『マッドサイエンティストの手帳』287
● KOBE JAZZ STREET 2003
2003年10月10日(金)〜12日(日)
10月10日(金)
秋の最大のジャズ行事、神戸ジャズストリート、今年ははじめて「前夜祭」に参加である。
新神戸オリエンタルホテル、10階大宴会場 「真珠の間」が満席という、たいへんな盛会である。参加者は600人! 近いとか。
考えてみると、ここでの大パーティというのは2回目。
6年前の97年7月、筒井康隆氏のシュバリエ章受章を祝う会以来である。
☆ウェルカム演奏がディキシー・キャッスル。
☆最初に、清酒(沢の鶴)の酒樽によるドラム合戦。
藤田洋のドラムと白石啓太のコンガ、それに樽太鼓がブルックス・テグラー、花岡詠二がクラで「素敵な貴方」。この白石啓太という人はスター性があって、神戸ジャズストリートでは一躍人気者になりそうだ。
鏡割りで開宴。
あとは、続々と名手が登場。
☆ジャズストリート・オールスターズ
秋満義孝、五十嵐明要、花岡詠二、鈴木直樹、出口辰治、潮先邦男、水田欽博、白石啓太さしてホーカルで細川綾子。
☆エーセス・オブ・シンコペーション+ケイス・カンファイス(tp)
☆ジャズストリート・インターナショナル・オールスターズ
北村英治、クリス・ホプキンス、小林真人、出口辰治、シャンパオロ・カサティ、バート・ブーレン、青木研、藤田洋。
☆神戸=ブレダ・サプライズ・バンド
ハリー・カンタース、水田欽博、ブルックス・テグラー、佐久間和、アントワーヌ・トロメレン、鈴木直樹、花岡詠二、五十嵐明要、細川綾子、小林真人、ジャンパオロ・カサティ、バート・ブーレン、出口辰治。
曲目とか演奏内容については割愛……というより、とても覚えきれないほど。ともかく、あれよあれよ、である。
……鈴木直樹は初めて聴いた。
鈴木章治の甥っ子というブランドが先行したようだけど、クラはいいし、テナーがあの細い体のどこから(たぶん筋肉が強いのだろう)と思うほどの音。
初CDはそろそろではなかったっけ。
同じテーブル、左が京都からの室ご夫妻、美術関係のお仕事だが、「長刀鉾祇園囃子保存会」代表という方である。右が谷戸直久氏ご妻……谷戸さんは社会的にも凄い人だが、「T.U.T.エキスキャリバーズ」のメンバーで、明日出演予定。ぼくと同年代かな。
倉敷の小野さんとも再会。
樽酒をいただいている間に、あっという間に3時間経過である。
10月11日(土)
神戸ジャズストリート1日目である。
今年も昨年同様、1日目だけの参加であるが。
10時45分、三宮・北口広場に着。マーチング・バンドが勢揃いして、早くも演奏している。
11時、パレード開始。北野坂の本部まで。
先頭付近、今高さん、小野さん、藤本さんらお馴染みの顔ぶれ。
野良のトロンボーン・久保くんやドラムの高橋くんらも。ドラムの中心はマホガニーの溝川さんである。
11時半頃に本部到着。
ラスカルズ追っかけで流すという今高・藤本組とここでいったん別れて、おれは「ピーナッツ・ハッコー追悼」花岡詠二と鈴木直樹の2クセ・セッションのある神戸外国倶楽部へ。トーアロードの北端である。が、30分前でもすでに満席。
秋満義孝カルテットに2クラ、出口辰治のヴァイブという構成。ボーカルに細川綾子。
ロゼッタから始まって、とうぜんながら人気曲「鈴懸の経」も。
ピーナッツ・ハッコーが来日した時(特に「鈴懸の経」録音時)のエピソードも色々。
やっぱり花岡人気はすごいなあ。
ここから急いで、神戸オリエンタルホテルへ向かう。
グローリーランド・ジャズバンドが出演している11階クリスタルルームへ。
徒歩15分、会場としては東西の両端である。
13-14時には野良青年団や清水万紀夫など聴きたいのが「途中の効率的な会場」にあるのだが、ま、「ミッション優先」という方針で動かねばならぬ。……「ミッション」というのは、ODJCの参加バンドで、神戸ジャズストリートでしか全メンバーが揃わないバンドがあって(何しろ、勤務の都合で新潟とか札幌とか/他の社会人バンドの宿命でもある)、この際、その紹介写真を揃えておこうということなのである。一応事務局の許諾を得て(ストロボは使わず電子音は立てず)、原則「撮影禁止」会場でもデジカメを使えるからありがたい。ただし手ブレが大きいなあ。
グローリーランドのあと、今度は北野工房のニューオリンズ・レッドビーンズへ。
わ、これまたトーアロードで西端。外国倶楽部の少し下ではないか。途中、北村英治さんがスイングしている会場の横を通って北野工房。早足で15分ほどかかる。
レッドビーンズ。数曲聴くが……が、むむ、クラの風間さんは来ているが、これは正規メンバー勢揃いだったかな? あとで確認する必要があるな。
というわけで、今度は、本部近く、野良青年団の出演している「CROSS」へ。
昼飯を食べる時間がなかったので、ここでちょっと落ち着いて、フランクフルトかじりながら生ビール2杯。ああ疲れた。ベッシェ・スタイルの快演を聴きながら、ほっと一息。
クロスの前で野良諸君の記念撮影。
本部2階、インドクラブへ。15時から。
ここでは「T.U.T.エキスキャリバーズ」を聴く。キングストン・トリオのナンバーを中心とするアメリカン・フォークのグループ。谷戸さんはバンジョーで高音部を担当。
……それぞれに社会的要職にあって、しかも東西バラバラに住んでいるから練習がたいへんらしい。卒業以来約30年と聞いたから、ぼくと同年代のはず。「ミッドナイト・エクスプレス」なんていいなあ。こういう「おっさんのコーラス」、まさに古き良きアメリカを代表するもので、ブッシュ政権には望むべくもない雰囲気だ。30年ぶりに懐かしい雰囲気に浸る。
そして、最後はバブチスト教会、ニューオリンズ・ラスカルズ「夕べの祈り」。
が、ここは、さすがに人気バンド。満員でとても入れそうにない。ま、覚悟はしていたことだけど。
前庭のテーブル席で、野良青年団の諸君とビール。時々、窓の横から聴く。あれ、これも去年といっしょのパターンだな。
去年と違うのは、「野良青年団」が結婚ラッシュで(なぜか、いちばんいい男なのにひとり取り残されそうなのも)、北中夫人も同行。それどころか岳父・伊藤政彦さんも横浜から。たいへん立派な方で、先に新幹線で横浜へ帰るからと、ビールとヤキトリを並べてくださった。ありがとうございます。
伊藤氏は絵を描かれていて、11月19日〜25日、ギャラリー・ダダ(横浜そごう9階)で「伊藤政彦絵画展」が開かれる。
横浜方面の方々、よろしく。
肝心の北中さんのみ、協会内で、ラスカルズと共演中であった……。
窓から声援を送る。
ということで、気分良く終了。
あとは北野坂途中の串カツ屋で、今高、小野、藤本氏と2時間ほど懇親会。
左から、美術評論家、昆虫博物館長、遊び人(自称)、おれを含めて、平均年齢は60をちょっと超えるであろうか。
わしゃ若造になるが、トラディショナル・ジャズについていちばん気楽にしゃべれるグループなのである。
……アフターアワー・セッションが某所であるという情報があって、皆さんはそちらへ流れる模様。
迷うところだが、ヒザがガクガクなのと、明日に疲労が残りそうな予感もあって、ここで皆さんと別れる。
このへん、われながら自己コントロールが、どうも最近効きすぎるような気がしないでもない。
トラディショナル・ジャズのファンは紳士が多くて、おれもあまり羽目を外さないらしいのである。
それに、もうひとつ気分がいいのは、ジャズの害虫・バッタ野郎が姿を現さなかったことである。
いや、どこかにいたのかもしれないが目につかなかった。
今回現れたら退治してやると覚悟を固めていたのであるが、まあ、幸いおれの視界には出現しなかったのである。
ということで「害虫撲滅標語」はフロントページからは消すことにした。
めでたしめでたし。
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