『マッドサイエンティストの手帳』661

●マッドサイエンティスト日記(2017年8月後半)


主な事件
 ・創サポ講義(オキシタケヒコ氏)(19日)
 ・ブライアン・オールディス氏の訃報
 ・滝川雅弘@ドナ・リー/ラスカルズ@ニューサン(26日)
 ・播州龍野いたりきたり


8月16日(水) 穴蔵/ウロウロ
 世間はまだ盆休らしい。
 雲が多く涼しいので、久しぶりに自転車で走ることにする。
 昼前に出て、サイクルショップに寄り、空気注入、梅田貨物線沿いにスカイビルまで。北上して十三大橋。ここから淀川堤を毛馬まで。
 大洗堰にて休憩。
  *
 1971年、毛馬の研究所にいたころ、まだ煉瓦造りの旧毛馬閘門が残っていて、散策、物思いにふけっていた場所だ。
 寮生活でプライベートな場所なし、SFがまるで書けず、仕事のテーマにも興味がわかず、思い悩んでいた時期だ。
 今は場所も時間もあるのだが……。嗚呼。
 天六に引き返し、昼は馴染みの焼肉店でランチ。
 汗をかいたので冷麺定食とする。
 この店で冷麺は初めて。
 悲惨。こんなに不味かったのか。予想もしないことであった。
 ついてない日だ。

8月17日(木) 穴蔵/大阪女子マラソン見物から10年
 午前は曇、午後晴、ベランダは33℃のようだが、ステテコにアンダーシャツ姿で、扇風機の風に吹かれておれば快適である。
 終日穴蔵。
 意外に慌ただしい日である。
 タイムマシン関係で案件発生、対応あれこれメールで協議。おれがもう海外出張はできないので、検討事項多し。
 ジャズ関係で、来年2月にイタリアから気鋭のクラが来るが、演奏会場の確保が難しいとか。大阪では日曜の昼間になにとか決まるような。
 SF関係では再読せねばの資料あれやこれや。
 たちまち夕刻となる。
 専属料理人に、新潟産枝豆、翁豆腐ヤッコ、タタミイワシ、モツ煮込み、冷しゃぶサラダなど並べてもらって、ビール、黒糖焼酎水割り。
※元マラソン選手がコンビニ万引きで逮捕のニュース。
 コンビニで8点2,700円相当を万引きして逮捕という。品数8点とは、生活苦からか。
 大阪国際女子マラソンで優勝というのにびっくりしたら、
 専属料理人「いっしょに見に行ったわよ」という。
 たしかに10年前に御堂筋で見ていた。
 その後の10年、森永ひさしじゃないけど「何があったの」と訊きたくなる。
 明日はわが身であるなあ。
 「元SF作家、コンビニでビール万引きして逮捕」……嗚呼。

8月18日(金) 穴蔵
 曇天、午前8時頃に「朝の夕立ち」あり(驟雨と書けばいいのかな。「お日さんとお月さんと雷さんと雷さんの息子が旅をしまして……」の小咄が浮かんできて「朝**」とは書きにくい)、涼しい日である。
 ステテコにアンダーシャツ姿で、扇風機の風に吹かれつつ、終日穴蔵。
 資料を読んで過ごす。
 たちまち夕刻。
  *
 専属料理人に、新潟産枝豆、モツ煮、茄子のグラタン、ローストビーフのサラダなど並べてもらい、ビール、豊崎西公園南側中本酒店推奨の格安バカ旨ワインを少しばかり。
 早寝するのである。

8月19日(土) 創サポ講義(オキシタケヒコ氏)
 夕刻に穴蔵を這い出て、地下鉄で天満橋のエルおおさかへ。
 創作サポートセンターの講義。
 本日はオキシタケヒコさんをゲストに招いてその小説作法を聞く。
 オキシさんは「まだ駆け出しだから」と謙遜されるが、2011年の「What We Want」から6年、たいへんな状態にある。
 『波の手紙が響くとき』の構成にも驚かされたが、最新作『おそれミミズク』はオキシさんの最高傑作であり、最新作が最高傑作ということは、すごい進化の途上にあるということでもある。
 なんといっても『筺底のエルピス』(ガガガ文庫)がとんでもない展開を見せている。
  *  *
 その『筺底のエルピス5 −迷い子たちの一歩−』が昨日出たばかり。
 円城塔さんが帯に推薦文を寄せていて(そのこと自体が異例だが)、「オキシタケヒコの書き方は作者まで殺してしまうかもしれない。」が秀逸である。
 いちばんホットな状態にあるオキシさんに創作の秘密を明かしてもらおうという企画である。
 オキシさんの話術は抜群に面白く、デビュー時の諸事情、ゲーム制作と小説の差、企画書の重要性とポイント、大きな構成をストーリーの細部に落とし込んで行く手順、さらにはオフレコ前提で「職業上の秘密」まで、きわめて具体的に公開してもらった。
 本日の話の内容は聴講者の特権として非公開といたします。
 あと、近所の居酒屋で懇親会。
 オキシさんは愛烟家である。ゴールデンバットがまだあるとは知らなかった。関係ないけど、若い頃のセシル・テイラーに似ているなあ。
 久しぶりに深夜近くまで飲んだ。

8月20日(日) 穴蔵/ウロウロ
 朝、野菜ジュース、トースト、ハムサラダ、ミルクティ、スイカ一切。
 ちょっと暑いのであった。冷房は今季終わりのつもりでいたが、午前、2時間ほどエアコン稼働。
 穴蔵にて静かに読書の日とする。
 昼はオーソドックスなビーフカレー。
 午後2時頃、ベランダは36℃となった。
 ちょっと散歩に出る。日陰を歩けば涼しい。
 茶屋町のジュンクドーまで。
 マクド前、相変わらずポケモンGOらしき人混み。飽きもせずやっとるのだなあ。ええ歳こいたおっさんもチラホラ。さすがに爺さん婆さんはいない。
  *
 シンギュラリティはすでに通過している気がしてくる。嗚呼。
 3,000歩ほどで帰館。
 たちまち夕刻となる。
 専属料理人に、新潟産枝豆、翁豆腐ヤッコ、肉と温野菜のパレット、キャベツをゴマ油で炒めたんなどで、ビール、黒糖焼酎水割り。
 CD聴きつつ。沖至「サマー・タンゴ」が泣かせる。

8月21日(月) 穴蔵/ウロウロ
 穴蔵にてボケーーーーッと過ごす。
 出歩きたい用事なきなしもあらずだが、穴蔵に待機しておらねばならぬ。
 先日、某省が「**統計の特別調査」なるものの用紙を置いていき、本日がその回収日である。
 穴蔵はタイムマシン業の大阪事務所でもあるので、この種のものが時々来る。
 たいていは無視するが、今回のはの「統計法に基づく基幹統計調査」で「回答しなかった場合の罰則規定が設けられており」と脅し文句まで書かれている。おれはお上の脅しには弱い。面倒なことである。
 午後にやっと回収に来た。
 雑事あり、午後2時間ほど梅田うろうろ。金融機関、郵便局、ヨドバシ、ジュンクドー巡回。
 たちまち夕刻となる。
 専属料理人に、新潟産枝豆、翁豆腐ヤッコ、生ハムサラダなど並べてもらってビール。
  *
 メインはムール貝載せたパエリアで安もの白ワイン。
 バルセロナのテロのニュースを見て、1994年6月にバルセロナへ行ったとき、ランブラス通りの路上のテラスでパエリアを食べた。不謹慎ながら、それを思い出して作ったという。まあいいではないか。今のうちだ。
 おっ、「漸然山脈」の挿入歌ラ・シュビドゥンドゥンがyoutubeで公開されている。山下さんのピアノでclはあるがヴォーカルは初めてのはず。
 ワインよりバーボンの水割りが合いそうな。

8月22日(火) 穴蔵/ウロウロ
 播州龍野へ行くか迷っていたが、相棒の某くんの事情などもあり、来週にずらす。
 終日穴蔵……のつもりだったが、必要あって、昼、淀屋橋のATMへ。播州龍野関係の処理。
 ついでに本町あたりうろうろ、13時過ぎに、ボンサラ時代から馴染みの店(今や唯一の店)で和系の定食、水分補給も行う。調子が出て2杯ばかり。
 さすがにボンサラ諸君の昼食時は外すのである。
 ○ちゃん(40年前はイキのいい姐ちゃんだったが、もう婆さんに近いおばちゃん)いうに「よう来てくれてたT工務店の子(事務員の女子社員)がこないだ定年でやめよってん」「定年までおったんかいな」「多いよ、給料がええから」「ええ人生やなあ」「その上司やった元重役は93歳やけど、まだ地下鉄で飲みに来はるよ」
 ここでは、おれはまだ若造なのである。

8月23日(水) ブライアン・オールディス氏の訃報
 終日穴蔵。
 隣の集合住宅の通路でガス管の交換工事が始まり、道路を掘り返す音が響く。月末まで続くらしい。
 近所に騒がしいガキがいて、騒音が断続的に。早く夏休みが終わらぬものか。
 外は暑そうだし(昼の外気は36℃)、エアコン稼働、CD流しつつ、本を読んで過ごす。
 ブライアン・オールディス氏の訃報。
 92歳。米朝師匠と同年であったのだ。
 なんといっても『地球の長い午後』『グレイベアト』『暗い光年』である。
 1970年の国際SFシンポジウムで来日。それまで、この3冊しか翻訳されていなかったはず。それでも(伊藤さんの紹介記事もあって)バラードと並ぶ、当時もっとも注目されるSF作家であった。
 来日時の行動には毀誉褒貶あるようだが、ぼくは、向こうから気軽に話しかけてくれて感激した。
  *
 ↑写真は琵琶湖ホテルで。巨漢であった。190センチ以上。オールディス44歳、おれは25歳である。
 「きみはクリストファー・プリーストに似ている」といってくれた。
 伊藤典夫さんが面白がって「詳しい話を聞こう」と、また氏のところへ行って、伊藤さん「容貌が似てるのか、作風が似てるのか?」と質問。おれは短篇が載ったばかりで、読んでるわけないじゃないですか。あっそうか。……顔つきの印象が似ていたらしい。
 あとでオールディス氏が「Indoctrinaire」と書いたメモをくれた。「伝授者」である。プリーストのデビュー間もない頃であったのだ。
 むろん、その後訳されたオールディス作品は(たぶん)全部読んでいる。『十億年の宴』や、キングズリ・エイミス、ルイスとの鼎談にも教えられるところが多かった。
 そして、最後に読んだのが処女作「寄港地のない船(Non-Stop)」というのは不思議な気がする。
 作品としては(完成度は別として/SF少年の初心が溢れているようで)この作品がいちばん好きである。
 SFの本質的なところを教えてくれた作家/評論家であったのだ。

8月24日(木) 穴蔵
 終日穴蔵。
 タドコロ状態でボケーーーーッと過ごす。
 眼下のガス管工事が進行して、いちばんうるさい位置まできた。
 終日、ショベルカーでの掘削音と発電機の音が響いてくる。
  *
 ドアを閉ざしエアコン稼働させれば、まあまあ快適。
 百日紅は落花さかん。気温はともかく、もう秋なのである。
 野々村竜太郎の生家前でもガス管工事は進むのであった。号泣にもカツラにも関係ないか。

8月25日(金) 穴蔵/ウロウロ/ヨレヨレ
 午前曇天。穴蔵にて扇風機の風に吹かれて雑事。本日工事音もなく快適なり。
 午後は快晴。世間は猛暑というが、秋の気配である。
 運動不足なので14時過ぎ、散歩に出る。といってもジュンクドー往復だけ。3,000歩ほど。
 近所に「ヨレヨレのおっさん」といえばわかる独居老人(ひょっとしたらおれより年下かも)がいて、公園で何か食べつつハトに分け与えるのが日課である。
  *
 公園には、隅の公衆便所の両側に「ハトにエサを与えないで下さい」(理由はフンで遊具等が汚れるから)「ハトに危害を加えないようにしましょう」(理由はたぶん鳥獣保護法)と、相反するような「目立たぬ」掲示かある。ともに掲示主は公園事務所。
 時々、地域のなんとか委員?かな、教条主義的オバハンが来ることあり、ハトに餌やってる女子供を叱りつけているのを見かける。おれは、この種のオバハンが苦手だ。
 お菓子食べてるところに寄ってきたハトを子供が蹴散らしたらどう対応するのか……オバハンに訊いてみたい。
 そのオバハンも「ヨレヨレのおっさん」には何もいわない。
 孤独な老人が自分の身に重ねてハトに餌やるくらい、いいではないか。
 オバハン、どう判断しとるのだろう。どうせそのうち餓死して共倒れだから見逃しといたる、ってとこかな。

 ドバトはかなしからずや ヨレヨレの色 公園の泥にも染みてうろつく
 ヨレヨレはかなしからずや 蔦の緑 タコの赤にも染まずよろつく

 明日はわが身である。嗚呼。

8月26日(土) 滝川雅弘@ドナ・リー/ラスカルズ@ニューサン
 定刻4時に目覚める、つうか寝苦しくて起きる。外気30℃である。が、5時過ぎに驟雨あり、6時には25℃。打ち水効果恐るべし。
 快適な朝であり、少しは仕事もするのであった。
 午後に地下鉄で動物園前へ。
 久しぶりに滝川雅弘さんのライブを聴く。
 会場は飛田に近い商店街から太子交差点近くへ移転してきた「ドナ・リー」。
 旧ドヤ街にも近く、うちの近所の「ヨレヨレのおっさん」みたいなのがたくさん歩いている雰囲気がいい。
 広くなり、ステージもある本格的なライブハウスになった。
 これからはここが西成ジャズの中心になるような。
  *
 滝川雅弘(cl) 四方祐介(gt) 衛藤修二(b) 松田順司(ds)
 「星影のステラ」から始まって、メモリーズ・オブ・ユーやボサなど。やはりパーカーやコルトレーン・ナンバーがすばらしい。
 夕刻、いったん帰館。
 夜、またも這い出て、梅田のニューサンへ。
 久しぶりにラスカルズを聴く。
  *
 本日はゲストに小林真人さんが来ていて、繊細にして力強いベースを聴かせてくれた。
 深夜の帰館。
 ジャズ漬けの一日であった。

8月27日(日) 穴蔵
 終日穴蔵。
 世間は「8月最後の日曜」とかでガキ連れ家族が浮かれ出ているような。出歩く気分にならず。
 本(主にJAZZ書)を読んで過ごす。
 明日から2日間は体を使う予定なり。

8月28日(月) 大阪→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 午前9時前に実家着。
 やはりうちの百日紅は品がある。猿が滑り落ちるくらい幹が太くなければいけない。樹齢たぶん116年。
  *
 野々村竜太郎の生家前のとはえらい違いである。育ちが違うからな。
 雑事色々。金融機関と某事務所、某外注先などうろうろ。荷物の荷造り、揖西のヤマト運輸から発送など。
 午後はタイムマシン格納庫にて肉体労働。
 窓を開け放っても37℃である。
  *
 本日は薄曇りで助かる。夏の炎天だと42℃だからなあ。
 汗噴出。健康な汗である。
 夕刻、「はつらつの湯」へ行って300円で入浴。
 「味三昧」で豪華弁当を買って帰る。
 これに、大阪から持ってきた総菜を並べ、盛大にビール。
 鴨居のスピーカーから降り注ぐウィントン・ケリーを聴きつつ。
 早寝するのである。

8月29日(火) 播州龍野→大阪
 丑三つ時に目覚め、あと眠り断続的である。家屋全体が熱気を帯びているようで寝苦しい。
 朝5時頃に1階座敷を窓全開にして、座布団並べて横になる。こちらは涼しい。
 こうして眠ればいいのだが、播州龍野周辺でも、夜中に某国人が侵入してくるやもしれず、窓を開け放っての就眠はできないのである。
 本日も早朝から活動開始。ゴミ収集日につき、掃除を行い、午前7時過ぎに大量のゴミを指定場所まで運ぶ。
 戻ってテレビ見たら北朝鮮がミサイル発射、襟裳岬上空を飛んで太平洋に落下したという。
 例によって「断じて容認できない」というコメントで、もう飽きてきた。
 タイムマシン格納庫へ行って作業続行。
 またも37℃となる。
 本日は昼前に切り上げ。
 昼の姫新線で姫路に移動。
  *
 昼はおなじみ「灘菊」にて日替わり定食。水分補給も怠りなし。これが楽しみで作業しているようなものである。
 午後の新快速で帰阪。

8月30日(水) 穴蔵/近未来年表
 曇天で涼しく、午後は晴。東向き生活者にはありがたい天気である。
 終日穴蔵。
 出歩く気……というより動く気分にならない。体が汗の絞り滓になったような。
 麦茶を飲みつつ扇風機の風に吹かれて過ごす。
 色々気になることあって「近未来年表」の作成にとりかかる。
 一種の「終活」である。
 余命はそれほどないと自覚しているものの、筒井さん、眉村さんを見習えば、あと10年は生きられるかなとも思う。
 そのため、近未来の「楽しみ」を年表にして、これを見るまでは健康に留意して生きようと思う。
 おれなりの近未来健康法である。
・2018年夏、はやぶさ2のリュウグウ到着。
・2019年秋、近所に50Fのタワー竣工。
・2020年夏、今から気が重いオリンピックがあるが、年末には、はやぶさ2が帰還の予定。
・2023年春、梅田貨物線の地下化が終わり、うめきたに新駅が開業。
 このあたりまではなんとか行けるだろう。
・2027年(10年後)……たいした予定なし。
・2031年、なにわ筋線開通……無理だろうな。
・2045年、シンギュラリティ……もうこの世にはいない(松田先生は情報生命になってはるらしいが)。
 10年後の「生きる希望」を探さねば。
※2025年の大阪万博というメールをいただいた。うーん。おれはこんなもの絶対に来てほしくないと願っているのだが、もし大阪で開催されれば80歳。20年前に想定していた寿命だ。小松師匠がそうだったし。開催されればストレスでこの年に死ぬだろうな。


8月31日(木) 穴蔵/錆びた文春砲
 晴れて涼しい。
 穴蔵にて少しは仕事もするのであった、いと少なしを。
 午後、外は31℃だが風は涼しく、秋晴れである。
 月末の処理事項あり、梅田うろうろ。
※某書店にて週刊文春9月7日号を立ち読み。10分ほど。
 左柱の「日野皓正が中学生を『往復ビンタ』動画」という記事が気になったからである。
 指導しているバンドの「天才肌」の少年ドラマーAがコンサートで「ストレスが溜まって、本番でソロを延々と続けるという行為」を行ったため、ヒノテルが「A君からスティックを奪い、一度は立ち去ろうとした」が「A君が素手でドラムを再び叩き始める」と、ヒノテルが馬鹿野郎といいながら往復ビンタを浴びせたという内容。記者に対して、A君の父は「うちの子が悪い」「Aも反省しています」といい、Aも「自分が悪いのだと納得しています」とコメント。ヒノテルは海外なのでコメントなし。
 いったい何を報道したいのか。こんな記事、特集扱いする価値があるのか。肝心の「演奏」がどんなものだったのかも、へたくそな記述ではさっぱりわからない。
 少年Aは『セッション』の真似をしてみたかっただけじゃないの? あれはスポ根映画で、ジャズではないから、真似てはいかんよ。
 文春砲、週刊新潮による「カンニング暴露」以来、本当に錆びついてしまったのだなあ。この号の和田誠の表紙(「第三の男」の並木道)がすばらしく、買おうか迷ったが、中身がこれではなあ。「表紙抜け」の反対とでもいうべきか。
 たちまち夕刻。秋の日暮れははやい。
 夜は専属料理人に、新潟産枝豆、翁豆腐ヤッコ、豚のワイン煮など並べてもらってビール。
  *
 カンテのパンで安ワインを少しばかり。
 テレビのスポーツ中継が騒がしいので、早々に穴蔵に撤退。
 無為に過ごした8月が終わる。嗚呼。


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