『マッドサイエンティストの手帳』692

●マッドサイエンティスト日記(2018年11月後半)


主な事件
 ・神戸新聞文化センター(16日)
 ・林譲治氏@創サポ(17日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・駿州静岡いたりきたり


11月16日(金) 神戸新聞文化センター
 午前、講座の原稿再読、メモ取り。
 昼前に出て阪急で三宮へ。
 13時から神戸新聞文化センターでの講座。
 提出作品(エッセイ)には、不思議に終活・闘病・看取りのテーマが集中。年齢からいって不思議はないのだが、切り口はバラバラ。ただ、誰もが「ピンピン、コロリ」を切望していることはよくわかる。
 その他、面白い作品色々。
 あと、近くの喫茶室でお茶。
 今回から参加のHさん。「娘が京大SF研で、JAXAに就職しました」。びっくりするなあ。
 京フェスはしばらくご無沙汰しているが。
 時代は変わっていくのである。

11月17日(土) 林譲治氏@創サポ
 秋晴れである。
 穴蔵にて色々と再読、メモ作成。
 夕刻に這い出て天満橋のエルおおさかへ。
 不定期に開催している創作サポートセンターの「関西のSF作家に創作法を聞く」シリーズ。
 本日のゲストは林譲治氏である。
 林譲治さんとも長いつきあいである。30年以上になるはず。林さんはデビュー前から、ファーストコンタクト・シミュレーションで数々の斬新なアイデアを出すことで知られた存在であった。
 そのコンタクト・ジャパン時代、人外協時代から、デビュー作(これがややこしく、架空戦記、ノンフィクション、SFM短篇など、時期が重なる)の頃のことから。
 「ウロボロスの波動」の諸作の創作ノートを持参、構成表のコピーまで配布してもらって、詳しい創作法を聞く。
 創作ノート(これは手書き)には想像以上に手間をかけられていて、思いついた順(日付入り)にアイデアや計算表、設計の概略図、グラフ、組織図などがびっしり書き込まれていて、だいたい作品1冊にノート1冊くらい(数冊もあり)という。
 しかも、構想段階が終わればスムースに執筆が進むかというと、必ずしもそうは行かず、極端な例では、1500枚完成させたものの、迷いが生じて、改めて最初から600枚に書き直した話まで出る。
 「侵略者の平和」「大赤斑追撃」「記憶汚染」「進化の設計者」「ルナ・シューター」などについて聞き、話題の最新作「星系出雲の兵站」まで。
 北海道〜東京〜大阪への転居事情についてもお伺いする。
 その生活スタイルは極めてストイックである。執筆や構想に要した時間と枚数を細かく記録して、作業効率と自分の体質に合う時間帯を見つけ、それに生活を合わせて(朝型夜型といった荒っぽいものではない)今のスタイルに落ち着いたのだとか。
 執筆は現在はマックなので、書斎やスタバなど色々。「川でも書いてみたい」ということであった。実現すると、淀川堤、ウチの上流と下流でSF作家が執筆中ということになるのか。
 おれも参入したくなる。

11月18日(日) キンレイの鍋焼きうどん
 肌寒い日である。
 終日穴蔵……のつもりであったが、夕刻外出5分、至近のコンビニ(ミニストップ)往復のみ。
 専属料理人から、帰館が深夜近くになるとメールがあったため。
 夕食分だけでいいので、面倒になり、キンレイの冷凍鍋焼きうどんを買ってくる。
 話はとつぜん学生時代のことになる。
 機械工学科で、工場見学が色々あった。
 大阪ガスも見学に行った。
 いちばんの課題は何ですかという質問への答えは「夏の需要をあげることです」であった。
 半世紀経った今も、同じ回答をしているはずである。
 同窓のAくんが大阪ガスに就職した。
 7、8年後、Aくんに連絡して、工場見学をさせてもらった。
 近畿冷熱(夏でもガスを使うひとつ)に出向中で、冷凍食品の鍋焼きうどんを開発したのが彼だったのである(開発チームの中心メンバー)。
 高石市高砂の工業地帯にその工場はあった。
 ともかく、うどん粉を捏ね製麺機を使うことから始めたという。それからの試行錯誤の話はまことに感動的であった。冷凍した出汁を下にしてアルミ鍋に入れる方式で特許か実新をとった。そしてコンビニの拡大とともにヒット商品となった。
 その工場のラインが動き出したあたりで彼の手を放れたそうである。
 もう特許も切れているが、キンレイの鍋焼きうどんは、コンビニの定番商品として残っている。
 何よりも味がいいからであろう。
 おれは今も愛好している。
 ということで、ビール、酎ハイ。
 早寝するのである。

11月19日(月) 桜橋某院/理事会
 午前4時起床、未明の雨は6時過ぎにやむ。
 通勤ラッシュ前のグラフロを抜けて桜橋の某院へ。
 年に1度の検診。先日のホルター装着の結果と本日の心電図を付き合わせての診断結果を聞く。
 「あれから5年半になりますが、異状は見あたりませんし、もうこれでいいとも思いますが、どうされますか」
 もう来なくてもいいという意味である。
 しかし、気分的にはいささか不安も残る。
 結局、年1度のエコー検査だけをやることにして、来年11月の予約をする。
 これで1年間、不摂生が楽しめるわけである。
  *
 久しぶりに壁抜け猫と対面。5年前に斜め上の部屋から毎日眺めていた懐かしいやつである。
 ついでに近くの(10時開店の)10分店(QBとも申せましょう)でドタマすっきり。
 グラフロの西側を歩いて10時半に帰館。
 夕刻まで穴蔵にこもる。
 夜は集合住宅の理事会。ダラダラ、陰々滅々の議論で21時を過ぎる。嗚呼。
 来年はややこしい役職が回って来そうで、命が持つのか心配になってくる。
 21時半にやっと晩酌。
 久しぶりに静岡メニューだが、気分は晴れず。
 朝は陽、夕は陰の日か。
 ゴーン逮捕のニュースが面白そうだが……さっぱりアタマに入らん。

11月20日(火) 穴蔵
 晴れて肌寒い日。
 終日穴蔵。外出はジュンクドー往復のみ。
 テレビは終日ゴーンの逮捕劇。ちらちらっと幾つかを見たが、似たようなのばっかり。
 こちらの興味は拘置所内での扱い(殺人犯とかポン引きとか酔っぱらいの暴漢と同等なのか)だが、どこも触れてないような。
 お楽しみはこれからだ。
 たちまち夕刻。
 専属料理人が静岡メニューその他色々並べる。
  *
 昨日のしらすおろしに続いて、本日の静岡メニューは黒半にわさび漬け載せ。
 冷酒がうまい。
 早寝するのである。
 ゴーンくんも拘置所で小便してから寝たまえ。

11月21日(水) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時に起きる。
 穴蔵にて鬱々と過ごす。
 いかん、一昨日の理事会議論が尾を引いている。
 理事長を務めるなど、寿命を縮めるどころか、命取りになりかねない。
 悩んでいてもしかたがない、来年は、最悪「引越し」、中程度で「播州龍野に引きこもり」、軽度で「どこかへ検査入院」することにしよう。
 龍野に引きこもって長篇書くのがいいのかな。
 そう覚悟を決めると、少しはましな気分になる。
 運動不足なので、午後、散歩に出る。
 久しぶりに西回りコース。
 許永中の生家あたりから貨物線の西側を南へ。
  *
 ミニ哲学の道には誰もいない。
 うめきたの紅葉は未だしの感。
 2期地区を横断して大阪駅経由、駅前ビルのチケットショップへ。
 姫路往復を購入、昼得という制度がなくなることを知る。
 店の表記もバラバラでややこしく、売切やら、消してあったり、価格が違ってたり。
 60円ほど高くなるが、致し方あるまい。播州龍野行きの頻度は減ることだし。
 ジュンクドー経由で帰館。
 7,000歩ほど歩いた。

11月22日(木) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 午前中雨の予報だったが、車中にいる間に小雨が降っただけで、龍野は9時にはやんでいる。
 こちらは寒い。ダウン着てくればよかった。
 某事務所へ行って最終の書面の受取り。
 これで夏頃から進めていた、ややこしい区画の整理がやっと終了した。
 あと、実家とタイムマシン格納庫で雑事色々片づける。
 午後、姫路へ。
 久しぶりに姫路城までぶらぶら。
  *
 桜は多いが紅葉はさほど見あたらない。好古園の方が名所か。
 紅葉は未だし。見頃は12月初めであろうか。来ないけど。
 新快速で帰阪……と、高槻で接触事故?があったとかで、大阪駅で運転打ち切りになった。
 車内放送が「緩い」感じで、客の3割くらいが降りず、しゃべったりスマホ見たり居眠りしている。車掌がうろうろ。揉めるかな?
 運転再開まで40分らしい。おれは関係ないけど。
 グラフロ経由でさっさと帰館する。
 (ゴタゴタは1時間ほどだったようである。)

11月23日(金) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時に目覚める。室温20℃、ベランダは10℃で、それほど寒くはなし。
 3連休の初日、朝から専属料理人が実家へ帰ってしまった。よくあることである。
 本日は勤労感謝の日。勤労とは「勤務の苦労」で、おれは18年間やってない(好きな仕事しかしていない/苦労もない)から、何に感謝していいのかよくわからん。世間の勤め人に感謝する必要もないだろうし。
 ま、本日は仕事しないことにする。
 昼、散歩する。梅田の雑踏を避けて東南コース。扇町公園から「天五、天六、天七と、私の人生暗かった〜」などと口ずさみつつ、天六で立ち食いうどん、天八から長柄橋経由、淀川堤を豊崎まで歩いて帰館。7,000歩ほどになった。
 専属料理人からメール、あれやこれや。
 週明けに色々ありそうな。
 たちまち夕刻。
 昨夜の残り(おでんなど)や作り置きの総菜並べて独酌。
  *
 諏訪の麗人酒造「杜氏の腕試し」なる、ボンクラ息子その1の配偶者から届いた冷酒を一献。
 うまっ。フルーティというべきか。だらだら飲み。
 これも供養である。

11月24日(土) 穴蔵
 定刻4時に目覚めてBSニュース見たら、夜中に万博の大阪開催が決まったらしい。小川理子さんがピアノ弾いている。やれやれ、また騒がしいことだ。
 2025年まで生きてるか不明だが、いずれにしても見に行くことはない。
 前の万博では、国際SFシンポジウムの最終日が会場内だったので行ったが、1日だけ。以来、博覧会なるものには行ったことがない。
 師匠に申し訳ないが、花博も行かなかった。
 五輪、万博と、鬱陶しい7年がつづく。嗚呼。
 終日穴蔵。
 鬱々と過ごす。万博だけが理由ではないのだが。

11月25日(日) 穴蔵/ウロウロ
 3連休の最終日。天気晴朗なれど気分鬱。
 穴蔵に閉じこもっていてもいかんので、昼、散歩に出る。
 一昨日の逆コース。淀川堤を東へ。長柄橋から南下、天六の玉一でこういうものをいただく。
  *
 水分補給も怠りなし。
 だいぶ元気が出てきた。
 穴蔵に戻り、ボケーーーーッと過ごす。
 近未来のことを色々考える(25年ほど先までの近未来年表を作っていて、絶えず更新している)。
 これからの7年、ろくでもないことばかりで鬱陶しくなる。
 楽しみは2020年12月「はやぶさ2の帰還」だけ。これがあるから生きようという気分になる。

11月26日(月) 大阪→静岡
 昼前に出て、静岡に向かう。
 静岡に来るのは(2011年のSF大会を台風のため断念したから)じつに12年ぶりである。
 駅の一角にある「三久」が気になって見に行くと、ちょっと場所が変わって先月新装開店したところであった。
  *
 しらす、桜エビ、黒半などの静岡メニューに、魚いろいろ、静岡おでんも加わり、蕎麦はうまいときている。好きなものばかり。
 今夜はここだなと決めてから、ホテルにチェックイン、某会場に向かう。
 色々とあった後、なんと先方がご馳走してくださるという。
 で、案内されたのが駅前の葵タワー地下にある「入船鮨」
 こちらは三久より相当グレードの高い店である。
 生しらすから始まって、桜エビの掻き揚げ、刺身、その他、最後の寿司まで、駿河湾の幸を満喫する。
 まことにありがたく。

11月27日(火) 静岡→大阪
 絵に描いたような小春日和である。
 市内の会場から、昼頃に安倍川を渡り、すこし上流へ。
  *
 東の方に富士山がちらっと見えたりする。まるでハイキング日和。
 色々あった後、夕刻静岡駅へ。
 1時間1本(ローカル駅だなあ)のひかりで帰阪する。
 ちょっと疲れた。
 早寝するのである。

11月28日(水) 行列は消えた
 終日穴蔵。資料を読んで過ごす。最近は目が疲れるなあ。
 外出は郵便局往復のみ。
 新御堂の豊崎交差点に本日も行列。
  *
 12時40分、半年前にオープンした麦と麺助には相変わらず20人ほどが並んでいる。
 一方、10年前から続いていた弥七(右端/30メートルほど西)の行列は消えた。休みかなと思ったら、時々人が出てくるから、空席があるのだろう。
 おそらく行列が戻ることはあるまい。ラーメン人種とはそういうものである。
 夜は独酌。
 キンレイの鍋焼きうどんに野菜と肉を追加して、ダラダラとビール、酎ハイ。
 昨日、一昨日の美食とはえらい違いだが、おれには体質に合っている。
 テレビで林修(林望センセイにあらず)という人の解説番組を途中から見る。
 姫路城を取り上げてたが、知ってることばかり。
 ただ、最後に「揖保乃糸」を姫路の名産品と紹介するのはいかがなものか。
 揖保川は龍野だし、「すくね茶屋」は龍野公園の奥にあるつまらん店ではないか。
 テレビ番組にいちいち腹を立ててもしかたないか。ただ、ヤラセではなく、明らかに事実の間違いだからなあ。

11月29日(木) 穴蔵
 快晴である。
 朝、洗濯をするのであった。
 あとは穴蔵にこもって資料を読む。
 運動不足である。歩くことにする。
 午後、中崎町の路地裏をうろうろ。
 ヤマタツでトンカツ、タカセで食材を購入。
 帰館したら、ウチの玄関前の路上で何やら撮影している。
  *
 背景に特別な樹木があるわけではなく、ビルも普通。何か商品を持ってるわけでもなし。
 専門学校(ESPエンタメ)の生徒か?(どこかで画像を見られたらご教示を)。
 たちまち夕刻。
 楽しき独酌となる。トンカツとキャベツでビール、湯豆腐、イカの塩辛で冷酒をチビチビ。
 出来合いのキンピラを買ってきたが、不味くて食えず、処分。根野菜だけは専属料理人のでないとダメである。
 揖保乃糸(黒帯/いっとくけど龍野産でっせ→林修)の煮麺で仕上げ。

11月30日(金) 穴蔵/ウロウロ
 絵に描いたような小春日和である。
 穴蔵にこもって資料を読む。
 歩かねばならぬ。昼前に出かける。
 月末なので金融機関で処理の用件あり、いつもは梅田だが、本日は天六へ。
 雑事片づけ後、商店街うろうろ。
 店舗の新陳代謝を見るのは楽しい。
 おおっ、いぶきうどんの横に都そばがオープンしている。
  *
 これにはちょっとびっくり。
 いぶきうどんは2年前にオープン。なかなかうまい店である。ただ、立ち食いとしては「うますぎる」と思った。
 立ち食いは「早い、安い、うまい」(←この順が大事)である。
 いぶきの横に都そばだからなあ。都そばの意気込みは看板記載の通りだろうけど、うまいのレベルが低すぎる。京橋浪花うどん(今は京橋うどん)の足元にも及ばぬチェーン店。
 共存共栄となるのか、おれには予想がつかない(おれとしては、いぶきを応援したい気分)。
 本日は両店パス、「下品なくらいにダシが濃い」天六うどんで「けつねうどんととり飯」を食べて帰館。


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