mad

 【最近1週間ほどの記事】 (* のついた写真はクリックで拡大します)


7月2日(水) 穴蔵
 晴。本日も世間は真夏日・猛暑日らしいが、体感的には普通。
 終日穴蔵で扇風機。
・午後、BSでイーストウッド『目撃』(1997)を見るが、地震速報(トカラ列島)のテロップがやたら入るので、途中で切って午睡。ちょっと面白そうであったが。
 たちまち夕刻。
・夕食時、家人が見るのでナイターを流してたら、西播地方にやたら大雨・洪水警報のテロップが出る。たつの市に「記録的短時間大雨」……1時間120ミリ以上降っているらしい。慌てて揖保川の河川カメラを見るが、増水している気配はなし。面白くなるのはこれからか。
 播州龍野に4,5日滞在すべきであった。

7月1日(火) 穴蔵
 晴。世間は真夏日・猛暑日らしいが、体感的には普通。
 穴蔵にて扇風機の風に吹かれておれば快適なり。
「波」7月号の書籍広告で、国書刊行会から『伊藤典夫評論集成』と並んで小林信彦『虚栄の市 汚れた土地 冬の神話』が出ているのに気づく。
 午後、ジュンク堂に行ってみると、本棚に並んでいた。さっそくゲット。
 3作品とも初版が手元にあるが、だいぶボロ本化しているからな。
 国書刊行会恐るべし。あとはアルジス・バドリス『無頼の月』を待つばかり。

小林信彦『虚栄の市 汚れた土地 冬の神話』(国書刊行会)
 副題は「小林信彦初期長篇集成」……3長篇の合本である。
  *
 3作品とも初版(1960年代)で読み、今も手元にあって時々読み返しているので、今さら感想など書くこともないが、ここでは『汚れた土地』についてだけ。
 これは絶版(作者が封印)だったため、手元の本は稀覯本であり、それを自慢できなくなるのは残念だが、読書家のためには何よりである。
 作者の横浜時代(米軍用賃貸ハウスの会社勤務)の体験をベースにした「ピカレスク」だが、封印された理由は「これはピカレスクとはいえない」という批評にあったようだ。ただ「我がぴかれすく」と副題がついており、あとがきに「およそ、颯爽としない。欲求不満の悪党、幻滅したピカレスク小説」とあるとおりで、これは封印の理由にはならないと思う。
「小悪党」たちが経営する会社で「私」は翻弄されるが、確かに主人公は積極的に行動しない。ただ、舞台は米軍ハウスやPXで、そこに住むメイドや二世(まがいの若者)など、脇役?が面白い。アメリカ文化に憧れながら、そこにあるのは奇妙な似非アメリカ文化である。軍人家族とともにアメリカに渡る夢をもつメイドや、米国歌手のものまねがうまい日本青年などとの交流が描かれ、やがて夢は幻滅に変わっていく。これはアメリカ文化に憧れた世代の「青春小説」の傑作だ……というのがわが60年前の感想で、それは今も変わらない。
(ついでながら、自分の好きな「ジャンル形式」に体験を押し込むという方法をこの作品で学んだ気がする。書いたSFはまったく別物だが。)
 この3作品については「聖地巡礼」も行っている。
 SF以外での舞台訪問は、荷風(主に東京)と小林信彦(3作品。和菓子屋跡などは行ってない)だけである。
・「虚栄の市」の舞台、葉山の長者ヶ崎には2012年8月9日に行った。
 1時間ほどうろうろ。モデルの「別荘」は特定できなかった。昼に寄った蕎麦屋は山下洋輔さんご贔屓の「如雪庵一色」である(ご主人が亡くなられ、今は閉店)。ついでに横浜の矢口台も再訪している。
・「汚れた土地」の舞台は横浜の矢口台で1997年11月6日に行った。この日は午前中に磯子の「電源開発発電所」で排煙脱硫装置のダクト内を見学させてもらい、午後に矢口台を歩いている。ハウス群の跡地はたぶん今の広いテニスコートだろう。当時の雰囲気を残すのは数棟の木造ハウスだけであった。
・「冬の神話」の舞台、埼玉県名栗村へは1980年(だったと思う)東京の知人に頼んでクルマで訪問した。写真撮ったはずだが見当たらない。道路が(たぶん拡張されて)広く、疎開地の雰囲気はもうなかった。寺の名は楞厳寺(りょうごんじ)という。今google-mapで見ても、温泉施設のある静かな村である。

6月30日(月) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 晴天……というより炎天である。
 9時前、タイムマシン格納庫は既に40℃超え。長居無用、すぐ実家へ移動。
 故郷は緑なりき。雑草が繁って緑過剰である。
 雑草は近日シルバーが処理してくれるはずだが、気になるのは塀の外のビワである。
 前回来た時(6月4日)実りかけていたのが、見事に、ひとつもない。
  *
 じつは、売り物にするには紙袋を被せたりする必要があるが、そのままでもおいしく食べられる……と藤田さんに教えてもらった。今回、試食してみるつもりだったのに、どうも「誰か」が取って(盗って)いったとしか思えない。
 そうなると、前回「梅は今年も壊滅」と書いたのもあやしくなる。カメムシ被害も聞かない。梅も見事にひとつも見当たらなかった。
 秋の柿泥棒が夏にも出現しているのか。困ったことである。
 屋外がこれだから、屋内は推して知るべし。屋内に泥的の侵入はないものの、1日や2日で手がつけられるものではない。家屋の老朽化が進行しているのである。
 書斎で2時間ほど調べもの。風が通って涼しい。書籍整理には、しばらくこちらに移住するのがいいと思うが、家族の同意は得られず。悩みはつのるばかり。
 市内数カ所巡回の後、午後の電車で帰阪。
 東加古川で車窓を通過するビルを見る。
  *
 チャールズ・エリック・メイン。

6月29日(日) 穴蔵/H2A
 午前1時に目が覚め、youtubeでH2A-50号機の打ち上げを見る。
  *
 鹿児島方面、地震があるかなと期待心配したが、1時33分、無事発射。
 快晴らしく炎は鮮明、10分400キロあたりまで見て、また眠る。
 5時過ぎに直射光さすが、昨日と同じく爽やかな1日。
 終日穴蔵。読書、午睡、空しく一日を送る。

>>ちょっと前の記事

>>もっと前の記事【1996年〜の目次】
SF HomePage