『マッドサイエンティストの手帳』457

●マッドサイエンティスト日記(2009年7月前半)


主な事件
 ・創サポ講義(4日)
 ・Sunday at Jazz Club(12日)
 ・恐怖の淀川堤(14日)


7月1日(水) 播州龍野の日常
 早朝の快晴が朝食終了の頃に曇り昼前から雨が断続的に降り、典型的な梅雨空となった。
 本日もタイムマシン格納庫にて見張り番。
 静かなものである。
 昼は、老母の昼食を用意したあと、太子町の「あやがわうどん」へ。
 
 ひや梅おろしうどんにイカ天をトッピング。
 うどんに関しては、西播で(姫路市街地は除く/ひょっとしたらいい店があるかも)やはりここがいちばんうまい。
 午後もタイムマシン格納庫にこもる。
 相棒の某くんが某国へ行って3日目、特別の連絡がないということは、たぶん無事ミッション終了であろう。
 夕刻早めに帰館。
 先月から播州龍野の庭の花を撮影しているが、6月に咲いた花は10種類あった。
 この調子だと、1年で100種類を越えるかな。
 で、本日、でかい庭石の前に白い花が咲いているの気づいた。
 
 どうやら梔子(くちなし)らしい。
 おれの背丈くらいあるのかと思っていたのだが、目立たない木だなあ。
 くちなしや鼻から下はすぐに顎。
 くちなしの白い花〜
 おばけのような花だった〜

7月2日(木) 播州龍野の日常
 テレビの地方ニュース。
 たつの市議・栗本一水(55)がゲーム賭博の現行犯で逮捕されたという。
 ゲーム喫茶の「ポーカー」機で現金を賭けていたところをご用。むろん店の経営者も。
 「1000円しか賭けとらん」というコメントが面白いが、おっと思ったのが店の映像。店名が「cafe CoCo」である。
  *
 ここは5月22日に「うどん廃墟巡礼」した場所のひとつ。名店「うどんの庄やまと」の跡ではないか。
 「今は喫茶店になっている」と書いたが、その喫茶店、『1000円から遊べます!!』と書いてあって「カフェ」には見えなかったが、そうか、賭場だったのか。
 たぶんタレコミがあったのだろうな。
 栗本一水くん、看板通り「1000円から」遊びはじめたところだったのか?
 市議会は辞任勧告するらしいが、居直りそうだなあ。
 本日もタイムマシン格納庫にて見張り番。
 夕刻に近い午後、相棒の某くんから電話。無事ミッション終了、関空に着いたという。
 よかったよかった。
 ということで、夜はこちらも祝杯とする。
 枝豆、「豆華」のヤッコ、トマトサラダなどに、メインはこれを参考に、老母用にキムチ抜きを別に作る芸の細かさ。
 ビール、「神の河」ロックで、いい気分になったので早寝。
 明日は帰阪である。

7月3日(金) 播州龍野→大阪
 昼間の電車で大阪へ移動する。
 昼少し過ぎた時刻、ウチの近所でうどんと思ったら、「讃州」それにラーメンの「弥七」の前、ともに長い行列。
 あとで聞けば、先日、「魔法のレストラン」という番組で「豊崎の麺4店」が集まって「新作披露」というのをやったためらしい。
 テレビの影響力は大きいなあ。とくに食い物に関しては。
 讃州(久保くん)、たけうち(竹内くん)、輝(森くん)、弥七(酒井くん)、すべで徒歩3分圏内。
 特に久保くんは同じ集合住宅の住人だしなあ。
 うまい麺が近所にあるのは結構なことだが、うどんについては、そんなに「新作」を出さなくてもいいと思う。
 おれは「たけうち」ではきつね、「讃州」ではカレーうどんと決めている。うどんファンは保守的なのである……と思うのだが、メインの客層(若い人)は違うのかなあ。うどんの「つけ麺」なんて邪道だぜ。
 本日うどんは断念。
 穴蔵に帰着。
 先日、区役所の「調査員」が「穴蔵」に来て、留守とわかると「自宅」を突き止め、専属料理人に調査票に至急記入しろと迫ったという。放置しておけと伝えておいたら、帰館後2時間もしないうちに穴蔵に「調査員」がやってきた。
 『平成21年経済センサス・基礎調査』なる用紙を持ってきてすぐ記入せよという。
 どうやら「表札」が企業に見えるためらしい。
 タイムマシン格納庫(こちらは事業所として届けてある)ならともかく、ここは基本的におれの「書斎」である。
 内部を見せて納得させたが、お役人だから?か、用紙を持ってきた以上、記入して持ち帰らないと困るらしい。
 「個人業主・男1人」業種は「その他(政治・経済・文化・宗教団体など)」にマーク、主な事業の内容は「文筆業」、生産・取扱い商品は「SF小説」と記入して渡したけど、経済活動といえるほどのことはやっとらんよ。

7月4日(土) 穴蔵/創サポ
 終日穴蔵にて溜まっている雑事の処理。
 夕刻、天満のエルおおさかへ。天気がいいので自転車で出かける。
 創作サポートセンターの講義の日。
 12期生の提出作品3編(いずれも50枚の短編)についてのコメント中心に。
・就職難時代にクレーマーとして成長していく女性を描くユーモアもの。作者はSFをまったく意識していないが、かんべむさし氏の初期の短編(たとえば『ビジネス・タレント』)みたいに、時代を先取りしている感覚が面白い。就職できないからクレーマーとして生計を立てようという若者が増えて不思議ではないものなあ。
・巨額の財産を相続した独身男が入り込む「悦楽」の世界……ゴシック風に始まってモダンホラーになりスプラッターに転じてサイコホラーで終わるという「闇鍋型ホラー」とでもいうか。詰め込み過ぎだが、それぞれの箇所に光る部分があって、どこを削ればいいのかアドバイスに迷う。
・北極近くの氷原で「毎年一度繰り広げられる」グロテスクなモンスターを撃滅する戦闘SF。意外にも「ほのぼのとした」オチがつくアイデア・ストーリーなのだが、作者の興味は戦闘描写にあるのは間違いなく、おれとしては例外的コメントだが、もとのアイデアは捨ててもアクション描写に重点を置いた方がいいと述べる。
 昼間の雑事が多すぎて……メモを取りつつ2度読んでいるが……伝え忘れたことを帰路に思い出す。
 ちとボケ気味なのかしらん。
 事務局へ追加コメントをメールすることにしよう。
 帰路、ハチに寄ってビール1杯のみ。
 店の状態は相変わらず。
 来月の50周年(8/8)には大騒ぎできる状態に戻ってほしいところだ。

7月5日(日) 大阪→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 朝9時頃に到着、「題名のない音楽会」の後半に間に合った。
 「山下洋輔トリオ40年目の同窓会」A……「ぐがん」の森山威男が泣かせるぜ。
 前半は……なんとかなる見込み。
 ということで、「今週は<下男モード>である。
 某社から創業50周年記念のUSBメモリーをいただいた。
 ステンレス製であか抜けたデザインである。2GB。
 
 播州龍野のUSB対応のコンポにちょうどいいので、ジョージ・ルイスからフリー系(ドルフィーやアイラー)まで、約40枚分を収めて持ってきた。
 龍野のPCに保存しておけば、大阪のコレクションの大部分を龍野に移せる。
 基本的には、大阪ではCD、龍野ではMP3でということになりそうだ。
 下男仕事の合間に、ランダムモードで聴きながら、少しは仕事もするのであった。

7月6日(月) 播州龍野の日常
 終日……でもないか、延時間で5時間ほど下男仕事。
 合間に仮眠。
 あとは本を読んで過ごす。
 読んだ本のことを書かねばと思いつつ、宇宙の真理「無精猫原理」にしたがって、明日に送る。
 21時過ぎ、そろそろ就眠である。

7月7日(火) 播州龍野の日常
 梅雨空なり。
 朝、タイムマシン格納庫にて、某国のミッションほ終えた某くんから報告を聞く。
 ひょっとして派生的にまたも案件が生じるかも。
 某くん、その時はいっしょに行こうというが、わしゃあの国は苦手だなあ。韓国は好きなのだが……と、食べ物で行き先を選り好みしてはいかんのだが。
 あとは下男仕事の合間、書斎にて……あまり仕事はせず、ボケーーーーッと過ごす。
 朝・昼・夕と断続的にテレビ・ニュースを見るに、5日に千鳥橋のパチンコ店で放火殺人やった高見素直(41)が、昨日岩国で出頭、此花署に送られた。「誰でもいいから人を殺したかった」とか。
 テレビのコメンテーターなる人種のコメントは例によって例のもの。
 高見はサラ金に2、300万の借金があるという。
 過去の同類事件でもなぜか報道されないのが「サラ金の取り立て」原因説である。
 直接の引き金はこれに決まっているのだが、なぜか論及されない。
 背後に大手の銀行屋がいるからか。
 「貧富の格差」など社会的な構造をいうのはかまわんが、犯行(強盗や自殺も含む)に駆り立てるのは銀行屋の圧力だぜ。
 なぜかそこが論じられないのが不思議。
 わしゃ製造業(作家業も製造業/無から有である)で生きてきたマトモな人間だから、金融関係の輩(金貸し)とは生涯距離を置く。銀行屋、あっちへ行け、シッシッ!

7月8日(水) 播州龍野の日常
 下男仕事に終始。
 疲れてしまった。
 早寝するのである。

7月9日(木) 播州龍野の日常/平岡正明氏…
 本日も曇天なり。梅雨空、結構なことである。たぶん夏に水不足になることはあるまい。
 おれは天候に関しては(キンタマが収縮する)寒さ以外、いっさい愚痴をいわないことにしている。
 世の中には……誰とはいわんが……何でもかんでもぼやくタイプがいるからなあ。
 「なんでこんな高湿高温のなかで蕎麦を湯がかなきゃいかんのだよ」
 死ねばよろしい。
 高湿度で29℃……大いに快適である。
 張り切って下男仕事をこなすのであった。
 夕刻には晴れ間も。
 運動不足なので、夕刻、30分ほど散歩する。
 
 いつも歩く川沿いコース、岩見用水の水門付近が増水で通路が冠水、ヌルヌルしている。
 ここで滑って水門に吸い込まれると土左衛門になりかねないので、散歩のコースを東の小宅寺方向に変更する。
 ということで、土左衛門で思い出して、帰館して猪瀬直樹『ピカレスク』を再読。
 太宰治の「土左衛門描写」を読むと、水死だけはしたくない気分になる。猪瀬くんの偶像破壊力、たいしたものだ。
 なお、この岩見用水については下流からたどったレポートがあるのに気づいた。林田川をくぐるサイホンの出口はだいぶ下流らしい。天気のいい日に再度探索することにしよう。
 と、そろそろ就眠時刻に、なんと平岡正明氏の訃報。
 今日未明に脳梗塞で逝去。まさか、あんなに頭脳も肉体も頑強な方が……。
 10日後の「山下洋輔トリオ復活祭」でお目にかかれるものと思ってたのに。
 あっけないものだなあ。
 ジャズ評論にも落語評論にも興奮されられたが、なんといっても数少ないキンタマ主義者……おれは次の冬を乗りきれない気分になってくる。

7月10日(金) 播州龍野の日常
 午前4時には13夜?の月がかかっていたのが、午前7時頃から本格的な雨になった。
 終日、下男仕事の合間、書斎の窓から梅雨空を見上げてボケーーーーーッと過ごす。
 気分、鬱。
 いかん、田舎ストレスが限界である。
 ちょうど身内から連絡あり、明日、交替してもらうことに。
 出所に備えて身辺の片づけ。
 暗い気分の中だが明るいニュース……といっては気の毒だが。
 「安田大サーカス」の団長が「精巣捻転」で緊急手術という。
 聞き慣れない病名だが、要するにキンタマがねじれたらしい。
 爆笑問題の田中といい、キンタマの病気はお笑い系に起きるのか? ま、ネタにはできるわなあ。
 思い出したのがタカスギシンタロさんの「超短編」にあったキンタマの左右が入れ替わる男の話である。
 読んだのは2003年4月だが、よく覚えている。
 アイデアの豊かな人で、最新作を読んでみたが、相変わらず活躍されている。
 キンタマの話になると、ちょっと元気が出てくる。
 早寝するのである。

7月11日(土) 播州龍野→大阪
 早朝から張り切って下男仕事を片づける。
 午前中の電車で大阪へ移動する。
 久しぶりに穴蔵に帰館。
 溜まっている雑事を色々処理するが……午後は届いた本など読んでいるうちに寝てしまう。
 ともかく早寝。

7月12日(日) 穴蔵/Sunday at Jazz Club
 午前5時に目が覚める。
 よく寝た。
 断続的にだが昨日の午後から10時間以上眠ったのではないか。
 穴蔵にて粛々と雑用。室温31℃だが扇風機を回していたら快適である。どんな格好かは書かないけど。
 午後、自転車で天五の「バンブークラブ」へ。
 Sunday at Jazz Clubの例会である。
 本日はブライアン・ブレイド(ds/vo)の小特集のあとは「持ち寄り」大会。
 新譜あり稀少盤あり土着ジャズあり追悼企画あり知り合いのマイナーレーベルありで面白い。
 ドン・バイロン参加のニューオリンズR&Bを聴いて、これはほしくなった。
 マグナス・ヨルト・トリオのCD持参者が2名! しかもS藤さんは夢枕獏さんの事務所が後援した来日ライブをちゃんと聴いているからたいしたものだ。獏さんが北欧ジャズに詳しいとは意外だけど。
 
 最後は珍しくもナット・キング・コールのカラー映像でおひらきとなった。
 帰館。
 夜は専属料理人に色々並べてもらって晩酌。
 
 専属料理人は散漫なナイター(阪神〜読売戦)を見たいらしいが、おれはダラダラ中継(ましてナベツネ関与)は苦痛なので、テレビは消音にして、トミフラ師匠、パロン師匠、ハンク師匠のトリオを聴きつつ、枝豆、肉豆腐、キンメ煮付けで、ビール・神の河ロック、五目寿司を少しいただいて仕上げとする。
 さあ、早寝。

7月13日(月) 穴蔵
 わ、寝苦しくて午前2時頃に目が覚めた。
 ネットでニュースを見る。
 東京都議戦、自民惨敗を確認。  「歴史的惨敗」なんて書いてあるけど、自公で62議席、過半数をわずかに下回った程度だから、まさに「惜敗」、麻生バカタロー、結構予見的な応援演説をやっていたわけだ。
 ということで、ほぼ終日、穴蔵にて雑事の処理。
 運動不足なので、夕刻に近い午後、梅田を徒歩でウロウロ。
 紀伊国屋〜ヨドバシ〜駅前ビルのCDショップ〜旭屋と回って帰館する。
 夕刻のニュースでは、7月21日解散、8月30日衆院選という。へぇ〜。
 おれは、昨年9月22日のバカタロー就任演説の日に、さらに10月15日にも書いたとおり、任期中の解散はありえないと信じてきた。
 だから年内解散とか春に解散とか、解散時期を巡る電波芸者たちの発言がバカに見えてしかたなかった。
 まあ、ここまで引っ張れば任期満了と変わらんけど。
 しかし、8月の選挙運動、暑苦しいことになるなあ。

7月14日(火) 穴蔵/恐怖の淀川堤
 わ、本日も午前2時に目が覚めた。
 あまりアタマが働かず、朝までちょっと本を読んでは仮眠の繰り返し。
 終日穴蔵。
 運動不足なので、夕刻、散歩に出かける。
 うちの近所、淀川堤に沿って、送電設備や水道局の設備が集中している箇所がある。
 淀川の中程から川面に出て、堤防の南側でまた地中に潜り込む送水管はちょっと迫力があって、(特に作品に使う予定はないが)この水源と給水域を調べてみようと思っている。
 で、送水管の写真も撮る。
  *
 十三方向へ10分ほど歩き、引き返してきたところで、堤の下から、上半身裸のホームレス氏が、敵意むき出しの視線でおれを睨んでいるのに気づいた。
 恐ろしくなって、堤の南側に降り、新御堂筋を潜って、東へ移動する。
 豊崎神社の前を通って帰館。
  *
 豊崎神社は夏祭りであった。
 ボンクラ息子が太鼓を叩いていたのは20年以上前か。
 センチメンタルになるぜ。
 夜、デジカメの写真を見て、ホームレス氏が睨みつけた理由が判明した。
 送水管を撮った写真……一角に男が裸で写っているのである。
 おれが狙って撮ったと勘違いしたのだろう。
 偶然「犯行現場」を写してしまったために犯人に狙われるという設定のは幾つかあるけど、こんな誤解で殺されたら、情けない死に方になるなあ……。
 気がつけば、淀川沿い、ブルーシートがまた増えたような。
 専属料理人が朝の散歩をやめたのも(怠惰もあるが)高架下などひとりでは怖いからである。
 おれも顔覚えられてしまったかなあ。

7月15日(水) 穴蔵/夜を走る
 本日も炎天なり。
 出歩く気分にならず、終日穴蔵にて雑事の処理。
 相変わらずアタマ働かず。
 夜……自転車でハチへ行く。
 「夜遊び」(というほどのことではないか)は久しぶりである。
 明利マスター、本日は出てきていた。8月8日の山下洋輔ライブのチケットを確保。
 ややこしい状態がつづいているが、8/8ライブはやる。「50周年記念パーティ」は残念ながら見送らざるをえないが。
 夜の外出は久しぶりなので、ついでに天神橋筋を北上、天六のワイルドバンチへ。
 こちらは映画関係の人たちの打ち合わせらしく賑わっている。
 原田依幸や三上寛のライブが予定されている。日程を調整しなきゃなあ。
 星群の会のメンバーで映像関係の仕事をしている西浦さんが来ていて、カウンターで色々とSFの話をする。
 よく読んでいる人だ。
 イーガンと円城塔の違いはどこかなど……田舎暮らしと穴蔵生活ばかりで、こんな議論に飢えていることを痛感するなあ。
 
 隣の医師兼バンチ専属カメラマンの某氏に写真を撮ってもらった。
 堀「頭上からのライトはずらして撮ってくださいよ」
 医「わかってますよ」
 堀「*イハラか!になってしまうんですわ」
 医「何のことです?」
 西「星群でしかわからんギャグです」
 余計なこといわんとこ。

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