『マッドサイエンティストの手帳』841
●マッドサイエンティスト日記(2024年11月後半)
主な事件
・創サポ講義(16日)
・SF検討会@穴蔵(22日)
・播州龍野いたりきたり
11月16日(土) 創サポ講義
曇。ほとんど穴蔵にこもって過ごす。
今夕講義のために、作品の再読、メモ取り。
夕刻に這い出て、地下鉄でCANVAS谷町へ。
創作サポートセンターの講義。
本日は「脱出・逃亡」の課題で募集した作品集、6篇について。
(文学フリマに出品予定というから、サワリを紹介してもいいだろう。)
・男子を親が留守中の自宅に招き入れた女子。男子が帰った後、自宅に周辺で人の気配。どうやら元カレが侵入しようとしているらしい。スマホ・LINE・固定電話がからみあう恐怖小説。作者はLINEアプリを利用し、それをベースに改稿したという。LINEにうといのでコメントに自信が持てない。少し混乱している部分が、作者のせいかアプリのせいか、判定不能である。
・縁談を断って出奔した剣道師範の娘、美青年剣士の姿で旅をつづけるが、ややこしい連中が襲いかかる。ドタバタチャンバラというよりも、桁外れの脱線ぶり。面白いのだが、ここまでの脱線が許されるか……読者の度量が試されているような。
・格差社会で自殺者が増え、格差是正よりも先に「応急措置」的に、AI利用の「自殺を思いとどまらせる装置」の装着が普及するのだが……。明日にでも実施されそうな制度で、設定が細部までじつにリアルに描かれている。シリアスな作品だが、「宝くじ」のようなサービスがついているところが笑を誘うSF的アイデア。
・身寄りのない大富豪が死亡し、莫大な遺産を引き継ぐ美貌の女流作家が、大富豪の伝記を10万年後まで残すために、フィンランドのオンカロへ向かう。ある原子力科学者が通訳を兼ての同行を求められるのだが……。ミステリアスな雰囲気の短篇。
・温暖化が進行する2060年。眼下では巨大台風が吹き荒れ、最後の超AIへの電力供給が危機に陥っている。システムを宇宙空間に切替ようとするプロジェクトが、上空の対流圏でクライマックスを迎えている。その中枢を担う真知子の姿は……。題材圧縮の力作。枚数制限は無視してもいいと思う。
・ランニングがとつぜん逃亡に切り替わる変わる。奇妙なコント。
作風多彩で、こちらも疲れるが、面白い作品集になっている。
21時頃に帰館。
一杯飲んだあと、BSで『筒井康隆の世界〜文学界の巨人 90歳のメッセージ〜』を見る。
長年の活動を(演劇も含めて)多方面から検証していく。最近の車椅子で執筆されている姿に、ただ敬服。
気楽に飲んだくれていてはいかんのだなあ。
11月17日(日) 穴蔵/兵庫知事選
晴のち曇。ほぼ終日穴蔵にあり。
外出は重量物(主にアルコール系液体数キログラム)の運搬役として専任料理人に随行のみ。
たちまち夕刻。
数皿並べてもらって昼間運んだ液体を消費しているうちに20時となる。
兵庫県知事選の投票締め切り。
サンテレ(3ch)を見たら、即座に斎藤元彦当選確実と出た。
早いなあ。わたくしは斎藤当選を予想していたが、こんなに早く決まるとは思わなかった。
米大統領選の展開と同じで、接戦とかはマスコミの偏向報道だったとしか思えない。
この選挙は純粋の野次馬(大阪府民だから)として興味を持って見守って来た。
・まず6月17日に播州龍野で「パラハラおねだり体質」のことを聞いた。百条委員会設置が決まっていたが、騒ぎになる前で、別に興味もなかった。
・しばらくして局長が自殺(7月7日)して、騒ぎが大きくなった。
・8月末からの百条委員会はおかしな進行だった。
問題の本質はおねだりなどとは別のところにあるのに、「倫理上の問題」として委員会はこれを伏せた(これはおかしいと9月6日に書いている)。
・百条委員会の途中で県議会が不信任案を提出。「全会一致」(これもおかしいと思った)で可決。斎藤は失職を選択した。
・公示前の10月12日に偶然姫路で斎藤を見た。
この時も斎藤の言動に(表情にも)変化はなかった。この4ヶ月間、まったくブレがない。これまた凄いことである。
その後、播州龍野方面に電話して、現地で流れている「ウワサ話」を教えてもらい、諸々の疑問が氷解下した。立花孝志の「応援演説」のずっと前で、現地ではよく知られていたらしい(マスコミも知っていたはず)。
この時に、おそらく斎藤元彦の再選は間違いないだろうと思ったのである。
これで選挙の予想は3勝1敗である。
○ 都知事選
× 衆院選(大阪の小選挙区)
○ 米大統領選
○ 兵庫県知事選
選挙権のあるところだけペケか。なお、くどいようだけど、予想はあくまでも野次馬としてであり、支持政党とか候補者の支援を表明するものではありません。
11月18日(月) 穴蔵
晴。北風が強く、雲の流れ急なり。
終日穴蔵。
時々テレビを見る。ワイドショー系のキャスターやらコメンテーターどもの「電波芸人」、斎藤再選について「いい訳」めいた発言ばっかり。
選挙報道では、SNSは自由だがテレビは制約があるといいたいらしい。
公示前のテレビ報道こそが偏向(隠ぺい)だったのではないのか。
わたくしは「SNS人民」ではないが、SNS利用者を愚民扱いするのもいかがなものか。
テレビが(活字ほどではないかもしれんが)衰退期にあることは自覚した方がいいぞ。
たちまち夕刻。
数皿並べてもらって一献。
*
雲の動き急な北梅田の夜景を眺めつつ、本日はモンク師匠を聴く。
寒波襲来の予報だったが、たいしたことなし。
11月19日(火) 穴蔵
予報でも報道でも、寒気が流れ込み、今季いちばんの寒さという。
確かにベランダは昨日より6℃ほど低い(まだ終日10℃は切らないが)。12月並らしい。
終日穴蔵。
室内は21〜22℃で推移。暖房の必要はなし。
午前中、少しは仕事もしたが……やはり体が冷えてきた。
昼は鴨だし蕎麦。明太子、しらすなども並べてもらう。
*
これでぬる燗をちょいと一杯。
昼間からこんなことやっていていいのだろうか。いいのである。もうそう長くないからな。
今週、播州龍野行きのつもりでいたら、相棒の某くんから連絡あり、明日行ってくれることになった。
気が楽になり、もう一杯。
11月20日(水) 穴蔵
晴。寒いのであった。
終日穴蔵……のつもりだったが、午後に集合住宅が1時間停電(電気設備の点検)するので、その時間をはさんで2時間ほど外出。
梅田うろうろ。書店、金融機関、ヨドバシなど回り、帰館したら、ややこしい案件の多くが片づいていた。
・播州龍野へ行った相棒から実家の写真添付メール。出向くほどのことはなかったと判明。
・同じく播州龍野の某センターから、某作業は今週中に行うが、立会いの必要なしとの連絡。
・同じく播州龍野の某管理委託会社からの連絡。予定の事案は年内に片づくという連絡。
・同じく播州龍野の某自動車からの連絡。これだけは迷う。クルマを廃棄して免許返上するか、あと1年延長するか。
何事もイライラしているより、ほったからしにしておけば自然に解決していくようだ。
これからはそうしよう。
さっそく実行。専任料理人に数皿並べてもらってビール、湯割り、早寝。
11月21日(木) 穴蔵
晴。終日穴蔵。
少しは仕事も……と思いつつ、たいした成果はなし。雑事は少し片づく。
書くことないので、本日の食生活を書いておくことに。
・5時、ひとりで朝食。
野菜ジュース、トースト、ハム、サラダ、ミルクティ、果物。
これはこの15年ほど変わらぬメニュー。
・12時〜自宅で昼食。
野菜ドバドバの皿うどん。
*
せっかくなのでビール一杯。
昼間からこんなことやってていいのか。いいのである。先は長くない。
・19時〜明日から5年ぶりに静岡行きの専任料理人と別れの盃。
グラタン、サラダ、手羽焼きなど並べてもらってビール。
*
ポテトのミルク煮?がなかなか。あとワイン飲みつつダラダラ。
毎晩こんなことやってて……いいのである。もう人に迷惑をかけることもないだろう。
11月22日(金) SF検討会@穴蔵
晴。小春日和といっていいような穏やかな日。
終日穴蔵にあり。
・専任料理人の静岡行きは都合により1週間ほど延期となる。
久しぶりに独居生活を満喫のつもりだったが……ま、来週送りだからいいか。
気分入れ替えて、午前中はマジメに机に向かう。
・昼、タイムマシン業の相棒の某くんが来る。
一昨日、播州龍野へ行ってくれたので、その報告と海外関係の打合せ1時間ほど。
新規案件ではなく、どの辺で打ち切るかの検討。事業は実質的に終っているものの、技術サービス・部品供給はまだ継続していて、いわば「終活」の相談である。相棒は5歳ほど若いが、もう後期高齢者だからなあ。
・夕刻、かんべむさし氏来穴蔵。久しぶりに定員2名内容非公開のSF検討会を開催する。
本日は早めの忘年会も兼ねて、ビール、湯割り飲みつつ……最初は兵庫県知事選、つぎに桂雀々さんの訃報、その関連でもないが、話はどうしてもと「終活」の方にいってしまう。
終活といっても、要するに「本の処理」で、いつ蔵書に見切りをつけるか。つけられるか。
わたくしの場合、ダンボールに詰めて播州龍野行き、そのまま保管だから、実質的には「処分」なのだが、棄てられないことではかんべさんと同じである。その播州龍野の家にもややこしい問題が生じている。面倒なことよ。
例によって結論は出ず、来年に持ち越し。
11月23日(土) 穴蔵
勤労感謝の日である。
もう勤労していないから、他人とたがいに感謝し合うわけにもいかない。
せめて世間のジャマにならぬよう、出歩かないことにする。
終日穴蔵。
ほんの少しだけ勤労して、短い文章をメール送稿。
夜は専任料理人が普通のメニューを並べた。
*
新嘗祭の原点に戻って、新酒やボージョレ・ヌーボーで「農作物の恵み」に感謝したいところだが、高くて手が出ず、少し古い麦や葡萄から作った液体飲料で豚肉や和風パスタをいただく。
肩身の狭い祝日であった。
11月24日(日) 穴蔵
運動不足である。
午前、歩くことにして、人の少ない北東方向へ。淀川を眺めたく、毛馬堤を目指す。
豊崎東公園〜豊崎神社〜本庄公園。
*
木々が色づいているのであった。ただ、急速に雲が増え、ともかく寒い。
長柄橋手前で引き返す。淀川堤には辿りつけず。嗚呼。
昼前に帰館。それでも6000歩くらいになった。
あとは穴蔵にこもる。
晩秋というより、もう冬であるなあ。
11月25日(月) 大阪←→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ向かう。
慌ただしい日である。
・タイムマシン格納庫の部品チェック(早目の棚卸である)。
・引き続き格納庫に設置の無線ルーターに持参のノートPCをつないで動作チェック。
相棒が格安で契約している無線ルーターだが、使用頻度が少なく、有効利用するためのテストである。
・実家に移動。こちらでも通信環境のチェック。
実家のデスクトップ機はWin7で不調。本格的にこちらで仕事する場合は買い替える必要あるようだ。
・実家の周辺と内部のチェック。シルバーによる庭木剪定はほぼ終了。松の木のみ来月。面倒なことである。
内部の本は相変わらず手つかず。
・たつの東端のM自動車へ。自動車保険の手続き。諸般の事情であと1年と決める。
・金融機関にも回る。
*
龍野橋東端からの揖保川と鶏籠山を眺める。龍野公園の紅葉はまだのような。
ぶらぶら散策したいが、本日は時間なし。
・I工務店に行き、今後のだいたいの方針を相談。
これはいちばんの問題だが、近所に住むややこしい人物が死ぬまでは難しいところがあり、子供の代にまかせるしかない気がしてくる。
夕刻の電車で帰館。
ほぼ1日、暖房なしの空間で動いていたから、体が冷え切っているのを帰館してから実感する。
久しぶりに入浴。盛大にビール。早寝。
11月26日(火) 穴蔵
昨日の反動で終日穴蔵。たいしたことできぬまま時間が過ぎる。
曇天、昼過ぎから雨。だんだん強くなり、夕食時がビークとなる。
北梅田から見るビル群がかすんで見える。
*
これを眺めつつ、ビーフシチューなどでビール、ワイン。
Stormy Weathert かなとCD棚を探したら、上山高史『ALLEGIANCE』があったので、こちらを流す。
「P.S. I Love You」が泣かせる。
夜中のネコたちが気になるが、早寝させていただく。
・早寝したら地震で目が覚めた。22:47、震源は石川県西方沖で震度5弱(と後で知ったが)。
長い横揺れ……20秒くらい揺れていたような気がする。大阪(大東)は震度3だから、かなり広域。眠れなくなる。
1月1日の能登地震では本数冊が落下したが、今回は被害なし。ほぼ1年ぶりで、やはり前回の恐怖が蘇る。
前回というのは阪神淡路大震災で、来年1月17日で30年になるのだなあ。(11月27日)
11月27日(水) 穴蔵
曇天。陰鬱な空である。夕方まで晴れて洗濯日和の予報はどうなったのか。地震のせいではあるまい。
終日穴蔵。
睡眠が不規則になり。半分居眠り状態で過ごす。
少し先だが、面白い話もちらほら舞い込んでくる。
生きてさえおれば楽しいこともあるのだ。
夜は焼売なんぞでビール。
*
BSで『ブレードランナー2049』(まだ見てなかった)をしばらく見る。
が…一杯飲みながらでは背景がややこしくて追いきれない。
途中で断念。本日も早寝。
11月28日(木) 穴蔵
晴。風強く、雲の動き急なり。
少しは歩かねばならぬ。
午後、茶屋町を抜ける。MBS・梅田劇場間の歩道に秋の色濃厚であった。
*
ジュンク堂で1時間ほど過ごす。立ち読みだが。
本庄を回り、液体系重量物を下げて帰館。
・ユニチカが繊維事業から撤退のニュース。
大物の南にある尼崎紡績跡地へ行ってみようと思っていたところ。たぶんそのまま残るのだろうが。
大大阪(だいおおさか)の残照はしだいに消えていくなあ。
・「波」12月号。筒井さんの連載再開は何よりである。
どうやら新住居にもなじまれたような。
たちまち夕刻。
一杯飲んで早寝させていただく。
11月29日(金) 穴蔵
曇、午後には晴。
昼前に専任料理人が出て行った。別に愛想尽かしされたわけではなく、7回忌で静岡行きである。
そうか、あれから6年になるのか。3回忌はコロナで見送りになったし。
今回はごく身内だけで行うので、わたくしは大阪で独居生活を満喫させていただくことに。
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった。いと少なしを。
11月30日(土) 穴蔵
晴。工事音もせず、静かな日である。
終日穴蔵。
独居生活を満喫。
不思議なことに食生活も不自由せず。
昨夜につづき、夕食を次男が作る。その一品。
*
これが専任料理人よりうまい。
一杯飲んで早寝。
SF HomePage