『マッドサイエンティストの手帳』831

●マッドサイエンティスト日記(2024年6月後半)


主な事件
 ・播州龍野いたりきたり
 ・KLL例会(21日)
 ・クラリネット・サミット@ニューサン(23日)


6月16日(日) 穴蔵
 朝は薄曇。直射光なく、遮光カーテンを引く必要がないので助かる。
 午後は晴。室温は終日ほぼ29℃で快適そのもの。
 こんな日が続いてほしい。
 これといったことはしない(できない)まま(認知症進行中だからなあ)たちまち夕刻。
 一杯飲んで早寝。明日は少し動く予定。

6月17日(月) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 大阪は晴れていたが、西へ移動するにつれて、だんだん雲がかかってくる。
 故郷は曇天であった。
 実家にて雑事色々。精力的に片づけるのであった。
・昼。中学高校の同級生のSさんが来た。
 昨年末に姫路で「最後の同窓会」があり、盛会だったらしい。わたくしは「年齢相応」の症状が出て治療、その最終的な検査の前だったので欠席した。それでは寂しかろうと実家まで訪ねてきてくれたのである。
 網干からKさんも合流。
 3人で龍野公園のすくね茶屋へ行って、最高級ブランド″三神素麺の定食を食しつつ、突発時ミニ同窓会を開催する。
 話はどうしても病気や先に逝った連中のこと、負の遺産、保険など、暗い話題が多くなる。知事の「おねだり癖」の話だけが妙に生々しかった。
 飲めないのが残念だが、こちら(西播)にいると、思い立ったら30分くらいでクルマで集まれるらしい。
 午後はまた実家。
 本の整理は半日やっても何も進まない。座敷からしばらく庭を眺める。庭の隅に紫陽花が咲いていた。
  *
 昔の「勉強部屋」(2階)から机を座敷(1階)に移した方が、安全面からもいいのではないか。
 なんとなく文豪気分に浸れそうだし。
 書庫の改造は水鏡子書斎を見て、こちらは到底無理だと諦めたわけだし、最小限の書斎改造であと数年を過ごすのも手かな……という気がしてくる。
 本日は泊まり込む用意はなし。夕刻の電車で帰阪する。

6月18日(火) 穴蔵
 昨夜から雨が降り続く。
 夜中(1時過ぎ)に目覚めてゴミ出し。ネコのエサはなし。オバサン来なかったような。
 明け方から本降り、6時には激しい雨になった。
 昨日の反動で終日穴蔵。
 大阪北部地震から6年……というが、阪神大震災に較べるとなあ。
 確かに震度6弱を経験したのだが、体感記憶はほとんどない。
 1月17日早朝に毎年怯えるのとはえらい違いだ。
 終日穴蔵。
 9時頃が雨のピーク。風も強く、肌寒い。
 11時前に雨はあがり、天気は急回復、16時には快晴となった。
 夕刻には市営廃墟に腹をへらしているらしいトラネコが3匹寝そべっているが、夜中まで待つしかあるまい。
 空模様と猫模様を眺めているだけで1日が過ぎる。

6月19日(水) 穴蔵
 晴。爽やかな朝である。台風一過というか梅雨明けというか。どちらも違うか。  遮光カーテンを引き、世間との社交も断って、穴蔵にこもる。
 ニュース雑感
・プーチンが平壌に到着。穴ぼこだらけの滑走路で特別機が躓いて大炎上を期待してたが、無事着陸。残念。
・都知事選報道が加熱。大阪は関係ないのに。七夕まで暑苦しいことである。
 それにしても、なんとかならんか、あの歯茎。マスクじゃだめですか。
・「大麻グミ」で逮捕された製造会社の元社長を大阪地検は不起訴処分とした。
 理由は「 公訴を維持するにたえる証拠が収集できなかったため」。
 これは昨年11月18日の事件である。
 アメリカ村の販売店に続いて、メーカーのWWE株式会社がガサ入れくらい、松本大輔(39)が逮捕された。
 堂々とインタビューに応えていたが、社長は退任したのか?
 WWEは近所の中津Mビルの最上階に入っている。
 午後、気になって、散歩のついでに寄ってみる。
  *
 堂々と営業?しているではないか。
 大淀署のすぐ南側である。たいしたものというか……

6月20日(木) 穴蔵
 曇。涼しい日である。
 終日穴蔵。
・白石かずこ氏の訃報。14日、心不全で。93歳。
 熱心なファンではなかったが、沖至さんとの「詩とジャズ」を16年前に聴いている。77歳だったのかか。
 ひとり異常な女性客がいて、いい思い出にならなかったのが残念だ。キ**イ女めが。大阪の恥。
・プーチンがベトナムに到着。空港の泥沼に特別機が突っ込んで大炎上を期待してたが、無事着陸。残念。
 これといったことできぬまま、たちまち夕刻。
 一杯飲んで早寝。

6月21日(金) 夏至/KLL例会/入梅
 深夜から本降りの雨、朝にはやみ、昼前には晴れ間が出てきた。
 それでも近畿は入梅だとか。
 昼前に出て兵庫県(三宮)へ越境する。
・先月に引き続き、旧居留地エリアを歩く。
 風格ある建築が並び、緑が多い。
  *
  居留地跡の大阪(川口)と神戸を比較すると、わたくしにいわせれば貧民街と富豪の豪邸の差である。
 なぜこうなったのか。むろん大阪港が神戸港に負けたからだが、その敗因に淀川がどの程度からんだのかが目下の関心。
 (これは新淀川と荒川放水路の比較から派生したテーマ。)
・午後、区民センターで神戸文芸ラボ(KLL)の例会に出る。
 エッセイ・短篇・戯曲などの合評形式。
 ハワイ旅行記にやたらトロリーバスが出てくるが、描写がどこか不自然に思い質問したら、ハワイのトロバスは単に窓がオープンのバスなんだとか。知らなかった。行ったことないからなあ。
 逆に(日本で)トロリーに乗った経験を珍しがられた。歳なんだなあ。
・夕刻帰館。
 色々並べてもらってビール、ワイン。歳なんだなあ。

6月22日(土) zoomランチ
 朝、晴ていたのが雲が増え、午後には雨になる。珍しく気象庁の判断が当たって入梅なのであった。
 昼、横浜の長男ファミリーとzoomランチを行う。
 のっけから「おめでとう」といわれる。昨日が入梅にふさわしく「傘さして寿げ」みたいな日だったので、そのことらしい。
 そうめでたくもないのだが。
 冷蔵庫内にあった色々(枝豆、しらす、イカ煮、ホタテなどのオードブルなど)を並べ、ビール飲みつつ、ラチもない話を1時間半ほど。
  *  *
 住居まわりのことを相互に報告。
 こちらは眼下の駐輪場廃墟でトラが昼寝している。向うはテーブル下で愛犬が昼寝していた。
 かれらに倣って、わたくしも午後は昼寝させていただく。

6月23日(日) クラリネット・サミット@ニューサン
 曇、時に小雨。典型的な梅雨空である。
 昼過ぎに出て、梅田のニューサントリー5へ。
 本日の「昼下がりライブ」は、ODJC企画のクラリネット・サミットである。
 風間晶世、河野義彦、保田貴秀の3クラリネットでルイス〜河合良一の流れを汲むクラを聴く企画。
  *
 (↑左から、風間、河野、保田の3氏)
 バックにレッドビーンズ。ゲストに福田恒民(tb)、TonTon(vo)ら。
 OverThe Waves、In The Garden、Burgandy Street Blues……とルイスでおなじみの曲が演奏される。
 それぞれいい演奏で楽しめたが……その一方、河合さんにいない寂しさがつのるばかり。
 そろそろ「あちら」へ行ってルイスと河合さんの共演を聴くのもいいかな。
 冥途筋(「地獄八景」)に並んで Burgandy Street があってもいい気がしてくる。
・会場でKさんから「右近雅夫が亡くなったそうだ」と教えられた。
 一瞬、まだ存命だったのか……と不謹慎なことが浮かんだ。1931年生まれだから93歳か。
 最後に聴いたのは2008年神戸JSだった。
 それ以降、ブラジルからの来日はなかったと思う。
 あちらのセッションはますます充実するなあ。

6月24日(月) 穴蔵
 梅雨入りしたばかりなのに、本日は梅雨の中休みらしい。
 薄曇りで涼しい。
 朝、近所の某医院で定期健診。数値は極めて良好であった。
 気分良く、終日穴蔵にこもる。
 一昨日深夜(土曜23時〜日曜1時)は雨が本降りでエサやりオバサンが来なかったが、昨夜(日曜23時〜月曜1時)は来て、ネコたちはエサにありついたらしい。
 眼下の市営廃墟の集会所屋上で、トラが熟睡している。
  *
 いちばん小柄で臆病なやつだが、栄養は十分に見える。2,3日のエサなしを心配することはないのだ。
 わたくしも見倣って昼寝……はせず、少しは仕事もするのであった。いと少なしを。

6月25日(火) 穴蔵
 曇。梅雨空。散歩に出ようとしたら微雨が降っていた。公園ひとまわりして引き返す。
 終日穴蔵。室温27℃、ベランダも30℃を超えることなく快適。
 本を読んで過ごす。
 (終活の第一歩として)本を片づけようとするのだが、つい読んでしまう。
 それが1日1テーマみたいになって、先日から「居留地」「サンカ」「ヤクザ」…とつづき、本日は「関ケ原」。
 本はまるで片づかない。嗚呼。
 たちまち夕刻。数皿並べてもらう。
  *
 鰆の生姜煮、冷しゃぶサラダなどでビール、冷酒。
 パキートを聴きつつ。梅雨空にはキューバン・サウンドがいい。

6月26日(水) 穴蔵
 薄曇。昼間はほとんど晴。ベランダの気温は30℃を超えず。
 播州龍野行の予定だったのが、相棒の某くんが明日行くことになり、雑事もお願いする。
 ということで、終日穴蔵。快適な1日であった。
 1日1テーマ、本日は鉄道・橋梁関係(この関係の資料も雑多のが積み上げてある/片づかないまま)を雑読。
 上淀川橋梁へは万博が終っても、10年以上行けそうにない。死ぬまで無理だろう。
 こんな場所が増えた。いや、淀川左岸に限らず、近所はそんな場所ばっかり。嗚呼。
 せめて……万博中に南海トラフ地震、津波で会場が壊滅、その廃墟を見るのが楽しみ……とは思わないが。

6月27日(木) 穴蔵
 曇。全国各地ややこしい天気のようだが、ウチの近所は涼しく、過ごしやすい。
 終日穴蔵。
・龍野へ行った某くんからメール。どうも聞いていた状況とちがうらしい。来週にでも行かねばの娘。嗚呼。
・集合住宅関係で管理人から問い合わせ。規約を守らぬヤカラが数人いるらしい。
 9年前のわが理事長時代に改定した事項に反するので、総会議事の該当項目を即座に伝える。
 あとで議事録を調べるが、間違いなかった。認知症は思ったほど進行してないような。
・宝島殺人事件。娘の宝島真奈美(31)も殺人容疑で逮捕されて、計7人。長い裁判になるなあ。
・「波」7月号。巻頭の筒井さんの休載は寂しい。
 巻末の川本三郎「荷風と昭和」連載だけが楽しめる。その末尾に(次号完結)とある。葬儀や後日談など、まだ1年は続くと思っていたが。これで筒井さんの連載再開がなければ「波」を読むことはなくなりそうな。
 午後、雨の降り出す前に近所を散歩。
 紫陽花が終って、花の少ない季節である。
  *
 公園の隅でムラサキカタバミだけが目立つのであった。

6月28日(金) 穴蔵
 未明だ。激しい雨が降っている。5時になっても勢い変わらず、浅田飴だ。
 終日穴蔵。
 昼間は小雨になり、降ったりやんだり。
 九州大雨、静岡に線状降雨帯。大阪市は穏やかなもの。
 テレビで雨雲の動きを見ると、四国から紀伊半島横断して静岡まで、中央構造線の南側に雨雲がくっきり。
 思うところあって野村財閥関係の本を、片づけるつもりがあれこれ読んで、まるで整理がつかず。嗚呼。
 たちまち夕刻。また雨が強くなった。
  *
 雨に煙る北梅田を眺めつつビール、ワイン。
 本日は森山威男「In A Sentimental Mood」を聴きつつ。

6月29日(土) 穴蔵
 曇。しだいに晴れてくるが、気温は30℃を超えず、快適な1日。
 基本的に穴蔵。
 本の片づけ……のはずが、あれこれ雑読。本日は「西成」「飛田」関係。
・午前。専任料理人のお伴をしてスーパー往復。重量物のポーターを務める。
 家事の手伝いはこれとゴミ出しだけ。
・午後。近所を散歩。
 ジュンク堂でSF誌の表紙を見て、クリストファー・プリーストの死を知る。2月に亡くなっていたのか。SF情報に疎くなったなあ。
 プリーストの名を知ったのは1970年で、ブライアン・オールディス氏が教えてくれ、「新人でこんな本を出している」と「Indoctrinaire」と書かれたメモをくれた。このことはこちらに書いている。以来、意識してきた作家のひとり。
『スペース・マシン』『ドリーム・マシン』が訳されたのは5年ほどあとで、その次に読んだ『逆転世界』には圧倒された。ただ、その後の作品は科学的(数理的)イメージから離れて行ったような……とういか、その変化に、こちらが追いつけなかったのだろう。遥か彼方(前方)へ去っていった印象だ。
・夜、もつ鍋が出てきた(新鮮なモツがあったからとか)。こういうのが食べたかったのである。
 ビール、焼酎をロックでチビチビグビグビ。
 早寝。

6月30日(日) 穴蔵
 深夜に目覚める。5時過ぎから雨、7〜8時に本降りとなるも9時には小降り、昼前から晴れてきた。
 終日穴蔵。涼しく快適な日である。
・昨日に引き続き「西成」「飛田」関係の本の整理。
『ルポ西成』の著者の「今」が気になり、ネットを見ると、相変わらず精力的に?ルポを書かれているようで何よりだが、ホームレスなど題材に進展がないようにも思う。西成ルポは面白いのだが、ヘンな人たちのスケッチに終っており(作者が「潜入」ではなく、期間限定で「本を書くために」来たことを周囲に明かしていることによる)、そこが大山史朗『山谷崖っぷち日記』と決定的に違うところだ。井上理律子『最後の色街飛田』が、どこかにあるはずが発掘できない。
・梁石日氏の訃報。29日午前、東京都の病院で死去。老衰。87歳。何といっても『夜を賭けて』に圧倒された。
 30年近く前筒井さんの祝賀会でお目にかかり、話す機会があったが、驚くほど物静かで温厚な印象の方だった。
・今年も前半が終る。
 今年は周辺が工事だらけで、騒がしい日がつづくが、本日は日曜で静か。
 集合住宅の上層階から公園の工事現場を見る。
  *
 中央のロック(黄色い突起)の円盤が下降している。ひと月ほど前と較べると4メートルほど沈下しているような。
 この分、バケットが土砂を汲み出したことになる。40メートル掘るのに10ヶ月。来春まで。だいたい工期通りのような。
 夏から秋にかけて、中央の円盤が直径20メートルの竪穴に沈み込んで行くわけで、面白い光景が見られるか。
「Fタンク殺人事件」がこれをトリックに使っていたと思う……なんて、60年以上前に読んだ短篇だが。


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