『マッドサイエンティストの手帳』341
●マッドサイエンティスト日記(2005年6月後半)
主な事件
・播州龍野の日常(〜17日)
・穴蔵の日々(18日〜)
・ローランド・カーク(ジャズ講座)(19日)
・滝川雅弘カルテット・ライブ(21日)
・「Musical Baton 」(22日)
・播州龍野の日常(22日〜)
・穴蔵の日(27日)
・播州龍野の日常(29日〜)
6月16日(木) 播州龍野の日常
早朝より漸く烟のごとき梅雨。
昨日の百姓まがいの労働で予想通りの腰痛筋肉痛、終日書斎にて雨読のつもりが、そうもいかず。
プラスチックと瓶のゴミは午前7時10分〜30分の「監視役がいる時間内」に「指定場所」まで運ばねばならぬ。ややこしいことである。
雨中の往復……帰ってきたら雨が上がる。困ったものだ。
午後には積乱雲。空梅雨必至の気配である。
よく出てくるなあ、「貴」は。
最初のインタビューだけが意外で、あとはマンネリ。全部見てるわけじゃないけど。こりゃ飽きられて呆れられるぜ。軍師はいないようである。
6月17日(金) 播州龍野→大阪
わ、昨夜20時過ぎに寝たらラウンド・ミッドナイト、0時ちょっと過ぎた頃に目が覚めてしまった。勝手に早寝したのだからモンクはいえんか。
朝まで「原稿」を読む。
本日、『朝はミラクル』に小松左京氏登場。親っさん、朝もはよから大丈夫かいなと思っていたら、東京の事務所からの電話出演であった。
意外にもナマの小松さんより声の通りが明瞭。ふだんの聞き取りにくさはいったい何なんだろう。電話の方が余計な音域がカットされるようだ。
OBC時代(『題名のない番組』)から「小松左京マガジン」まで、例によって話はやたら飛ぶ。
小松さんがらみで、本日のテーマは「沈没体験」。ボツ原稿ネタで「朕、ボツ!」という「題なし」的投稿を思いついたが、扱いに困るだろうとメール投稿は見合わせる。
「朝ミラ」終了後、本日は相棒が宮崎日帰りというややこしい任務発生のため、タイムマシン格納庫で見張り番。
夕方帰阪。
夜、テレビで『インビジブル』を観る。
科学者の功名心がホラーに変わる?中途半端な透明人間もの。相手は「真っ裸」なんだから、どうにでも料理できるはずなのに、登場人物がバカ揃いでおかしな活劇に終わる。
妄想的ポルノSFに徹した方が面白くなったのになあ。
6月18日(土) 穴蔵/創作講座
終日穴蔵。
溜まっていた雑件処理。
昨夜は新宿ピットインで森山威男と板橋文夫の凄まじいバトルがあったらしい。本日は丸の内・日本工業倶楽部でニューオリンズ・ラスカルズの東京コンサートがある。
自由に動ける身であれば、しばらく上京するのであるが……。
ま、いたしかたなし。来月下旬までは地味な生活である。
夕刻、体が鈍った感じがするので、自転車で出かける。
1時間ほど早く出て、毛馬から大川沿いのサイクリングロードを走って天満まで。
天満・エル大阪で創作サポートセンターの講義の日。
講義といっても「専科」の提出作品の「合評会」形式。ショートショート含めて16篇あり、時代ものや人情話まであるから、わがコメントが的確なのやら……。
スペースコロニー内の公園でブランコに乗る場面があり、これはどんな揺れ方をするのか……などとやりだしたら、40分以上の時間超過となってしまった。
酒気帯び自転車はいかんので、まっすぐ帰宅。
天神橋南側の土佐堀川に面したところにイルミネーション。
何か工事中だが、新しい商業施設ができるのであろうか。
扇町公園を午後9時に通過。定位置にルン吉くんの姿はない。
6月19日(日) 穴蔵/ローランド・カーク
空梅雨の気配濃厚。
穴蔵に朝日が射し込み、遮光カーテン引くも、午前7時の室温、今年初めて30℃となる。
午後、阪急・西宮北口へ。
「Corner Pocket」というジャズ・スポット。昔ながらの「ジャズ喫茶」という雰囲気の店である。
ここで田中啓文氏のジャズ講座『グロテスクジャズの魔神・ローランド・カーク』……今まで続けてきた「ブローテナーの歴史」の特別篇という。
ローランド・カークは『ドミノ』『溢れ出る涙』しか聴いたことがない。映像を見たことは皆無。
1964年に来日していて、大阪公演を聴けないではなかったはずだが、この時にはカークをまったく知らなかった。これを見た知人の話では「大きな乳母車みたいなのに楽器を山盛りにして出てきて」「大根や人参を選ぶみたいに取り出しては吹き、終われば投げ込んでいた」とか。
田中さん、LP10枚、DVD6、7枚を使って、ブローテナーの「怪物」たちを数人紹介したあと、その「総元締」という位置づけでカークの演奏活動を解説。
田中さんの知識の深さに改めて驚く。特にカークの使用する楽器や奏法については「トリビア」ネタ続出で、へぇ〜〜と驚くばかりであった。
グロテスクSFのトップランナーだけに、昔、某ジャズ評論家がつけた「グロテスクジャズの魔神」という称号にシンパシーを感じている事情はよく理解できた。
トミー・フラナガンとの共演盤があるとは想像もしていなかった。
会場には小林泰三氏、田中哲弥氏、北野勇作氏らも……もっとも藤原ヨウコウ改メ森山由海さん以外は「怪獣もの」特集と勘違いして来たような気配である。
なんだか丸坊主が増えたなあ。
2時間半ほど。
終わったところで、とつぜん激しいドラム。どう聴いても森山御大!
『Live at LOVELY』がかかる。このセンスもいいなあ。JBLでサンライズを聴くのは初めて。わが穴蔵でこの音量はもともと無理だし。
ということで、カークのあと、森山威男を聴いてから帰るのであった。
6月20日(月) 穴蔵/『小島の春』/ハチ
早朝、「高千穂さんち」の6/17記事で、吾妻先生のご近影を見て愕然。
スーツにネクタイというのも驚きだけど。
ダイコンの時にご来宅いただいた写真があるはず……と探すが、見つからない。『失踪日記』のキャラはこの頃のイメージで、そりゃあれから20年以上だものなあ。お互い……
先日、老母がとつぜん『小島の春』を読みたいから探してくれといい出した。父の蔵書のどこかにあるはずという。が、なにぶんにも戦前の本である。
調べていたら2003年に新装版が出ていることが判明。午後、自転車でジュンクドーへ。「医学一般」のところにあった。播州龍野用に購入。
「ハチ」に寄り、8/8の山下洋輔ライブのチケットを押さえる。
夕方まで「ガンガン・タイム」であるが、客はおれだけだったので、ロイ・ヘインズ『Out of the Afternoon』をかけてもらう。
明利マスター、なんで今頃こんなのリクエストするねんという表情。
おれの影響(だけでもないけど)で今やスイング・クラに凝り固まっているマスター、ネット・オークションで入手した数枚を出してくる。
1983年ピーナッツ・ハッコー再来日時の鈴木章治とのライブ版を聴く。ヘレン・メリルはヨレヨレ。鈴木章治は、もうこの頃にはしんどそうである。この「鈴懸の経」は初めて聴くバージョン、痛々しく、涙がでてくるほど。
こんな調子で色々聴いていたら、たちまち夕刻。
帰路、「ジャズの専門店ミムラ」に寄ってチャック・ヘッジスを1枚。
夜は小川正子『小島の春』を読む。
老母が再読したいと言い出したのは、『砂の器』で思い出したからではなく、収容活動の記録の中に詠まれている多くの短歌が記憶にあるからであろう。
老母が言わなければ、この名著を読む機会はなかった。
6月21日(火) 早朝グルメ/穴蔵/滝川雅弘カルテット
午前2時頃に目が覚める……というよりも、蒸し暑くてあまり眠れぬまま、『小島の春』を読んでいたら起床時間を迎えた。
本日は夏至であるとともに、まあ特別な日でもあり、あまり仕事はしないことにする。
4時、久しぶりに自転車ででかける。
早朝の梅田界隈、ふだんよりはアホの数は少ないようである。
天五、「ひろや」へ。
「原価1500円くらいや」(ホンマかどうかはしらんが、ひろやで880円はいい値である)という大トロでビールを一杯。かるく朝食。
帰路、扇町公園を抜ける。ちょうど日の出。
ルン吉くん、「2番」定位置で瞑想しているのであった。
5月31日以来、3週間ぶり。
この2ヶ月、ここに定住しているようである。
上半身の「真冬」装束に較べて、下半身の服装は涼しげなビーチスタイルになった。
ルン先生、私もそのうち続きます。
夏至の朝、たちまち明るくなる。
穴蔵近くに戻る。
近くの公園、野良が増えていて、夜中に時々ケンカらしき鳴き声が聞こえる。
公園を抜ける。植え込みやベンチなどに5、6匹。じっとしている。時々見かける特徴的な数匹は見当たらないから、おそらくこの数倍はいそうだ。
これは林譲治さんの日記ではありません。
朝刊を読んでから、4時間ほど朝寝。
夕刻まで穴蔵。
夜は谷町九丁目、「SUB」へ。
滝川雅弘カルテットのライブ。播州龍野との往復で日程があわず、SUBで聴くのは今年はじめてのはずである。
滝川(cl)、箕作元総(g)、中村尚美(b)、テルシファー高坂(ds)。
ドラムのテルシファー高坂さんは初めて聴くが、何とも手数の多いテクニシャン。ボサノバとか、テンポの早い曲をやると面白い。
いい演奏で、いつも(去年)より客も多いのだが、どうも客質は低い。
大声の三人連れも困るが、おれの前の席にいる男女、向かい合わせに座っていたのが、酔っぱらった?女が男の横に席を移し、しなだれかかって、胸に顔を埋めたり抱きついたり、イチャイチャしはじめた。
阿川佐和子を下品にしたような喫煙女……感情(と性欲)をコントロールできない性格らしく、演奏と関係なしに「声」まであげはじめた。
別に嫉妬はしないけど、おれと滝川さんの中間で、演奏中に延々とこんなことやられてはなあ……。
(演奏者側は気にならないのだろうか)
休憩になっても、これらの客は動く気配なし、こちらが1ステージで失礼することに……。嗚呼。
歳をとると怒りっぽくなるのは確かだが。
6月22日(水) 大阪→播州龍野
定刻4時に起きる。夜来の雨、明け方にはやむ。
「本宅」の方は、先日来、衛星放送で明け方までサッカー中継を見ているらしい。就眠時間とおれの起床時刻が重なるので、朝刊や朝食のためにゴソゴソと物音を立てるのを露骨に嫌う気配が感じられる。困ったものだ。
龍野に運ぶ食材を冷蔵庫からコソ泥のように持ち出して、穴蔵に戻る。
ネットを見たら、ドラマーな建築家ジュンペイさん(森山威男ファンである)から Musical Baton が回ってきた。
あちこちで見かけていたけど、思いがけないところから来るものだなあ。
まあ、不幸の手紙ではないし、発作的に即答することにする。
1:Total volume of music files on my computer (コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量)
1.24GB
2:Song playing right now (今聞いている曲)
Poor Butterfly 滝川雅弘(来月Lyra Recordから発売のテスト盤)
正確には昨夜寝る前に聴いたCDだけど。
3.The last CD I bought (最後に買ったCD)
「Just Jammin'」 Chuck Hedges (ARCD 19273)
4.Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me (よく聞く、または特別な思い入れのある5曲)
・鈴懸の径 鈴木章治
・バーガンディ・ストリート・ブルース ジョージ・ルイス(河合良一も)
・枯葉 バディ・デフランコ
・ボディ・アンド・ソウル 北村英治+テディ・ウィルソン
・グッドバイ 森山威男(Live at LOVELY)
5.Five people to whom I'm passing the baton (バトンを渡す5人)
うーん、だいたい好みのわかってる人と不明の人と。
ご覧になったらよろしく。
・アセチレン・ランプさん
・上田早夕里さん
・喜多哲士さん
・クマゴローさん
・森下一仁さん
(50音順)
即答。といっても20分ほどかかる。……愛着のあるのはどうしてもクラリネットの曲になるが、「グッドバイ」がグッドマンでなく森山威男ってところがおれの「粋」である。
バトンを回された人は迷惑かもしれないが……。
ということでちょうど『朝はミラクル』開始時間になるが、この時間帯に、播州龍野へ移動。
またしばらくは退屈な日々がつづく。
6月23日(木) 播州龍野の日常
午前4時15分、朝刊を取りに庭に出たら、ちょうど雨が降り始める。
梅雨らしくなった。
プラスチック・ゴミの日。
7:10〜7:30の間に指定場所に出さねばならぬ。
むさしくんの「朝ミラ」時間であるが、この時間帯、なにかとたいへんである。
しかも……ゴミ袋には名前を書かねばならぬのである。
おれがサインペンで老母の名を書いたら、老母からクレーム。
「もっときちんと書いてほしい」という。……ご近所から「悪筆になった」といわれるのが嫌だという。嗚呼。おれの字と比べてもいたしかたなかろう。母の姓名を消し、おれのフルネームを書く。
ゴミ出しだけでもこんな手続きが必要である、21世紀でも、田舎はよ。
「山村工作」なんてのが夢のまた夢であったことがわかる。
オマワリも農家の息子で農繁期は田植えしてたりだったのだものなあ。
と、雨のなか、ゴミ袋をさげて歩くのであった。
紫陽花が雨にうたれているのであった……なんてセンチメンタルだぜ、イヒヒ、となぜか殿山泰司調になる。
ゴミを出したとたんに雨がやむ。
ふつうの日になってしまった。
スーパーの安売りでジャック・ダニエルを買ってきたのであった。
たちまち夜になる。
老母の湯上がりにあわせてスイカを切る。「よく気が利く」と喜んでくれるが、「湯上がりビール」のアナロジーで考えれば、当たり前のことではないか。
老母就眠後、おれは水割り飲みつつ森山威男のLPを聴くのである。
6月24日(金) 播州龍野の日常
喜多哲士さんのCD趣味、落語とか演芸関係ばかりかと思っていたら、意外に格調が高い。おれの所蔵CDとのダブりは「ホンダラ行進曲」だけであった。
ということで、生ゴミを出す日である。ゴミ袋にサインして、7:30までにとあわただしく自転車で往復。
帰ってくると、庭先に小枝?が落ちている。
……自転車で近づくと、それがS字型に変形し、動き出した。
ギャーーーーーッ! と声はあげないけど、今シーズンは見ることありませんようにと星に願いをかけていたのになあ。
庭の要所要所に蚊取り線香を置かなければ……。
で、7時40分頃から『朝ミラ』を聴く。
金曜は「本の紹介」のはずが、「野菜を食べよう」とかの話をどこかのオバサンがしゃべっている。
学校給食か調理関係の専門家か? ただ、このオバサン、明らかにボキャ貧で、「むさふみ」コンビのコメントに対して、オウム返しがやたら多い。
むさ「人気があるんですねえ」オバ「人気があるんですよ」
ふみ「面白いですね」オバ「面白いですよ」
……こんなのばっかり。アドリブがまったくきかないタイプらしい。
「雨乞い源兵衛」の次郎作か、お前は……と突っ込みたくなる。
と、これがコーナー終了間際、これが大阪府「恥事」の大○房○であることが判明。
ギャーーーーーッ! と声はあげないけど。そうか、月に一度、こんなコーナーがあったのだ。タケダも嫌だが、これも嫌だ。わかってたら聴かなかったのだが……。
本日、朝から、嫌な動物二匹と遭遇、このところ、ついてないなあ。
先日のおれの誕生日記念に打ち上げてくれたソーラーセルも失敗しとるし。(日本時間では22日だから、ちょっとちがうか)
午後、本屋で「月刊PLAYBOY」を買ってくる。この雑誌、まだあったのだなあ。手にするのは10年ぶり……もっと間があいてるかな。
「開高健」特集だが、買うほどの内容ではなかった。谷沢のおっさんのタイトル『若き日の開高健を誘惑した"悪女"』は、詐欺みたいなものである。おっさんの書いた評伝を読んでる者だったら、誰だって○羊子の新ネタ悪口と思うわなあ。
夜、テレビで「SW エピソード1」(まだ見ていなかった)を見かけるが、30分ほどで眠くなってしまう。
この程度のCGでも睡魔には勝てない。「物語」がつまらないからからだろうな。
定刻午後10時前に就眠。
6月25日(土) 播州龍野の日常
定刻より早く、午前3時に目が覚めてしまった。
相変わらずの日常。
午後は真夏の日射しとなり、あわただしくも「虫干し」。
午後の空を見上げるに、見慣れぬ飛行物体。
東の空、片山上空にパラグライダーが浮かんでいる。
2ヶ月前に登った片山の「アンテナ群のひしめく山頂」付近の「基地」からの飛行であろう。
初めて見た。
パラグライダーが3つ(単位は何なんだ、3機? 3体? 3羽? 3枚?)、鳶が舞うようにいたりきたり停滞したり。ついでに鳶が一羽、近くに浮かんで接近したり離れたりしている。こんな習性があるのかねえ。
やがて西に移動してくる。……東にある林田川の河川敷に降りるはずが、緯度ではわが家の上を通過して、揖保川西の河川敷に着地した。
意外に自由に動けるものだなあ。ヨットと同じで、前進・後退・停滞・その他の動作、原理的にはわかるが、実際に見ていると不思議な感じだ。……午後4時前後のことである。
ちょっとやってみたくなるなあ……
6月26日(日) 播州龍野→大阪
助っ人が来てくれることになったので、ちょっと大阪に帰ることにする。
昼の姫新線で姫路へ。
久しぶりに某寿司屋でビール一杯。
カウンターにオバチャン相手にやたら騒がしく「雑学」を披露しまくるおっさんひとり。
「カステラの語源」やら「チョンマゲの変遷」やら、しゃべってはることは間違いではないが、ともかくうるさい。
そのうち、「水原弘の破滅の原因はカツシンの遊び方をなぞったためや」という話になり、その流れで「わしの知っとるアイ・ジョージも困ったものや……日本人で初めてカーネギー・ホールで歌ったというのに」というから?!……アイ・ジョージ、どうかなってるのか? まだ生きてはるよなあ。
ということで、午後帰阪。
山陽電車〜阪神乗り入れの特急、三宮からやたら混む。甲子園で人気カードがあるらしい。
庶民の娯楽であるなあ。おれの興味からは遠く離れてしまった世界である。
6月27日(月) 穴蔵/市内/猛暑
律儀に午前4時に目が覚めるのであった。
朝刊に奥崎謙三と長新太の訃報。
不思議な取り合わせだが、なぜか小松さんを思い出してしまう。
前者については、親っさんの発言。「あいつは『ゆきゆきて、神軍』を自分が作った作品やと思い込どるねん」
後者については、某短篇に「短古細」という人物が登場したことがある。
どちらも、短いフレーズが永くわが記憶に留まっている例である。それだけ批評性が鋭いわけである。
朝日が昇ってきたのであった。
東向きの穴蔵は直射光を浴びるのであった。
午前7時に32℃。しばらく(30分ほど)クーラーをつける。今シーズンはじめて。
室温31℃以下なら、おれは平気なのである。
昼、自転車で梅田へ。
銀行はどことも長い列。特に期日が迫っているわけでもなし、すべて先送りとする。
チケットぴあで国際クラ・フェスの1dayチケットを購入。
旭屋覗き、お初天神まで行って、昼は久しぶりに瓢亭で夕霧そば。
しかし、やっぱり外回りは暑い。
まっすぐ穴蔵に戻る。
夜はCDでボブ・ウィルバーと滝川雅弘を流しつつ晩酌。
前者でビール、後者で焼酎ロックである。
料理は専属料理人の作った三色ピーマンのミンチ詰め、その他色々計5品、野菜類が多く味が複雑なのが鬱陶しい。
6月28日(火) 大阪→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動。
午前9時というのに「室温」が32℃である。……こちらでは、室温=外気の温度と考えていいから、これはおれの仕事温度を超えている。風はあるものの湿気を含み、晴れたり曇ったり、雲の移動のみ急。
門柱の横の凌霄花(のうぜんかずら)が開花し始めた。
*
凌霄花の花咲く季を目途として
麦湯たぎらすこの夏もまた
これは老母の女学校時代の作で、気に入っているらしく、60年以上経った今もよく口にする。
毎年、凌霄花が咲くと、熱いお茶から冷たい麦茶に切り替える習慣になっている。
今年も老母用に麦茶を作るのであった。おれはむろん季節問わずに麦酒であるが。
ということで、おれはビールを飲みつつ老母と夕食。
老母はだいたいNHK(TV)を見る。 二審も死刑とかニュース色々、イラン事情などあり、食器片づけ終わって水割りに切り替えというあたりで「歌謡コンサート」が始まった。
年寄りはこういうの好きらしいのよね。
と、にしきのあきら(今は錦野旦と表記するのか)が出てきて「空に太陽がある限り」を熱唱。
この歌はどうでもいいのだが、おれは錦野ファンである。
トランペットを吹いていたはず。
その関連だと思うが、30年ほど前のスイング・ジャーナルのインタビュー記事でマイルスについて語っていた。
「In A Silent Way」がいちばん好きだとか。
ともかく、この人はまぎれもない本物のジャズ・ファンである……と思った。
以来、この30年ほど、おれはずっと「にしきのあきら」が好きである。
まあ、ちょっとしたきっかけで運命は大きく変わるものだ。
しかし……にしきのあきら、いいなあ。
6月29日(水) 播州龍野の日常
暑い。
家屋の構造上、クーラーは設置できないので、書斎その他数カ所に網戸を取りつける。
工事に来た大将……といっても40歳くらいか……が工事しながら、 「おたくのお母さん、作詞もしはるんですね」
「短歌をやってるけど」
「いや、ぼくが行ってた保育園の園歌の作詞がおかあさんですねん」
ほんまかいな。
老母に訊けば、保育園が園歌を募集していたので応募したら入選、どこかの高校の音楽の先生が作曲して、何かの式典にも招かれたことがあるという。
が、40年ほど前のことである。
母も忘れていたという。
気になるので、ちと遠いが「太陽保育園」へ行ってみる。
と、確かにあった。園長さんが歌詞カードをコピーしてくれた。
この園歌……まあよくできているが、かんべむさし氏が『笑い宇宙の旅芸人』の中で「戦車隊の歌」を作るギャグが出てくる……あの作詞理論とまったく同じ。
「戦車隊」では「春夏秋冬」「東西南北」「上下左右」「喜怒哀楽」を折り込で4行*4番という構成。
これが「園歌」では「朝・昼・夕」「歌・遊技・挨拶」「仲よく・楽しく・正しく」「太陽・月・星」で4行*3番……ただし最後の「太陽・月・星」は保育園の名前にちなんで全部「太陽」にしてある。
つまり、かんべさんなら鼻歌まじりで作れるレベルか……などといってはいかんなあ。
これも立派な作品。米寿記念の歌集に収める予定である。
昼のテレビニュース。
そうめん食べながらボケーッと見てたら、デパート商戦についてUFJ総研の人がコメント。
名前が「五十嵐敬喜」と出てギョ。
こんな名前だと、何をしゃべっても三百代言の因縁にしか聞こえないから不思議だ。
午後は不穏な遠雷がつづく。15時過ぎにやっと夕立。が、涼気を呼ぶほどではなし。
「脅し」だけで何の実効もないチンカス・五十嵐敬喜の訴訟指揮みたいなもの。
五十嵐はイボイノシシにさも似たり、顔面魁偉で論理ガタガタ。
お金払った早川清が気の毒になってくるなあ。
6月30日(木) 播州龍野の日常
午前4時、室温30℃である。が、むろん冬よりはずっと快適である。
朝刊にロベール・ヴリーゲン氏の訃報。
中学時代にクラを吹きはじめた頃を思い出す。
『朝ミラ』を聴いていたら、番組初め、かんべさんが「昆虫」の話をしていて、とつぜんおれがつい先日書いたS字型変形動物のことをしゃべるからギョ。あれは「虫」には違いないけど、「昆虫」とはカテゴリーが違うぜ。
注釈メールを送ろうかと迷うが、本日のテーマは「ボーナス」で、雰囲気が違うから遠慮。
<注釈>とは……実家周辺、住宅が増えたが、まだ水田も残っている。この季節、田植えが終わって田に水が張られると、田に棲んでいたのが「陸地」にあがってくるらしい。したがって、隣接する畑とか草むらにはあまり入らない方がいいという。
水田から続々と上陸してくるなんて、嫌だねえ。
線香を焚いておくと忌避するらしい。が、火災も心配である。
で、気になる場所には蚊取り線香……ということになるのだが、もっといい方法はあるのだろうか。
午後、書斎の室温33℃となり、さすがアタマが働かない。
風通しのましな座敷に移動、寝転がって終日雑読。
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