『マッドサイエンティストの手帳』635
●マッドサイエンティスト日記(2016年8月前半)
主な事件
・JR支線地下化事業工事説明会(5日)
・淀川花火大会(6日)
・山下洋輔ソロ@ハチ(7日)
・播州龍野いたりきたり
・SF検討会(12日)
・インコ埋葬(14日)
・楠乃小玉『織田信長と岩室長門守』(青心社)
8月1日(月) 穴蔵
炎天なり。終日穴蔵。
午前、3時間ほどエアコン稼働あとは扇風機で過ごす……つもりであったが、午後3時、室温32℃、ベランダ37℃で、さすがに耐え難く、エアコン2時間ほど再稼働。
タドコロ状態。生産的な仕事は何もできないのであった。
たちまち夕刻となる。
専属料理人に、枝豆、ヤッコ、しらすおろし、サラダ、筑前煮など淡泊系メニュー少量ずつ並べてもらって、ビール、黒糖焼酎水割り。メインの鶏ムネ肉に明太子載せてベークしたなんとかは1切れしか食べられず。
本を読みつつ早寝することに、とまたも無為な一日を過ごしてしまった。これではいかん。
それにしても……
「平成断腸亭日乗」の闘病記(というより病床中継とでもいうべきか)は冷徹にして凄まじい手記である。荷風○人さんとは、ネット上で知り合い、直接の面識はないまま、近現代文学の珍しい資料をPDFで送っていただいたりする不思議な間柄だが、その町歩き感覚と紀行文?は素晴らしく、ずっと愛読している。無事復帰され、次は舞鶴から但馬にかけての紀行を読ませていただきたいと切に願っている。
8月2日(火) 穴蔵
炎天なり。終日穴蔵。
動く体力も気力もなし。
8月3日(水) 穴蔵/通夜
炎天なり。昼のベランダ気温(東向き/影/床から1メートル)38℃である。
エアコン稼働、29℃の穴蔵でボケーーーッと過ごす。
夕刻、久しぶりにネクタイをして、専属料理人と長柄の某斎場へ行く。
同じ集合住宅の住人、某さんのとつぜんの通夜である。
35年ほど前、同じ建物内の住人となった同世代のひとりである。
引っ越しされた人もあるが、この集合住宅内「原住民」、だんだんと少数派になっていくなあ。
8月4日(木) 穴蔵
本日も炎天なり。終日穴蔵。ボケーーーーッとタドコロ状態で過ごす。
いかんなあ。
楠乃小玉『織田信長と岩室長門守』(青心社)
異色の信長ものである。
「豊富な資料と最新の研究をもとに新たな信長像を描く!」(帯)意欲作である。
幼少期から桶狭間の戦いまでの、若き日の信長を描く。
多くの戦国大名や家臣が登場するが、物語は、ふたつの勢力の対立が軸となって進む。
尾張。織田信長と信長に幼少期から仕える岩室長門守。
駿河。今川義元とその腹心の藤林正保。
メインはこの4人である。
岩室、藤林、ともに素破の出だが、思考も行動も対称的である。岩室は信長に心酔して忠誠を誓い、藤林は大金で雇われたプロ中のプロで、報酬に見合う成果をあげるが、もし主君が滅びるなら逃げるという立場をとる(これが素破の本質)。
信長、義元の描き方もきわめて斬新。今川家は楽市楽座を開き(!)街道や港湾を整備して「経済の近代化」を図るが、これは物流を独占し、民を犠牲にして、巨額の富を得るためである。そして義元から見ると、信長は「守旧派」である。
信長は尾張の道路を網目状に整備する。領地全体があまねく栄えるためで、リベラル派であり理想主義者でもある。その性格は(よくいわれる短気で烈しい気性ではなく)変わり者と見られるが、理性的な情熱家として描かれる。
多くの合戦や謀反が描かれるが、全体は「経済戦争」であり、武力よりも情報戦。流言飛語、分断工作、悪銭を流しての経済攪乱、偽情報が飛び交う。きわめて現代的でスリリングな展開である。それがクライマックスの桶狭間に収束していく。
多くの登場人物の中では、藤林正保が際だってユニークで面白い。この種の物語は敵側に強いのがいなければ面白くない。その点、藤林は腕は立ち頭は切れ、打つ手打つ手が恐ろしいまでに決まる。しかも、あまりに残忍なリンチに「そこまでせずとも」といわれるや「恐ろしいからでござる」という。申し分のない敵役である。同じ作者による信長のその後も読みたいが、藤林を軸に番外編も書いて欲しいと思う。
楠乃小玉さんは本作がデビュー作だが、2009年に、メディアファクトリーから出た、
『恋する信長』(作画は大橋由起子さん)
の原作者でもある。
こちらは信長の「初恋」と斎藤道三の娘・濃姫を娶るまでの、ふたりの女性を巡るコミックで、これも面白い。
信長中心に、多くの蓄積と引出しがありそうで、これからが楽しみである。
8月5日(金) JR支線地下化事業工事説明会
本日も炎天なり。終日穴蔵。エアコン稼働させて過ごす。
夕刻這い出て、某小学校体育館での「JR東海道線支線地下化・新駅設置事業 工事説明会」を聞きに行く。
5月にあった説明会は聞けず、本日はその時に出た質問に対する追加説明である。
主に、中津地区の「道路計画」「地下化計画」「(廃止されるふたつの架道橋の)代替施設」についてである。
新駅については聞けなかったが、わが関心事(近所のどのあたりから地下に潜るのか)については、資料も配付され、細かい説明があった。
*
↑図の左端(豊崎第4架道橋)が新御堂筋の下あたり。左側地下の灰色部分が地下鉄御堂筋線。
6月に予測したとおり、地下鉄御堂筋線を越えてから下降していき、豊崎第6架道橋あたりで線路は地表1メートルほど。中津架道橋では半地下である。
代替施設は、豊崎第6架道橋は地下道(地下2メートル)、中津架道橋は陸橋(地表3メートル)になるらしてい。
説明は30分ほど。
あと質疑応答。えらいこっちゃ。前の方の真ん中へんに座ってたから、中座するとなると知人がいたら見られることになるので、出るに出られない。
この種の質疑では、質問者(というか発言する人)はだいたい次のように分類されるような。
@糾弾型 A個人的要望陳情型 B演説大好き型 あとしいていえばCボケ老人型か。
@とBの合体型の場合はたいへんである。
細かく計ってないけど、質疑応答1時間20分、質問1時間、回答20分くらいの比率かな。
おれは「鉄道敷(地表の、線路だった土地)」の細かい利用形態、それに変電所の建設について聞きたかったが、時間切れか。
ああ疲れた。
8月6日(土) 淀川花火大会
本日も炎天なり。終日穴蔵。エアコン稼働させて過ごす。
毎日同じことばかりだが、天気が同じだから、致し方なし。
リオ・オリンピックの開会式が始まる。高校野球、明日甲子園での開会式リハーサルも。こんなのニュースで流す意味あるのか。コンサート前にゲネプロ放映してどうすんのよ。
ともかく、これから2週間、騒がしく暑苦しい日が続く。
テレビは見ないければいいのだが、定時のニュースもこればっかりになるのがたまらん。
しばらく播州龍野へ行くか迷うが、あちらはエアコンがないからなあ。
たちまち夕刻。
専属料理人が並べた、枝豆、(ベランダ製)ゴーヤチャンプル、ローストビーフ、トマトサラダなどで、ビール、中本酒店推奨バカうま格安ワインを少しばかり飲んでたら、19時45分に淀川花火大会の音が響きはじめた。
20時20分頃に中本酒店の前へ行って、ビルの谷間から、最後の20分ほどを見る。
*
淀川堤まで10分もかからないのだが、人混みは苦手である。
中本の大将と並んで見物。電線がじゃまだが、まあ、こんなものであろう。
※夜のニュースで、リオ五輪の最後の聖火ランナーが「マラソンの銅メダリスト」デリマと紹介されて、思い出した。アテネ五輪で2004年8月30日、マラソンでトップを独走していながら、38キロあたりで女装の男に抱きつかれて3位に後退した選手だ。犯人は変態性欲者・今岡清かと思ったら、ニール・ホーランという男であった。そうか、ブラジル(に限らず)では実質金メダリストと評価されているのだ。いい人選ではないか。
8月7日(日) 山下洋輔ソロ@ハチ
本日も炎天なり。午前7時に直射光、エアコン稼働させる。
穴蔵にて雑事あれこれ。
夕刻這い出て、専属料理人とハチへ。
大阪のいちばん暑い時期の恒例行事。ハチママ誕生日ライブである。
原則8月8日だが、今年は1日早く。
もう40回を越えるはず。山下洋輔さんのソロが至近距離で聴けるのは今やここだけだろう。
・ゆずり葉の頃
・ハチ
・新世界より・第4楽章
・You Don't Know What Love Is + Happy Birthday
・やわらぎ
・Everytime We Say Goodbye
・ボレロ
ふだんは「半分寝たきり」というハチママも、この日だけは来店。
鹿児島や山口から、珍しくも懐かしい顔ぶれも。
終演後、店を片づけてから、バースディパーティ。
*
ハチママも残っていて、山下さんの絶妙のピアノで「リンゴ追分」「都々逸入りハッピーバースディ」を歌い、アップテンポで大ちゃんとのバトルまでやってのけた。
反動が心配であるなあ。
8月8日(月) 大阪→播州龍野
朝の通勤ラッシュが終わった頃に出て、播州龍野へ移動する。
本日も炎天なり。
窓を開け放っても40℃のタイムマシン組立場にてしばらく作業。
昼に実家に着き、雑事色々。
市役所へ行ったり、自治会長氏を訪ねてお願い事したり、金融機関や食品関係に寄ったり、市内をウロウロ。
盆前に墓掃除の必要あり、墓地へ行ったら、枯れた花など、きれいに片づけられている。はて。
実家に戻ると、妹夫妻が来ていて、急に思い立って墓掃除に来たという。考えること同じである。
明朝がゴミ収集日なので、そのため一泊のつもりだったのに、自宅の方で処分するからと、妹夫妻がクルマに積んで持ち帰ってくれた。
龍野泊の必要はなくなったのだが、夜の食材、持った来たのと買ってきたのがあるから、泊まるしかないか。
しかし暑い。
実家は、開け放って座敷に寝転がってれば涼しいのだが、本日は、吹き込んでくるのが35℃の熱風だから、暑さに強いおれでも、さすがにつらい。
庭に散水。効果なし。
*
夕刻、揖保川沿いに散歩。逆さ鶏籠山を眺める。
夜は枝豆、味三昧の豪華弁当でビール飲みつつ、「玉音放送」関係の特番を見る。
「象徴」というお立場を真摯に考え続け悩み続けててこられたのであるなあ。
これに対する閣僚の反応、どうかなと思うのが色々あるが、所感は控えさせていただく。
8月9日(火) 播州龍野→姫路→大阪
暑くてほとんど眠れず。
播州龍野の場合、風さえ通れば快適なのだが、近年は戸締まりしなければならず、深夜でも30℃。
リビングに座布団並べてうたた寝。
朝になった。
本日も炎天なり。
昼前の姫新線で姫路に出る。
おなじみ小溝筋の灘菊にて680円の日替定食。
*
本日は一口カツもつく豪華版。水分補給も怠りなし。
灘菊に栄光あれ。
午後の新快速で帰阪。
シャワー浴び、夜は専属料理人の作った夏パスタでワイン少しばかり。
早寝するのである。
8月10日(水) 穴蔵
本日も炎天なり。こればっか。
終日穴蔵。ほぼ終日エアコン稼働させて、少しは仕事もするのであった。いと少なしを。
それにしても……国際的運動会の報道、なんとかならんか。定時のニュースもこればっかりではないか。
大晦日の国民的学芸会もいやだけど、あれは一晩限り。運動会は2週間も続く。
淡路の小学校校長が女性の更衣室に盗撮カメラを仕掛けたなんて「大ニュース」があるのに、テレビは何も報じない。
この2週間、悪いことのし放題ってことか。
などと愚考してたら、たちまち夕刻。
夕空がきれいである。
*
自宅リビングから暮れゆく北梅田を眺めつつ、翁豆腐、串カツ、サラダなどでビール。
米朝師匠のDVDを見て、早寝することにする。
8月11日(木) 穴蔵/ウロウロ
もう飽きてきたが、本日も炎天なり。
終日穴蔵にて粛々と雑務をこなす。
運動不足なので、日没に近い時間に散歩に出る。北西コース。
富島神社にも寄る。
*
見識であるなあ。
4,184歩。
シャワー後、専属料理人の並べた粗食系メニュー(枝豆、翁豆腐、肉じゃが、ひらき、トマトサラダ、糠漬け)でビール、黒糖焼酎水割り。
健康的な一日である。
CDを聴き米朝DVDを見て、早寝することに。
8月12日(金) SF検討会
飽き飽きするが、本日も五輪・甲子園・炎天と暑苦しい日である。
エアコン稼働させて読書と昼寝のくりかえし。
日没に近い時刻にかんべむさし氏が来穴蔵、久しぶりに暑気払いを兼ねた定員2名内容非公開のSF検討会を開催する。花見以来か。
テーマ雑多、主には「残り時間」をどう過ごすかという深刻な話題のはずが、参考事例としてアホらしいパターンばかりが出てくる。そのうち「仕事が性格をつくる」という事例分析になって、焼酎水割りを飲みつつダラダラやってたら、たちまち4時間経過。
その割に酔いがまわらんなあ。
8月13日(土) 穴蔵
嫌になってくるが、本日も炎天なり。
7月29日以来炎天が続いている。夕立が2度(8/3、8/5)あったが、午前の直射光はこれで16日続いていることになる。
ともかく8月21日まではガマンする他あるまい。
終日穴蔵にて読書と昼寝。
お、岡崎市立中央図書館から注文していた内田コレクションCD『宮沢昭』が届いた。
*
夜、専属料理人に色々並べてもらってビール飲みつつ聴く。
森山さんは1曲のみ参加。名曲「にじます」である。たまらんなあ。
しばらく更新してなかった森山ディスコグラフィーを更新する。こういうことはマメにやらんといかんなあ。
alaの「JAZZ NIGHT」まであと35日。
ともかく早く世界的運動会が終わってほしいものである。
8月14日(日) 大阪←→播州龍野/インコ埋葬・墓参
深夜に専属料理人からの電話で飛び起きる。
「……が死にかかっている」という。
あわて駆けつけるに、深夜に鳥カゴでコトッと音がしたので見ると、インコのPiPiがカゴの床に倒れていたらしい。死去。
寿命であろう。2010年5月22日に廊下で保護し、2010年6月8日に鳥カゴに入れて、家族の一員となった。
今年6月には、爺さん顔になったなと思ったし、膝に飛び上がれなくなってたからなあ。6年数ヶ月、幸せな一生というべきであろう。
朝になった。
本日も炎天なり。
専属料理人とPiPiの葬儀について話す。
ゴミとして出すのは「ざんない」し、淀川の河川敷に埋めるのは問題あり。プランターに埋めて花を咲かせるか……
結局、播州龍野の庭に埋葬することにして、さっそく本日出かけることにする。
午前の新快速で播州龍野へ移動する。
実家の庭の片隅、梅の木の下に埋葬することにする。
好物だった豆苗に、百日紅を一枝入れてやる。
* *
漬物石になりそうな石があるが、墓石にすると重苦しそうなのでこれはやめ、墓碑として瓦を1枚立てかける。屋根に登り空へ飛んでいくように。
上田早夕里さんの「小鳥の墓」を思い出すね。あれはスズメの埋葬だったけど。
ついでに……といってはいかんなあ、盆なので両親の墓参にも行く。
これからは、墓参りは親とインコを兼ねて行うことになるなあ。
夕刻、姫路に移動。
おなじみ「灘菊」にて精進落とし。
専属料理人、白おでん(酒粕で味付けしたおでん/シチューみたいだという)がいたく気に入ったようである。気に入ったはいいが、家庭で再現しようとは思わないように。灘菊で食べればいいのだから。
新快速で帰阪。帰省ラッシュはなく、空いた涼しい車両で帰れた。
8月15日(月) 穴蔵
おや、久しぶりに曇天で朝の直射光なし。7/28以来である。
30℃の穴蔵で、扇風機の風に吹かれて、終日読書。
出歩く気分にはならず。食事に自宅と廊下を往復するのみ。
朝はトースト。
昼は焼き魚定食。
夜は健康的メニュー色々並べてもらってビール、ワインを少しばかり。
また本を読みつつ、早寝するのである。
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