『マッドサイエンティストの手帳』567

●マッドサイエンティスト日記(2013年11月前半)


主な事件
 ・グリーン交響楽団@シンフォニーホール(2日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・創サポ講義(9日)
 ・ラスカルズ@甲子園教会(10日)


11月1日(金) 穴蔵/ウロウロ
 わ、気がつけば11月になっていた。
 年賀状の発売開始……と思ったら、昼には早くも喪中ハガキが届いた。年末なのだ。
 何もせぬまま1年が過ぎようとしている。
 焦るなあ。
 といいつつ、穴蔵にてボケーーーッと過ごす。
 夕方に近い午後、所用が生じて、阪急池田へ行く。
 ボンサラ時代の知人と会う。
 池田(伏尾町)の事業所はいちばん勤務期間が長かったから、ついでに事業所跡へ行ってみたかったが、時間がない。
 紅葉の隠れ名所でもあるので、1月ほど後にする。
 3年ぶりに「かき峰」にて一献。といってもビールだけ。呉春は飲まず。
 ん、今年の広島牡蠣は小粒なのか?
 東北の牡蠣に慣れたせいなのか。よくわからん。

11月2日(土) グリーン交響楽団@シンフォニーホール
 世間は3連休の初日である。
 昼過ぎに専属料理人とシンフォニーホールまで歩く。
 グリーン交響楽団の定期演奏会。
 おれはジャズばかりでなく、たまにはこういうのも聴くのである。
 14時開演。
 シューマン「歌劇<ゲノフェーファ>序曲」
 ベートーベン「田園」
 プロコフィエフ「ウエストサイド物語ロメオとジュリエット」
 「田園」を聴くなんて何年ぶりだろう……と考えて、生まれて初めてのような気もする。
 世間一般、そんなものではないか。
 シンフォニーホールは経営母体が変わってから、やりにくい面が色々あると仄聞するが、音響は良く、接客?も特に変わったところはなし。
 スタッフが苦労しているのかもしれぬ。
 ウェスティンでペストリーを買い、中本酒店で金賞ワインを買って帰館。
 夜は、生しらすを使ったオムレツ、生ハムサラダ、野菜をごちゃごちゃ煮たのとか、ほうれん草を炒めたのとか、野菜の多いメニューにペストリーなど並べてワインを少しばかり。
 まあ優雅な一日であった。

11月3日(日) 穴蔵
 曇天、10時頃から雨になり、終日小雨が降りつづく。
 穴蔵にて週末用の資料を読んで過ごす。
 「龍野乃刻」が届いた。今年も、もうそんな季節なのである。
 ということで、夜は刺身など和系色々でドライゼロ。うーん、呉春が飲みたい。
  *
 PiPiが醤油の匂いを嗅ぎに来るが、好みではないようである。

11月4日(月) 穴蔵
 昨日からの雨が未明にやむ。
 眠り浅く、雨音が途絶えたので目が覚めたような。
 世間は3連休の最終日。天気は不安定で、出かける気にはならず、仕事に集中する気分にもならず。
 年末で、1月の予定もぼちぼち記入する必要あり、諸ファイルの2014年版を作成する。
 つまり……
システムダイアリーの年間スケジュール表(有楽町の売場がなくなって以来、自作である/一太郎)
・PCのスケジュール表(Open Office の表計算ソフト)
・タイムマシン関係の帳簿(Open Office の表計算ソフト)
・住所録の整備(The CARD)
 心配なのが住所録に使用しているカード型データべース・ソフトである。
 おれは「The CARD」をDOS機時代から愛用してきて、現在、Ver.8 をXP機で使っている。
 住所録以外に、顧客管理、PC版京大型カード(読書メモ)などにも使用している。
 エディター(WZ Editor)と並んで、よく使うソフトのひとつである。
 複数のメモを書き込むには、表計算ソフトでは不便だし、Accessは面倒であかん。
 The CARDはVer.8以降、消滅している。
 Windows 8 で使えるかどうか、微妙なような。
 最近、XPの動作がちょっと不安定で心配である。
 7に切り替えておく方が無難か。
 迷うところだ。

11月5日(火) 大阪→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 9時着、龍野書斎の室温は16℃で、思ったほど寒くはない。
 タイムマシン格納庫にて相棒と打合せ少し。
 あとは実家にて、肉体労働の日である。久しぶりに下男(おとこし)仕事。
・裏庭に堆積する枯葉の大型ポリ袋詰め。
 昼前に専属料理人と実妹が到着。下女(おなごし)の助っ人が加わる。
・以前から気になっていたガラクタ類の整理。廃棄物の仕分け。ついでに大掃除。
・おれは畑地の雑草の処理。
  * → *
 電動草刈り機でなぎ払う。
 刈るだけなら簡単なのだが、あとの処分がたいへんである。数年前から燃やせなくなったのである。
 袋詰めにしてゴミ回収日に出す(1回でやるとなると、たいへんな量になる)のが普通らしい。
 困ってたところに、シルバー人材センターの某氏が庭木剪定の下見に来た。
 と、草の処分は、シルバーでトラック持ってきてやれるという。料金はまだ不明だが、レンタカーを借りてきて作業するよりは楽なような。
 後日依頼することにして、作業は途中でやめる。
 無理はせんことだ。
 ガラクタを積み上げたところで、本日の作業は終わり。
 実妹は神戸方向に帰る。
 日が暮れると、今日に寒くなる。
 湯豆腐などでドライゼロ。うーん、龍力が飲みたい。
 早寝。
 播州龍野の夜は早いのである。

11月6日(水) 播州龍野
 慌ただしいのであった。
 朝も早よから下男(おとこし)仕事。
 専属料理人は下女(おなごし)の本領発揮、ドブ浚いに似た汚れ仕事をやっておる。
 たいしたものだ。
 昼前に、日程があいたからと、シルバー人材の2氏が来訪、昨日放置した草刈りを1時間ほどで片づけてくれた。
 軽トラで刈った雑草の廃棄も。
 ということで、畑地はすっきりした。
  *
 価格は良心的で安く(前に依頼したN産業の1/3以下)、質はプロの仕事である。
 たつのシルバー人材センターに栄光あれ。
 ということで、当方も、ガラクタ類を軽ワゴンに詰め込んでクリーン・センターへ運ぶ。
 夕刻に近い午後、ともかく播州龍野実家の目障り物件は一応始末がついた。といっても、20%未満だけど。
 専属料理人は夕刻の電車で帰阪。
 おれはまだ雑事あり、もう一泊となる。
 夜、播州龍野にて独酌。たまらんなあ。発泡酒2缶だけど。

11月7日(木) 播州龍野→大阪
 播州龍野にて午前7時前に目覚める。
 やはり大阪の穴蔵より、こちらの方が熟睡できるような。
 「音」のせいか、肉体労働のせいか、よくわからんけど。
 下男仕事の仕上げ。
 薄日が急に曇って雨が降ったり晴れ間があったり、天候不安定。雑草類を昨日のうちに片づけたのは正解であった。
  *
 庭のあちこちに石蕗が咲いている。
 花の少ない季節で、金木犀が散って、掃除したばかり。あとは野紺菊が咲いている程度か。
 しばらく滞在して、花を愛でたり書を繙いたりしたいところだが、そうもいかず。
 昼前にM自動車へクルマを車検に出す。
 M自動車から代車を借りていた時から3年が近い……ということは、母が亡くなってそろそろ3年になる。
 母の死後、クルマの使用は減っていて(走行距離は3年間で5千キロ以下/それでも高知や博多に行ってる。遠出しなければ、月50キロ程度ではないか)、手放してもいいのだが、龍野でのクルマ依存からは抜けられそうにないし、迷うところだ。
 そういえば……畑地の一角にビワのタネを埋めたのも3年前であった。
 藤田雅矢さんの『捨てるな、うまいタネ NEO』を読んでやってみたのである。
 その2ヶ月後には雑草に埋もれてしまったが、一ヶ所だけは注意して雑草を引き抜いてきた。
  *
 1メートルくらいに育っている。ふじたまさんに、お礼とともに報告しておきたい。
 3年後には実が食べられるだろうか。
 午後の電車で帰阪。
 俗塵のなかに戻る。

11月8日(金) 穴蔵/ウロウロ/古事記その一/塩尻ワイン
 朝から慌ただしいのであった。
 近所のY医院の門前で待って、いちばんに見てもらう。
 クスリが昨日で切れていたのだが、血圧は正常値であった。これで身体から異常値はなくなった……はずである。
 クスリは継続だけど。
 ただちに帰館。
 穴蔵の雑排水管洗浄のため、在室しておらねばならぬ。
 おれが医院へ行く間に留守番していた専属料理人が、大掃除を始めている。
 しかたなく、書籍など片づけ、床掃除も行う。
 冬バージョンに模様替えの時期だから、いたしかたあるまい。
 昼前に雑排水管洗浄、10分で終わる。
 昼過ぎに淀屋橋の(ゆうちょ銀行と並ぶ)某メガバンクへ。ビル1階のATMにて処理事項1件。
 あと、ビル内に勤務してはるジャズ友の某氏を受付から呼び出す。
 「お客様窓口」相当の部署だから、ATMの使い方がわからんとクレームつければ来てくれるのである(←半分はウソ)。
 応接のコーナーで30分ほどジャズ談義ATMの使い方を教わる。
 暖かいので、ついでに淀屋橋界隈を散策。
 市内でオフィスビルが整然と並ぶ区画は、今では淀屋橋の御堂筋東、平野町あたりまでだけだろうか。
 
 この界隈は「ニッセイ村」というらしい。新ビル建設中である。
 本町に近づくと、古い家屋もあり、旧勤務先あたりは寂れた雰囲気が濃厚である。
 淀屋橋のメルカトール図法?みたいな名の店で、ワインの特売をやってたので、長野産の金賞とかを買って帰る。
 15時過ぎに帰館。
 と、NHKで「上方落語の会」をやっていた。
 桂文我「古事記その一」……天の岩戸の件りまで約30分。なかなか面白い。
 歌やん(先代歌之助)の「古事記伝」との違いは、歌やんが原典へのくすぐりを入れたり落語のパロディにしたりで批評的だったのに対して、文我版は正調というか、余談(脱線)部分に楽屋話を入れて笑わせ、話は原典に忠実に語っている。性格の違いであろうなあ。
 ということで、夜は洋風数皿。
 ドライゼロのあと、アルプスの塩尻メルローなんたらをいただく。
  *
 なかなか結構な。
 専属料理人がなんとかパンを焼き出したら、オーブンのにおいに気づいて、早くもPiPiが待ちかまえておる。
 好きなんだのう。
 と、バタバタしつつも、健康→ジャズ談義→落語→ワイン(→あとはSFを読む)と、優雅な一日であった。
 人生の小春日和というべきか。

11月9日(土) 穴蔵/創サポ講義
 穏やかな日である。
 土曜日で、騒音も集合住宅関係のややこしい話もなし。ありがたいことだ。
 終日穴蔵にて、資料の再読とメモ取り。
 夕刻に這い出て、地下鉄で天満へ。
  *
 17時30分の天満橋。前回は同時刻で薄暮だったのが、もう暗い。
 冬至が近いのである。
 エルおおさかにて、創作サポートセンターの講義。
 提出された4作品を中心に。
・裏長屋に蟄居している老大工の隣に母娘が越してくる江戸人情話。前回の改稿版。
・親子の葛藤(誤解)を少年視点から描く中編。父と息子であれば普遍的テーマだが、母と幼い兄弟の「三角関係」となると、おれにはコメントしづらい。作者から創作意図を聞くうち「どちらの子が可愛いか」は今の若い母親に共通する意外に深刻なテーマであることがわかってくる。虐待や育児放棄などにも敷衍できる現代的なテーマかもしれない。
・優れて哲学的言辞を好む「精神科医探偵」という奇抜な設定のミステリー。超人探偵のメタ・ミステリーにも見えるが、骨格はきちんとしている。「現象学的捜査」が新機軸である。アンフェアに見える部分をクリアすればヒットするのではないか。
・古典的な神話を現代の場末(あきらかに京橋界隈)に移植したモダンホラー(おれは古典的マッドサイエンティストの研究所を今の中崎町界隈に設定しようとして失敗した経験があり、狙いは実によくわかる)。落ちこぼれかけの少年中心に、人物造形と風俗描写がしっかりしていて面白い。恐怖とユーモアを共存させようとしていて、「緊張と緩和」の案配が計算できれば、かなりいい線をいきそうな。

11月10日(日) ラスカルズ@甲子園教会
 昼過ぎに出て、省線で甲子園口に向かう。
 武庫川の西岸を北へ。
 ニューオリンズ・ラスカルズの甲子園教会コンサート。
 ちょうど6年ぶりである。
  *
 6年経つと、寂しいことだが、ちょっとメンバー変わって、本日は、ベースが村橋さん、トランペットが特別ゲストのジェフ・ブルである。
 2ステージ、全19曲。
 コアなトラッド・ファンではなく一般向けということで、ブルース、小唄、オールドフォーク、マーチ(葬式用)と多彩だが、やはり教会には賛美歌が似合う。
 夕刻、甲子園口駅前にて、6年前とほぼ同じメンバーで軽く一杯。
 6年経つと、話題は病気の話が増え、酒量はずいぶん落ちたなあ。

11月11日(月) 穴蔵/ウロウロ
 穴蔵にて雑事あれこれ。
 いかん、またも気力が集中できず、ボケーーーーッと過ごす時間が増えている。
 寒くなり、全面的に穴蔵を冬モードに変更する。
 コタツを設置、本を読み出したら、たちまち眠くなる。
 いかんなあ。
 夕方に近い午後、散歩に出る。
 ハートン北梅田の横にUMEGLEチャリの営業所オープン? それともイベントか何かで臨時営業か?
  *
 寒空に兄ちゃんひとり座っているが、借り手なさそうな。
 UMEGLEは色々な企画を進めているが、ウメチャリは失敗だと思う。このおれが自前の自転車でも梅田走行はやめているのだもの。
 駐輪場がないから、買い物はできないし、食事もできない。
 ウメチャリだから不法駐輪していいはずなし、借りても不便で困るはずだ。
 書店〜ヨドバシを回り、ついでに大阪駅を抜けて、ハービス4階のSONYショップへ行く。
 
 初めて来るが、建物全体、閑散、静かなものである。
 週末にヨドバシに並ぶはずの新製品を手にとって見る。
 うーん、ちょっと迷うが、衝動買いをする心配はなさそうな。

11月12日(火) 穴蔵/ルイス本四たび
 午前4時起床、室温21℃、外は11℃。世間が騒ぐほどの寒さでもなし。
 終日穴蔵。
 メール便で書籍が届く。
 一昨日話題になったジョージ・ルイスの本を某氏が送ってくださったのである。
 ルイスに関する本は、『コール・ヒム・ジョージ』(伝記)、『ジャズマン・フロム・ニューオリンズ』(評伝)、そして未訳の『song for my fathers』(著者のニューオリンズ青春記でルイスも出てくる)が最後だろうと思ってたら、まだあるという。
 それが『The Fabulous George Lewis Band』である。
 
 裏表紙の惹句を訳すと、
 「2008年、バリー・マーチンは、1948年から1956年までジョージ・ルイス・ラグタイム・バンドのマネージャーを務めたニック・ガグリアーノに長時間インタビューを敢行、ジョージ・ルイス・バンド形成期のエピソードをまとめ上げた。バンク・ジョンソンのニューヨーク騒動も聞き出している。ジョージ・ルイスとそのバンドについて、友人とマネージャーが遠慮会釈なく語り尽くした。これは「インサイド・ストーリー」の決定版だ!」
 という本らしい。
 2時間ほど拾い読み。しんどい。やはりKさんに訳してもらう方がいい。
 あと、本書に関連して引き受けた作業を行う。

11月13日(水) 大阪←→播州龍野いたりきたり
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 5日ぶり。
 前回来たときに、奥の部屋の一角にネズミの糞らしきものがあったので、5ヶ所に粘着型のネズミ獲り板を仕掛けておいたのだが、そのひとつに一匹でかいのが……よく見たらイタチである。
 どこから侵入したのか不明だが、粘着板が剥がれず、出られなくなって餓死。だいぶ暴れたような形跡があるが、詳述は控えさせていただく。後始末に手をやく。捕獲直後に来てたら大騒ぎであったろうな。
 車検のクルマ引き取り、シルバー氏による庭木の剪定、その他雑事色々。
 夕刻に近い午後の電車で帰る。
 久しぶりにJR神戸で途中下車。
 元町商店街を歩く。
 しまった、海文堂書店は9月末に閉店だったのだ。
 
 おれにとっては、姫路駅前の新興書房、大阪駅前の旭屋書店(木造の旧館)と並んで、思い出の多い書店である。
 播州龍野の伏見屋書店(今では雑誌を少し並べているだけだけど)のみ残っている。
 専属料理人が本日よりしばらく不在。
 元町の某店で中華でもの心づもりだったが、水曜定休であった。

11月14日(木) 穴蔵
 終日穴蔵。
 久しぶりにCGソフトを使うが、操作がまるで思い出せない。
 AUTO-CADもしかり。
 ヴァージョンが古くなっているから、Windows8では使えない可能性が高いし、データ送稿しても、相手(印刷所とか機械加工屋)が受け付けてくれないかもしれず。
 PCも頭脳も老朽化してきたのである。嗚呼。
 朝、トースト。
 昼、うどん。
 夜、コンビニ弁当でちょっと一杯。

11月15日(金) 穴蔵
 終日穴蔵。
 不慣れな作業の継続。
 専属料理人が不在だと食生活が「規則的」になっていけない。
 本日も、
 朝、トースト。
 昼、うどん。
 夜、コンビニ弁当でちょっと一杯。
 ともかく食事が面倒でしかたがない。
 まして入浴なんぞは……洗濯しなくていいから楽ではないか。


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