『マッドサイエンティストの手帳』636

●マッドサイエンティスト日記(2016年8月後半)


主な事件
 ・炎天の日々
 ・大阪JAZZ同好会@放出(21日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・笹山啓輔『昭和芸人 七人の最期』(文春文庫)


8月16日(火) 穴蔵/暑気払い
 うへっ、天気予報は曇天だったのに、午前7時前から直射光を浴びる。
 エアコン稼働、本を読んで過ごす。
 夕刻に近い午後に這い出て梅田へ。
 久しぶりに茶屋町〜紀伊国屋〜ヨドバシあたりを歩く。
 ポケモンGOやってるのをほとんど……いや、まったく見かけない(歩きスマホはちらほら)。
 ブームは終わったのであろう。
 結構なことだが、クルマに跳ねとばされるアホを目撃できなかったのが、ちょっと残念である。
 阪急宝塚線・石橋へ。
 お盆恒例の飲み会というか、タイムマシン事業の中間報告会を兼ねて、海鮮居酒屋でちょっと一杯。
 ハモ鍋でビール、冷酒。
 夏バテ気味なので、二次会は失礼して帰館。
 早寝するのである。

8月17日(水) 穴蔵
 本日も炎天なり。終日穴蔵にて読書。
 午後、曇ってきたので散歩に出る。
 が、たちまち晴れて強い日射し。ジュンクドーへ行く途中で引き返す。
 近所の路地にモミジアオイが開花。
  *
 野々村竜太郎の生家近くにも花は咲くのであった。

8月18日(木) 穴蔵/ウロウロ
 晴時々曇。午前エアコン稼働させてボケーーーッと過ごす。本当は色々と考えごとをしているのだが、誰かが見たらタドコロと区別つかないだろうな。
 午後、炎天下だが帽子をかぶり散歩に出る。
 東北方向。
 豊崎神社の境内は夏の日ざかりの日を浴びてしんとしている。
  *
 ポケモンもいないようである。
 淀川堤を長柄橋の方へ歩いてたら、専属料理人からメールあり、天八のスーパーで合流する。
 帰路、ビールと食材のポーターをつとめる。
 健康的汗どっさり。
 帰館後シャワー。
 夜は専属料理人に、枝豆、薄揚げの焼いたん、茄子のたいたんの妖女、刺身、初サンマ、キンピラ、その他を並べてもらって、ビール、黒糖焼酎の水割り。
 夏の夜は「真夏の夜のジャズ」がよろしいなあ。DVDでモンク師匠のバンブー眼鏡、マリガン師匠の真っ赤なブレザーなどに見とれつつ……

8月19日(金) 穴蔵
 朝7時前から直射光が射し込み、遮光カーテンを引いてエアコンを稼働させる。
 昼前のベランダの気温は40℃となる(大阪の最高気温が38℃だったらしい)。
 暑さには平気なおれでも、さすがに扇風機だけで過ごすのは無理である。
 終日穴蔵。生産的な仕事は何もできぬまま。嗚呼。
 明日は夜遊びするつもり。

8月20日(土) 穴蔵/ウロウロ
 午前6時、ベランダは29℃。
 朝7時前から直射光が射し込み、遮光カーテンを引いてエアコンを稼働させる。
 本日もタドコロ状態。ボケーーーーツと過ごす。
 昼には外は38℃になった。
 夜に外出のつもりだったが、専属料理人が夏バテでしんどいというので、おれひとり、午後に出かけることにする。
 久しぶりに自転車で市内うろうろ。
 グラフロ西側を抜けて、中央郵便局へ。
 駅前ビル地下のチケット屋に寄り、2号線を東へ走り、ハチへ。まだ開店前。ハチママ宛の封筒を投げ込み。
 扇町公園を抜ける。
  *
 盛夏なり。ポケモンやってるのは見あたらず……と思ったら、関テレの建物西側の木陰にそれらしいのが50人くらいたむろしている。パチコン屋でずらっと並んではじいている連中が養鶏場でエサをつついてるニワトリを連想させるのに似て、集団で何かに没頭している姿は阿呆に見えるなあ。パチンコも養鶏も「密室」だから気にならないが、ポケモンGOは大量のニワトリが公園に放たれたようで嫌なのであろう。
 黒崎町の路地……青空書房の看板はそのまま残っている。「出世椅子」は残ってるのかなあ。
 中崎商店街抜ける。極真会館と許永中の豪邸の跡地には新しいマンションが建っている。
 旧タカセ市場で黒糖焼酎を買って、1時間半ほどで帰館。
 炎天下を走ってる間は快適だが、30℃の穴蔵に戻ったとたんに汗が噴き出す。
 シャワー。
 夜は専属料理人に5、6皿並べてもらって、ビール、焼酎水割り。
 ニューサンへ行くつもりだったのだが、夜の外出が面倒になってしまった。
 歳であろう。

8月21日(日) 大阪JAZZ同好会
 今さら書くのも面倒だが、本日も炎天なり。
 昼に出て、放出のディア・ロードへ。
 放出の地形は「高低差」的にはちょっと面白く(放出の地名由来は、上町台地東の内陸湖から寝屋川への湖水の放出点だったからという説あり/確かに雨の日に商店街を水が流れ下っていた)、駅前の小さなビルの4階から、北側に広がる「低地」が見渡せる。
  *
 炎天下の町並みを眺めつつ、大阪JAZZ同好会の例会。午後の3時間。
 本日は、Hさんによる50年代のスェーデン・ジャズの特集、Fさんによる新譜紹介、あと持ち寄り企画は「お気に入りのトランベット名演」。
 ジョー・ニューマン、チャーリー・シェイバース、バニー・ビガードなどの稀覯盤から若いときのマルサリスまで、色々登場。おれは沖至のストリングスをバックにしたコンサート録音盤を持参。「サマー・タンゴ」は、エアコン不調の会場で、一服の清涼剤となったようである。
 それにしても……高齢者中心、喫茶店にLPやCDを持ち寄って聴くというのは、安上がりで優雅な愉しみであるなあ。
 夕刻帰館。
 専属料理人に、少量5、6皿(枝豆、翁豆腐のヤッコ、刺身少量、トマトサラダ、キンピラ、ピザ2切れ)並べてもらって、ビール、格安の白ワインを少しばかり。
 早寝するのである。
 たぶん明日には五輪その他、暑苦しい夏は終わるであろう。

8月22日(月) 穴蔵/ウロウロ
 炎天なり。
 先日とつぜん発生した台風が3つ。台風11号は北海道に大雨降らして熱低となり、9号は関東直撃、10号は停滞したまま、西へじりじり。大阪は「雨かも」予報だったのに、台風にも嫌われているのか。
 朝から電話とメールの連絡が錯綜する。
 SFは関係なし。集合住宅関係とタイムマシン事業関係と播州龍野関係で、しばらくややこしい雑事が続きそうな。
 準備もあって、昼前に梅田うろうろ。
 昼は三番街の正起屋で、こういうものをいただく。
  *
 歩いて穴蔵に戻るが、うーん、食べ過ぎ?で苦しい。夏バテとは思えず、年齢であろうか。灘菊の日替わり定食に較べて、ボリュームに大差なしと思うが。鶏めし(そぼろ)が多いからか。
 夕方まで横になったまま文庫を読んで過ごす。
 空腹にはならず、専属料理人に軽いメニューを所望する。
 夜は小鉢数個でビール、黒糖焼酎の水割り。
 明日は動かねばならぬ。早寝。

8月23日(火) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 実家、朝からシルバー人材センターの2氏が来て作業を始めている。
 前庭というか、亡母が菜園としてた土地の雑草処理。土がいいから雑草の育ちも早い。手際よく進めていてくれる。
 この間、おれは40℃のタイムマシン格納庫にて精密作業。ボール盤など使う腕は衰えていないのである。
 シルバー作業は大量の雑草や伐採した枝の搬出も含めて、午後に終わる。
  *
 ビワの木は残った。……この本を読んで、6年前に種を埋めたもの。その年の暮れに母が死去し、記念樹となった。
 あと、炎天下、金融機関などうろうろ。横尾製麺の直販所にも寄る。
 この夏は「揖保の糸・黒帯」の消費量が多いのである。
 夕刻に近い午後の電車で帰阪。
 車中、笹山啓輔『昭和芸人 七人の最期』(文春文庫)を読む。これは久しぶりに読む芸人ものの傑作である。

8月24日(水) 穴蔵
 朝5時、雲あり、室温ベランダともに29℃、秋であるなあ。
 2週間ぶりにテレビを見る。朝のニュース、報道番組。タカハタと連呼しているから、まだ運動会中継かと一瞬錯覚する。あれはマエハタであった。高畑裕太という見たこともない俳優が強姦致傷事件を起こしている。他に、河川敷に少年の遺体、連続刺傷事件……ニュースはこれでなければ。
 ともかく狂気の五輪一色報道はかんべん願いたい。が、4年後にさらに過熱化して繰り返されると思うと、気が重くなるなあ。
 もっとも、報道関係者は、この2週間、事件はなかったというかもしれぬ。
 犯罪者予備軍はテレビのオリンピツク中継に夢中で事件を起こさなかったのだと。
 まさかと思うが、しかし、国際運動会中継に犯罪抑止効果があると認められて、一年中運動会やられたらたまらんわなあ。発狂してしまうぜ。
 今からでも遅くない。東京五輪は中止か返上してほしい……などと愚考しつつ、終日穴蔵。扇風機の風に吹かれて過ごす。
 午後、驟雨もあり。
 室温31℃だが、秋を感じる。
 秋来たりなば冬遠からず、キンタマが波動関数の収縮を起こす厳寒を思うと、今から気が重くなってくる。
 早く夏が来ないかなあ。

8月25日(木) 穴蔵
 晴れているが炎天というより秋を感じさせる日。
 朝、近所の某医院で定期検診、ごく普通であった。
 終日穴蔵にて、少しは仕事もするのであった。

笹山啓輔『昭和芸人 七人の最期』(文春文庫)
 ユニークな昭和笑芸人論である。
 
 昭和を代表する笑芸人7人の末期(特に最後の1年)に焦点をあてた芸人論。
 エノケン、ロッパ、エンタツ、石田一松、シミキン、金語楼、トニー谷。
 おれの場合、石田一松についてはほとんど知らないが、演歌師である。
 すべて不幸な、あるいは不本意な末路を迎える。
 なぜそんな死に際に焦点をあてるのか。悪意ではない。作者は1979年生まれ。現実に見ているお笑い芸人の代表格はダウンタウンである。
 作者はこういう。「時代を代表する人物が、歌手やスポーツ選手だつた時代がある。(ひばりや長嶋)」「現在、その位置にいるのは、お笑い芸人だろう」「いつの日か、私たちは彼らの晩年を目の当たりにしなければならない。」……その時の心構えとして、昭和の先例を探ろうというのである。
 年齢からいって、すべて「文献」による研究である。が、その描写力は(おれはエノケン、エンタツ、金語楼、トニー谷の晩年は映画やテレビで見ているが)並はずれている。現在の芸人とも比較も面白い。
 参考文献の代表的なものはおれもだいたい読んでいるが、他に文士のエッセイや週刊誌のコラムなど、数多くの細かい引用で補強されていて、極めて説得力のある論考となっている。
 細かい論評はきりがないのでやめるが、おれには金語楼の章が(ほとんど読んだことがないせいもあって)いちばん面白かった。「七十の今日金もなく家もなし」とは……
 この中でいちばん長生きがエンタツ78歳、あとの6人の享年は今のおれより若い。
 考えさせられること多し。
 それにしても……こんな高密度の内容の本が文庫書き下ろしというのは、ありがたいというかなんというか。
 一昨年だったか、某コラムニストが米朝師匠について2、3ヶ月で新書をでっち上げた。が、あまりにも雑で初歩的ミスが多く、発売中止になった事件がある。某コラムニスト、笹山氏の爪のあか煎じて飲め。

8月26日(金) 穴蔵
 世間は炎天とか猛暑日というかもしれないが、おれには快適な晴の日。さすがに秋晴れとはいわないけど。
 穴蔵にて、終日、扇風機の風に吹かれて過ごす。
 昼のニュース、夕刻の報道、高畑淳子という女優の親バカ記者会見ばっかり。
 22歳の息子・高畑裕太という「見たこともない俳優」の強姦を謝罪している。
 そんな必要あるのか疑問だったが、事情を聞くと、故なしとはいえぬような。
 とつぜんだが、45年ほど前の取引先の会社を思い出す。
 「縁故採用で入社した男が旗振りやってまんねん」
 某部長がぼやいてはった気持ちがわかるなあ。
 コネでねじ込んだ親は詫びなかったようだが。

8月27日(土) 穴蔵
 定刻午前4時に起きる。曇天で室内ベランダともに28℃。快適な日である。
 終日穴蔵。あまりアタマを使わない作業を進める。
 午後は晴れてきた。郵便ポストまで往復。
 旧東洋ホテルの跡地を眺める。
  *
 タワーマンションになることが発表された。50階建て。工事関係者から聞いていたけど、本当であった。
 旧世界長ビルは37階のタワーになっており、南側の旧三井アーバンもタワーマンションの工事が始まっている。
 そこに50階のが。
 4年後、地下鉄中津はタワーの密集地になるなあ。北側では梅田貨物線の地下化工事進行中だし、死ぬまで退屈しそうにない。が、近未来ビジョンが定まらぬままになりそうな。

8月28日(日) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時に起きる。曇天で28℃、涼しい。
 あまりアタマを使わない作業を粛々と進める。
 運動不足なので、昼前に出て、歩くことにする。
 梅田貨物線沿いに歩き、スカイビル。盆の墓参を失礼したので、師匠の事務所跡地に行き参拝、地下道抜け、大阪駅。
 北口広場でなんかイベントやってる。
 ヨドバシ、紀伊国屋書店、ツタヤを覗き、阪急東商店街を抜けて扇町公園へ。
 扇町スクエアの西側には、やはりポケモンらしいがアホ数十人いてはる。今日の散歩でもポケモン見たのはここだけ。
 天神橋筋商店街を北へ。天六に近いあたりの立ち食いうどん「いぶきうどん」に寄る。
  *
 最近オープンした、イリコだしが売りものの立ち食いうどん……と、こういう情報は、うめきたエリアのタウン誌ともいえる「梅田の北っかわ」で仕入れる。平井祐三さんとは面識はないが、ウロウロ場所はずいぶん重なる(青空とかね)から、そのうちばったり会うかも。
 で、いぶきできつね430円をいただく(かま玉とかちく天ぶっかけの客が多いが、おれはまずきつね)。
 うーん、うまいのだが、店の「志」が中途半端。「つるまる」とか「丸亀製麺」より味で上を行くのは確かだが、「立ち食い」の味ではない。立ち食いの本質は「早い安いうまい」であり、スピード感は×、安いは△、うまいは○、全体のバランスがとれてないのである。決して悪い店ではないが、立ち食い店ではない。京橋「浪花」、天六の「天六うどん」みたいに長続きするとは思えないなあ。がんばってるのは確かだけど。
 小雨になったので、地下鉄で東梅田経由で帰館。
 8,848歩。

8月29日(月) 穴蔵
 わ、目覚めれば午前6時、ずいぶん朝寝坊したものである。曇天で28℃。涼しいからであろふ。
 終日穴蔵。
 昼前から雨が降り出し、午後、だんだん雨足が強くなる。
 台風10号の影響で、台風は八丈島から東北方面へ、らしいが、西日本は線状降雨帯が西から東へ移動、今夜大阪を通過するらしい。
 ま、涼しくてよろしい。
 アタマ使わぬ仕事を進める。
 集合住宅関係でややこしい事態が発生、しばらく落ち着かぬ日々となりそうな。

8月30日(火) 穴蔵/ウロウロ
 台風一過……というより降雨帯一過というべきか、秋晴れの雰囲気。午前6時、23℃である。
 穴蔵にて粛々と雑事。
 断続的に、NHKが延々と流している台風10号の「観測史上初(昭和26年に統計とりはじめてから初めて)の東北へ太平洋側から上陸」中継を見る。
 NHK、興奮しとるなあ。
 晴れた大阪からの見物は不謹慎な気もするが……
 かわりに、近い将来、うちの近所の淀川氾濫を楽しんでいただければと思う。
 昼は「自宅」にて頂き物の出雲そばを食す。
 午後、郵便物発送の必要あり、梅田貨物線に沿って、大阪北郵便局まで往復。
 所々に地下化工事の説明パネルあり。来年からと思ってたら、来月から土留工事が始まるらしい。
  *
 豊崎第6架道橋……↑左端の新御堂を過ぎたあたりから下降、ちょうどこのあたりで地表となる。
 近々ここも通行止めか。
 淀川堤が決壊して、このあたりから「うめきた地下」へ濁流が流れ込むのを想像すると、ちょっと興奮するなあ。

8月31日(水) 穴蔵
 午前5時の外気は26℃、爽やかな秋晴れである。
 和歌山の拳銃魔・溝畑泰秀(和大興業の社員射殺して逃亡中)が、犯行現場近くのアパートに拳銃持って深夜から立てこもっているという。面白いじゃないか。
 ということで、終日穴蔵。
 テレビ中継を断続的に見ながら、あまりアタマを使わぬ仕事をする。
 しかし、この種の事件、金嬉老事件ほど面白いのはもうないだろうな。
 昼前にタイムマシン業の相棒の某くんから連絡あり、ちょっとややこしい問題発生。
 詳しくは書かないが、JISで規定されている測定法に関わる微妙な問題である。
 しばらくアタマを使って、評価方式を色々と考える。
 某くんに連絡して、数通りの実験を依頼。
 夕刻に近い午後に連絡あり、実験結果はドンピシャであった。
 ほっ。アタマはまだボケてないようである。
 18時40分に溝畑泰秀は自分で腹撃って、タンカで運び出される。やれやれ。
 つまらん事件だった。
 専属料理人に色々並べてもらってビール、格安バカうまワインを少しばかり。
 早寝するのである。


[最新記事] [次回へ] [前回へ] [目次]

SF HomePage