『マッドサイエンティストの手帳』760
●マッドサイエンティスト日記(2021年8月前半)
主な事件
・穴蔵の日々
・ハチ(8日)
8月1日(日) 穴蔵
目覚めれば8月であった。
相変わらず午前6時には直射光が入りはじめる。
本日は(明日から緊急事態発令で)最後の日曜とあって、梅田にはアホが浮かれ出ているはず。
終日穴蔵にこもる。
8月の楽しみは東西の感染者レースである。
・東京都試算(7/28)8月11日 4,532人。
・大阪府試算(7/30)8月20日 2,580人。
わしゃこんな数字で収まるはずないと思う。
8月8日までは拡大が続く(根拠は4連休で浮かれまくった7月25日から2週間)。
ま、素人意見は控えて、ともかく期待して見守りたい。
8月2日(月) 穴蔵
本日も炎天なり。
急を要する用事はなく、お代官様のいいつけを守って、終日穴蔵で過ごす。
ベランダから外を眺めるくらいしか楽しみがない。
前にある市営住宅、7月で全員退去と聞いていたが、まだ各棟5,6戸は住んでいるような。1年間違ってたのか。
野々村竜太郎の生家にも下着やタオルが干してあるから、おっさん、まだ住んでいるのだろう。
*
あれから7年か。野々村号泣事件のあと、テレビが来て、その生家内部が公開されたのである。おっさん、なんぼもろたんや。
竜太郎ももう55歳か。住之江公園で元気に過ごしているのだろうか……などと愚考していると、だんだん自分の宇宙が狭くなってくるのを実感する。
3,4年前は半径5キロくらいだったのが、2年前からは半径2キロ、去年あたりから徒歩7000歩くらいが限界になった。
今の視界はせいぜい300メートル。観察できるのは干してあるタオルの色とかベランダのガラクタばかり。
これで「宇宙」の本質が洞察できるのか。
……できるような気もする。
うまくいけば、次は半径3メートルの宇宙(穴蔵)、その次は左右1メートルの机の上(あ、これは『虚航船団』があるか)……では、爪のアカか奥歯の歯垢に宇宙を探るか。
閉じこもっていても、まだ何かやれそうな気がしてくる。
8月3日(火) 穴蔵
朝だ。久しぶりに曇天。浅田飴はなし。エアコンもなしで、終日穴蔵。
たまたま手に取った伊藤利郎・小林宏次『凧の科学』(小学館1979)を再読。
そういえばゲイラカイトがブームになったのが1974年であった。
これに関連して、ぞろぞろっと当時わが身に降りかかった出来事を思い出す・
・NASAの技術者が失職して、凧ならいいが、繊維機器も開発して競合した(結果は圧勝)。
・繊維機械学会誌に技報を書いた。
・その機器はオイルショック後の繊維不況で苦戦した。
・「立派なもんやと思うけど、止まってる糸のスピード測ってどないしますねんな」と職長はんにいわれた。
・エアロマスターズ(コイン・クーラー)が倒産した。
・某商社の男は大喜びしたが、関連してわが取引先が倒産した。
・のちの「ナニワ金融道」みたいなことをやらされた。命じたT岡、おれは今でも恨んでるぜ、もう死んでるだろうが。
・SF大会で凧を売れないかという問い合わせがあった。
……これらが全部、凧がらみで一挙に思い出される。
ネットであれこれ調べたら、凧も進化しているのだなあ。
(Wikiの凧記述には疑問あり、バイオカイトは「2001年に伊藤利郎が開発」とあるが、『凧の科学』は1979年刊で、特許出願も商品化も記述してあるのだが……)
流体力学とコインクーラーと金融道が密接にからみ合う……これはSFにするしかないか。
8月4日(水) 穴蔵
炎天である。
終日穴蔵にあり。
雲の往き来を眺めつつ思索に耽って過ごす。
神の目視点ならボケーーーーーッとしているだけであろう。
たちまち夕刻。
一杯飲んで早寝。
8月5日(木) 穴蔵
本日も炎天なり。終日穴蔵にあり。
午前中は一応机に向かうが、生産的なことはできず。
午後はBSで『足ながおじさん』を見はじめるが、退屈になり、DVDに切替える。
『恐喝こそわが人生』を見る。松方弘樹、好演。意外にも、これ松竹配給だったんだな。
たちまち夕刻。
夜は専属料理人がスペアリブなどを並べた。
*
盛大にビール。暑かったからなあ。
スタミナはついたのだから、少しは運動しなければならぬ。部屋の中を歩くだけでも筋力の低下を実感するかななあ。
明日は少し歩くことにしよう。
8月6日(金) 穴蔵/ウロウロ
曇天なり。直射光なく、快適である。エアコンなしで、少しは仕事もするのであった。
ニュースでは「明日から3連休」という。
調べてみると、11日の休日が9日へ移動しているらしい。運動会のせいか。ややこしいことである。
大規模修繕の工事会社も、来週は盆休みにするという。9連休である。
工事やってる連中、帰郷もできず飲みにも行けないとなると、いったいどうするのか。
ガースー、きちんとアクリル板立てて人数制限している店くらいは、ビール出させてやれよ。
飲めない、台本棒読みで飛ばしても平気、それで「ていねいに説明している」つもりだから、どうしようもないボケ老人だな。
あ、本WEBは「政治・宗教・血液型」のことは書かない方針だが、ボケ問題は「政治」ではないからな。
午後、BSで『荒野の決闘』。30分ほど見るが、10数回目で、DVDもあるから、途中まで。
『活劇映画と家族』でいえば、これは「疑似家族」ではなく、正真正銘の家族の対決だな。
筋力の衰えが気になり、久しぶりに人のいない道を選んで散歩する。
貨物線地下化の工事現場に沿って阪急中津、中津商店街を抜け、許永中の生家あたりを歩き、佐伯祐三の生家へ。
富島神社に寄る。楠の葉が茂っている。
*
5月4日にバッサリ枝を落とされていたのが、3ヶ月でここまで生えてくるのか。
たいした生命力だ。
4,000歩を超えた。疲れたが、幸い膝に影響はなし。
毎日歩かないといかんなあ。
8月7日(土) 穴蔵
朝5時、東の空は「吸血鬼ゴケミドロ」の冒頭を思わせる血の色に染まった。
*
熱低の影響で大荒れの一日か……と期待したが、1時間もしないうちに普通の空模様になってしまう。
終日穴蔵にあり、雲の往き来を眺めてボケーーーーッと過ごす。
近いうちZoomで初めてホストをやる必要が生じたので、夕刻、某友人に頼んで練習相手をしてもらう。
細かい操作(機能のよくわからんアイコンが色々ある)に不安が残るが、別に記録に残すものでもないから、なんとかなるだろう。
夜はBSで『真昼の死闘』を見る。
ドン・シーゲルにしては珍しい女性メインのコメディ・タッチ西部劇。銃撃場面は派手だし、西部の情景描写がいいのだが、ロバで出てくると、とたんに緊張感が緩んでしまう。まあよろしいか。
8月8日(日) 穴蔵/ハチ
炎天下の午後……といっても、そう暑くはない。久しぶりに梅田方面へ歩く。
茶屋町から南は人出が多そうで、新御堂の東側の人通りの少ない道を旧梅ヶ枝町へ。
ふと半世紀以上前のことを思い出す。
石橋から梅田に出てきて、梅田新道の映画館で「007/危機一発」を見た。土曜の午後で、満員を覚悟していたら、空席があって楽に見られた。
そのあとヌルスタジオに寄った。
筒井さんは原稿を書いておられた。「しゃっくり」の冒頭部分で、ちょっと見せていただいた。
ラジオがついていて、そこではじめて「オリンピックの開会式」が行われていることを知った。1964年10月10日16時頃のことである。
この頃は新聞は読まずテレビもなく、トランジスターラジオだけだったからなあ。
57年後の梅田。新聞はともかくテレビはあるはずなのに、人出は多く、阪急東あたり、横切っただけだが、酒場も盛大にやってるような。
ガースーのいう「人流の抑制」、ぜんぜんできとらんよ。
五輪ピックは今日、やっと閉会式のはず。あと半日のしんぼうだな。
夕刻ハチへ。
緊急事態中だが、内輪のイベントがあるため。
ハチママ(昭和8年8月8日生まれ)の初盆であり、生きてれば今日が米寿(88)の誕生日になるはずであった。
*
当時からの古い顔ぶれが少人数で1時間ほど、つつましく執り行う。
拍手、黙礼のあと、さっと失礼する。
夜、BSで『E.T.』を途中まで見るが……30分ほどで頓挫。
もうこのテンポにはついて行けない……というか、まどろこしくてイラチのおれには無理である。
さあ、明日から普通の(外出自粛の)日々が戻りそうな。
8月9日(月) 穴蔵
天気予報、どうなってるのだ。
5時、雲ひとつない快晴である。
6時、台風9号は呉あたりに上陸という。こちらは直射光が強く、エアコン稼働。
8時頃から雲が急速に増える。
10時頃、風強くなり、台風は温帯低気圧になったという。大阪市に大雨注意報、暴風波浪警報のテロップ。
11時過ぎから雨になった。たいした降りではないけど。
ややこしい天気である。
午後は普通の曇天になった。
3連休の最終日。
終日穴蔵にあり。
天気を気にして、これといったことは何もできず。午後BSで『エイリアン』を見たくらい。もう飽きてきたけど。
夜、月曜なのに神奈川のコロナ感染者2,166人という数字に驚く。
うちの身内はなぜか横浜に集中しているのである。
ま、心配していてもきりがない。一杯呑んで早寝させていただく。
8月10(火) 穴蔵
やっと平日である。
朝は曇っていて涼しく(室温29℃)、昼前から晴れてきた。エアコンなしで過ごせる。
終日穴蔵にあり。
だらだらと映画関係の本を読んで過ごす。
もう一度見たい作品を5,6作思い出す。
レンタルか有料のネット配信か、古い作品はどこが充実しているのかわからず、悩むところだ。
ポール・ムーリッス主演の『スパイ対スパイ』(1965年に新世界で観ている)なんて、どこにもなさそうだしなあ。
色々迷っているうちに夕刻となる。
一杯呑んで早寝させていただく。
8月11日(水) 穴蔵
朝は薄曇りであったが、だんだん雲が厚くなっていく。
本日も終日穴蔵……のつもりだったが、明日から大雨が続くという予報。
今日のうちに買い物ということで、午後わが担当としてビールを買いにタカセ市場往復。
少しは体を動かさねば。
あとは穴蔵にてボケーーーーッと過ごす。
・『スパイ対スパイ』について情報をいただいた。フランス語のなら配信しているところがある。ムーリッスの動きを楽しむ作品だから、字幕なしでもいいのだが、手続きが難しそうな。
・残暑見舞いのメールをいただいた。そうか、もう立秋を過ぎているのだ。ガースーのおかげで、今年のカレンダーはややこしいからなあ。秋来たりなば冬遠からず、気が滅入る。5月が待ち遠しい。
・8月1日のコロナ感染者予想。
東京都試算(7/28)8月11日 4,532人。……結果は本日4,200人。いい線をいっていたわけか。
もっとも、東京都は8/5に5,000人を超えて、慌てて「8月18日に10,909人」と修正?している。
すべては結果論だから、素人が予想するのはもうやめるが、8/18の数字だけは見届けたい。
大阪府の試算(7/30)は、8月20日に2,580人である。本日(8/11)は1,490人。あと11日、試算に追いつけるか。
楽しみ心配は尽きない。
8月12日(木) 穴蔵
曇天、7時頃から雨になり、終日降り続く。天気予報は一応当たりか。
終日穴蔵にあり。
室温29℃で、エアコン不要、パジャマのまま過ごせるのがありがたい。
雑多な本を読んでいたら、たちまち夕刻。
専属料理人が並べた数皿で晩酌。
*
生ハムメロンはいいが、グラタンかと思ったらドリアで、残飯の処理だという。
まあ、それなりに結構な。ビール、中本安旨ワイン。
早寝させていただく。
夜は晴れてきたように見えるが……
8月13日(金) 穴蔵
未明(3時頃)に雨音で目覚める。大雨とはいえず。また寝る。5時、普通の曇天。あれこれやってたら8時頃から本降り。
通勤者泣かせの雨である。
10時過ぎにやんだので、ささっとヤマト運輸往復。約600歩。もっと歩きたいが……
帰路、近所の百日紅が咲きかけているのを見る。おれには晩夏の花である。
*
野々村竜太郎の生家前にも花は咲くのであった。
午後は(断続的な)本降りになった。
コロナと大雨、なぜかガースーのせいとしか思えないのが不思議だ。
誰がやっても結果は同じと思うが。
8月14日(土) 穴蔵
終日、雨が断続的に降る。
ほとんど小雨……というよりも、傘が不要な程度の降り。ただし時々短時間、強く降るような。
大阪市内はこんなものであろう。
終日穴蔵にあり。
部屋の掃除……というか、本を整理するつもりが、ちょっと手にしたのを読み出すと、たちまち1、2時間経過してしまう。この繰り返し。
昼は専属料理人が天ざるを作ったので、ちょっと一杯。
*
昼間からこんなことやってていいのだろうか……いいのである。
1年半、お上のいいつけを守って外出自粛を続けているのに、解除される見込みはなし。
本当はお初天神の瓢亭で静かに飲りたいところなのだ。
専属料理人もいたく賛同して、こういうことになった次第。
いいではないか。
8月15日(日) 穴蔵
細雨というのか微雨というのか、未明から傘なしで歩ける程度の雨が降りつづく。
昼前には薄曇りとなった。
昼、久しぶりに横浜のボンクラ息子ファミリーとzoomランチ。
神奈川県のコロナ感染者はひどいもので、先週はほとんど自宅にこもっていたらしい。
大阪にも帰りたいらしいが、今度の正月も微妙であろう。
午後は晴れ間が増えてきた。
少し散歩すればいいのだが、面倒になり……このところ歩く以外のこともほとんどが面倒になってきた……結局、終日穴蔵。
呑むのだけは面倒にならず。関連して、食べることもさほど面倒ではなし。
専属料理人の並べた5皿ほどで一杯。
早寝させていただく。
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