『マッドサイエンティストの手帳』780

●マッドサイエンティスト日記(2022年5月後半)


主な事件
 ・神戸某サークル(20日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・華氏451@モリムラ・ミュージアム(28日)


5月16日(月) 穴蔵
 定刻午前4時起床。夜明けが早くなり、5時には曇り空……終日変わらず。
 終日穴蔵。
 アタマ皆目働かず、ボケーーーーーッと過ごす。
 午後にBSで『ブラック・レイン』をやってるが、数回見て細部も覚えてるのでやめ。
 同じ健さんが出ているので、youtubeで『カミカゼ野郎 真昼の決斗』を見ることにするが……あまりに荒唐無稽で、30分ほどでやめる。
 この作品は3度目のはず。「荒唐無稽」というのは、無国籍映画ならいいのだが、日本と台湾が舞台、戦時の財宝がからむ展開だから、たとえば飛行機でパスポートもなしで自由に行き来できるのはおかしく、全体に「客をなめている」としか思えないのである。
 千葉真一は悪くないが、今見るとなあ。後日の『沖縄やくざ戦争』を知っているから、迫力がちがう。
 そういえば当時(1967年頃)、花田清輝がこの作品とホルスト・ブッフホルツ主演の『イスタンブール』を並べて論じていたのを思い出す。
 作品としては『イスタンブール』(ガラスのテーブルで殺し屋の銃弾を跳ね返す場面が秀逸だった)、体技では千葉真一が上かな。
 半世紀以上前のことだが、映画の細かいシーンについては思い出すことが多い。

5月17日(火) 穴蔵
 終日雲がかかって、すっきりせず。
 わがアタマも同様で、何もせず。
 ニュース。ウクライナばかりで疲れているところに、久しぶりに新ネタ登場である。
・山口県阿武町の「4630万円ネコババ男」……しかし、これも展開が鈍くてイライラしてくる。
・北朝鮮の「原因不明の発熱」……患者は148万人に急拡大。6日ほどでこれだから凄いが、塩水でうがいしておれば治るらしいから、たいしたことではあるまい。
 ……などと愚考するうちに、たちまち夕刻。空が晴れてきて、アタマもなんとか働き出した。
 日脚が長くなった。
  *
 暮れゆく北梅田を眺めつつ、数皿並べてもらってビール、酎ハイ少しばかり。
 モンク師匠のソロを聴く。

5月18日(水) 穴蔵
 晴。不思議にアタマも晴れたような。
 終日穴蔵。
 資料を読んで過ごす。少しは歩かねばならぬのだが。
 昼前に近所でJアラート(らしい)のテスト(らしい)が鳴り響く。時たま聞こえてくるが、何をいっとるのかさっぱりわからん。
 北朝鮮がICBMの発射準備をしている(らしい)ので、その予行演習か。金三胖めが。
 騒がしいことよ。しかし、スピーカーの位置(たぶん豊崎小学校)を確認しとかないといかんな。
 たちまち夕刻。
 一杯飲んで早寝させていただく。

5月19日(木) 穴蔵
 晴。アタマも晴れてきたような。
 穴蔵にて資料を読み、短い文章も書く。少しは調子が戻ってきたような。
 昼、30分ほど近所の公園など散歩。ちょっと休憩しているとヨレヨレのおっさんみたいになってきた。もう3年ほど見ていないけど。
 しかし、閉じこもっているより、少しは歩いた方がいいであろう。
・4630万円ネコババ男田口翔が逮捕されて、やっと氏名と写真が公開された。わかってたけどね。
 金の所在がさっぱりわからん。今回の逮捕容疑は「電子計算機使用詐欺罪」だが、家宅捜索やれば他にも色々(大麻所持など)ありそうだから、拘置期間を延ばして、金のありかを解明していくのだろう。またしばらくは退屈。山口県警諸君の健闘を祈る。
 興味は田口の代理人(弁護士)が前金貰ってるのかどうかだが……質問するのは無理か。金の動きはわかってるはずだが。
 たちまち夕刻。
 専属料理人が並べた手羽焼き・野菜・その他ごちゃごちゃでビール。
  *
 ブルディガラのクレセントパンでワイン少しばかり。
 デフランコ師匠を流しつつ。お楽しみはこれだけだ。

5月20日(金) 神戸某サークル
 薄曇。普通の日である。
 朝、近所の某医院で定期健診。血圧は普通(良好)であった。
 昼前に出て、久しぶりに兵庫県へ越境する。
 阪急特急で三宮へ。
 某信用金庫(兵庫県にしかない)など、三宮〜元町界隈うろうろ。
 昼はガード下の長野屋でざるをいただく。
  *
 久しぶり、というか2年ぶりである。その前は40年以上来てなかった店。
 昼前に行ったからよかったが、人数制限して人の向きを制限したり、たいへんなようである。
 午後は某会館の会議室で、先月から始まった某文芸サークル(会名未定)の例会に出席する。
 趣向を凝らしたエッセイや短篇が色々あり、夕刻近くまであれこれ議論する。
 本格宇宙SFの力作があり、これには感心した。ネタバレになるから詳しくは書けないが、オウムアムアよりも衝撃的な天体の発見とその調査プロジェクト、これと、ごく平凡なサラリーマン家庭の定年近くまでの25年を並行して描く趣向で、「普通の人生」が太陽系近傍空間とつながっていく感覚がまさにセンス・オブ・ワンダーである(ま、ここまで)。
 通勤ラッシュ前の電車で大阪に戻る。
 一杯飲んで早寝……のつもりだが、わたくしも頑張らなければなあ。

 芦辺拓さん、『大鞠家殺人事件』で日本推理作家協会賞本格ミステリ大賞の2冠受賞、おめでとうございます。先ほどまで知らず失礼しました。『大鞠家……』が出た時、「このミス」などの年間ベストのタイミングを考えると不利になるのではなどと、余計な心配をしたのですが、杞憂でした。皆、わかっているのだ。傑作は誰が読んでも傑作であります。

5月21日(土) 穴蔵
 曇りて風なし。
 午前、土曜日によくあるパターンで、重量物(主に液体系)のポーターとしてスーパーへお供する。
 その多くがわが体内を通過するのだから、愚痴はいうまい。
 帰路、A建築研究所付近を通過。JR高架沿いの道。
 グラフロでバンクシー展をやってるが、人出も多そうだし、金払ってまで見ることもあるまい。
  *
 かわりにJR高架下のバンクシー(かも)を見る。これで十分。
 ついでに、少し北側の「住吉の長屋Ver.2」の前を通過。
 芸術作品のオリジナリティとは何かを考えさせてくれるコースである。
 午後は穴蔵にて思索に耽る。
 有意義な一日で……あるわけないか。

5月22日(日) 穴蔵
 晴れて風なし。朝から直射光あり、7時の室温26℃、なんとも快適な日である。
 終日穴蔵。
 午前中、環境を本格的に夏モードに切り替える。
 寝具、衣料など、洗濯ものが大量に出て、専属料理人家政婦には気の毒だが、がんばってくれたまえ。
 昼は専属料理人に戻ってもらって、親子丼を食す。
 午後は広くなったフロアに寝そべって本を読む。
 芦辺さんの『名探偵は誰だ』(光文社)……快調であるなあ。
 たちまち夕刻。
 夜も専属料理人が数皿並べてくれた。
 夏場のわが晩酌の好みは、半世紀前(つまり独身時代)から、枝豆とヤッコ+あと1品がベストであった。
  *
 本日は、あと3品が並ぶ。これでビール、酎ハイ。森山威男・板橋文夫『おぼろ月夜』を聴きつつ。たまらんなあ。
 こんな日が続きますように。

5月23日(月) 穴蔵
 晴れて風なし。朝から直射光あり、7時の室温28℃、わたくしには最適の気温。
 平日であり、9時から1時間ほど外出、雑件の処理。
 あとは終日穴蔵にこもる。
 昨夕来日したバイデンが東京都内をうろうろしている。
 北がミサイル打ち上げないか、時々ニュースをチェックするが、(21時時点で)何もなし。
 面白くねえな……騒動がないのが面白くないではなく、コメンテーター(電波芸者)連中のピント外れ発言が多すぎる。
 ウクライナ情勢もそうだけど、湾岸戦争の時の江畑謙介が懐かしい。

5月24日(火) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 9時前にタイムマシン格納庫に到着。連休中に整理が終った老朽家屋、いよいよ本日から解体開始である。
 早くも作業がはじまっている。本日は電柱脇にのびた樹木の伐採から。
 諸々の事情で断続的に3週間ほどかかるが、まかせておいて大丈夫なようである。
 実家にも寄る。こちらでは、さっそく先だっての「野良猫騒動」の経過報告あり……ま、無事解決、わが家は野良猫の巣窟にはならなかったようである。
 昼、クルマで5分ほど北へ走って、横尾製麺の直販所へ。
 いよいよ素麺の季節である。「揖保乃糸」色々手配。
 この周辺は麦畑がまだ多く残っている。
  *
 麦秋である。
 プーチンのおかげで高騰しているのであろうか……などと感慨に浸っているわけにもいかず、また工事現場に戻る。
 夕刻の電車で帰阪。
 また来月とする。

5月25日(水) 穴蔵
 晴れて風なし。5時(日の出前)の室温27℃、ベランダは22℃。快適な季節である。
 終日穴蔵。
 朝のニュース。
・北朝鮮が弾道ミサイルらしいのを発射。もう落下しているらしい。
 バイデンのエアフォース・ワンはもうアメリカのどこかに着陸しているのか? 金三胖、ずいぶん気遣いしながらの発射である。
 ……バイデンはまだ飛行中だったようだ(5/26)。
・4630万円のネコババ事件。決済代行業者3社がささっと返金。9割がたもどったという。
 町の担当弁護士の優秀さはよくわかった。その弁護士の説明でも、決済代行業者の業態がさっぱりわからん。
 ちょっとググッたら、業者の広告がぞろぞろ出てくるが、恐ろしくて見る気がしない。
 連中、強制捜査を恐れているのであろう。いつの間にか恐ろしい業者がはびこっているのだなあ。
 深入りする気になれず……つまり書く気になれないのだが、ミステリー(というより詐欺師もの)で面白いのが出てきそうで、そちらを楽しみに。
 たちまち夕刻。
 専属料理人に5皿ばかり並べてもらって晩酌。
  *
 鯵のなめろう(家庭で作るメニューか!)なんてのが出てきて、これで冷酒一献。
 ゲッツ師匠とバロン師匠が合うなあ。

5月26日(木) 穴蔵
 晴れて風なし。早朝から室温27℃で、本日も快適。
 終日穴蔵にあり。
 ただし、運動不足はいかんので、午後30分ほど近所を散歩。2,500歩ほど。
 たちまち夕刻。雨になった。
 専属料理人の並べた数皿で一献。
  *
 メインはいくらのフラペチーノ?とかいう洋風きしめん。これで白ワイン少しばかり。
 パキート師匠のキューバン・サウンドが合う。
 お楽しみはこればっかりだ。

5月27日(金) 穴蔵
 夜中に豪雨の予報だったが、2時半に目覚めると、雨はあがっている。
 朝まで曇天、午前中晴れ間もあり、午後は晴。本日も快適なり。
 終日穴蔵。
 断片的に雑事が入り、特に生産的なことはできず、たちまち夕刻。
 数皿並べてもらって晩酌。
 早寝させていただく。

5月28日(土) 華氏451@モリムラ・ミュージアム
 晴。本格的な夏の日差しである。
 昼前に出て、地下鉄で住之江公園へ。
 意外にも住之江公園駅で下車するのは初めて(いつもはニュートラムに乗り換えてインテックス方面へ/コスモスクエア駅ができてからは、こちら側には来ていない)。
 住之江公園を初めて歩く。池や競技場やコートもある広い公園である。
  *
 公園の東側に市営住宅の棟が並んでいるのが見える。
 R太郎が住む(らしい)あたりを見ておきたかったのである。いい環境ではないか。おとなしく引きこもってろよ。
 ぶらぶら歩いて北加賀屋へ。
 12時、m&m(モリムラ・ミュージアム)に着。こちらが主目的。
 森村泰昌『華氏451の芸術・再考』開催中である。
 8年前の横浜トリエンナーレ『華氏451の芸術――世界の中心には忘却の海がある』の2022年版。
 「たった独りのトリエンナーレ」として再構成した展示で、「独裁者」出現が今年はさらに大きな意味を持ってくる。
  *
 映像ルームで上映されている「独裁者を笑え」のヒトラーが凄い。三島由紀夫以来の迫力である。
 何年か後にはプーチンに(なりきって)登場してほしい。
 あと名村造船〜メガネ橋(渡船)〜大正区の方へ行こうか迷うが、日照りが強く、腹も減ったので、地下鉄で西梅田に戻る。
 どこかでメシと思ったが、駅前ビルも阪神地下も大阪駅もグラフロもえげつない人出。これは危ない。
 グラフロ西の道を抜けて、さっさと帰館。
 ニュースでは重信房子が出所。22年前に高槻で逮捕だったのだなあ。
 勝手に日本赤軍の「解散宣言」やったから、逃亡中の同志7人から見れば裏切者。一生つけ狙われることになるのだろうな。

5月29日(日) 穴蔵/ウロウロ
 未明から晴。
  7:00 室温28℃ ベランダ35℃(寒暖計には直射光)
  9:00 室温29℃ ベランダ31℃
 12:00 室温29℃ ベランダ31℃
 16:00 室温28℃ ベランダ30℃
 20:00 室温28℃ ベランダ28℃
 世間は季節外れの暑さらしいが、穴蔵にこもっている限り、快適な日である。
 運動はしなければならぬ。午後、ポーター役で天八のスーパー往復、重量物(ほとんど液体)の運送を手伝う。
 それ以外の生産的作業は何もできず。快適さと仕事の生産性は別なのであろう。
 一杯飲んで早寝させていただく。

5月30日(月) 穴蔵/ウロウロ
 朝から直射光、本日も昼間は室温28〜29℃で、快適な1日である。
 午前、大阪市内では淀屋橋にしかない某行のATMへ行く。
 用件は1分で終る。
 帰路は市内ぶらぶら。
 中之島公園のバラ園……もう見頃は過ぎている。
 ライオン橋を渡って、めったに通らない菅原町を歩いてたら、古い土蔵に遭遇。
  *
 手前のは崩れかけてネットがかけいある。
 乾物屋の多かった場所で「蔵の街」だから、珍しくはないが、気になるのは隣の「手入れされた」蔵。
 小さい「LIVE*****」という看板が出ていて、ライブハウスとしか思えない。
 じつはわが実家にも古い土蔵があって、いずれはリスニングルームに改造したいと思っていたが、地震があれば危険と診断されて解体してしまった(鉄骨入れたり、想像以上の費用がかかる)。わが夢を実現した店ではないか。夜にでも来てみよう。
 野崎町〜扇町〜中崎町を歩いて帰館。
 午後は穴蔵。曇天から雨になった。

5月31日(火) 穴蔵
 早寝したら2時頃に目覚め、ちょっと本を読んでは眠りの繰り返し。
 雨は未明にあがり、曇天、午後は晴たり曇ったり、安定せず。
 こちらも天気に連動して不調である。
 終日穴蔵。生産的なことは何もできず。
 無為に過ごした5月が終る。嗚呼。


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