『マッドサイエンティストの手帳』456
●マッドサイエンティスト日記(2009年6月後半)
主な事件
・Takeuchi(17日)
・しおさい市場(25日)
・「ハナシをノベル」(26日)
6月16日(火) 穴蔵/DVD化
終日穴蔵。
仕事(といってもポツリポツリと発生する雑事)の合間にビデオ関係をいじっていたら、たちまち夕方になってしまった。
これはちとやばい。
音楽関係のことなら聴きながら他のこともやれるが、動画関係はそうもいかず、結構時間がかかることがわかってくる。
まあ、今まで動画を扱った経験が皆無だから、作業手順を決めるまで時間を要したこともあるが。
あまり熱中しないことにしよう。
といいつつ、桂吉朝さんが『死人茶屋』3席を連続で演じたビデオが出てきた。
この頃はみんな若かったなあ……
6月17日(水) 穴蔵/ウロウロ
定刻午前4時に起床。
4時20分〜NHK「視点・論点」で持田叙子「荷風の花園」を見る。
持田叙子氏は、『朝寝の荷風』で荷風のイメージを「歩く人」から「家中の人」に一変させた新タイプの荷風研究家だが、ここでは庭の草花を愛していたという一面が語られる。
おれが最近になって花や樹木に興味を持ちだしたのも『朝寝の荷風』に影響されているのだろうか。
穴蔵にて雑事色々。
昼前から自転車で出かける。
市内を南下、心斎橋まで。
某所に荷物を届けたあと、東急ハンズに寄って工作材料を探す。
帰路、本町界隈をウロウロ。
昔の勤務先周辺の変化をウォッチするが、地下鉄に直結したビルの地下、シャッターの降りた店の多いのに驚く。
まるで地方の商店街ではないか。
本町はビジネスの中心ではなくなりつつあるような。
ボンクラ・サラリーマン時代からなじみの「やぐら」で昼生一杯。
ボンサラ諸君を眺めつつビールというのが楽しみのひとつであったが、最近は午後1時頃からになった。老化で性格円満になってきたのである。
ついでに靱公園横の「Takeuchi」に寄る。
ここは6年前の5月9日以来、時々寄るベーカリー。
靱公園の北側から南側に移転して6年になるが、相変わらずの人気である。
昼にここで買って公園で食べる人が多い。
ランチのラッシュが終わって少し空いた時間だが……どんなのが並んでいるかは行ってみないとわからない。
専属料理人に電話したら、あるものなら何でもいいから買ってきてくれという。
白ワインをイメージして数個。
パンは「Takeuchi」うどんは「たけうち」ということか。
ということで、夜は専属料理人に色々(小鉢、グラタン、サラダ、その他)並べて貰って、ビール、プチパンとワインで仕上げ。
早寝するのである。
……と、飲んでは寝てばかりみたいだけど、明日から、この数ヶ月に読んだ本について書くことにしよう。
6月18日(木) 穴蔵
穴蔵にて粛々と雑事の処理。
昼、外出ついでに梅田某店(特に名を秘す*林)で、昼限定メニューの「ざるそばと掻き揚げ丼」。
この掻き揚げが……平たくてサクッとしたのを想定していたら、なんとほとんど球形、野球ボール大でたっぷりと油を吸い込んだのがのっかっている。
もったいないので平らげたが……午後、ごろ寝状態。
嗚呼、広場向かい側の「四国うどん」にしておけばよかった。
夕食時になっても、食欲なし。あれ、油が悪かったのではないか。専属料理人が色々並べてくれたが、ほとんど食べられない。
早寝……しようとしても、気分優れず、なかなか寝つけない。
そば屋の丼はもうやめにしよう。
厄日なり。唯一の朗報は一昨日、定額給付金が振り込まれていたこと。むろん貯金。
6月19日(金) 穴蔵
終日穴蔵にて雑事。
昼は昨日の「掻き揚げ」に懲りたので、口直しに、近所の「信州そば」でざるそば大盛り。
名店ではないだろうが、普通にうまい。結構なことではないか。
と、昼過ぎにややこしい電話。
某国に連絡をとらねばならず、拙速英文メールを送ったが、正確に伝わったかどうか自信がない。
ボケが進行しとるからなあ。
午後は返事待ちで穴蔵に待機せざるを得ない。
待機中、知人から教えてもらった音楽データ管理ソフト「foobar2000」をダウンロードして色々試みる。
これが恐ろしく裾野の広い音楽ソフトであることがわかってきたが……本格的に活用するには、コレクション全部をMP化して数百GBのハードディスクに納めて、オーディオ装置への音源もパソコンにしないといけないのかな?
もう少し調べてみることにする。
コレクションのデータベース化と一杯飲みながらジャズCDを楽しむのは別のことだし、ただ、楽しみながらデータベースが構築されていくというのも魅力的だしなあ。
ということで、結局、穴蔵に閉じこもったまま。
雑事は来週に持ち越しである。
6月20日(土) 穴蔵/ウロウロ
わ、自転車がパンクしている。イタズラではなさそうだが。
昼前、歩いて梅田へ。
ヨドバシでDVDレコーダーを見る。夏の商戦とエコ・ポイントとかで、ブルーレイが主流になった印象。
買ってもいいのだが、どこに設置するかで迷う。
おれの場合、候補は3ヶ所。
「穴蔵」か「自宅」か「播州龍野」か……一長一短である。
どこに置いても不便。要するに録画したい場合と鑑賞したい場所が一致しないからなのだ。
「自宅」に設置が普通だろうが、おれはここでテレビ見るなんてことはないし、専属料理人に録画を依頼しても操作がわからず失敗するだろうし。
「播州龍野」に設置しても見る時間はない。
「穴蔵」に置いても不在の時に必要が生じても録画できないし。
録画したいのはジャズと落語だけだから、2週間ほど録画予約しておけばいいのか。それでも突発的なこともあるしなあ。
DVDレコーダーの遠隔操作ができればいいのだが、まだ無理だろうな。
結論出ず。費用ではなく、生活の拠点をどこにするかの問題のような。
その点、音楽は便利になったなあ。数千曲を持ち運びできるのだからなあ。
帰路、かっぱ横丁に新規うどん店。
「ぼてぢゅう」と「鷹ヶ巣」の間に「つるまる饂飩」がオープンしている。
前が何の店だったのか、まったく思い出せない。ボケ進行中である。
挨拶がわりにきつね一杯。揚げ物は入れない。一昨日の「掻き揚げ」がトラウマになってしまったみたいだ。
6月21日(日) 穴蔵
午前3時、雨音で目覚めた。梅雨とは思えぬ降り。ま、いいではないか。
4時30分から「日本の話芸」再放送で桂福團治師匠の『くっしゃみ講釈』を見る。
うまいのだが……桂吉朝はすごかったのだなあと改めて思う。
終日穴蔵。
思うところあって、100枚ほどあるフロッピーの整理を進める。
FDDはWindows98機にしかなく、これも一応使えるのだが、さすがに限界、近日廃棄である。
で、フロッピーのデータをXP機のハードディスクに移す。
何も考えずにコピーすればいいのだが、書庫の移動と同じで、内容をチェックしていたら遅々として進まず。
特にPCXという拡張子のついたファイルがあって……往生しまっせ。
15枚ほどで中断。
早朝の豪雨が曇天、午後は晴れ上がった。
夕刻に近い午後、近所のサイクル・ショップ(今は自転車屋とはいわんのよね)へパンクの修理に行く。
運動不足なので、修理できた自転車で淀川堤を走る。
日没の定点写真を撮っているポイントで夕陽(といっても日没まで40分)を撮る。
夏至で日没点は北端、春分の日に較べるとだいぶ北へ移っている。
これから太陽は南下、キンタマが収縮する冬遠からじ。メランコリックになるぜ。
ということで帰館して晩酌。
本日は「夏至」「某記念日」「父の日」の三重苦ということで、専属料理人が色々並べてくれた。
出所は全部おれなんだけど。
ビールがサントリーのプレミアムで枝豆、刺身、サラダなど。
あと白ワインでブルスケッタ、パスタを少し。
このシンプルな明太子パスタがなかなか。
トミフラ師匠のスーパー・ジャズ・トリオ『ザ・スタンダード』を聴いていると、たまらん気分になってくるなあ。
早寝するのである。
6月22日(月) 穴蔵
終日穴蔵。
Windows98機でフロッピーのバックアップ。
途中からは内容は確認せず、機械的に行う。
あと、98機はリカバリーしてお役ご免とする。
SOTECのタワー型を導入したのが「穴蔵」開設時の2000年夏だから、9年間、まあよく働いてくれたものと思う。
その前のWindows95機の時から使っているナナオの15インチ液晶ディスプレイは今も現役、サブ機のディスプレイとして今後も使っていく。今でも、Benqの17インチのより鮮明だからなあ。
ということで、夜は専属料理人に和風の小鉢と皿を並べてもらってビール。
ちょっと物足りないので、素麺を茹でて、昨夜のブルスケッタ用のトマトの残りをぶっかけたら、これがバカウマ。
白ワイン数グラス。播州龍野でも、素麺は「代用冷麺」よりこちらの方式にしよう。
ということで早寝。
明日から播州龍野行きである。
6月23日(火) 大阪→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動。
身内と役務交替。
天候不順とかの予報だったが、播州龍野は炎天である。
午前10過ぎ、室温30℃。
書斎からの眺め。
5月11日の新緑が、もう盛夏の雰囲気である。
大阪からの移動で汗をかき、下男仕事に汗を流したので、昼、ビールを一杯。
うま〜〜〜っ!
気分よく、午後1時間ほど仮眠……が、目覚めると気分が悪い。頭痛と吐き気。吐かないけど吐き気がする。
昼ビールがいけなかったとは思いたくないが。
老母の世話、最低限のことだけして、あとは寝て過ごす。晩飯は抜き。
6月24日(水) 播州龍野の日常
15時間ほど眠ったり読んだりを繰り返していたら体調は回復、6時頃に起きて下男生活に復帰した。
タイムマシン格納庫にても仕事。
気がかりだった某国関係、向こうから電話がかかってきた。
「荷物無事着くよ、いつ来るよ、金曜日ダメ? あなたいう矛盾のことヤメゆようたよ、大丈夫オケね」
「わかたわかた、すぐジュビするあるよ」
まるで白鳥某子(出版関係のパーティ出席者しかわからんか)の感じあるよ、まてるよ、今夜きてよ。
ネイティブでない者どうしの英会話を翻訳すれば、こんな感じになるのであろう。
ちなみに、おれがこの件で送った英文メールをyahooで和訳してみた。
『今日我々は某行から矛盾の2つの場所を指し示すという以下の伝言を受けました……我々はあなたに某支店に矛盾から赦すために話して欲しいです……』
ちょっとアレンジしてるけど、こんな感じ。もとの英文がおかしく、翻訳ソフトも単純だから、「カメロイド文部省」みたいになってしまうのである。
ちなみに上記の「矛盾」とはDiscrepancyである。
無茶苦茶な会話だがなんとかなるところがすごい。
おれは老母の世話があるから、気の毒に、カメロイドへ派遣されるのは相棒の某くんなんだけど。
ま、おれとしては一件落着である。
夕食時、おそるおそるビール一杯。
まあ体調は大丈夫であろう。
ということで、早寝するのである。
6月25日(木) 播州龍野の日常/しおさい市場
炎天なり。
下男仕事……特に洗濯を集中して行う。おれの(こちらでの)冬物などあり、2回にわけて行う。
昼……うまい魚が食べたくなって、老母の昼の用意をしたあと、坂越の「海の駅・しおさい市場」へ行くことにする。
久しぶりに相生から高取峠を越えて坂越港の少し東にある「海の駅」へ。
と、坂越の海岸沿いの家付近にパトカー数台。
人殺しでもあったのか?
停車のスペースもなし、気になるなあ。
「しおさい市場」
この中の「くいどうらく」という店で「しおさい定食」という、刺身・煮魚・天ぷらなどの豪華膳を試したが、いまひとつであった。
西播の海岸沿い、室津から西へ、「堀市」「海の駅・海宝」「海鮮料理みやもと」「しおさい市場」と試してきたが、「海宝」以外はまた来たいとは思わない。
総じて、材料は悪くないのだろうが、サービスのレベルが低く、これは競争原理が働いてないからであろう。
とはいえ、量的には満腹。
ということで、夜は冷蔵庫整理モードで粗食、ビール。早寝するのである。
6月26日(金) 播州龍野→大阪/「ハナシをノベル」/ハチ他
早朝から張り切って下男仕事。
来週、相棒の某くんが某国出張のため、それにあわせて日程調整、週末は帰阪することにする。
午後の電車で帰阪。
夕刻出かけようとしたところに、ぶんきちの吉くんからメール。梅田のホテルにチェックインしたところだという。
ちょうど通り道なので駆けつけ、ロビーでしばし歓談。
海外でいっしょに仕事したメンバーの会で、昼過ぎから5時間近く飲んでいたという。元気だなあ。
こちらは落語会に向かう途中なので、一献というわけにもいかず、色々とオモロイ話のサワリだけ聞いて、次の機会にということになる。
中之島の中央公会堂へ。
田中啓文がプロデュースしている月亭八天さんの創作落語の会『ハナシをノベル』に初めて行く。今まで、なかなか日程があわなかったのである。もう19回目。
桂あさ吉『天災』につづいて、八天さんによる新作2席。
浅暮三文の『釣りは天国』と北野勇作の『地獄八百景』。
「天国と地獄」の組み合わせ。
前者は三途の川で釣りをするナンセンス落語、後者は(タイトルが凄いがこれは「嘘八百」にかけたトリックで)地獄八景の一場面を借景にしたメタ落語……ややこしい構造の噺をうまく聴かせる八天さんの話術はさすが、新趣向のサゲも秀逸である。
合間に作者を交えたトークもあり、最後は田中啓文の「ご学友」が登場、マクラで使われた「三途の川の子守歌」(ご学友作詞作曲)を全曲聴かされるという悪夢的オマケまであり、『寝床』的気分のうちにおひらきとなった。
*
中央公会堂の夜景を眺めて厄落とし。
帰路、ハチによる。
ややこしい状態で、相変わらず夜だけの細々営業である。
珍しくも関テレの杉山アナが来た。3、4年ぶりか。
杉山さん、事情を知らず仰天。
いろいろとややこしい状態だが、恒例の8月8日・山下洋輔ライブは決定! チケット発売中である。
さっそく2席を確保。
ハチ50周年記念ライブであり、早めの予約をお勧めする。
よく動き、珍しい人たちと会った1日であったなあ。
6月27日(土) 穴蔵
終日穴蔵。
コダックがリバーサル・フィルムの製造を終えるという。
時代の流れでいたしかたあるまい……とは思うものの、ちょっと感慨深いものがある。
昔(30年ほど前)タイムマシン関係のプレゼン用にエクタクロームはよく使った。余った何枚かで子供の写真も撮った。
ビデオを整理してたら、その頃のスライド写真が出てきた。
プロジェクターはもうないので、スキャナーで何枚かをデジタル化してみる。
1200dpiだから解像度はそれほどではないが。
*
30年前のボンクラ息子その1。こんな時代もあったのである。
しかし……LP、VHS、ネガ・ポジのフィルムなどアナログものをデジタル化していたら、手持ちの分をデジタル化するだけで余命が尽きそうな気がする。
適当なところで見切りをつけないといかんなあ。
6月28日(日) 穴蔵
終日穴蔵。
室温はほぼ終日30℃。
窓を細目に開けて扇風機を回しているだけで、おれにはいちばん快適な気温である。
どんな格好でいるかは記述せず。いちばん健康的なのはステテコに腹巻きという昔の植木等スタイルだろうけど、ステテコなるものは見なくなったし、腹巻きもウチにはない。
ユニクロがモダンなのを売り出さないかなあ。
穴蔵のお隣、朝から引越作業の気配。
専属料理人のいうには、ペットの問題(わが集合住宅はペット禁止)もあって、肩身が狭いからではないかという。
内規にしたがって、迷惑かけずに生活してはる方なのだが。
心配は、ややこしい(特に騒がしい)のが越してこないかという1点である。
あれこれ雑事やっているうちに、たちまち夕刻。
「自宅」の居間から見る梅田方向の夕景。
*
「たそがれのベニス」を聴きつつ晩酌。
センチメンタルになるぜ。
明日から播州龍野行きである。
6月29日(月) 大阪→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
早朝の大阪は快晴だったが、三ノ宮を過ぎると曇天、姫路に着いたら雨になった。
播州龍野は終日降ったりやんだりの梅雨空。
門扉横の凌霄花が開花している。
昨年は6月26日、一昨年は6月28日であった。なかなか正確。
わが家の70年以上前からの習慣で、凌霄花が咲くと、熱いお茶から冷たい麦茶に切り替える。
ということで、麦茶の用意、おれは麦酒だけど。
……と、毎年同じことを書いてるなあ。出典は老母が女学校時代に作った短歌で、4年前の6月28日に書いているとおり。
今週は相棒の某くんが某国へ出張なので、午前と午後の数時間、タイムマシン格納庫にて見張り番を務める。
静かなものである。
6月30日(火) 播州龍野の日常
梅雨空である。ま、雨も降らなければなあ。
朝9時に老母をI医院へ連れて行く。待合室ガラガラ。雨天だから来ない患者は元気な証拠。
30分で終わった。
老母を陋屋に放りこんで、本日も午前午後、タイムマシン格納庫で見張り番。
静かなものである。世間ではこれを「不景気」という。
夜は老母とは別メニューで酒肴数品(ヤッコ、カイワレと明太子の海苔巻き、イカ納豆、他)作ってビール、湯割り。
早寝するのである。
無為のまま今年の前半が終わる。嗚呼……
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