『マッドサイエンティストの手帳』738

●マッドサイエンティスト日記(2020年9月後半)


主な事件
 ・播州龍野いたりきたり


9月16日(水) 播州龍野
 播州龍野にて目覚める。
 泥的の侵入に怯えつつも7時間ほど熟睡できた。たまには肉体労働もするものだ。
 専属料理人に生存確認のメール。
 薄曇りで涼しい。
 終日、実家書斎での作業。
 新コロナ以来、大阪と龍野の書庫が分断されてしまい、ちょっと気になっていた事項が10件ほど。
 まあなんとか調べはついた。
 実家周辺を散歩。これはヒメアカタテハか。
  *
 蝶のためにも、雑草は残しておくべきか。
 夕刻「はつらつの湯」(300円)へ行き入浴(実家は夜間電力を切っているため湯が出ない)、帰路味三昧で弁当、コンビニで缶ビールと朝食用のパンと牛乳を買って帰館。
 18時過ぎるとたちまち深夜状態となる。

9月17日(木) 播州龍野→大阪
 播州龍野にて目覚める。専属料理人に生存確認のメール。
 相棒の某くん、午前中に大阪へ向かうというので、帰路も同乗させてもらう。
 姫路〜加古川バイパス〜第二神明〜阪神高速で梅田まで2時間。
 このコースを走るのは30年ぶりかな。須磨から長田あたり「山側」の変貌に驚く。住みたくはなし。
 ということで帰館。
 疲れた。

9月18日(金) 神戸新聞文化センター
 曇天。昼前に出て阪急で兵庫県に越境侵入、三宮へ。
 午後、神戸新聞文化センターの講座である。
 本日、わが事情で休講などあった関係で、エッセイ小説合わせて13編あり。
 テーマ指定していたわけではないが、エッセイで新コロナの受容ぶりが各人各様で面白い。
 小説については議論が長くなる問題作ばかりで、時間切れ(次の講座があって延長できない)となり、来月に送る。
 できれば3時間ほどかけたいところだ。
 空いた電車で大阪に戻る。
 たちまち夕刻。
 粗食で一杯……と思ったら、ハヤシもあるでよ。
  *
 本日も禁酒である。
 コロナがいかん。

9月19日(土) 穴蔵/ウロウロ
 世間は4連休の初日である。テレビではシルバーウィークといっとるが、いつ11月から9月にトレードされたのか?
 GoToとかで旅行客急増、職業野球も人数制限緩和で、アホが浮かれ出ているらしい。
 東京は感染者200人越えが続いて増加傾向というのに。
 終日穴蔵。
 ……のつもりだったが、午後、サプライ品購入のため外出。
 本日は久しぶりに天五方面へ行ってみる。
 天五のダイソーに寄ったあと近所をうろうろ。
 天神橋筋商店街を歩くのはコロナ以来初めて。1月に堀川戎の商売繁昌以来だから8ヶ月ぶりである。
 某カクウチ、某立ち呑み、某居酒屋、某串カツ店などを外から覗いてみる。
  *
 どことも普段の入り、カウンターに客が貼りついている。
  卓に蜘蛛 蠢き出たる 天満衆
 2週間後(10/3)の感染者数が楽しみである。

9月20日(日) 穴蔵
 世間4連休の2日目。曇天。
 ミルクボーイのひとりが新コロナ感染のニュース
 それ見たことか。3月に、唾液飛ばしまくりのCMを見ておれが危惧した通りではないか。ったくもー。
 見たのはCMだけで、どんな芸をする漫才師かしらんけど。自宅待機らしい。どこかに隔離した方がいいと思うが。
 おれも自宅待機外出自粛。終日穴蔵にて過ごす。
 たちまち夕刻。
  *
 夕映えを眺めつつ、久しぶりにビール1杯。
 明日は晴れそうである。

9月21日(月) 穴蔵
 世間4連休の3日目。オイボレの日である。こんな祝日は廃止してはどうか。
 秋晴れ。
 終日穴蔵。
 ……のつもりだったが、運動不足なので、夕刻に近い午後、散歩に出る。
 淀川堤。
 新御堂の下から堤へ上がれるが、下流方向はダンプが走れる道幅に拡張されている。
 十三大橋手前で通行止め、市街地へは下りられない。ここから引き返す。
  *
 左岸線の工事で、10月16日からは立入禁止となる。2026年末までは入れない(さらに上流に延伸するから、10年以上になる可能性が高い)。
 見納めかもしれぬ。
 だんだんと散歩道が閉ざされていくなあ。

9月22日(火) 穴蔵
 世間4連休やっと最終日。秋分の日。晴。
 終日穴蔵。外出自粛。本を読んで過ごす。
 明日からまた播州龍野行き。
 早寝するのである。

9月23日(水) 大阪→播州龍野
 やっと連休が明けた。
 朝、地下鉄で千里中央へ。相棒・某くんのクルマにピックアップしてもらい、播州龍野へ移動する。
 故郷は緑なりき。
 地籍調査なるものがあり(負の遺産の確認)、午後はほとんど実家書斎で待機。実務は14時過ぎに現場確認、15分ほどで終わる。
 煩わしいことであるなあ。
 ま、龍野書斎でじっとしているのは苦痛ではないけど。
 夕刻、揖保川沿いを散歩。
  *
 17時過ぎると急に暗くなりはじめ、18時には真っ暗。
 長い夜を泥棒に怯えつつ過ごすことになる。

9月24日(木) 播州龍野
 播州龍野にて無事(泥的の侵入なし/心不全による急死もなし)に目覚める。
 無事目覚めたと専属料理人にメール。これをやっとかないと必ず問い合わせメールが来るからな。
 本日は待機の一日。
 地籍調査の「本番」は明日であり、昨日の15分は市役所の手違いによるもの。
 どうやら法務局の「台帳」と「地図」に2年ほどの時差があるためらしい。
 固定資産税は台帳通りに支払っているのに、現場確認は別という。旧地図でやっても意味ないだろうといったら、平謝り。
 よくわからんが、2日間、無駄に龍野滞在となった。
 まあ、せっかくの機会なので、書斎と書庫の整理。ダンボール箱の開封は面倒でやめる。10年後もこのままか。
 午後は書斎にて、一応机に向かう。
  *
 60年前に、この同じ位置で「NULL」の作品を書き始めたのだなあ。
 初心を忘れてはいかん。
 播州龍野での独居生活も悪くない気がしてくる。

9月25日(金) 播州龍野→大阪
 播州龍野にて無事に目覚める。
 雨天。本降りである。
 朝から「負の遺産」の地籍調査。市役所から5人、立会人という人が2名。
 雨の中、雑草かき分けて、打ってあるピンとか杭とかコンクリートに刻まれたマークを探して確認する。
 こちらは確認だけだが、それでもズボンはビショ濡れ。長靴履きのひとりは雑草で隠れていた溝に膝まで片脚を突っ込んでグショグショ。
 夕方までこんな調子かと覚悟していたが、昼前で終わった。ほっ。
 相棒の某くんの仕事の区切りを待って、午後、便乗させてもらって帰阪する。
 疲れた。

9月26日(土) 穴蔵
 空曇りて静なり。
 久しぶりに終日穴蔵、一応机に向かって過ごす。
 夕刻とつぜん「アベやめろ!」という大音声に驚く。
 東側の道をデモ連中が通過していく。
  *
 第4土曜である。梅田解放区を名乗る団体が近所の公園で集会をやるのだが、今日は天八近くでやってからのデモらしい。
 梅田までデモなら、何もこんな裏道を通らなくても。
 で……なぜ「アベやめろ!」なんだ? 不思議な連中だ。

9月27日(日) 穴蔵
 晴れて風なし。
 終日穴蔵にて、机に向かって過ごす。
 どうも最近、長時間同じ姿勢で座っていると、あと腰痛がひどくなる。特に立ち上がるのがつらい。
 午後1時間ほど散歩。
 必要あって佐伯祐三の生家へ。
  *
 富島神社から佐伯の生家(光徳寺/中津学園)を望む。
 カンテ・グランデ〜中津商店街を抜け、貨物線地下化工事の現場に沿って帰館。
 地下線路はほとんどウチの近くまで進んできたようだ。
 また机に向かう。
 あ、大相撲の最後の方、今日だけは見ようと思いながら忘れてしまった。
 誰が優勝したのか知らんが、来場所は準優勝組も入れて、全員でモンゴルのポンコツ2個を粉砕してほしいものである。

9月28日(月) 穴蔵/阪急インター
 眠れないまま机に向かっていたら午前3時を過ぎてしまった。珍しいことである。
 3時間ほど仮眠して、午前6時半に起きる。
 某方面から不規則な生活はしないよう注意されているのだが……飲酒はコントロールできるが、睡眠時間は難しい。
 ネボケ頭で穴蔵にて過ごす。
 午後、ジュンクドーでNULL同人だったSさんと会い、阪急インターナショナル2階のティ・ラウンジでインタビューを行う。
 急ぐ話ではないのだが、いつどうなるかわからんから、談話は早く取っておくのが賢明である。
 Sさんもわかったらしく、昨年、マンガ家の福永道子さんが亡くなられたことを教えてくれる。
「さばさばしたものよ。私が紹介した病院に入ると『ここ、居心地がいいから気に入った』といって、1週間もしないうちに逝ってしまったから」
 小松さんのひとつ上だから、そんなものか。かくありたいものである。
  *
 ラウンジは静か。1階のビュッフェが長期休業で、見晴らしもいい。
 2時間近く雑談して引き上げる。

9月29日(火) 穴蔵/ウロウロ
 午前3時に目が覚めた。昨日と反転である。
 定刻より1時間の早起きだから、普通の生活に戻ったというべきか。
 午前中は穴蔵でおとなしく過ごす。ドタマは今ひとつ冴えない。
 午後に出て、グラフロ西側の道を西梅田へ。
 某院で検診を受ける。
 睡眠が不規則だから心配していたのだが「非常にいい」という判定をいただく。
 血液検査の結果を見ると、γ-GTPは7年ぶりの好数値ではないか。
 休肝日は設けるものだ。
 普通の歩行で(内心は小躍りしつつ)ヨドバシ〜紀伊国屋経由、穴蔵に帰館。
 たちまち夕刻。
 さあ祝杯。
  *
 専属料理人の並べたポテトグラタンその他でビール一杯。
 あと盛大にワイン……といきたいところだが、そうもいかず。グラス1杯。しかたないか。
 明日から、またボケドタマ生活が続く……予定。

9月30日(水) 穴蔵
 なんとか普通の日常に戻った。
 終日穴蔵。
 一応机に向かって過ごすのであった。
 腰が痛い。
 夕刻、10chで若一光司が龍野を歩く番組をやっている。
 昨年、龍野の商家町・醸造町が「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されたらしい。
  *
 おなじみの観光コースである。
 同じ場所なら、糀屋の向かいは五人殺しの現場だし(津山三十人殺しまではいちばん有名だった)、古い醤油醸造所なら、すぐ近くの女郎屋だった建物(変則的4階建で面白い)も紹介してほしいところだ。
 ……などといってる間に日が暮れる。
 粗食でちょっと一杯。早寝するつもり。
 無為に過ごした9月が終わる。嗚呼。


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