HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』198

●マッドサイエンティスト日記(2001年5月前半)


主な事件
 ・別荘でタイムマシンの組立
 ・大学の70周年記念イベント(5日)
 ・「OSAKA BIG RIVER JAZZ 2001」(13日)

2001年

5月1日(火)
 早朝の電車で播州龍野の別荘に移動。タイムマシンの組立。
 夕方実家に帰ると、実家横浜・現住所香港の姪っ子が滞在中で、i-bookを持参、わが妹といっしょにわがホームページを覗いている。
 「なぜ○○さん(←家内の名前)が専属料理人なんですか?」
 「実質は女中というか家政婦なんやけど、掃除洗濯さえやっとりゃええのや、とは書けんやろがな」
 ……ああ、だんだん余計なことが書けなくなるなあ。

5月2日(水)
 タイムマシンの組立続行。
 夕方帰阪、某紙からFAXが入っていて、連休明けの休刊日の都合で原稿は本日午前中にという連絡。あわてて机に向かう。なんとかセーフ。
 ボンクラ息子その1のクルマでホームセンターへ。旧型のDESKPOWER+15inchCRTを仕事部屋の一角でタイムマシン設計専用に利用しようと、パソコンテーブルを見に行くが結構高い。廃棄する時にも困りそうで、結局1980円の卓袱台を買ってきた。タイムマシンの改造はあぐらをかいてやることになる。石川英輔さんの「ポンコツ・タイムマシン」の雰囲気になってきた。

5月3日(木)
 世間は連休らしい。
 専属料理人、本日からしばらく実家行きである。またも家政夫をやらねばならぬ。
 が、ボンクラ息子、ふたりとも遊びに行くので晩飯は不要という。
 かんべむさしに電話……なんとなくそんな気がしたのであるが、案の定、かんべも家族が実家行きで、ひとりで勝手に食事予定という。夕方わが家に来ることになる。
 いそいそと酒肴の用意をしつつ漫才番組を見ていたら、カフスボタン出演の最中に「金正男らしき人物を成田で身柄拘束」のテロップが流れる!
 18:30、かんべ来宅、このニュースを伝えるや、北朝鮮ファンのかんべ、興奮して、「ホンマかいな! 皇太子が金浦空港で捕まったみたいなもんでっせ。うーん。しかし、あのマサオ、昔、女の取り合いでピストル発砲の前科があるからなあ。こら、ディズニーランドを見に来た程度のことでっせ」……ニュースを追っかけながら、テレビの前でビール。……と、22時のニュースではまさにかんべ断言通りの報道になっていくから驚く。
 ニュースの連続で23時まで。食器片づけ、24時就眠。夜更かししたなあ。

5月4日(金)
 天気がいいので洗濯、仕事部屋の掃除。
 正男とその一味は午後に全日空機で北京へ去ってしまった。「用心棒」か「リオ・ブラボー」みたいに「人質交換」をやればいいのになあ。
 夕方、連休で帰阪の旧友と阪急石橋の居酒屋でビール。
 21時帰宅。おや、ルン吉が定位置にいる。

5月5日(土)
 朝刊の「正男報道」を色々読み比べるが、産経が圧倒的に面白い。
 連れていた子供は金正日の「末っ子」だという。ということは、太った女がその母親で、細身の若い女が正男の「愛人」か。いい女じゃないか。
 ニュースで昨日の正男が送り返される場面が映る。なんともふてぶてしい。アタマは禿げかかり。ごろつきの風体である。しかし細身の方、いい女であるなあ。子連れの女は元「喜び組」ということか?
 昼、中之島へ。……前から店名が気になっていた「純情うどん」でざるうどんを食べる。いいのは名前だけで、ここはカレーの得正のチェーン店。普通のうどん店であった。
 13時、中之島の大阪国際会議場へ。
 大学の創立70周年記念イベントでパネル出演のため。眉村卓さんとロボットの浅田稔教授とのトークである。メイン会場は「夢ワールド・次世代展」……開会のテープカットもといわれて会場入り口まで行ったら、なんと岸本総長を挟んで眉村さんとぼくが並ばされてしまった。眉村さんはいいけど、わしゃ、総長と並ぶような人間じゃありませんぜ。緊張するなあ。
 出番は『近未来ロボットをSFで科学する』……そのタイトルには矛盾がある(SFで科学するという表現)と浅田教授。眉村さんは「近未来」にこだわる。近未来の定義は今後の20年であるという意見。なるほど。ぼくは近未来とは漠然と自分の寿命までくらいに考えていたのだが、これだと年齢によって変ってしまう。……14:15〜15時まで。
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 あと、手塚治虫展、適塾・懐徳塾のバーチャル展示などを見る。
 ロボカップの実演があり、奈良先端技術大との対戦で、浅田研率いるトラッキーズ選抜メンバーの圧勝である。まあ、これは実戦経験からいっても当然の結果だろうな。阪神タイガースと高校野球だといい勝負だろうけど。
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 帰路、自転車で梅田・ハチの前を通過。ハチの南50メートルほどの廃屋? ヤキトリ「てころ」の向かい側だが、ここのバラが見事である。誰が世話しているのであろう。この情景も使えそうだなあ。

5月6日(日)
 終日仕事部屋に籠もる。
 別に仕事が進むわけでもなし……。
 夕方、家政夫。冷蔵庫の整理もあって、ボンクラ息子用メニューは、ハンバーグ、キャベツザクザク、トマト、オムレツ、味噌汁と栄養満点である。わしゃ枝豆と冷や奴でビール。動かなかったため、食欲あまりなし、食器片づけの後、21時就眠である。

5月7日(月)
 1時に起床してしまった。定刻より3時間も早い。しかも空腹である。
 2時過ぎ、自転車で天五のうなぎ屋へ。こんな日のこんな時間に営業しているのはありがたい限りである。3時前に、天六から豊崎への道を走る。……異様に赤く大きな満月が西の空にかかって不気味である。あ、この場面は使えるなあ。
 朝刊の時間まで机に向かう。
 昼間、市内ウロウロ。
 またも家政夫の時刻……メニューに悩んでいたら、専属料理人が夕刻帰ると連絡してきた。ほっ。

5月8日(火)
 久しぶりに雨である。
 4時半、朝刊を取りに出てみると、ルン吉、雨の中で、透明傘を差してじーーーーっと立っている。傘はさせるのか。初めて見る雨傘スタイルである。

5月9日(水)
 昼、T社の2氏とPR誌リニューアルの打ち合わせ。
 午後、播州龍野の別荘へ移動……で、姫路まで着いてみると、姫新線ホームが大混乱。人身事故で折り返し運転の車両到着が大幅遅れという。通学の生徒なんかでごったがえし。あわてて山陽線ホームへ移動、山陽線網干駅まで行き、30分ほど待ってバスで龍野へ向かう。20年ぶりくらいで乗る路線である。
(無人踏切で田路…トウジさんと呼ぶ……という高校生がはねられての死亡事故であった)
 別荘到着は限りなく夜に近い夕方になってしまった。
 実家で老母と晩酌。

5月10日(木)
 終日、タイムマシンの組立。100億で売れるかなあ。
 今年は菜園の空豆の出来がいいと、母が大量に茹でてくれる。ビールがうまい。

5月11日(金)
 タイムマシンの組立。
 昼、中華屋のテレビで久しぶりに「笑っていいとも」を見る。山下洋輔さんの出演である。
 タイムマシンは、停止用目覚時計のゼンマイが悪いらしいと判明、クォーツにした方がいいのか。嫌になって夕方帰阪。
 なんと晩飯は鯛めしである。家庭で鯛めしとはなあ……まあ、かっぱ横町北端の店で食べたのより出来はいい。

5月12日(土)
 週刊誌数誌の「金正男報道」を比較するが、よくわからん。  あのガキはやっぱり正男の子供らしい。
 正男は正男本人である。
 ふたりの女の解釈がバラバラである。
 太ったのが「女房」「世話係」
 細身のサングラス女が「女房」「愛人」「通訳」「工作員」
 ……とバラバラ。わからんなあ。北朝鮮おたくのかんべも、これだけは判断がつかないらしい。

 夕方から居住している集合住宅管理組合の定期総会。……これから1年、副理事長、来年から1年はたぶん理事長という順番である。もめ事が増えそうだなあ。

5月13日(日)
 カンカン照りで、夏の雰囲気である。
 昼、自転車で梅田から天満、大川の遊歩道を造幣局沿いに北上、OAPへ。
 「OSAKA BIG RIVER JAZZ 2001」へ。
 野外(芝生公園)と38階のスカイラウンジ、それにリバーボート上で11時から夕方までいろんなバンドが登場する。(リバーボートのみ有料)
 午後、芝生公園でマホガニーホール・ストンパーズとニューオリンズ・レッドビーンズを聴いてから、38階のスカイプラザ会場へ。
 スカイプラザからの眺望は素晴らしく、特に対岸の連れ込みホテル街のケバケバしさがたまらない。夜景はもっと素晴らしいであろう。
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 リバーボートとマホガニーホール・ストンパーズ
 38階。
 ここの目玉は尾田悟グループ。CHIGERA TOMOKOという女性フルート(尾田悟の唯一の「弟子」という)が参加、おやベースがいいなあと思ったら野中英士さんである。谷口英治グループで浅草で聴いて以来である。
 38階のトリは河村孝彦トリオ+キャンディ浅田であったが、なんと滝川雅弘さんがゲスト参加、これは儲けものであった。
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 夏の夕暮れを、こんどは毛馬橋まで北上、天八経由で帰宅。

5月14日(月)
 仕事上のトラブルの電話色々。朝から市内某社〜某行ウロウロ。
 昼前に昔タイムパトロールの会長でもあった川崎さんから連絡あって、パソコン周辺機器の選定につき合う。
 ミナミに「ビックカメラ」がオープンしたというので行ってみる。なんと昔の千日デパートである。火災当日の昼、ここの2階にあった古本屋に寄ったことを思い出す。
 昔の刑場で「三昧場」であっただけに不気味だ。
 スキャナーとプリンターの選定。価格は完全に量販店の横並びである。が、この規模は凄い。自転車とかオモチャ、一般家電も。カメラという店名がおかしいのだ。(ちなみにわしゃ本日まで「ビッグカメラ」と思いこんでいた)……大阪型の「値切り販売」というのは消滅するだろうな。値切り交渉が「楽しみ」なんて信じられない。これは「商人性悪説」が基本にあるからではないか。
 あと恵比須町へ。共立シリコンハウスとトーカイへ。タイムマシン用の入手しにくくなったICを探す。日本橋の裏通りは土地が虫食いだらけ。これで秋に梅田にヨドハシがオープンしたら、もう日本橋に来ることはなくなりそうだ。

5月15日(火)
 ボンクラ息子その2がアルバイトを始めた。すぐ近所にオープンした焼き肉屋。開店記念で6月上旬までビールが100円、肉もバカ安。一度行ってみたいと思っていたら、バイト先に親が来るのは嫌がるらしい。……夜、店の前にはベンチが置かれて、ボンクラ・セラリーマンが列をなしている。大盛況である。
 それでは専属料理人と寿司でも食べて、第3火曜であるから、SUBへ滝川雅弘カルテットを聴きに行こうかと思っていたら、夕刻ややこして電話、明日早朝の新幹線に乗らねばならなくなった。23時までライブではちょっとしんどいことになる。泣く泣くライブは断念、冷蔵庫内の保存食で夕食、17日送稿予定の原稿を書くべく机に向かう。……これが本来の姿であろうか。


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