウロ。金融機関などで雑事処理。
 ついでに湾岸方面(天保山か大正方面)をぶらついてみようかと大阪駅のバスターミナルまで行くが、バス待ちの列を見て急に意欲喪失してしまう。
 足腰の衰えではないと思う。徒歩30分ならバスより徒歩だから。年とともにイラチが高じているのだろう。
 ステーションシティ「風の広場」に上がる。
  *
 空気が澄んでいて、北摂の臨界ニュータウンまでが見渡せた。
 ついでに「天空の農園」へも上がるが……こちらはつまらん菜園で、秋の気配は感じられなかった。
 ヨドバシ〜紀伊国屋書店〜ジュンク堂を回って帰館。7000歩ほど。
・午後、BSで『ウエスタン』(まだ見てなかった作品)を見るが、テンポがあまりにも遅くて、30分ほどでテレビを切る。
 悪い作品でないことはわかるが……こちらのイラチが高じているのだろう。

10月12日(土) 大阪←→播州龍野
 3連休の初日。秋晴れなり。
 早朝の電車で播州龍野へ越境する。休日の早朝で、電車は空いていた。
 雑事色々。昨日シルバー諸君が雑草処理してくれて、すっきりしているが、裏庭はたいへん。
 その他、家屋のこと、野良猫対策など。書籍関係は手つかず。本格的に片づけようとしたら1週間ほど泊まり込むしかない。
 他にも……6月17日に来た時に、同級生から聞いた「兵庫県知事」関係の話の続篇を詳しく聞きたかったのだが(なにしろ、その後に局長自殺だからなあ)、残念ながら今回は時間がない。
 昼過ぎで断念。姫路へ移動する。
 天気がいいので、久しぶりに姫路城(無料の大手門あたり)まで歩く。
  *
 ↑正攻法で撮影。インバウンドが多くて、10分ほどで引き返す。
 すると……おや、大手前通りでくだんの前県知事が演説中であった。
  *
 自殺した県民局長の地元(姫路西校出/上郡勤務)で堂々の演説。しばらく拝聴する、テレビで何度も繰り返したのと同じ内容。
 まったくブレがないのであった。立派というべきか。
 投票日までに「地元の噂話」を聞くことにしよう。わたくしは大阪府民だから、純粋の野次馬として。
 夕刻帰館。
 ちと疲れた。一杯飲んで早寝。

10月13日(日) 大阪JAZZ@放出
 3連休の2日目。秋晴れ。
 昨日今日と神戸ジャズストリート、好天でなによりである。
 わたくしはラスカルズの出ない神戸JSは寂しくてもう行けないけど。
 昼頃に出て放出へ。ディアロードでの大阪JAZZ同好会の例会に出席。
 少数の愛好家でCDを聴く方が気分が休まる。
・本日の「特集」はTさんの「60年代のエラ・サラ・カーメン」。三大歌姫?が「ロックの時代」にどう変化したか(しなかったか)を実証的にたどる面白い試み。カーメン・マクレエがエレキの歌伴でなんて、まったく知らなかった。
・映像で1956年のピーターソン(Fさんの新譜紹介が「やむを得ぬ事情により」中止になったため、新企画)。
・持ち寄り企画は「バラード」。バラードの解釈は多様で、それぞれの選択が面白い。わたくしは今の心境(体調も含めて)にいちばんふさわしいゲッツの晩年(といっても62歳)の「The Wind」を持参。ジムランで聴くと(特にムラーツのベースの響きが良くて)泣けてくる。
 途中でHさんから急な報告あり。北村英治さんが「やむを得ぬ事情により」神戸JS欠場という。
 心配なことが多いなあ。

10月14日(月) 穴蔵
 3連休のやっと最終日。
 秋晴れや終日穴蔵何もせず。

10月15日(火) 穴蔵
 やっと連休明けの平日。
 衆院選の公示日で、テレビでは各党(聞いたことない政党もあり/聞いたけど忘れてるのか?)の党首が色々出てきて、騒がしいこどである。
 外出は郵便局往復のみ。あとは終日穴蔵。
 公園横の掲示板にポスターが4枚貼られていた。
 選挙カーがうるさいことだなと覚悟してたら、静かな平日である。
 今回の選挙、うちの選挙区に限れば、結果は見えている。それで静かだとは思えないが。
 昼間、眼下の「市営廃墟」の草むらでトラが3匹、体を寄せ合って昼寝していた。
  *  *
 涼しくなって寝床を屋根の上から雑草の中に変えたらしい。これから寒くなると、居場所をどこに移すのか。
 そうか……ここが「廃墟」になってはじめての選挙なのだ。
 以前は、ある宗教関係の住民が多く、選挙カーを向かい側の道路にとめて演説することが多かった。
 ノラもわたくしも安眠できるわけだ。こんな日が続いてほしい。


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