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3月22日(金) 穴蔵/ウロウロ
 早朝からマジメに机に向かう。マニュアル作成の続き。
 タイムマシン系の仕事になると、おれは集中力を発揮するのである。
 昼前に一区切り。
 専属料理人と出かける。
 昨日、墓参りに行けなかったというので、ルクア地下のフードホールにある某店へ行くことにする。
 「海鮮が安いだけの店」で、店名が義母と同じなので、墓参代わりにいいだろう。
 が、えげつない行列。しかも12時少し前というのに「定食は売り切れ」の表示。こりゃあかんわ。
 方針変更。
  *
 10階に上がって、こういうものをいただく。
 明太子やちゃんぼんもついて、まずまずであった(しかし博多・春吉の「なかむら」に及ぶ店はないなあ)。
 水分補給も怠りなし。午前中がんばったのだから、いいであろう。
 いい供養になった。

3月21日(木) 穴蔵
 朝だ。雨が降っているが、浅田飴を舐める気分にはならず。
 終日穴蔵。
 机に向かって過ごす。マジメな態度である。
 ただし非SF系の仕事。タイムマシン関係のマニュアル作成に没頭する。
 据付のために現地(海外)へ行かず、マニュアルで済ませることになったため。
 基本は「図解」マニュアル。得意なんす。最悪、ネット中継でなんとかなるであろう。
 たちまち夕刻。一杯飲んで寝る。

3月20日(水) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。8時36分に到着。
 タイムマシン格納庫にて相棒の某くんと組立作業。ほとんど仕上げ段階である。
 しばらく試運転して完了、4月上旬には梱包作業になりそうな。
 おれの出番は一区切り。
 昼、実家にも寄る。
 故郷は花に囲まれていた。紅梅、釣鐘草、水仙……
  *
 一昨年に枝を落とされた白木蓮もそこそこ咲き始めた。再来年くらいには6年前よりも成長するであろう。
 夕刻に近い午後に帰阪。

3月19日(火) 穴蔵
 案の定、睡眠不規則。眠り浅く、きちんと目覚めたのが7時、3時間の寝坊である。
 雨が降っている。
 播州龍野へ行くか迷うが、昨夜からの気分を引きずっていて、明日に送ることにする。
 終日穴蔵にて痴呆状態で過ごす。
 たちまち夕刻となる。
 専属料理人の並べたバランスのいいメニュー(豚肉、厚揚げ大根煮、筑前煮、ごちゃごちゃ野菜のサラダなど)で一杯飲んで早寝。
 明日こそホリは羽ばたく……つもり。

福田和代『梟の一族』(集英社)
 サイエンス×忍者?! 戦国の世より暗躍し続けた梟の一族とは……
  *
 滋賀県犬上郡多賀町。8軒13人の限界集落にひっそりと住む「梟の一族」。ある夜、何者かに村が襲われる。唯一の「若者」榊史奈は「風穴」と呼ばれる鍾乳洞に身を潜めるが、一夜明けて村に戻ると、村は焼かれ、老人ひとりが銃で撃たれて死に、祖母を含むあとの一族は全員が姿を消していた……。
 史奈の孤独な逃亡と闘いが始まる。
 これは福田版「ヒ一族」か?
 梟の一族とは、甲賀集の末裔ともいうべき一族で、特異な身体能力を持つが、最大の特徴は「眠らない」ことだった。それ故に常人に倍する「学習時間」もある。今も一族の血を引く組織は社会のどこかに根を張っているらしいが、史奈は聞かされていない。一族の村で「純粋培養」されてきたからである。
 だが、助けてくれるもの、追ってくるものが入り組み、誰が敵か味方か、様々な謀略に巻き込まれる。
 やがて明らかになる一族の姿は……
 意外にも、梟の一族は、歴史の裏側で暗躍する「伝奇的」存在ではなく、むしろ「哀しい」一族なのである。
 その読後感は『産霊山秘録』よりも『継ぐのは誰か?』に近いというべきか。
 福田さんの異色のSFである。

3月18日(月) 穴蔵
 眠りが浅く……というより、ほとんど眠れないまま朝になる。
 朝食は抜き。
 近所の某医院へ行って、年に一度の健康診断を受ける(バリウム飲むわけではないので、朝食は抜かなくてもいいのだが、ボンサラ時代の諸数値と比較するため、一応朝は水だけ)。
 血液検査の結果は後日、その他はいたって正常であった。
 10時半頃に豪華ブランチ。ちょっと水分も補給したら、たちまち眠くなり、午後3時頃まで昼寝。
 夜は集合住宅の理事会。もう3月で、4月には理事の引継ぎ(半数交替)、いよいよややこしい役職が回ってきそうな。
 だらだらやっているばかりで、重要案件はまるで進行していないのである。
 来期を思うと気が滅入ってくる。
 21時頃からやっと晩酌。
 食事、睡眠、不規則になりそうな……

平谷美樹『柳は萌ゆる』(実業之日本社)
 アブラが乗り切っているというか、文庫の連作シリーズが数本同時進行中、たいへんな勢いの平谷さんだが、岩手日報にも連載しておられたのだ。
 その連載に大幅に加筆修正された長篇。
  *
 盛岡藩の家老の子として生まれた楢山茂太(のちの佐渡)は、文武に秀でていたが、百姓の子に交じって遊ぶことが多かった。幼少期に見た百姓の子の水死体が記憶にあり、農民の男が告げた、侍も百姓も「どちらも切れば赤い血が出る」という言葉があとあとまで残っている。
 当時多発していた一揆を治めるのに腐心し、何度も謹慎の処分を受けつつも改革を進めていく。農民たちの支持を得はじめた頃に、桜田門外の変。時代は風雲急を告げる。
 戊辰戦争の波は鳥羽伏見から北上し、やがて東北に押し寄せる。
 家老・楢山佐渡は悩む。薩長は奥羽越列藩同盟を切り崩そうとさまざまな謀略を仕掛けてくる。尊皇か佐幕か。盛岡藩内も支持は二分し、態度が決められない。佐渡の意志は尊皇であるが、官軍の兵たちが、農地を踏み荒らし農民を人と扱わぬのを見て、薩長支配に警戒感を強める。そして盛岡藩は秋田戦争に巻き込まれていく……
 楢山佐渡は歴史上ではあまり知られていない(というか、おれはまったく知らなかった)が、盛岡藩家老の視点で戊辰戦争を描く。
 平谷作品らしく、佐渡の造形が素晴らしいが、配置された多くの周辺人物も隅々まで描写が行き届いている(佐渡を慕い、その教えを生かそうと誓う少年・原健太郎(のちの原敬)が印象に残る)。
 平谷美樹さんの代表作のひとつであろう。

『チヤチャヤング・ショートショート・マガジン 第7号』
 チャチャヤンの第7号が出た。コンスタントに発行されているファン出版では極めて高いレベルにある。
  *
 和田宜久さんや深田亨さんは名人といっていい。深田さんの「ランチ十景」は、けったいなランチが次々出てくるが、これらは全部別テーマで書けるのをわざとランチテーマにした印象も受ける。噛み切れないパスタなんて、そのまま「出て」きてメビウス状になる展開もあるのではないか。
 雫石鉄也さんの「海神」シリーズもあり、柊たんぽぽさんの「りんご百書」はリンゴ作品のコラージュで見事なもの。
 ショートショート・マガジンだが、後半は短篇集。
 深田亨「猫の家出」は垂水のバーで微妙な関係の父娘が出会うちょっといい短篇。篁はるかさんの「念仏バイト」は、工業団地へ連れて行かれて、納期に合わせて電材加工やおにぎりの材料作りなどにタライ回しされる現代版タコ部屋が描写されるが、主人公の感じ方がちとわかりにくい。
 同窓会がらみ作品が2編。和田宜久「蔦の家」は、同窓会で訪れた故郷の街で、小学生時代に「蔦の家」で出会った少女を思いだし、その家を訪ねる。その時の記憶が、だんだんと変わりはじめる。少女はうそつきだったのか、継母に虐待されていたのか、その女性が血まみれで倒れていた記憶は本当なのか……。甘美な記憶と恐怖感が混じり合っている。……大熊俊宏「反故郷 −とおきにありて−」は対称的な雰囲気の作品。廃村・廃校になった中学の同窓会が唯一残っている公民館で開かれるというので大阪から友人と出かける。宴席は乱れ、トイレでよからぬことをはじめるものまで。そこに校庭にあった樫の枝からぶら下がった同級生が出現する。成長とともに故郷は「分離されて認識され」るが、切り捨てられた「混沌」部分はいわば「反故郷」として廃村にあり、それが同窓会に出現する。アイデアは秀逸。故郷にしっぺがえしされるためとはいえ、同窓会はいささか羽目を外しすぎの感も。
 岡本俊弥「二〇三八年から来た兵士」は凄みのある短篇。朝のホームに突然出現した、小銃を持つ迷彩服の男が乱射しはじめる。1時間後に狙撃犯が肩を撃ち抜き取り押さえる。その男は初老に見えるが、言動がおかしい。その取り調べが、防犯カメラのSF映像分析、現場検証の報告、身体分析、精神分析、銃器の分析、自供など、多角的に語られる。SF的アイデアはタイトル通りで新しいものではない。重要なのは、ここで語られる近未来像とその語り口である。生命福祉党が「姥捨て山」を作っていく「近未来史」といい、蜂起に至る経過といい、他人事とは思えぬ凄みがある。
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