『マッドサイエンティストの手帳』824

●マッドサイエンティスト日記(2024年3月前半)


主な事件
 ・創サポ講義(2日)
 ・ホルター装着(14-15日)


3月1日(金) 穴蔵
 目覚めれば3月であった。
 曇天。終日穴蔵にあり。
 月次の諸事項処理、あとは資料を読み、メモとり。
 市営廃墟の工事音が喧しい。鋼板塀はほぼ張り巡らされているはずが、まだ補強工事?
 たちまち夕刻。本日はおでんで晩酌。
 専任料理人のいうには、市営廃墟の工事、野良の出入口を細かく塞いでいるらしい。
 嫌猫派の要請でそこまでやるか?
 もう暗いので、明朝見物に行くことに。

3月2日(土) 創サポ講義
 晴。真冬並というが、体感的にはそれほどでもなし。春は近いのであろう。
 午前、近所を一回り……というよりも、市営廃墟の鋼板塀の見物。
  *
 確かに白い鋼板で覆われ、所々にあった「隙間」はすべて細かく鋼板が打ち付けられている。
 要するに「猫の這い出る隙もない」。
 エサやりオバサンが来ても、野良は出てこないし、どこにエサをおけばいいのかわからないだろう。
 それよりも、野良は市営廃墟に閉じ込められたままなのか。この2日、まるで姿を見ない。
 嫌猫派の住宅管理センターへの苦情電話が相当凄いのだろう。しばらく注目したい。
 夕刻這い出て、地下鉄で谷町のCANVAS谷町へ。
 創作サポートセンター講義。
 中篇と長篇の2編。
・以前に提出された短篇(25枚)の改稿中篇、人類進化SFだから、目覚ましいスケールアップ。なんらかの形になるか、期待したいところ。
・時代長篇。吉村昭の長篇などで読んだ幕末題材(渡辺崋山や高野長英など)だが、実在の文献を調べて、そこから読み取れるちょっとした「謎」から始まる「時代ハードボイルド」。探偵役の設定(実在した人物)も面白く、驚かされた。物語の展開に苦労している感があるが、全編をチャンドラーか原ォの文体で書き切れれば、時代小説の新ジャンルが拓けるのではないかと期待する。
 刺激の多い日であった。

3月3日(日) 穴蔵
 快晴。気温は寒冷。
 終日穴蔵。
 外出は、午後、ジュンク堂往復のみ。
  *
 菜の花の季節である。ただ、蕪村碑は毛馬堤〜蕪村公園の方がいい。
 明日、天気がよければ行ってみよう。
 たちまち夕刻。
  *
 専任料理人がスペアリブや若ごぼう(そうか、若ごぼうの季節でもあった)など並べたので、ビール、伊佐美の湯割りなど。
 いい季節になった。
 早寝させていただく。

3月4日(月) 穴蔵/ウロウロ
 定刻4時に目覚めて普通に朝の儀式。
 曇り空が10時頃に晴れてきたので、歩くことにする。
 城北公園通りを毛馬橋まで。
 昨日茶屋町で見た句碑が気になって、本日は毛馬橋東側の蕪村公園(先世紀は関電の変電所だった)を一周する。
  *
 この公園の外周には蕪村の句碑が10数基あって、今まで細かく見たことがなかったのである。
 しかし、やはりだんとつは毛馬堤にある句碑の、春風馬堤曲の一句(春風や堤長うして…)だな。
 何度か拙作に引用させていただいた。
 われながら決まったと思うのは、ショートショートだが、横山やすしがパナマ運河の河岸を走る場面。
 毛馬閘門とパナマ運河は原理的に同じなのである。
 毛馬堤に出て、毛馬閘門を渡り、天八、天六と歩き、某カクウチ店でビール一杯、本庄の路地を歩いて帰館。
 久しぶりに1万歩を超えた。

3月5日(火) 穴蔵
 朝だ。雨が降ってい(以下略)。
 終日穴蔵。
 ベランダの気温は終日7〜8℃(アメダスは6℃台で推移)。コタツに潜ってれば、どうってことなし。
 雑事は色々入るが、生産的なことはなにも進まず。
 たちまち夕刻。
 専任料理人がローストビーフやグラタンなど、標準的なメニューを並べた。
  *
 軽くビール、あとワイン。
 早寝させていただく。こればっかり。とりあえず生きとります。

3月6日(水) 野良猫戦線異状あり
 1月半ばに、隣接する市営廃墟を鋼板塀で囲う工事が始まってから、ここに生息するノラの生態が一変した。
 西南角のエサ場には、夜中から明け方までエサが置かれる。
 それをノラ5,6匹が食べにくる。最近では1月18日に5匹が群がって いた。
 3月2日に鋼板塀工事が終わり、隙間が閉ざされてから、市営廃墟に野良をまったく見かけなくなった。
 集合住宅の上階から廃墟を見渡しても、どこにも見かけない。
 3月4日深夜、エサやりオバサンやロシア女性(愛護団体?)ら3名が緊急対策会議?をやっていた。
  *
 ともかくノラの姿が見えないのである。
 昨日(3月5日)は終日雨が降り続いた。
 本日(6日)未明にエサ場を見ると、塀の外、縁石?の横にエサ容器が3皿並べてある。
  *
 ノラが食べた気配はなく、雨水でズブズブ。
 こんな場所に置いても、ノラが塀の中から出てこられるはずがない。
 5時前後に電動カートオバサンが回収したらしく、朝8時にはなくっていた。
 ノラは工事音に怯えてどこかへ移動したのか。
 それとも飢えて、廃墟から出られないまま潜んでいるのか。
 愛護派も、どこにエサを置いていいのかわからないのではないか。塀の中は見えないわけだし。
 嫌猫派の高笑いが聞こえてくるような。
 しばらく観察を続けることにする。
 曇天。
 終日穴蔵にあり。
 たちまち夕刻。一杯飲んで早寝。深夜の観察に備えるのである。

3月7日(木) またも野良猫戦線異状あり
 ややこしいので日時を正確に記録しておこう。
 7日0時10分(日付が変わった深夜)に目が覚めてゴミ出しに出る。
 エサやりオバサンとロシア女性が来て、猫捕獲用の檻を挟んで作業中である。
  *
 地域猫の捕獲。見るのは昨年11月以来だ。あの時は5匹捕まえた(あと手術してサクラ耳にする)といってた。捕まえたのかどうかは不明。まだ継続してはるのだ。
 近所を見ると、20メートルほど離れて仔猫(といっても生まれて11ヶ月ほどのはず)がエサ待ちのようである。
  *  *
 どちらも耳はカットされている。
 エサはほしいが、檻に捕らわれた記憶があるから、オバサンの傍には近づかないということか。
 長時間見物もできず、帰って寝る。
 定刻4時に目が覚めた。
 エサ場が気になって、4時30分に出てみる。
 ちょうど電動カートオバサンが来て、エサ容器を片づけはるところだった。
  *
 昨日と同じ場所に置いてある。どれくらい食べられたのかは確認できず。
 うーん。
・鋼板塀が囲われてノラは見かけなくなったが、深夜に(エサほしさに)まだ数匹が現れるのだった。
・愛護団体のサクラ耳作戦はまだ続いている。
・深夜にエサやりオバサンが塀の外にエサ容器を置いていく。
・明け方に電動カートオバサンが回収していく。
 本日わかったのはこの程度。
 ノラが何匹いるのか。塀の中にいるのか。どこから出入りしているのか。
 わからないことが多いが……愛護派がここまで苦労してはるのだから、嫌猫派は、住宅管理センターや公園事務所にしつこく電話をするのはもうやめたらどうなのかねえ。
 終日穴蔵。
 睡眠が不規則で、昼間はアタマが働かず。嗚呼。

3月8日(金) 穴蔵
 早朝のニュースでは関東は降雪で大騒ぎ。
 こちら(大阪)の予報は「大気安定」らしい。
 確かに黒い雲がかかったり、抜けるような青空になったり、霙まがいが降ったり、ややこしい。雷はなし。
 ほぼ終日穴蔵にあり。
 昼過ぎ、晴れた時間にジュンク堂〜南東方向40分ほど散歩。
 豊崎2丁目の一角、新たな安藤建築がヴェールを脱いだ。
(仮)豊崎の集合住宅Uとして工事が進んでいた、 T氏発注の賃貸住宅。
 安藤忠雄建築研究所の設計で、担当は水谷孝明氏。
  *
 手前(南側)は「大淀の長屋」である。
 近所に数棟ある集合住宅やオフィスビルと同じコンセプトで、一目で安藤建築とわかる。
 「(仮)豊崎の集合住宅U」の名称はなくなり「新築賃貸マンション」として入居者募集中の掲示あり。
 入居してみてもいいのだが、こちらの穴蔵を引き払うほどでもなし。
 色々思い悩むうちに、たちまち夕刻。
 一杯飲んで早寝させていただく。

3月9日(土) 穴蔵
 真冬並みの日という。確かにベランダは8℃を超えず、アメダスは終日7℃を超えず。
 終日穴蔵。コタツで過ごす。体感的には春。
 11時、串本での「カイロス」発射の実況中継をネットで見るが……
 16分延期、11時17分に何も起こらず。「日程変更」という(午後のニュースでは「警戒区域に船舶が残留」のため)。
 ロケット側に問題はなかったらしい。
 ……ノーコメントであるなあ。本音をいえば、中継ヘリの撃墜(ロケットが真正面から迫ってくる映像)を期待していたのだが、船舶が邪魔するとは。
 がっかりして、あとは何をする気もおこらず。

3月10日(日) 穴蔵
 晴。終日穴蔵。
 生産的なことは何もせず(できず)。
 断続的にテレビ。大相撲春場所の初日、モンゴルの大関横綱がコロコロ負けるのが痛快であった。
 夜、穴蔵にて独酌。早寝させていただく。

3月11日(月) 穴蔵/ウロウロ
 晴。終日穴蔵。
 ……のつもりだったが、昼、買い物その他の雑事あり天六まで。
 ついでに天五まで行き、青空書店(というか坂本さんの終の棲家)の路地も通る。
 司研堂さんの建物だが、そのまま残してあるのが嬉しい。
  *
 坂本さんがお元気なら、相談したいことが色々あるのだが(特に蔵書の始末について)。
 坂本さんは93歳で亡くなられた。青空に上がりこんで長々と喋ったのは9年前、坂本さん92歳の時が最後と思う。再来年が生誕100歳か。
 商店街を抜け、ヤマタツでトンカツとサラダなど買って帰館。ややこしい時はここに頼ること多し。
 夜は穴蔵にて独酌。早寝させていただく。

3月12日(火) 穴蔵
 定刻4時に起きる。5時頃から雨が降り出した。
 5時、室温18℃、ベランダ10℃、アメダスは9.8℃。昨日より8℃ほど高い。
 春雨のようだが、出歩く気にならず、終日穴蔵。
 ここ数日、専任料理人の体調がいまひとつで、実質「別居状態」なのである。
 そこに「大阪在住」の「はしか感染女性」が「3月7日午後0時50分ころ地下鉄中津から新大阪へ移動、その後、新幹線で上京」したというニュース。
 近所の住人なのであろうか。
 専任料理人はその時刻は自宅にいたというが、エレベーターに乗り合わせた可能性も否定できず。
 幸い、咳も発熱もなし。ほとんど回復した……ような。
 明日からは普通の生活に戻れるであろう。

3月13日(水) 穴蔵
 定刻4時に目覚めるが、睡眠不安定で、アタマ作動せず。
 午前中、コタツで読んだり居眠りしたり。
 11時、串本での「カイロス」発射の実況中継を見る。
 数秒で爆発、破片(固体燃料?)が周辺に飛び散って火災発生。なかなか見ごたえのある映像だった。
 10分ほどして「飛行中断措置」が行われたと報道があったが、これは早すぎないか。AIの自己判断か。
 スペースワン諸氏は落ち込む必要はない。
 これから何度も繰り返せばいいのだから。
 和歌山県も支援してほしい。花火大会やるより遥かに有意義なんだから。
 まして、和歌山の自民党議員どもが、宴会に「露出度の高い衣装の女性ダンサー」を呼んで「口移しでチップを渡す」など、もっての他。チップはロケットに回せ。
 ……などと愚考するうちに、たちまち夕刻。
 一杯飲んで早寝させていただく。

3月14日(木) 某院/ホルター装着
 晴。そろそろ春のようである。
 昼前に出て西梅田の某院へ。半年ぶりの検診である。
 本日は血液検査もあり。昨日一杯やったものだから、ガンマ関係に影響が出るかなと心配していたら、そちらは問題ないが、心電図がちょっと気になるからホルターを装着して検査しようということになった。
 もう5回目かな。4年ぶりで、慣れたものである。
 明日(24時間後)に取り外しだから、明日の予定を変更せねばならぬ。
 しかたあるまい。後期高齢者になると予想外のことが色々出てくる。
 13時30分に起動して「生活行動を記録」しつつ、ぶらぶら歩いて帰館。
 あまりチョコマカ動くのは記録が面倒なので、なるべく動かない方が楽である。
 入浴は禁止。夕食以外、おとなしく机に向かって過ごす。

3月15日(金) 某院/ホルター取り外し
 あまり眠れず。
 胸の電極とホルター端末が気になって……ではなく、「生活行動を記録」せねばという意識から、何時何分に眠ったかを覚えておこうとする……要するに「眠りに落ちる瞬間」の時刻が気になって眠れないだろう。
 朝になった。
 本日はKLL例会で神戸の予定だったが、目的地変更。
 生活行動を記録しつつ、昼過ぎに出て、北梅田から西梅田に歩き、某院の待合室に13時15分に着く。
 13時30分にホルターを取り外し、次は来月の検診となる。
 今まで「某院」などと記述してきたが、これは西梅田にある桜橋渡辺病院のことである。
 今日知ったのだが、ここは月末で終わり、4月からは中之島の新ビルに移るという。
 市立科学館の北西側というか、国際美術館の西というか、昔の阪大医学部があった場所である。来月からそちらへ。
 病院としては最高の立地ではないか。
 ちと狭い西梅田の病院は今日で最後である。
  *
 6階の隅の「個室」から、斜め下方の壁抜け猫を眺めたのも懐かしい思い出である。
 ここへ来るのも本日で終わり。
 春は別れの季節である。


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