『マッドサイエンティストの手帳』438

●マッドサイエンティスト日記(2008年10月前半)


主な事件
 ・マホガニーホール(2日)
 ・青空書房/創サポ(4日)
 ・神戸ジャズストリート(5日)
 ・『ジャズ・ピアノ 6連弾』(7日)
 ・ノーベル物理学賞(7日)


10月1日(水) 播州龍野→大阪
 定刻午前4時に目が覚めた。
 4時半に朝刊。
 5時にNHKのニュースを見ると、午前3時頃に難波の個室ビデオ店で火事、8人死亡というニュース……が、15分ほどしたら15人死亡に変わる。
 NHK大阪の吉永智哉記者、現場から中継するが、興奮してなのか、もともとの癖なのか、やたらどもる。おおおおお、おっおっおっ……てな調子で10秒近く言葉が出てこない。修羅場というのに見ていてイライラしてくる。
 6時半頃には少し落ち着いてきたようだけど、まだ「ででででででて……」とやって、スタジオから「出てきたんですね」とフォローされている。緊張の現場、気楽なスタジオ。この記者、人気が出るぜ。
 ニュースの情報から、googleのストリートビューで見たら、場所はすぐにわかる。なんばパークスの西、阪神高速の高架をくぐってすぐの路地。建物の構造も(東側の狭い裏口まで)よくわかる。
 不謹慎ながら、田舎にいて「野次馬」になれるから恐ろしいものだ。
 本日出所。
 遠方より助っ人来たりて、昼前の電車で大阪へ移動。
 本日、小松左京賞の授賞式の日で、例年なら上京するのだが、まるで予定が定まらぬ生活ゆえ、残念ながら欠席である。
 上京はとうぶん無理だろうなあ。
 午後に穴蔵に帰着。
 夜、久しぶりに専属料理人に色々並べてもらって、ビール飲みつつニュースを見る。
 ミナミの個室ビデオ店の火災、小川和弘46歳の放火殺人だったという展開になっている。
 「死にたかった」が「怖くて逃げた」らしい。
 人権派、ししゃり出るんじゃないぞ。
 もう吉永智哉くんの出番はなさそうだ。
 キャスター、アナウンサー、よどみなき語りだが、吉永くんほどの臨場感はないぞ。
 早くも退屈してきた。このニュースの消費力、われながら恐ろしい。

10月2日(木) 穴蔵/マホガニーホール
 秋晴れである。が、出歩く気分にならず、ほぼ終日穴蔵にてたまっている雑事の処理。
 夜、心斎橋のマホガニーホールへ。
 神戸ジャズストリートのために初来日のクラリネット奏者・トーマス・レティエンヌをゲストに招いて、ラスカルズ+ジェフ・ブルの内輪コンサート。
 レティエンヌ氏はハンブルグ在住だが、河合良一さんとは1980年にニューオリンズで出会って以来の知り合いという。
  
 「バーガンディ・ストリート・ブルース」はじめ、トーマスと河合良一さんの2クラ・セッションが素晴らしい。
 21時過ぎまで。
 あと、ニューサントリー5(マホガニーホール・ストンパーズが出演中)へ移動するらしいが、田舎疲れが抜けないので、まっすぐ帰館。

10月3日(金) 穴蔵/SF検討会
 朝、近所の医院で定期検診。
 寒くなってきたから血圧上昇と予想していたら、意外に低い(といっても120以上130以下だけど)。
 「食生活を改善されたんですか」と訊かれるが、相変わらずでっせ。大阪にいる時は専属料理人のメニューだけど、龍野ではおれの好みに偏る。まあ健康的な食生活なのであろう。
 終日穴蔵。
 本日はあまり頭を使わない雑事処理なので、CDを聴きながら。
 先日オークションで入手したパキート・デリヴェラ『ティコ・ティコ』
 昨日本人から買ったトーマス・レティエンヌ『Creole Clarinets』
 パキートがゲスト参加しているヨーヨー・マ『obrigado BRAZIL』
 ARBORSから出たばかりのRON HOCKETT『Finally RON』……これは初めて聴く奏者。
 楽しきかな穴蔵……であるなあ。
 夕刻、かんべむさし氏来室。
 久しぶりに定員2名非公開のSF検討会なるものを開催する。
 むさしくん、月〜金のラジオ番組は終了したから、いつでもいいはずが、やっぱり金曜日夕刻というパターンになるなあ。
 ビール、湯割り飲みつつ、議題は最近読んだ本から、四行詩入れ替え問題、sns論、政局、個室ビデオ店事件の余波など色々。
 北朝鮮について「動向いかに」というわが質問に、Probabilityが10パターンほど。さすが、むさしくん、
2001年5月に正男の行動を見破っただけのことはある。
 そのむさしくんにして、あの国は読み切れないのである。
 早寝するのである。

10月4日(土) 青空書房/創サポ/加茂なす
 昼前に青空書房へ。
 京都からSFの友人Yさんが来て、某重要物件の引き渡しの儀を執り行う。
 ついでに「加茂なす」を頂いた。ありがたいことである。
 坂本さんと3人で向かいの「更科」へ行って昼食、雑談。これも恒例のパターンである。
 いったん帰館。
 夕方から天満へ。
 
創作サポートセンターの講義。
 ショートショート含めて13編についてコメント。各編についての時間が短く、本当はテーマに踏み込んで議論したいことが多い(特にSFについては)のだが、ま、いたし方なし。
 ロボットSFや、超楕円軌道の惑星の不思議に詩的な生態系を描く連作や、先日の個室ビデオ店放火犯を予見したかのような(身勝手なモノローグに妙な説得力がある)短編とか、技術がアップすれば相当いいレベルに行きそうな発想の作品が色々。
 ただし、本日、おれがベストと評価したのは、気どったカクテルを作る若いバーテンダーから肉じゃがを好む風采のあがらぬ中年男に心が移る若い女性心理をスケッチした『カラスミの男』という短編であった。おっさんの願望をくすぐるからではなく、食べ物が心理状態を左右する微妙な描写がうまいからである。
 ということで、帰館後、本日は遅めの晩酌となる。
  
 最初に、昼に頂いた加茂なすが田楽となって出てくる。専属料理人のいうには、相当高価な京野菜だそうな。まずはこれでビール。
 「カモナスの男」となる。

10月5日(日) 神戸ジャズストリート(2日目)
 神戸ジャズストリートへ行く。
 今年は2日目のみの参加となる。
 11時に三宮に着いたが、やっぱりパレードは中止。朝からの雨、直前にやむかと期待していたのだが。
 例年どおりだと10月12〜13日のはずが、今年は何かのイベントと重なって繰り上げられたためである。
 雨の北野坂。
 
 パレードがないのは寂しいね。
 ※全会場、写真撮影・録音は禁止なので遵守。昨年から演奏写真はまったくなし。無視してストロボを光らせる人は相変わらず多いけど。
 今年もクラリネット中心に聴くことにして、早めにSONE異人館へ行って最前列にの席を確保。
 目当てはむろん清水万紀夫さんである。
 12時〜清水万紀夫+粗田修トリオ+キャンディ浅田。
 最初のインスト2曲がたまらなくいい。「グラスホッパー」と「メモリーズ・オブ・ユー」……あとはキャンディのヴォーカル。むろん、これも好み。
 雨の中を移動して、神戸外国倶楽部へ。
 伝説の奏者・
右近雅夫氏が久しぶりに帰国。
 13時〜右近雅夫+清水万紀夫+ディキシー・キャッスル。
 右近さん、76歳のはずだが、音色はまったく衰えてないなあ。
 坂を下って神戸女子大教育センターへ。
 北側が「燕京」なので、ここでランチ。五目焼きそばで生ビール。ばか旨!
 14時過ぎ〜花岡詠二+鈴木重樹+秋満義孝グループ+細川綾子。
 最後に2clで「鈴懸の径」「森の小径」の2曲……たまらんなあ。
 またも坂道を上ってバプチスト協会へ。
 最後はジャズ友諸氏とここに集合するのが慣例である。
 15時〜ニューオリンズ・ラスカルズ。
 15:30〜ニューオリンズ・レッドビーンズ+TONTON。
 最後に恒例「夕べの祈り(Jazz at Vesper)」で、ラスカルズ+トーマス・レテエンヌ+ジェフ・ブル。
 2日目なので「懇親会」はなし、ちょっと挨拶して、それぞれ帰路につく。
 雨に濡れた歩道をくだる。これもまた風情がある。
 まっすぐ帰館。
 本日は8785歩。例年なら1万歩を越えるから、やはり雨のせいか。
 夜はちょっと豪華。
 忘れていた。専属料理人の誕生日なんだとか。
  
 金目鯛のアクア・パッツア?とかサラダなど。
 これでビールを飲むうちに、昨日に続き「加茂なす」第2弾、加茂なすのパスタが出てきた。
 神戸JSで入手した花岡詠二さんの「アーティ・ショウに捧ぐ」を聴きつつワイン。
 いい気分になった。
 ところで、本日、電車や演奏待ち時間に読んでいたのは吉川潮『月亭可朝のナニワ博打八景』(竹書房)であった。傑作である。これは別項で書くつもり。

10月6日(月) 穴蔵/梅田/ハチ/AK-1
 月曜なのであった。
 世間のボンクラ・サラリーマン諸君に連動して、おれも少しは仕事をするのであった。
 昼過ぎに金融機関やジュンクドーなどに用事あって自転車で桜橋方面へ。
 ついでに、先日オープンした商業施設「ブリーゼ」を見物する。
 
 旧サンケイホールである。
 巨大な「操り人形」が音楽に合わせて動いていた。緩慢。
 おれの興味はただひとつ。
 ここの地下が梅田地下街とつながっているかどうかである。
 地下1階、北側に通路があって、ハービス・プラザにつながっていた。これで梅田地下街地図が拡張される。
 ハービス側が食堂街の通路だから、ちょっとわかりにくいかもしれないが、新サンケイホールへの移動はこちらがメインになりそうな。
 ハチに寄ってヒーコ。
 ハチママ、明日の「ピアノ6連弾」のことで騒がしいことである。
 帰館。
 お、ネットで発注していたミニコンポが届いている。
 おれはCDを聴くのに、4種類の装置を使っている。
 1 穴蔵に設置のDENONプリメインアンプ+ダイアトーン(20年以上使用の2ウェイスピーカー)……メイン。
 2 穴蔵の机の前にセットしているミニコンポ(Victor 3CD+MD)……仕事中に小音量で聴く。
 3 自宅のリビングで10年以上使用しているむミニコンポ(Victor FS-1)……晩酌時に聴く。
 4 龍野の書斎にある携帯CDプレイヤー+Timedomain-mini……ど田舎で聴く。
 今回、3のFS-1の本体がいかれてしまった。蓋の開閉ができなくなってしまったのである。
 昨年から調子が悪くなっていた。
 ただ、代替機がない。FS-1のスピーカーは気に入っていたのだがなあ。
 届いたDVDコンポをセットする。
 
 ジャーン。ほぼ同サイズの「Victor EX-AK1」を導入したのである。10年前の「FS-1」より安い。
 今度はウッドコーン。
 ともにクラリネットの音色はいい。
 ということで、専属料理人に色々並べてもらって(本日は加茂なすはなし)、ビール、水割り飲みつつ、ケン・ペプロフスキー、パキート・デェリヴェラを聴く。
 酔っぱらって、そろそろ就眠。

10月7日(火) 穴蔵/ジャズピアノ6連弾
 終日穴蔵。
 夕刻、梅田地下街を北端から南端まで歩き、堂島地下センターからフェスティバルホールに向かう。
 『ジャズ・ピアノ 6連弾』
 佐山雅弘、小原孝、国府弘子、塩谷哲、島健、山下洋輔の6ピアノによる連弾。
 
 6連弾とはどんなかたちでと思ってたら、本当にグランドピアノが6台、ずらっと……じゃなかって、グルッと輪になって並べてある。ピアノ以外の楽器はなし。これは2階席の方がよかったかな。
 最初に「顔見せ」的にそれぞれが短いスタンダードを披露、あとはデュオや4連弾もあるが、6台が入り乱れる、第1部の「ボレロ」、第2部の「ラプソディ・イン・ブルー」が……前者がアレンジのすばらしさで、後者がアドリブの面白さで、圧倒的だった。
 21時半頃に終演。
 筒井党の岡本会長が来ていたので、帰路、梅地下・ぶらり横丁の「七福神」で軽くビール。
 帰宅は23時前になった。
 帰館後、水割り1杯。
 と、テレビで南部陽一郎・小林誠・益川敏英3氏がノーベル物理学賞のニュース。
 小林・益川両氏に回線つないでインタビューしている。
 が、何というキャスターなのか(大阪の10CH、読売テレビである)、この男、アホというか知恵足らずというか、「クォーク」も「素粒子」も「対称性の破れ」にもまったく触れず、「今のお気持ちは?」「驚かれましたか?」「日本の科学のレベルは?」とか「一般論」の質問ばっかり。そのうち「ご趣味は?」だと! これには物理をまったく知らない専属料理人もあきれていた。
 ニュースがテロップで流れたのが19時過ぎというから、3時間ほどあったはず。阿呆キャスターのために質問事項を整えてやるスタッフはいなかったのか? テレビなんて見たおれがバカだったんだけど、日本の「科学のレベル」どころか「テレビ・キャスターの頭のレベル」の低さに情けなくなってくるぜ。
 もっとも、おれも大きなことはいえない。
 いちばん驚いたのは、南部陽一郎博士がまだご存命であったことであった。申し訳ない。

10月8日(水) 穴蔵
 終日穴蔵。
 
先日青空書房で受け取った「某重要物件」を飾ることにする。
 重要物件とは、SFマガジン1977年10月号に掲載された短編『バビロニア・ウェーブ』のイラスト原画である。
 金森達画伯によるもの。
 原画は大切に保管。レプリカを作って、これを飾っておくことにする。
 
 拙作については3人の方に描いていただいたことになる。
 金森画伯は、SFマガジン初期から憧れていた画家(特にラインスター「ロボット植民地」のイラストは凄かった)だけに感慨もひとしおである。
 夕刻、ボケーーーーッと殺風景な景色を眺める。
 
 建設中の高層マンション、現在28階? 1月前から6階ほど積み上げたことになるのかな。あと1月ほどで予定の高さになりそうな。
 なんとなく面白くないのであった。
 専属料理人に色々並べてもらって晩酌。世間は読売〜阪神の天下分け目らしいけど。興味なし。できればナベツネ側が負けてほしい、つうか、ナベツネが消えてほしいものだ。
 早寝するのである。

10月9日(木) 穴蔵/風瀟々
 定刻4時に起床。
 「自宅」へ行って、朝刊にて下村脩先生のノーベル化学賞受賞と「虎」が危篤に陥ったことを知る。
 下村先生……この方はケビン・ミトニックと電脳西部劇を演じたシモムラのご父君のはず。
 感動的であるなあ。
 それにくらべてダメ虎……おれは8月頃(オリンピック前)に、某虎ファンが「今年は決まってもたからおもろない」と嘯いたのを聞いて、こりゃやばいと思った。
 後出しにあらず。専属料理人には伝えている。必ず連敗がつづいて薄氷を踏む思いをする、と。
 薄氷を踏み抜いて絶命するとまでは思わなかったけど。
 風瀟々。
 秋である。冬が近い。
 もう終わったのだ。ナベツネの高笑いを想像すると気が悪いけど。
 終日穴蔵、粛々と仕事……のつもりであったが、雑事生じて梅田往復。
 ついでに紀伊国屋によって、
 『男の隠れ家』11月号「ジャズを巡る旅Vol.3」と
 川島令三『日本三大都市 幻の鉄道計画』(講談社+α文庫)
 を買って帰館。
 『ジャズを巡る旅』……
昨年の特集から1年、ジャズは秋の定番になった感じだ。
 山下洋輔・相倉久人対談とか、「基地」のジャズとか、紀行では中平穂積氏のジャズ「みちのく一人旅」(秋田や山形…)とか平岡正明氏の「場末ジャズ」が面白い。
 『日本三大都市 幻の鉄道計画』……幻の大阪市地下鉄路線の図解が面白く、色々なことを想像する。
 大阪で面白いのは「狭軌」ゆえの南海電鉄の悲劇だ。うまくいけば難波から梅田までつながったかもしれないのが、地下鉄への乗り入れがことごとく退けられていく。この過程が年代別の計画図から実感できる。
 今月20日刊行予定の近未来版『日本三大都市 未完の鉄道路線』に期待が高まるなあ。
 大阪の地下地図がいかに書きかえられるか……。
 悪夢を期待して早寝するのである。

10月10日(金) 早朝グルメ/穴蔵/ワイルドバンチ
 早寝したら午前2時に目が覚めてしまった。眠れず、さりとて机に向かう気力もわかず。
 3時半頃に、久しぶりに自転車で「未明の徘徊」を行う。
 これから寒くなるから、今シーズン最後か。ひょっとしたら人生で最後か。
 梅田から扇町公園を抜けて、久しぶりに天五屋でウナギ。
 メニューが変わり、営業時間も早く(午後7時)なり、安いメニューがなくなった。(70年代には300円の鰻丼があり、これが少しずつ値上がりしていった結果である。経営も変わったしなあ)
 午前5時前に帰館。
 終日穴蔵。
 株価大暴落らしいが、可朝師匠とちがって博打をまったくやらない(したがって証券なんて持たない/持つ金もない)おれには、何が危機なのか、ちんぷんかんぷんである。
 どんなにことになるのか、面白そうではないか。
 もっとも、「わが社」にとっては、タイムマシンが売れなくなるという予測はつく。対策は万全であって、何の心配もない。してその方法は……むろんマル秘である。自社のノウハウは(たとえ大金を積まれても)公開してはならないのである。盗聴などしないように→エシュロンくん。
 来年もゼンジー北京師匠のご利益が続くか、楽しみなことである。
 夕刻、またも天六へ。
 雑事片づけのあと、
ワイルドバンチに寄る。
 庄内マスターと1時間ほど雑談。
 明日は天満音楽祭・前夜祭で、ワイルドバンチでは中谷泰子さんは阪大のビッグバンドの競演がある。
 残念ながら、おれは明日から「収監」の身なので聴けない。
 都合のつく方はぜひ覗いていただきたい。
 天六から淀川堤を走って帰館。
 
 なんだか淀川もこれが見納めのような気がする。

10月11日(土) 大阪→播州龍野/子供御輿/三浦自殺?!
 早朝の電車で播州龍野へ移動。
 大阪は雨だが姫路で止み、龍野に着くと晴れてきた。
 役務交替、しばらくは下男モードである。
 力仕事色々……特に新米を精米所に運んで、出来てきた新米を身内数ヶ所へ送るために荷造り作業。汗ドロドロ。先日の寒さはなんだったのか。
 午後に騒がしい響き。
 「子供御輿の巡行」というのが家の前を通るのであった。
 
 老母も出ていって、用意していた「ご祝儀」を渡す。
 小学生らしい子供の列、結構長い。少子化どこ吹く風であるなあ。
 あ、ある種の既視感を覚える。
 そうか。十年以上前、小松市の谷甲州氏のところに遊びに行って、座敷で昼間から盛大に飲んでいた時に、表が急に騒がしくなったことがあった。甲州氏、やはり「ご祝儀」用意して飛び出していった。御輿だったか獅子舞であったか……。
 地方であるなあ。妙に懐かしい。
 ということで、夕方まで雑事色々。
 老母の夕食を用意して、おれはビール。本日は新米を炊いたので、おれも軽く一膳。
 む、バカうま。
 と……18:30頃に三浦和義が自殺のテロップが流れる。
 現地ロスは午前2時半?
 19時なって、首つりで死んだらしいことが報道されるが……うーん、事情がよくわからん。
 ワイドショー系は大喜びだろうな。死んだのなら、真相は未解明で終わるから、コメンテーター諸君も思いつきをしゃべり放題ということになる。
 当分はこのネタでいけるでえ、政局なんてどうでもええけんね、だろうな。
 民主党の歯ぎしりが早くも聞こえてくる。
 世の中、何が起こるかわからんなあ。
 三連休、証券取引は休み、国会も休み、職業野球は終わったことだから、マスコミは三浦一色になりそうな。
 ま……「老人性鬱」だろうな。おれは三浦和義に、生まれも育ちも仕事でも、なかんずく倫理観において、一点のシンパシーも感じないのだが、年齢は近いから、「すべてが面倒くさくなる」感覚だけは想像できるのである。などと、おれがテレビのコメンテーターみたいなことをいうことはないか。

10月12日(日) 播州龍野の日常
 穏やかな秋晴れの一日。
 大阪では天満音楽祭、京都では京フェスと、アチラにおれば覗いてみたいイベントがあるものの、田舎は静かなもの。
 下男仕事の合間、書斎にてボケーーーーっと秋空を眺めて過ごす。
 運動不足なので、夕刻1時間ほど散歩。
 川沿いを北へ。静かな川面に「逆さ鶏籠山」が映っているのであった。
  
 祇園橋から東へ。
 姫新線の踏切のそばにキバナコスモスの群生。センチメンタルになるぜ。
 急に津山から鳥取方面へ行ってみたくなる。1泊2日で実行してみるか。
 帰路、うかいや書店で「週刊現代」10/25号を購入。
 八百長裁判で現代側を支持したいので、支援のためにできる行動は「週刊現代」購入だけではないか。
 が、読むところのない週刊誌だなあ。
 「若ノ鵬の告白」第2弾を読んだら、あとは読みたい記事なし。
 スクープ! 米軍の「北朝鮮制圧」作戦なんて……アメリカがキタのテロ支援国家指定解除をしたばかりで、間の悪い「スクープ」だよなあ。
 これでは八百長の信憑性までが疑われそうな。
 15分ほどで投げ出す。コンビニの立ち読みが増えるはずだ。

10月13日(月) 播州龍野の日常/ちづちゃんの花園
 快晴。秋日和である。
 老母がちょっと出歩きたいというので、午後、新宮町の「ちづちゃんの花園」へ連れて行く。
 少しは歩かなければ。
 
 ここは
2年前に来て以来。
 秋はコスモス、春はチューリップがきれいなのだが、今回はサルビアが鮮やかである。
 花はおれの趣味ではないのだけど、イライラが和らぐから不思議なものだ。
 ということで、早くも夕暮れ。
 ビールを飲んで早寝……のつもりが、本日は夜更かしせねばならぬ。
 22時からNHK-TVで(おそらく)まれに見る良心的番組『月と地球46年の物語』が始まる。
 ということで、つづきは明日だ。22時前、播州龍野にて、堀晃これを記す。
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 ※いい番組であった。
 「かぐや」の成果の途中報告。
 特に凄いと思ったのは次の3点。
 ・チコクレーター生成のCG画像。
 ・オレンジソイルの分布とその成分分析(水)。
 ・40億年前の衝突と地球の海にアミノ酸生成の可能性。
 かぐや、たいしたものだ。(2008.10.14追記)

10月14日(火) 播州龍野の日常
 朝だ。雨が降っている。浅田飴はいいのであった。
 ノドは異常なし、鼻水とくしゃみがひどい。急な寒さのせいか花粉によるのか、判断がつかない。
 雨だし新聞休刊日なので、門扉も開けず、終日書斎に閉じこもる……つもりであったが、ゴミ出しとかご近所関係もあって、パジャマのままというわけにはいかず。嗚呼。
 雨で庭の金木犀が塀の外に散っている。
 
 掃除しないと苦情がくるのかなあ……。
 鼻水のせいで、金木犀のにおいには気づかぬままであった。無駄な樹木である。
 S字型侵入防止のためにも、庭木は全部切り倒して石庭にしたい気分だが、無理か。
 播州龍野での夕食は18時からである。
 この時、NHKでは『ニュース神戸発』が放送され、これだけは見ることになる。
 と、
たつの・赤とんぼを増やそう会の活動が紹介される。市歌が「赤とんぼ」なのにトンボが激減、赤トンボ(アキアカネ)を増やそうという運動である。
 代表は前田清悟さん。この方はIT関係が本業だが、関西のジャズ関係でも色々と活動されている。実技面ではフルートがうまい。
 多方面で活動されているなあ。
 確かに赤トンボは見なくなった。
 S字型撲滅よりは赤トンボ増殖に協力すべきか。
 赤トンボがS字型の天敵だと理想的なのだがなあ。

10月15日(水) 播州龍野の日常/室津
 定刻午前4時に起きる。
 朝刊を取りに庭に出たら皓々たる満月、中天には「冬の星座」。季節がわからなくなるなあ。地表に生息している固定観念に捕らわれているからであろう。宇宙ステーションから見る星座は1時間ちょっとで入れ替わる……というよりも、そもそも見えないか。
 5時からしばらくテレビのニュースを見る。
 政治のことはあまり書かないつもりだけど……
 ニュースによれば、昨日の国会で民主党が質問のかたちをとりつつ「早く解散してよ」と見苦しい「お願い」をしているが、太郎に解散するつもりがないことは明かではないか。
 最近になってマスコミの論調も11月30日総選挙だとか、「年内はないかも」みたいな調子になってきたが、太郎政権は任期いっぱいつづくと思うぞ。おれは
9月22日以来そう信じている。
 ガキが何度もダダコネしてアイスキャンデーを買って貰って、しゃぶりだしたところで「離せ!」ったって、離すわけないだろうが。
 無理矢理取り上げるとしたらアタマをゴツンとやるしかない。具体的にはテロってことになるけど、ゴルゴ13の愛読者が無警戒であるはずがない。
 権力の蜜ってのはアイスキャンデーの比ではないんだろうな。
 太郎のダダコネがいいといってるんじゃないよ。一郎も好きではないし。
 ガキの喧嘩を延々と見せられる国民はたまったものではないなあ。
 秋晴れである。
 下男仕事に息苦しさを覚え、昼間、ちょっと息抜きの外出をすることにした。
 老母の昼食を用意した後、10時過ぎにクルマで出る。
 鳥取砂丘へ行こうかな……と、かなり迷った(100キロ/片道2時半ほどで日帰りは可能)が、やはり遠いので見合わせる。
 南へ。
 御津から国道250号線を西へ。室津へ行く。
 室津手前の魚直販所は定休である。
 
 室津の路地を1時間ほど散策。静かなものである。
 魚で昼飯と思うが、それらしき店なし。
 相生方面へ。「道の駅むろつ」……ここも2階の食堂は休み。嗚呼。
 相生へ入ってすぐの「海鮮料理」Mという店に入る。
 相生湾を見下ろす店で立地は悪くない。
 いちばん安い日替わり定食「浜定食」900円を頼むが、40分かかってやっと出てきたのは……嗚呼、「得得」でうどん定食を食べた方がよかった。
 ということで、相生経由で14時過ぎに帰館。
 夜はおれの手作りで、厚揚げ焼いたのに生姜すり下ろし醤油かけとか、イカ納豆とか、みりん干しとか、居酒屋メニューを5、6品並べてビール、湯割り。
 そろそろ就眠。

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