『マッドサイエンティストの手帳』286
●マッドサイエンティスト日記(2003年10月前半)
主な事件
・第4回小松左京賞授賞式(1日)
・沖至グループを聴く(1日)
・1万円で東京往復(1-2日)
・神戸ジャズストリート(10-11日)
2003年
10月1日(水)
大阪〜東京の運賃がバカにならない。これは関西圏の作家(に限らないが)は皆感じているところではないか。
「東海道昼特急」なるものを知って、一度は試みることにした。
前に夜行バスに乗って懲りたのだが、それはカーテン閉めての密閉状態が苦痛だったので、昼間なら案外いいのではないかと予測したのである。
何しろ、往復1万円である。
ということで、朝7時前に出て、大阪駅まで歩く。
7:10発の東京行き高速バス。席は1Cで2階最前列右側、つまり運ちゃんの真上である。
前に夜行で乗ったのも同じ席。この時は、外がまったく見えなかった。
今回、新御堂からずっと空いていて、なかなか快適。
斜め後方によくしゃべる女ふたりがいることを除いては。
横浜で何かのコンサートに行くらしいが、ともかくなあ……浜松過ぎて眠る(女ふたりが/しゃべり疲れてか)まで、ともかく車内でしゃべっているのはこのふたりだけである。8割くらいの乗車率か。
晴れていて気分なかなかよろしい。
写真は天竜川。景色を眺めているだけで、特に名古屋以東は退屈しない。本も読める。オバハン候補がしゃべらなければ寝られるし。
ということで、首都圏高速に入って事故渋滞20分の遅れだが、15:20頃に東京駅着である。
山野楽器その他、要するにジャズCD関係ウロウロしてから、キャピタル東京。
「小松左京賞授賞式/角川春樹事務所創立7周年記念祝賀会」に出る。
19:30に失礼して、丸の内線で南阿佐ヶ谷へ。
ボンクラ息子その1と合流。
阿佐ヶ谷南口の「鳥正」へ行くと「休み」である。向かいの「鳥正2」で聞くと、水曜が定休なのだと。てっきり日曜が休みと思っていた。軽くヤキトリとモツ煮でビール。ここも本家と同じく旨い。
その後、ボンクラ息子その1といっしょに、西荻窪「アケタの店」へ移動。
望月「グズラ」英明さんがいるのであった。
ちょうど休憩中。
本日の出演、沖至グループで、
沖至(tp)、田村夏樹(tp)、登敬三(ts)、藤井郷子(p)、船戸博史(b)、光田 臣(ds)
2ステージ目を聴く。
沖さんは主にポケット・トランペットを吹いていた。あとリコーダー2本を吹いたり叩いたり。本当に久しぶりに聞くが、3曲目が「モンクス・ムード」、最後がタンゴと、サービス精神も結構ある。
「トリビアの泉」ネタだが、沖至さんは大阪出身で、ODJCの「第1号」会員という経歴があるのである。終演後、グズラさんが紹介してくれてちょっと挨拶。このことに触れると、河合良一さんや木村陽一さんはよく知っているとか。
……曲想から、沖至さんは気むずかしい人ではないかという印象を抱いていたのであった。そこは大阪出身、ごく陽気なおっさん、気が向けばデキシーを吹いてもええでという雰囲気であったので嬉しくなってしまった。
グズラさんとボンクラ息子その1の3人で戎へ。「いわしのコロッケ」含むお馴染みメニュー堪能。
0時の閉店でお開きである。
まだ電車あり、阿佐ヶ谷のホテルに帰館。
と、ボンクラ息子その1から電話。「無事に帰ったかと心配して」ということである。意外に感心なやつだ。
10月2日(木)
東京駅に10時前に行く。
八重洲ブックセンターで数冊。
帰路も「東海道昼特急」である。
11:10発。乗車率は5割程度。が、今回は静かでいい。5Cの席。右側前から5番目。
見晴らしは最前列ほどではないが、寝たり読んだりにはいい。
晴れているが、富士山麓風強し。
大阪まで、渋滞なく、定刻どおりに走行。
往復の車中、数冊読んだうち、菊地成孔「スペインの宇宙食」にはぶったまげたぜ。
ということで、あまり退屈せず。「青春18」よりも快適ではないか。
夕刻帰宅。
と、ボンクラ息子その1メール。「明朝5時にモーニングコールしてくれ」という。
明日7時羽田。会社の旅行で沖縄3日。日曜夜に戻って、翌日から仕事なのだという。
2日間休みでひとりでドライブする方がいいというが……まあ、中国・珠海へ「集団女郎買い」に行くよりはずっといいではないか。
10月3日(金)
きちんと定刻朝4時起床。
5時にボンクラ息子その1にモーニングコール。ちゃんと起きていた。
終日穴蔵。
少しは仕事もするのであった。
10月4日(土)
調査事項があって、朝から自転車で西長堀の市立中央図書館へ。
午後の帰路、かんべむさし氏の仕事場に寄って雑談1時間。
夕刻、ODJCの「うわばみ」氏、来穴蔵。
ODJCのHPの打ち合わせなど。
「うわばみ」さん、諸般の事情で出歩けなかったが、久しぶりにサントリー5でラスカルズという。ぼくもしばらく聴いてないのでつき合いたいが、東京往復の疲労が少し残っていて、本日は見送りである。
専属料理人の作ったキムチ鍋で焼酎湯割り。
10月5日(日)
天気がいいので穴蔵の掃除。仕様を「夏」から「冬」に変える。
必要あって、昼頃に自転車で梅田へ。
これは失敗であった。
パソコン関係をヨドバシへ買い物に行くが主目的であったが、明らかに「厄日」である。
競馬のある日で、ともかく人種が悪いわ。自転車で乗り入れられる雰囲気ではない。
DDハウス北側あたりで引き返す。
午後は穴蔵で漫然とビデオ。目がものすごく疲れる。
歳であるなあ……
10月6日(月)
肌寒いのであった。
早朝の電車で播州龍野に移動。
龍野……どんよりと雲って、初冬を思わせる天気である。
実家に寄って「冬支度」の作業。
タイムマシン格納庫……は、まあシベリア鉄道の冬季輸送にも耐えるのだから、べつに冬支度する必要はないのであった。
冬季に辛いのはキンタマの収縮だけである。が、これだって5年ほど繰り返していて、別に障害は起きてないから、一種のキンレイ法なのではないか。
などと愚考しつつ、夜、帰阪。
道路公団総裁の藤井くん、辞表の提出を拒否。がんばれよ。薩摩もんの恥をさらしつづけるのだ。
10月7日(火)
寒い日である。
室温20℃。仕事の効率がたちまち落ちる。動く気がしなくなるからである。
午前中、ウォーミングアップを兼ねて市内自転車の雑用。
帰路、昼メシに近所にオープンの「得正」カレーうどんを試みるが、ひどいものである。こりゃ持たないな。味よりも、年寄りの「店員」(まさか経営者じゃないだろう)の態度が悪い。注文に「それだけでんな」とは何事か。アルバイト店員のマニュアルどおりの応答の方がずっとましだぜ、おっさん。
チェーン店に「場末の店」の短所だけを持ち込んでいるのであった。
午後、少しは仕事もするのであった。
10月8日(水)
朝、新聞とテレビのニュースで、昨夜の「星野から原への花束」ニュースを知る。むむ。粋なことをやるものだ。ナベツネ・ファン(読売の堕落にいちばん貢献しているという意味でね)のおれとしても、ちょっと胸が熱くなるなあ。
現場を知るもの同士のものであろう。ひねくれた見方はできない。
つい、ボンクラ・サラリーマン時代の誰それに置き換えて見るからだろうな。
「設備投資の失敗」を「工場長の責任」にした誰それ←読売では三山とか、ね。
嫌な経営者よりライバル会社の同部門の人間と話が合うことは、ままあったものなあ。
と、嫌なやつらの顔を思い出しながら、少しは仕事もするのであった。
午後、歌之助夫人・維久子さんと桂歌々志さんが来穴蔵。
夕方まで、歌やんの本の編集打ち合わせ。
連載エッセイ、合計約150篇を絞り込むのが主な内容。
双方、選んだタイトルをエイ、ヤッで照合するが、ダブっているのは約5割。身内とファンでは、捉え方がだいぶ違うのである。
選定の過程で、色々と面白い話も聞く。
いずれにしても年内刊行、原稿はほぼ揃って、なんとか目途が立つ。
10月9日(木)
快晴である。
下旬に上京するので切符の手配に大阪駅まで。
帰路、自転車でジュンクドー→旭屋→ディスクピアと回り、泉の広場近くで、おおっ、久しぶりにルン吉くんと遭遇。
残暑厳しい8月19日に会って以来、今はいい季節だが、もうすぐ寒くなる。
「お仕事」中なので声はかけなかった。
季節の変わり目。厳しい残暑を「防寒服」で過ごし、これからいよいよ4回目の冬に挑む。元気でいてほしいと思うぜ。
午後は歌やん原稿のテキスト・ファイル化。
長時間やってると、だんだんと歌コ思考が伝染してくる感じである。
小朝(おれは大嫌いだ)や横沢彪(大嫌いというほどではないが、おれとは感覚が合わない)を痛烈に批判した文章が出てきて、面白いけど、批判の対象となった文章を全部引用しないと通じにくいから、採録見合わせにしたのである。
血圧が心配になって、午後、近所の医院へ。
158-80と、やや高めである。
小朝がいかんのだ。
10月10日(金)
桂米朝師匠の玉稿が小佐田定雄氏経由で到着した。
うーん。内容には触れない。年末にご期待を。武庫川の方向を向いてしばし感謝の黙祷。
歌やんの本の編集、なにがなんでも年内発行で進めねばならぬ。
夕方まで穴蔵。
夕刻、穴蔵を這い出て西へ。六甲山西の方向である。
神戸ジャズストリート前夜祭である。
夜11時過ぎに帰宅。
ボンクラ息子その1が、急に最終のぞみで帰ってくるとか。眠くて深夜までは待ってられんぞな。
10月11日(土)
ふだんより少し遅く、午前5時に起きたのであった。
10時前まで、少しは仕事もするのであった。
10時に穴蔵を這い出して西へ。
神戸ジャズストリート1日目に参加である。
午後8時に帰ってきた。
ボンクラ息子その1、すぐ前にあるレンタカーを借りて友達と淡路島へ行ってしまったらしい。何かあるのか?
わしゃ、早寝するのであった。
10月12日(日)
きちんと午前4時に目が覚めるのであった。
5時過ぎから「日本の話芸」再放送で三升屋小勝「抜け雀」を見る。米朝師匠の演るのがやっぱりいいなあ。
終日穴蔵にこもるのであった。
10月13日(月)
終日穴蔵。
午後、芦屋でマホガニーホール・ストンパーズの「無料コンサート」があると、さる筋から連絡もらうが、雑件錯綜して見合わせ。
夜はサントリー5、ヨー木村トリオのライブという情報も。
ともに、神戸ジャズストリート、それもパレード参加から3連投。元気だなあ。
中西秀彦『本は変わる!』を読む。本というよりも「表現」の未来についての印刷部門からの考察。
歌之助師匠の本を製作中の立場としては、実感としてわかるところ、教えられるところが多い。
10月14日(火)
世間は3連休終わり。
天気はいまひとつ。終日穴蔵といきたいが、やっぱり世間に連動する用事もあって、小雨の中を出かけにゃならんのよね。
近所のローソンでLoopiを始めて利用する。遠方の、さほど大きくもないコンサート。確かに便利に出来ている。
10月15日(水)
朝から自転車で西長堀の中央図書館へ。資料返還のため。
キタ図書館が工事中で閉館中で利用できないのである。
ついでに調べもの。
昼前に、すぐ近く、阿弥陀池にある塩田基明さんのデザイン事務所へ。
Macが数台が「ベッド2台」大のデスクに並んでいる。
歌やんの本のことで、写真の処理など色々教えてもらう……のが目的であったのだが、表紙デザインなどやってくれることになる。おれのphotoshopによる「試作品」のお粗末さ見て義侠心を起こしてくれたみたいである。ありがたいことである。
ついでに落語「阿弥陀池」でお馴染みの和光寺にお参り。
何度も近くまで来ていながら、立ち寄るのは始めてである。が、特別の感慨もなし。
午後は穴蔵に戻る。
中国の有人宇宙船「神舟5号」の打ち上げ成功のニュース、例によって宇宙作家クラブ関係の速報がいちばん早い。テレビ報道は、中継がなく、30分後の公開だったらしい。
夜のNHKニュースで打ち上げ映像を見る。
で、そのあとの報道特集が「ブランド品」のディスカウントの実態を特集している。……要するに並行輸入業者が関税をごまかして「脱税」しているという「告発」らしいが、なぜか共感を呼ばないのは、脱税が悪という主張に共感する市民がいないことだろうな。正規価格になったとして、その差額(税金)は役人の給料に行ってしまうだけだものね。脱税分をユーザーに還元しているから安いであって、こりゃむしろ「ディスカウント店のブランド品は偽ブランドではありません」とお墨付きを与えているようなもの……とブランド品にまるで関心のないおれは愚考するのであった。
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