『マッドサイエンティストの手帳』546

●マッドサイエンティスト日記(2013年1月前半)


主な事件
 ・正月
 ・風呂本佳苗ピアノリサイタル(6日)
 ・大阪←→播州龍野いたりきたり
 ・堀川戎(10日)
 ・NEW YEAR JAZZ PARTY(13日)


1月1日(火) 元日
 0時にシャンパンを抜く。一応迎春。
 ちょっと飲んで寝る。
 午前7時に起床。
 晴。7時30分に「自宅」のベランダから初日の出を見る。
 
 つまらん日の出である。
 この6年ほど播州龍野で新年を迎えることが多く、その間、新年の朝酒はやらなかったが、大阪で復活。
 これがいいのか悪いのか。
  *
 父親の形見の備前焼徳利で呉春をいただく。そりゃうまいわなあ。
 いい気分になったあたりで、年賀状到着。
 うへっ、干支のS字型動物のイラストがいっぱい(わざわざ「苦手でしょうから」と別バージョンの手書き賀状をくださった方(むさしくんとか森下一仁さんなど心優しい方)もいるのによ)。
 そこいらへんにうじゃうじゃ気分である。
 困ったものだ。
 酔っぱらって朝寝。
 悪夢にうなされる。
 昼は抜き。
 夕刻、またオセチで呉春。
 早寝することに。
 明日からは普通の生活に戻る予定である。

1月2日(水) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時に目が覚めるが、体がだるい。
 また寝て、午前7時に起きるが、食欲なし。
 元日の、深夜シャンパン〜朝酒〜昼抜き〜夜酒の影響である。
 朝は紅茶とロールパンのみ。
 昼はうどん一杯。
 仕事始めのつもりだったが、アタマが働かず、ボケーーーーッと過ごす。
 元旦の酒はやめないといかんなあ。
 運動不足なので、午後、散歩に出る。
 三番街〜梅田地下街、早くもバーゲン開始で、えげつない人出である。
 デパートには立ち寄る気がしない。
 
 地下街を獅子舞が練り歩いていた。
 5千歩がひどくつらい。毎日歩かなければなあ。
 1時間ほどで帰館。
 ということで、夜は野菜入り湯豆腐でビール、カツサンドでグラスワイン。
 早寝するのである。
 明日から仕事始め…のつもり。

1月3日(木) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時に起きる。
 気分まあまあ。
 食生活その他を日常モードに戻す。
 少しは仕事もするのであった。
 昼過ぎから歩くことにする。
 梅田ウロウロ。人出は昨日ほどではない。ふだんの日曜より少ないくらい。1月2日「福袋の日」が終わると、消費も冷え込むのだなあ。
 駅前ビルは今日も閉館である。この姿勢は立派。
 駅前第一ビルの中央郵便局に立ち寄ったあと、西回りコースで、福島へ。
 小松師匠への年始である。
 本来なら箕面の瀧安寺にお伺いすべきところ、ホテルプラザ跡地でかえさせていただく。
  *
 ホテルプラザの解体は昨秋で終わっている。
 あとはどうなるのか。
 タワーマンションが建つのなら22階に移り住もうかしらん。
  *
 スカイビル北の「農園」を通り、中津の「ご安置ホテル」を見物、阪急中津のガード下を抜けて帰館する。
 7千歩を超えた。
 体調よろしい。
 やはり毎日歩かねばなあ。

1月4日(金) 穴蔵/ウロウロ
 パティ・ペイジの訃報。85歳。正直なところ、まだ生きてはったのかと驚く。
 江利チエミが早死にし過ぎでこんな印象になるのかな。チエミの「テネシーワルツ」を聴いたのが小学校1、2年の時で、チエミが死んでもう30年なんだものなあ。
 世間は(たぶん)正月休みは終わったはず。
 穴蔵にて、少しは仕事もするのであった。
 昼、郵便局と金融機関に行く用事があり、ついでに梅田界隈散歩。
 うめきたの工事区域の北西現場をウロウロ。
  *
 貨物駅の殺伐とした雰囲気がいつまで楽しめることやら。
 できれば「緑地」などにせず、戦争ごっこのできる広場として、このまま開放してほしいものだ。
 ということで……
 夜は湯豆腐でビール、ブリ大根などで湯割り。
 ペイジの「おもかげ偲んで」、キャンディ浅田『テネシーワルツをもう一度』を聴きつつ。
 「テネシーワルツ」は失恋の歌なんだから、ペイジ調がいいんだよね。「絶叫型」で歌う歌手も多いけど、「泣き女」に思えてしまいまっせ。

1月5日(土) 穴蔵/ウロウロ
 朝9時に近所のY医院へ定期検診に行く。
 寒い路上で10分ほど待機して、1番に見て貰ったが、数値は信じがたいほど良好であった(普通は血管が収縮してるわなあ)。どこか悪いのではないかと心配になる。
 穴蔵にて少しは仕事もするのであった。
 昼のニュースによれば、遠隔操作ウィルスの「真犯人」からのメールで、江ノ島の地域猫?の首輪につけられたマイクロSDを発見したという。
 NNNの映像では、おとなしそうなネコである。
 ケーサツも新年早々、山登りして地面掘ったり、ご苦労なことだ。
 江ノ島のネコ、引き取り希望者が多く現れそうな。地域猫だと、勝手に連れ去られるかも。ケーサツ、ちゃんと捕獲してるだろうな。大事な「物証」で、「犯人」のセーターにこの猫の毛が付着している可能性は高いからなあ。
 江ノ島は狭いところに神社がいくつかあって、「現場」はそのひとつのような。クルマは乗り入れられないから、周辺にどれくらいの監視カメラがあるか……
 面白くなりそうだけど、この「犯人」、結局のところ、捕まりたがっているのか? よくわからん。グリコ森永犯のケーサツ愚弄ぶりとは性格が違うようである。
 正月休み明けまでにという雑件は片づいたので、散歩に出る。
 駅前ビルのチケットショップへ。来週のウロウロ用チケット購入。
 梅田、本日は人出多し。
 東南回りのコースを歩いて帰館するが、このコースはつまらなくなった。ハチは昼間の営業をしなくなったし、ミムラはなくなったし。そうなると単なるフーゾク地帯で、面白くもなんともない。
 5千歩歩いて帰館。
 ということで、夜は、湯豆腐、サラダ、鶏唐でビール飲んで早寝するのである。

1月6日(日) 風呂本佳苗ピアノリサイタル
 朝、気になるニュースを見かける。
・<特許庁>新システム開発頓挫 東芝子会社と契約打ち切りへ
 特許庁が「特許や商標の出願情報を処理する新システムの開発計画を断念した」。受注した東芝子会社の作業が遅れ、続行は不可能と判断した。東芝ソリューションの「能力不足が遅延の要因」で、「支払い分の返還を求める」という。
 この話、1年前にも聞いたような。
 ただ、どんな「システム」を開発しようとしていたのか。
 先日、某学会誌にショートショートを送ったのだが、これが「特許関連のシステムを水面下で開発する」話。
 ちょっと気になる。
 調べてみると、国際特許情報(中国など)にも対応する「運営基盤システム」開発で、10年以上あれこれやって、(途中で特許庁の職員がNTTデータから賄賂を受け取る事件があったりで)ほとんど進んでないような。
 原因は「東芝ソリューションの能力不足」だけではないようである。
 おれはボンサラ時代、知財管理の仕事も兼任していたが、離れて10年以上、このプロジェクトについてはほとんど知らなかった。
 まあ、わがアイデアとは重なってなかったので、ほっ。
 午後、専属料理人と西宮北口の兵庫県芸術文化センターへ行く。
 正月恒例「風呂本佳苗ピアノリサイタル」である。
 今年のテーマは「夢幻紀行」。
 「グリーンスリーヴス幻想曲」(イギリス)から始まってショパンの「幻想」(ポーランド)〜「イスメライ」(オリエンタル)〜「アンダルシア幻想曲」など、民族色豊かな曲で構成されている。
 おれもたまにはこういうのを聴くのである。
 東日本大震災チャリティコンサートでもあって、募金にも協力する、いと少なしを。
 例によってロビーで芦辺拓さんと挨拶。
 なぜか芦辺さんは毎年、風呂本さんのリサイタルに出現するのである。
 終演後、ちょっと東にある西宮ガーデンを初めて見物する。
 確かに広大な商業施設である。
 西宮球場に来るのは1966年以来(某スポーツ紙でアルバイトしていた時にフィルム運び役で何度か来た)である。
  *
 4階の屋上ガーデンの一角に一塁側の外野席らしきモニュメントが残されていた。
 『決戦・日本シリーズ』も遠い過去のことになってしまったなあ……

1月7日(月) 穴蔵/白川義員写真展
 定刻午前4時に起きる。
 4時半から早朝のニュースをちょっと見るが、つまらんのでチャンネルを変えたら、関テレが流していた「歩き番組」は出色である。
 「一人称映像の歩き番組」とでもいうか、鞍馬山を散策する「歩き人視点」の映像。
 おれが5年ほど前に、ほとんど散歩できなくなった老母のために、デジカメで作ろうとしたのがこれであったのだ。
 散歩がわりに、足踏み体操をしながら、テレビ画面で龍野の散歩コースの写真をスライドショーで見せる。
 老母は足踏みせずに画像に見入ってしまったけど。
 50歩ごとに映像が変わる装置を組めばよかったのかなあ……
 5時にショッピング番組に切り替わった。穴埋め番組みたいだったけど、関テレにもまれにいい番組があるものだ。
 午前中穴蔵。
 世間もどうやら休み明けらしい。
 少しは仕事もするのであった。
 午後、専属料理人と歩いて阪神百貨店へ。
 チケット貰ったので、8階で白川義員写真展『永遠の日本』を見る。
 立派なものと思うが、おれはマッドアマノのファンなので、こういうマジメ過ぎるのはちょっと息苦しい。
 日本の自然の中に人間も動物もまったくいないのである。
 さりとてむろん廃墟ではなし。
 動物が誕生しなかった別地球の印象だ。

1月8日(火) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 姫路駅ホームが猛烈な寒さ。
 午前9時に実家に着く。室温4℃で、この時期、暖かい方である。
 雑事色々。
 タイムマシン関係のこともあれこれ。
 近所の新築家屋が完成間近だったり、いちばん近いコンビニが閉店していたり、年末からの変化も色々あるなあ。
 未着の書類などあり、また来週にも来ることになりそうな。
 午後の電車で帰阪。
 元町で途中下車して、ガード下の淡水軒へ。ちょっと遅めのランチ。
  * *
 ラーメンを食べることはほとんどなくなくなった。
 減塩という事情もあるけど、近年のギトギト・ドロドロ系や魚介なんたら系などはまったく食べられなくなった。豚骨系もしんどい。ウチの近所に行列の「弥七」があるけど、わしゃもう関心外である。
 姫路の新生軒は閉店みたいだし、結局おれに残ったのは、梅田の「揚子江」とここ「淡水軒」だけである。
 600円のラーメンをありがたくいただき帰阪。

1月9日(水) 穴蔵/ウロウロ
 穴蔵にて少しは仕事もするのであった。
 昼、雑事あって市内ウロウロ。
 本町から靫公園の近くへ行ったついでに、専属料理人の要請により「Kakeuchi」でパンを5、6個購入。
 あと、高麗橋の某ビルの一角へ。
 「ゆうちょ銀行」と並ぶような、全国区の銀行であるのに、大阪市の中心部にはATMは高麗橋に1台しかないのである。
 不思議な銀行だ。クイズでもないのだが……答えは「JAバンク」。
 播州龍野ではここがメインバンクなのである。
 中之島を抜けて歩いて帰館。
 7千歩を超えた。
 ということで、夜は豚角煮・ほうれん草・煮卵で軽くビール。
 
 あと、サラダとタケウチのベーコン・チーズパンでワイン。
 佐藤允の訃報。
 久しぶりにDVDで「独立愚連隊」を見る。
 愚連隊員も多くが鬼籍に入ったなあ……

1月10日(木) 堀川戎
 昼前に去年の福笹持って、堀川戎へ行く。
 梅田の自転車走行は封じたので、去年から徒歩である。片道約30分。
 福笹をお返しする。
 幼稚園児が来て、おかめとひょっとこの踊りを見物していた。
  * *
 賽銭箱近くに鎮座してはる「導師」を探すが、この時間、普通のおばちゃんだけである。
 堀川戎には2002年以来、今年で12回目。
 その間、お祓いを受けた導師を「御利益」順にあげると……
 桂米八師匠……初回の2002年はじめ、2007年2011年、いずれも実にありがたい結果となった。
 ゼンジー北京師匠……2008年のタネもシカケもちょとあるお祓い、最高の御利益を授けてくださった。
 海原かなた師匠……2010年、なかなかのものであった。
 横山たかし師匠……2012年の結果は、ウウッーーーッと泣きたくなる。お金持ちのお坊ちゃまにはなれなかったなあ。
 米八師匠かゼンジー師匠が鎮座してはったらありがたいのだが……
 タイムマシン業の商売繁盛祈願。今年は、まあこちらも大きな期待はしていない。そこそこで結構ですから。
 まっすぐ帰館。
 午後はおとなしく穴蔵にこもる。

1月11日(金) 穴蔵
 終日穴蔵。
 明日の「講義」のために、資料を読み、メモをとって過ごす。
 たちまち夕刻となった。
 粗食にて軽く一杯。
 公園南のヤマト運輸まで行っただけで、575歩。
 運動不足であるなあ。

1月12日(土) 穴蔵/創サポ講義
 正月気分が抜けたばかりというのに、世間はまたも3連休の初日。
 こんなに休んでいいのかしらん。まあ、休暇が満喫できるのは役人とその周辺ばかりだろうけど。
 穴蔵にてボソボソ仕事。
 夕刻に近い午後に出かける。
 運動不足なので、歩いて中之島へ。
 「光のなんとか」は終わっていて、人気なし。しんとしている。
  * 
 バラ園を抜けるが、1月は1輪も咲いていないのであった。
 センチメンタルになるぜ。
 エル大阪まで歩く。5千歩を超えた。
 創サポ・専科の講義。
 提出作品2篇についてあれやこれや。
 1篇は「嫌煙」テーマのユーモアSF短編。明らかに筒井さんの『最後の喫煙者』を意識しているが、「嫌煙」の対義語から展開しているあたりが面白い。
 おれは生まれてから今まで喫煙経験がまったくないので、喫煙の快感を「五感」でどう表現するのかがわからない。
 副流煙を吸わされるのは「嗅覚」で不愉快と感じるが、口から吸う煙の快感をどう「五感表現」すればいいのか。「肺の味覚」なのか。
 と、生徒のひとりが「センセ、喫煙の感覚は五感とは別物ですよ。脳のある部分を麻痺させて一瞬ストレスを忘れさせる感覚で、しいていうなら『煙覚』でっせ」……なるほど、うまいこというなあ。教えられるところが多い。
 もう1篇は「密室殺人」と「東南アジアの山岳民族」問題にアイドル的女性刑事が挑むという、ある意味で「野心的」な長編。
 こちらも面白いし、なんとか形になってほしいところだ。
 21時前に帰館。
 トマトサラダとミニカレーでグラスワインを少しばかり。
 寝る。

1月13日(日) NEW YEAR JAZZ PARTY
 昼前に出て、梅田新道まで歩く。
 「スーパードライ」貸し切り、新年恒例の「NEW YEAR JAZZ PARTY」である。
 専属料理人は受付の手伝い。
 おれは気楽に飲んでいればいい立場なのだが、本日は超満員といっていい盛況、いちばん後ろのテーブル、控室の横で、ラスカルズ・メンバーのテーブルの隅となった。
 今年は、ブラスバンドや臨時編成バンドも含めて10バンドが出演。
 河合さんはじめ、色々な方と挨拶、楽屋話が聞けて面白い。
 ニューオリンズの現状とか、新メンバーの経歴とか。
 ロックからの転向とか、ユニバーサル・スタジオで3月演奏のために来日、大阪でニューオリンズ・ジャズにはまって、こちらで結婚、そのまま居着くことにしたとか……今や大阪がニューオリンズ化しているのかなあ。
  * *
 昨年ゲスト参加、今回からレギュラー出演の「Heisuke & Junnnichi band」がいいねえ。
 おれが死ぬまでのニューオリンズ・サウンドを保証してくれる若手である。
 17時30分まで。
 グイグイ飲んだ訳ではないが、4時間以上グラス片手だったから、さすがにニューサンのアフタージャムに行く元気はない。
 ブラブラ歩いて帰館。
 早寝するのである。

1月14日(月) 穴蔵
 朝だ。雨が降っている。久しぶりに浅田飴を舐める。
 寒いのであった。
 世間は3連休の最終日。
 出歩く気分にならず、さりとて仕事に集中する気分にもならず。
 関東は大雪らしい。
 昼過ぎにボンクラ息子その1が写真を送ってきた。
 
 年末に引っ越した部屋からの写真。幸い、本日は休日であるらしい。
 東京はクルマが渋滞したり色々なイベントが中止になったり、たいへんな様子である。
 大阪は午後には雨はやみ、晴れ間もあるが、おれも関東につきあって、夕刻まで、本を読んだり居眠りしたりで過ごす。
 粗食にて一献。
 早寝するのである。
 明日こそホリは羽ばたく。

1月15日(火) 穴蔵
 定刻午前4時に目覚めるが、なぜか気分が重い。
 羽ばたくつもりが羽ばたけず。
 終日穴蔵にて鬱々と過ごす。
 こういう日もある。


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