『マッドサイエンティストの手帳』730

●マッドサイエンティスト日記(2020年5月後半)


主な事件
 ・(新型コロナ禍により)穴蔵の日々
 ・大阪・休業自粛要請の段階的解除(16日)
 ・関西・緊急事態宣言解除(21日)
 ・全国・緊急事態宣言解除(25日)


5月16日(土) 穴蔵
 朝だ。雨が降っている。久しぶりである。
 自粛解除の土曜とあって、アホが街に浮かれ出るかと期待してたが、それほどでもないらしい。
 昼前に地下鉄で新大阪のホームセンターへ買い物に行った専属料理人の話では、地下鉄ガラガラ、ホームセンターにもほとんど人はいなかったという。
 雨のせいと思う。大阪人はそう賢明でも禁欲的でもない。明日は変わるだろう。
 おれは終日穴蔵。
 雨だから散歩にも出ず。
 さりとて仕事が進むわけでもなし。嗚呼。
 おや。福薗好政氏の訃報。3月28日に急性心不全で死去。60歳。福薗好昭くんの兄貴である。
 親っさんの井筒親方(元鶴ケ嶺)とは、30年近く前、わが勤務先のエレベーターでいっしょになったことがある。好昭くんの「就職」を頼みに来ていたのだろう。
 3人兄弟、これで、残るは寺尾だけか。
 人生の無常を感じるなあ。

5月17日(日) 穴蔵
 早朝からカラスがやたら騒がしい。何年もなかったことである。
 ベランダから見ただけでも、あちこちのビルの屋上のフレームやアンテナに3、40羽ほど。
 公園の方はさらに騒がしく、100羽以上?(もっと多いかも)が飛来したような。
  *
 北新地にエサがなくなったからだろうか。
 この付近も日曜だから食べ物は出ていないと思うが。
 終日穴蔵。
 少しは散歩した方がいいのだが、おれの場合、ともかく「あと1日」である。
 18時半頃にカラスの群れは消えた。いずこへ? (C)チャーリー浜

5月18日(月) 穴蔵/年次総会
 本日も朝からカラスの声。生ゴミの収集日で、あちこちでゴミ袋が破られ、ゴミが散乱したらしい。
 晴から曇天、夕方から雨になる。
 終日穴蔵。
 集合住宅の総会の日である。ややこしい質問状が数件来ていて、質疑の文書作成に時間がかかる。
 夜、年次総会。
 緊急事態宣言発令中なので、なるべく「委任状」か「議決権行使書」の提出で、集会には来ないでほしいとアナウンスしたつもりだが、全部で8人の集会となった。理事長は欠席するわけにもいかず。嗚呼。
 マスク着用、窓と扉を開放し、椅子の間をできるだけ広くとって、通常の議案書「読み上げ」を省略し、極力短時間で……のつもりであったが、やはりややこしい質問が出てきて、議案を離れてあれやこれや。
 結局1時間20分かかった。感染者がいなかったことを祈るばかり。
 終了後、議事録用のメモを30分で作成して、管理会社の担当者にメール送稿。これはわれながら早業である。
 これでやっと集合住宅の理事長職は終了した! 輪番制なので、もう生涯まわってくることはあるまい。
 ほっ。
 30分ほどで終わる予定といってたのが2時間、専属料理人は待っていて、遅い時間の晩酌となる。
  *
 色々並べてもらってビール、豊崎西公園南側中本酒店推奨格安馬鹿旨ワインを盛大に飲む。
 うまっ。酩酊。

5月19日(火) 穴蔵
 昼前に近所の某医院へ定期検診に行く。
 処方箋だけもらうつもりだったが、待合室には誰もにない。せっかくだから検診も受ける。
 諸数値、ごく正常であった。
 ストレスがなくなったのが大きいか。
 50mほどの帰路、公園の横でギョ。
  *
 カラスはいついてしまったのか。早く梅田繁華街のエサ事情が元に戻ってほしいものだ。
 あとは終日穴蔵。
 ニュース雑感。
・自衛隊に宇宙作戦隊が発足。しまらん名前だなあ。
 誰でもすぐ連想するのは「宇宙大作戦」だろう。それから光瀬龍「宇宙救助隊」か小松崎茂「宇宙少年隊」あたり。これらを安易に組み合わせた印象だ。
 SFなら「宇宙○○作戦」「宇宙○○隊」の○○にミッション名を入れるのが普通だ。
 任務はデブリの監視という。
 それなら「宇宙ゴミ監視隊」と命名すべきではないか。志気があがらんか。
・ソフトバンクが営業利益1兆3646億の赤字。零細タイムマシン業者としてはまるで実感のない数字だ。ソフトバンクがウイルスにやられるとは、シャレにもならんな。

5月20日(水) 穴蔵
 昨夜、静岡の義弟から磯自慢と喜久酔が届いた。ありがたいことである。
 播州龍野から横尾製麺の揖保乃糸(黒帯)が届く。これは行けないから取り寄せたもの。
 いい組み合わせである。
 昼は、ヒガシマルの「ぶっかけ」つゆを揖保乃糸にぶっかけ、他にも色々並べて、冷酒(磯自慢)を一献。
.   *  *
 たまらんなあ、昼酒は。
 名目は理事長退任祝いである。
 いいではないか(←眉村作品のフレーズ)、理事長退任は網走出所みたいな気分なのだから。
 あとしばらく午睡。
 明日からはきちんと生活しようと心に誓うのであった。

5月21日(木) 穴蔵
 定刻4時に目覚め、ゴミ出しのついでにコンビニで週刊文春5月28日号を買ってくる。
 文春、久々のスクープである。
「黒川検事長は接待賭けマージャン常習犯」
 これは「産経新聞関係者から」のタレコミからはじまったらしい。近くにいた人物が見るに見かねて……か。
 朝日の社員(元記者)もいっしょに卓を囲んでたというのが奇妙な。呉越同舟……ちょっと違うか。
 黒川の違法駐輪の現場写真まで掲載という念の入れよう。韓国で「女買った」話まで出てくる。
 さてどうなるか……と、読み終えて、8時前にテレビ見たら「黒川検事長 辞任の意向」の報道。
 潔いというより、退職金確保に動いたというべきか、「不起訴」お願いね、か。
 穴蔵にて断続的にテレビ見るが、夕刻まで進展なし。
 産経の2名、朝日の1名についても報道なし。政治記者が賭けマージャンは、たいていの新聞記者が「同罪」ではないか。
 おれは麻雀で金賭けない人間を見たことがない。
 展開が楽しみである。
 夕刻、安倍が「関西3府県の緊急事態宣言の解除」を発表。
 ひきつづき大阪府が「休業要請の大幅解除」に向けて会議中。
 21時過ぎ、面倒なので早寝する。
 穴蔵生活に変化はなさそうだ。

5月22日(金) 穴蔵
 朝9時に大淀暑に出頭する。
 免許の更新手続き。ひと月以上「休業」していたから混雑覚悟で行ったら、客はおれひとりである。視力検査含めて5分ほどで終わる。
 免許更新はこれが最後であろう。
 さっさと穴蔵に戻る。
 午後、BSで『ガンヒルの決斗』(1959)を見る。60年ぶり。シンプルな構成だから、細部までほぼ記憶通りであった。
 やはりカーク・ダグラスがいい。
 設定も雰囲気もちがうが『決断の3時10分』(1957)との構造的類似にはじめて気づいた。
 来週あたり『ゴーストタウンの決斗』もやってくれないかな。

5月23日(土) 穴蔵
 定刻4時に目覚める。
 NHK「日本の話芸」で笑福亭鶴笑『あたま山』をやってるので見る。途中でオチを「説明」してしまうので、どう続けるのかと思ったら、人形を取り出し、そのアタマから木が生え、桜が咲き、引き抜くと池が出来て(裏地が青でめくり返せる)、そこに飛び込む……よく出来ている。歌やんの「骸骨」以来の出来映えではないか。
 晴。夏日。
 関西は本日から休業要請「大幅解除」……アホが街に浮かれ出るだろうから、おれは当分穴蔵生活を続けるつもり。
 午後、昨日の『ガンヒルの決斗』で気になった『決断の3時10分』をDVDで見る。
 定刻の汽車に乗るために、敵に囲まれた中を、ホテルから駅まで犯人を連れて移動する設定は同じだが、やはりこちらの方が(モノクロだが)風景描写も生活描写も格段にいい。ただグレン・フォードの性格描写(女好きでもてるから捕まるのか?)がよくわからない。
 夜のメインはボンゴレ……というより初夏パスタ(エビや季節野菜もあり)。
  *
 これで中本の格安ワイン。うまっ。

5月24日(日) 穴蔵
 またも生活が不規則になりそうな気配。
 午前1時に目が覚めた。
 BSで『第18回 東京JAZZ』をやっている。2019年の記録である。チャールス・ロイドやアヴィンシャイ・コーエン・トリオなどが登場。
 ボケーーーーツと見続ける。5時半まで延々とやるらしい。エレクトリックの単調なリズム(としか聞こえない)で、演奏が長い。こちらの年齢のせいもあるが。要するにCD化しても売れそうにない曲ばっかり。時代であろう。このあたり、ジャズ談義から数ヶ月遠ざかっているなあ。
 チック・コリア・トリオが「オン・グリーンドルフィン……」を演って、やっとジャズらしくなった。
 4時頃まで見て、また寝る。再度目覚めれば8時であった。
 ドタマが働かず、ボケーーーーッと過ごす。
 先日から西部劇づいてしまって、午後はDVDで『ワイルドバンチ』を見る。なんといってもこれが決定版だな。
 庄内さん(「ワイルドバンチ」店主)が亡くなってもう5年になるのか。
 映画の話をする相手もいなくなってしまった。
 落語とSFについては、幸いまだ議論の相手には恵まれているが、この3ヶ月ほど、寂しいことである。
 夕刻、近所を30分ほど散歩。
 バラの季節である。
 市営住宅の斜め向かいにある「朽ち果てたようなアパート」……この前のバラがいちばんきれいである。
  *
 野々村竜太郎の生家前にも花は咲くのであった。

5月25日(月) 穴蔵
 午前3時に目覚めた。
 あとはBS見たり、PCに向かったり、ゴミ出しに出たり、こそこそ朝食したり、仮眠したり、少し本を読んだり、昼飯食べたり、米朝師匠のDVDを見たり、また昼寝したり、生産的なことは何もできず。
 これが普通の生活になりそうな。嗚呼。
 夕刻に近い午後、15分ほど散歩。近所一周である。
 昨日と同じ「朽ち果てたようなアパート」(←これは週刊新潮の表現である)の前も通過。
 朽ち果ててはおらず、住人はいないが、某食品スーパーの「調理場」として使われている。
 その前にバラの木があり、日ごとに1、2輪が開花する。
  *  *
 向かい側に野々村竜太郎の生家がある。市営住宅の一室。今も別のおっさんが住んでいる。
 住人は半分ほどになった。3年後に解体される予定。
 ここに「野々村竜太郎生誕の地」という碑はできないものか。佐伯祐三生誕の地と並ぶ……などと愚考する。
 泥沼に蓮の花が咲くごとく
 野々村竜太郎の生家前にバラの花咲く

(つづく)


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