『マッドサイエンティストの手帳』761

●マッドサイエンティスト日記(2021年8月後半)


主な事件
 ・穴蔵の日々
 ・神戸新聞文化センター(20日)


8月16日(月) 穴蔵
 曇天で直射光なく、涼しい朝である。
 終日穴蔵……のつもりであったが、昼前にヤマト運輸の営業所まで。ついでに茶屋町の郵便局、ジュンクドーを覗いて戻る。
 3,000歩未満だが、結構疲れる。やはり毎日5千歩くらい歩かないといかんなあ。ガースーめが。
 帰路、B家屋敷の百日紅を眺める。
  *
 このあたりではいちばんの百日紅。野々村竜太郎の生家前のとは格がちがう。
 もっともわが実家のには及ばないな。
 播州龍野の庭木が気になることだが、ガースーが緊急事態宣言を兵庫にも発令、大阪も延長する気配。まだひと月以上動けなくなるのか。
 困ったことだ。
 午後は先日亡くなったジェリー藤尾を偲んで『地平線がぎらぎらっ』を見る。
 この狂犬みたいな暴れ方は地で演ってるとしか思えない。この作品の素晴らしさは宣伝カーを乗っ取って北関東を走る、そのロケ地の雰囲気に尽きる。裏磐梯の一角であることはわかっていて、一度行ってみたかったが、今行っても、60年の風景(家並み)が残っているはずはなし。残念である。
 ジェリー藤尾は、歌手よりは役者だろう。
 好きな作品、『独立愚連隊』1959(酔っ払い兵士で1シーン)、『地平線がぎらぎらっ』1961、『用心棒』1961(片腕切り落とされるヤクザ)、『拳銃は俺のパスポート』1964(これはリンチを受ける役)……すべてDVDを持っているから、引き続き楽しめる。
 どうしてもわからないのが1964年放映のテレビドラマ『四重奏』だ。渥美清、小池朝雄、杉浦直樹、ジェリー藤尾の共演。楽士4人で、店で演奏しているが、夜中に少し先の銀行の地下金庫を狙ってトンネルを掘り進める連続ドラマ。1話30分の連作というのか。大学時代、夏休みに帰省した時に見ていたが、最後の方は見ないままになった。結末が気になるまま、これも60年近くになるなあ。
 最近、死ぬまでにもう一度見たい作品がやたら増えてくる。

8月17日(火) 穴蔵
 朝は曇天だったが、8時頃から雨になり、だんだん本降り、終日降りつづく。
 終日穴蔵。
 午後、BSで映画を見る予定が居眠りしてしまう。
 しかたなし。昨日につづき、ジェリー藤尾追悼で『拳銃は俺のパスポート』を見る。
 これはジェリーよりジョーの方が圧倒的にすばらしい。
 早寝させていただく。

8月18日(水) 穴蔵
 未明から本降りである。
 穴蔵にて、諸々の資料を読みつつ、一応マジメに過ごす。
 10時前には雨はやんだようで、午後は急速に晴れ、久しぶりに青空が広がってきた。
 歩いてタカセ市場往復。アルコール系飲料の買い出しはおれの担当なのである。
 往路、豊崎長屋などうろうろ。帰路は「驚愕の6冠」などをぶら下げて帰る。5,000歩未満だが、まあまあ歩いた。
 夜、北梅田の夜景を眺めつつ、専属料理人の並べた数皿で一杯。
  *
 やや東の空に上弦の月。
 パキート師匠聴きつつビール、モンク師匠で冷酒をいただく。
 大阪のコロナ感染者が2,000人突破。まだ増えるぞ。鬱陶しいことだが、ま、引きこもって「酒とJAZZの日々」しかあるまい。
 早寝させていただく。

8月19日(木) 穴蔵
 未明だ。雨が降っている。浅田飴には至らず。
 未明からマジメに机に向かう。
 夜明けとともに朝日が射し、晴れた。
 と思ったら、急に曇りはじめ、10時過ぎには(土砂降りとまではいえないが)強い雨となる。
 天気同様、こちらも忙しいのであった。
 創作関係、講座関係、集合住宅関係、播州龍野の役所関係……色々なのが押し寄せてきたが、まあ、少し遅れてもいいか。
 午後は普通の曇天になったようだ。
 BSで『デジャヴ』を見る。
 初めて見るが、これSF映画としての評判はどんなレベルだったんだろう。
 ニューオリンズでフェリーが爆破され、500人以上が犠牲になる。だが、これは一人の女性の他殺死体を隠すために仕組まれた事故らしい。
 犯人を追う捜査官は「任意の場所を選んでこの過去を再現して覗く装置」があることを知らされる。ただし再現に4日ほどかかる。
 ……この装置を使用するだけでも面白い犯人追跡映画作れそうな気がするが、装置にはさらに秘密の機能があって……となると、SFとしてはちとアンフェアな気がする。矛盾点チェックが気になりだすと、サスペンスを楽しめなくなる。
 SF的な設定は単純なひとつだけにして、犯人追跡劇にした方がいいように思うがなあ。
 カトリーナ以降のニューオリンズを見る映画と割り切れば、なかなかいい映像が楽しめた。
 夜は一杯飲んで、早寝させていただく。

8月20日(金) 神戸新聞文化センター
 曇天。涼しい日である。
 播州龍野の市役所からややこしい書類届く。昼前に出て、阪急で三宮へ。
 感染拡大で、緊急事態下の県境越え……大いに迷うところで、それ詳述すると長くなるから(中略)とし、ともかく本日はお上のいいつけを無視することにした。
 電車は空いていた。
 午後、神戸新聞文化センターの講座。
 提出されたエッセイと短編について合評会形式で行う。
 面白い作品色々。たとえばエッセイに、ふだんは古刹探訪とか日常の家事などの題材が多い方が意外な航空機オタクぶりを発揮したり、落語「代書」をベースにしたSFと思ったら、作者は松本留五郎をまったく知らなかったり、他にも色々あるが(中略)とさせていただく。改稿して別作品になる可能性があるからねえ。
 まっすぐ帰阪……と駅まで行ったら、阪急は園田〜塚口間で人身事故発生、梅田へは行けない。
 JRに変更する。が、こちらも軒並み遅延。
 満員かと心配してたら、遅れてきた新快速は意外にもガラ空きで、普通に帰阪できた。ほっ。
・千葉真一につづいて笑福亭仁鶴の訃報。だんだん年齢が近づいてくるのを実感するなあ。
・大阪の本日の感染者は2,586人。
 7月30日の大阪府試算は「8月20日 2,580人」であった。
 見事に的中という他ない。
 東京の大外れ(8/5の東京都試算は8月18日 10,909人、結果は5,386人だった)とはえらい違いだ。
 おれは(大阪はアホが多いから)2,500人で収まるはずがないと勝手な予想をしたが大外れ。
 反省して、各方面にお詫び申し上げます。
 もっとも、「試算」は「このままだとこんな数値になるぞ」という警告を含んでいるから、やはり大阪はアホ密度が高くて、やっぱりこうなったともいえるのだが。
 明日からはお上のいいつけを守って、また外出自粛とする。

8月21日(土) 穴蔵
 曇天で涼。
 終日穴蔵。
 本日は「播州龍野の役所関係」の処理。
 1年ほど前にやった調査の結果を確認に来いというが、緊急事態で期日までには行けないと電話したら、書類を送ってきたのである。
 負の遺産のチェックとでもいうか。
 午後、ヤマト運輸で返送。
 おや、近所の通路横にハイビスカスが咲いている。
  *
 野々村竜太郎の生家前にも花は咲くのであった。
 花言葉は「新しい恋」「勇敢」……どちらも竜太郎には縁がなさそうだなあ。

8月22日(日) 穴蔵
 日曜である。人出が多いことであろう。
 終日穴蔵。色々あったうちの最後の仕事を片づける。
 たちまち夕刻。
 数皿並べてもらってちょいと一杯……のつもりが、もう少し飲む。
 ハシゴ酒にはならず、ベッドで就眠。

8月23日(月) 穴蔵
 やっと月曜になった。
 朝、近所の某医院で定期健診。数字は良好であった。
 ということで、安心して穴蔵でボケーーーーッと過ごす。
・AmazonでエディターのCD-ROMが届いた。
 Windows10に切り替えて以来、従来使ってきたWZ EDITOR 3 が使えなくなり、フリーソフトを色々試してきたが、どれもいまひとつ。
 なかではSAKURAがいちばん近かったが、どうしてもちょっとした操作でひっかかる。これは10年間で身についてしまった「慣れ」というか「指癖」というか……ソフトの性能とは別と思う(WZの前は、長年VZ-EDITORであった)。
 で、WZ EDITOR 10 をインストール。標準設定で使うが、だんだん感触が戻ってきた。
 しかし、やっぱり3の方が使いやすかったなあ。
・午後、ジュンクドーまで散歩。
 帰路、鶴野町交差点(Audi前)まで来ると、路上におっさんが倒れていて、横にパトカー。しかし、警官は降りてこない。
 まったく動かないが、死体ではないらしい。
  *
 しばらくして、警官が降りてきて、屈んで様子を見るようだが、特に何もせず、パトカーは5分ほどで走り去った。
 今度は毎日放送のガーやん3人が来た。おっさんちょっと脚を動かすが、寝たまま反応せず。
 10分ほど見ていたが進展なさそうなので、帰ることにする。通行人諸氏も似たような反応。子供の手を引いた女性は進路を変更していった。
 酔っ払いではなさそうだし、単に路上で寝ているだけなのであろ。ま、西成なら普通の光景。16時頃の出来事。
 明日はわが身であるなあ。

8月24日(火) 穴蔵
 普通の日である。薄曇りで少し暑いが、パジャマで過ごせばエアコン不要。
 終日穴蔵。
 午前中は一応マジメに机に向かうのであった。
 昼前に、先日来の諸々の用事は一区切りついた。
 午後はボケーーーッと過ごす。
・田中啓文『歯噛みする門左衛門』を読む。この「元禄八犬伝」シリーズの主人公「さもしい浪人」のキャラが凄いが、今回のゲストが近松門左衛門……この描き方が、史料を押さえたうえでのドタバタで、いやはや。たいしたものである。
・工藤会の野村に死刑判決。野村は裁判長に「あんた生涯、このこと後悔するよ」と脅したという。獄中から銃撃を指示しかねんな。
 たちまち夕刻。
 専属料理人が数皿並べた。
  *
 メインはローストポークだが、なんとかで下ごしらえしてかんとかで蒸したら肉が柔らかくなったとか、講釈多し。
 適当に聞き流しつつビール。

8月25日(水) 穴蔵
 薄曇りの空、午後には晴れて、盛夏が戻っってきた。
 昼の室温31℃、外は33℃で、エアコンの必要はなし。
 終日穴蔵で過ごす。
 二瓶正也の訃報。80歳。
 ウルトラマンのイデ隊員と紹介してあるが、おれには、東宝の……というより、岡本喜八作品の名脇役のひとりという印象が強い。
 『暗黒街の弾痕』や『どぶ鼡作戦』では二瓶正典(本名)で出ている。
 正也名は、わが記憶にある限りでは『殺人狂時代』から。たぶんその頃からだろう。
 午後、二瓶正也を偲んで『殺人狂時代』を見る。
  *
 左から、団令子、二瓶正也、仲代達矢。
 殺し屋としては顔が善人過ぎるが、天本英世と対照的だから面白かったのである(『暗黒街の弾痕』もそうだった)。
 Wikでは「二役」としてあるが間違い。殺し屋がテイラーに化けて近づいているのである(これはQコンで岡本監督に確認した)。
 たちまち夕刻。
 一杯飲んで、夜は『どぶ鼡作戦』を見るか。『火薬の樽』も面白かったが、DVDがない。

8月26日(木) 穴蔵
 晴……といっても、薄い雲がかかっている。
 終日穴蔵にあり。
 外は午後に34℃になったが、室温31℃で、エアコン稼働させずとも、まあ快適である。
 ただ、またも睡眠が不規則になってきた。
 ちょっと本を読んでると眠くなり、細切れ睡眠。ドタマ使う仕事はだめである。食事だけは規則的。
 外出自粛を正直に守ると、たちまちこうなる。
 明日はお上のいいつけを破るか。

8月27日(金) 穴蔵
 早寝したら(というより晩酌後に横になったら)0時過ぎに目が覚め、朝まで眠れなくなった。
 片づけるつもりの本を手に取ってあれこれ雑読。
 朝食後、3時間ほど睡眠。
・10時〜BSでマイルスの特集をやってる。「巨匠たちの青の時代/帝王への扉を開けたサウンド」。
 主にパーカーとの共演時代、ミュートを使い始めた頃。2011年に放映したのらしい。
 悪くないけど、朝から見るものではないな。また眠くなり、昼までうたた寝。
 昼はぶっかけうどん。
・午後、先日亡くなった千葉真一を偲んでDVDで『仁義なき戦い 広島死闘篇』を見る。
 多くの記事でこれを千葉真一の代表作としていたが、ちがうと思う。
 サングラスに帽子、派手なシャツで、肉体を披露する場面なし。
 やはり代表作は『沖縄やくざ戦争』だろう。琉球空手の技を見せる場面は忘れがたい。DVD持ってないのが情けない。
 夕刻、ちょっと散歩に出る。
 人気のない道をジュンクドーまで。
・週刊現代の巻頭グラビアが「永井荷風 街を歩く男」という10数ページの特集。
 荷風の東京散歩地図で、いい企画だと思うが、500円払って買うほどでもなし。ぜんぶ知っとるよ。
 10分ほど立ち読みして帰館。
 久しぶりに3,000歩ほど歩いた。

8月28日(土) 穴蔵
 晴。室温31℃だが、扇風機だけで爽やかな一日。
 終日穴蔵。
 睡眠、相変わらず不規則で、寝たり起きたりの繰り返し。
 本を整理しようと手にしたら、やっぱり読んでしまう。
 たまたま手にしたのが横山やすし関係だったので、細かいことが気になりだして、4,5冊をチェック。
 漫才ブームの頃の評価とか、暴行事件とかはもういい。
 最終的に「謎」は、出生と死亡のふたつである。
 出生については、自伝でも「自分でもわからない」らしい。ただしWikの記述が気になる。木村庄吉は本当の父親ではないのか。記載されている「出典」を調べる必要がありそうな。
 死亡については、死亡の(というより芸人としての生命を奪った)原因となった1992年8月6日未明に寝屋川あたりで暴行を受けた事件である。犯人は三人だが、やすしは(知っているが)名を明かさず。3年前に出た木村一八『父・横山やすし』では、ヤクザで一八も知っているが明かしていない(という風に読める)。一八にも何か事情があるのか。
 やすしが死んで(1996年1月21日)から四半世紀。考えること多し。同年だからなあ。

8月29日(日) 穴蔵
 午前は薄曇。室温31℃だが、扇風機だけで涼しい。
 終日穴蔵。睡眠不規則。
 いろいろ考え事をして過ごす。半分は居眠りしているのだが。
 夕刻に近い午後、視界の隅に黄色い光が点滅する。
 近所で火事かと見れば、新御堂筋に工事車が止まっているらしい。
 何事かとライブカメラを確認すると、側壁を確認しているだけのような。
 ただ、視界がちょっと違うなと気になって、ショーレイビル屋上の広告塔(柵だけ)を観察すると、カメラの位置がフレームの下端に移されている。
  *
 3年前には上端に取り付けられていた。
 近所にあるライブカメラ、阪急梅田を映しているのもある。
 この手のカメラの収益構造がよくわからん。
 調べてみようと思いつつ手つかず。

8月30日(月) 穴蔵
 晴。室温31℃。扇風機だけで爽やか。こればっかり。
 終日穴蔵。
 相変わらず睡眠不規則。
 平日なので、昼、炎天下を梅田まで。
 郵便局その他のATMで月次の処理。
  *
 ヨドバシ北側。人出はまあまあ少ないように見える。
 アホが出てくるのは夜か。
 久しぶりに5000歩以上を歩くと気分よし。
 夜は枝豆や肉豆腐でビール。早寝することに。

8月31日(火) 穴蔵
 いかん。早寝したら午前1時に目が覚めてしまった。
 本日も終日うたた寝の繰り返し。アタマ働かず、カラダもだるい。
 終日穴蔵から出ることなし。
 ラピュタ阿佐ヶ谷で8月から「長門裕之」の特集をやっているのに気づく。
 50年代末期の『麻薬3号』『ゆがんだ月』『その壁を砕け』などが並んでいるが、この時期の最高傑作『街が眠る時』が入っていない。
 生きているうちに何とかもう一度見たいのだが、40作品中に入ってないとなると、もう無理か。


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