『マッドサイエンティストの手帳』850

●マッドサイエンティスト日記(2025年4月前半)


主な事件
 ・中之島クロス(4日)
 ・毛馬花見(6日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・大阪JAZZ@放出(13日)


4月1日(火) 穴蔵
 目覚めれば4月であった。
 曇天。寒そうである。
 穴蔵で雑多に本を片づけつつ読んで過ごす。終活とも申せましょう。
 午後、郵便局へ行く用事あり、ついでに散歩。
 中崎町の路地まで歩き、白龍大神と延命地蔵尊にお詣り。
  *
 今年になってから、手当たり次第にお詣りしてきたが、節操がなさすぎる気がしてきた。
 この40年、なじみは「豊崎神社」と「ここ」である。特に今回は、名前から「延命地蔵尊」が効きそうな。
 ということで何卒よろしく。

4月2日(水) 穴蔵
 曇時々晴。肌寒い日がつづく。
 終日穴蔵。相変わらずの終活作業。
 竹中労『ルポライター事始』(ちくま文庫)を読み出したら、気分が沈んできた。
 労さんを読むと血が騒ぎ出すはずが、この文庫は死後に夢幻工房が再編集した決定版だから、晩年のイメージが浮かんでしまう。「鞍馬天狗」を読まないと元気がでない。
・午後、BSで『最高の人生の見つけ方』(2007)を見る。初見。
 ジャック・ニコルスンとモーガン・フリーマン。名優の共演で、いい作品だが、タイミングがいいのか悪いのか。やはり気分が沈んでしまう。
 余命半年の二人が「死ぬまでにやりたいこと」リストを作って旅する。
 フリーマンの「語り」で始まるから、「ミリオンダラー・ベイビー」パターンを踏襲しているのかと予想したら、ちがっていた。
 ラストはいいのだが、わしゃ世界旅行なんて興味がないからな。世界最高峰で星を見るのはいいが、わたくしはさらにその上、宇宙葬に憧れる。無理だろうな。
 そうか、イーロン・マスクが余命半年と告げられたらどうなるか……の方が面白い。
 宇宙葬よりも、失敗してもいいから、AIに意識を合体させて、トランプ後もアメリカを支配する道を選びそうな。

4月3日(木) 穴蔵
 晴。肌寒そうな日である。
・早朝からテレビもネットも「トランプ関税」ばっかり。
 相互関税を導入するといわれても、さっぱりわからん。予想もつかない。
 タイムマシン業ではアメリカへの輸出はこの40年ゼロだったから、あわてて動くこと何もなく、野次馬でいるしかない。
・午後、BSで『ブラック・レイン』(1989)を見る。
 30年ぶりくらいか。前見た時は大阪(特にウチの徒歩圏ロケ)の描写が面白く、さすが「ブレード・ランナー」の監督と感心したが、今見ると、大阪はよりリアルになり、組織は(府警もヤクザも)荒唐無稽になって、このまま「近未来SF」と評価した方がいい面白さ。10年後には……もう見ることもないか。
・30分ほど近所を散歩。
 公園の桜は三分咲から満開まで木によってバラバラ、全体に五分咲きくらいか。
 豊崎神社の桜がまあまあであった。
  *
 作法にのっとって参拝。明日、何卒よろしく。
・夜、某方面から個人的にお借りしたDVDで『鉄腕アトム 宇宙の勇者』を見る。
 1964年作品のカラー版? というか、当時の3話をつないだオムニバス形式のフルカラー版とでもいうのか。
 大学時代、下宿にあったのはトランジスタ・ラジオだけで、テレビアニメもウルトラマンもほとんど見ていない。
 アトムだけは、前年に「試写」版を見たのと、最初の数話を見た記憶はある。
 今、カラ―で3話つづけて見ると、SFの初心に戻ったような……というより「先輩」の多くの方がSFアニメに関わっておられた時代の雰囲気を思い出して、色々と考えること多し。
 偶然というか……明日はアトム誕生の地に行く予定である。
 早寝することに。

4月4日(金) 中之島クロス
 晴。肌寒そうな日である。
 朝、珍しく、世間の通勤時間に出て、地下鉄で大阪、バスに乗り継ぎ、中之島四丁目へ。ドアを出てから25分でついた。
 久しぶりに中之島クロスにチェックイン。
 色々ややこしくも緊張感のある数時間を過ごす。
 昼過ぎに解放された。
 空は快晴であり、気分も久しぶりに爽快。健さんが網走を出所する時もこんな気分なのだろう。
「二度と来るんじゃないぞ」とはいわれず。きちんと更生してるかどうか、取り調べを受けに時々は来なければならぬが。
 ついでに近所を散歩。
 この一帯は、わたくしが密かに「アトム誕生の地」(広義には「日本ロボット誕生の地」…學天則の復元モデルもある)と呼んでいる場所である。
 Ship Cat の眺める堂島の風景。
  *
 手塚さんがアトム大使を描いた頃、対岸にある阪大病院を眺めてはったはずである。
 天気がいいので、田蓑橋を渡り、出入橋から西梅田、梅田地下街を茶屋町まで抜け、1時間ほど歩いて帰館。
 午後は穴蔵。
 雑事色々。明日からは積極的に体を動かすことにする。

4月5日(土) 穴蔵
 眠り断続的だが、トータルで7時間ほど眠れた。
 晴。朝から陽光が射し込み快適である。
 終日穴蔵。
 昨日から心を入れ替えたので、マジメに机に向かうのであった。
 非SF系では、確定申告が終わったばかりなのに、またも固定資産税その他、税金の季節である。嗚呼。
 SF系のことも少しは進める(これはカタチになればお知らせの予定)。
 ニュースでは「大阪も本日が花見に最適」といっとるが、本当だろうか。
 集合住宅の上層階から公園の「工事現場」を見るに、隅の公衆便所脇の桜は満開のようだが、毎年のパターンで、毛馬から大川沿いはこれより少し遅く、まだ八分咲きのはずである。
  *
 公園の工事状況、20メートル径の大穴は掘り終えて、公園外へ横に掘り進んでいるはずだが、外観は昨年末とまるで変わらない。もう見飽きたな。
 毛馬の桜(というより開通した「淀川ゲートウェイ」)が気にはなる。
 天気しだいだが、近いうちに行ってみよう。

4月6日(日) 毛馬巡行
 4時起床。普通の生活パターンが戻ってきた。
 一連の朝の儀式のあと、マジメに机に向かう。
 深夜に雨が降ったようだが、曇り空、9時から晴れてきた。暖。
・午後、花見に行くことにする。たぶん今日がいちばんの見頃。
 バスで毛馬橋まで行き、ここから歩いて帰ることに。
 蕪村公園から下流、大川両岸はおそらく天満橋あたりまで、宴会だらけのようである。
  *
 毛馬閘門あたりもシート敷いてるグループ多し。日曜だから、しかたあるまい。
 大堰下流側の河川敷に降りて、開通した淀川大堰閘門(淀川ゲートウェイ)を見物する。
 桜よりも、これが主目的。
  *
 右端がゲート。開閉する気配はなく、あまり面白くなし。
 万博会場行きの船がどの程度運行するのか知らんが、ゲートの開閉は滅多に見られそうにない。
 あと、ぶらぶら歩き、長柄橋〜本庄公園〜豊崎神社〜豊崎東公園を巡って帰館。
 7500歩ほど。普通に歩けるのはありがたいことである。

4月7日(月) 穴蔵/ウロウロ
 晴。朝から直射光、快適な日である。
 終日穴蔵。色々と収入にはつながらぬ仕事に励む。
 午前、久しぶりに専任料理人と出かける。
 買い物に同行、重量物(主に液体飲料系/せいぜい5sだが)のポーターを務める。
 不調が続いたので「慣らし運転」だが、まずまず快調。
大淀の長屋」の前を通る。
 横の「庭」の桜3本が八分咲きであった。
  *  *
 この建物について、A先生の「解説」は見かけない。
 色々な謎を感じる。
 この長屋の存在は、5年前まで気づかなかった。
 これは「住吉の長屋」(16年前に見に行った)のレプリカかと思って色々調べてみたが、そうではないような。
 いちばんの違いは、壁面の「蔦」で、この5年でずいぶん伸びた(むろん手入れされている)。
 それに加えて「桜」である。この桜は当然ながら(窓のない)長屋の中からは見えない。
 蔦も桜も、A先生の活動の大きな要素である。
 これらを総合すると「大淀の長屋」の意義が見えてくるように思う。
 専任料理人「記念館ということ?」……ちょっと違うと思うが、まだ書かない方が無難だな。

4月8日(火) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 晴。車窓から見るに、明石あたりから西は桜の満開だらけ。
 播州龍野も、龍野公園や揖保川堤が見頃であろうが、雑用色々あって、花見の時間はなし。
 堀家住宅の長屋門前の桜だけ見物に行く。
  *
 コロナで途切れていたから、5年ぶりか。この名木だけ見れば十分である。
 仕事場を龍野に移すかどうか、色々悩むところだ。
 これからの季節はいいが、家屋に老朽化が目立つし、ガラクタが多すぎる。
 一応、最低限の寝泊りはできるように準備しておく。
 万博で大阪があまりに騒がしいようだと、半年間避難する。その場所の確保である。
 夕刻に近い午後の電車で帰阪。

4月9日(水) まったく無駄な半日
 晴。暖。
 9時半に出て、歩いて北区役所へ10時に到着。
 マイナンバーカードの「電子証明書の更新」が5年に1回必要らしい。そういえば作って5年であった。
「対面での厳格な本人確認が必要」というので出頭する。
 10時に到着、書類と「5**」の番号評を渡され、「4番窓口で受付」待ち。
 書類に記入して、表示を見れば「13人待ち」、30分待って受付。「2分」で終了。
 これで終わりと思ったら、「2**」の番号札を渡されて「2番窓口」へという。
 10時40分から「2番窓口」前の椅子で待つが、全然人が動かない。窓口は4つほどあるが、何やら書類と端末を挟んで延々と話し合っている。
 周辺に待機している(似た番号札を持った)区民は10人くらいか。番号はランダムで、待ち人数の表記もなし。
 A4の掲示があって、マイナンバーの手続きは「待ち時間の目安 60分以上」と書いてある。マイナ専用の窓口ではらいらしい。
 気づいたのは11時前。やれやれ11時40分頃まで待機か。昼飯に行くには中途半端だし、スマホをいじりながら待つ。
 と、11時30分頃に掲示が「待ち時間の目安 120分以上」に替えられた。
  *
 すでに50分ほど待っているのだから、あと70分待てということか? 「以上」だから、もっとかかるかもしれん。
 窓口に割り込んで質問する人やら、怒鳴りつけるおっさん(カスハラにならんのか心配する)がいて、作業はさらに停滞。
 12時過ぎて、昼飯に行くらしい職員もいて、窓口も縮小。
 出直すかどうか相当迷ったが……やっと番号を呼ばれたのは12時30分(待機開始から1時間50分だから「60分以上120分未満」ではあるが)われながらよく耐えたと思う。
 で、「厳格な本人確認」の作業は、端末にID(登録時に入力した英数字)と4桁の暗証番号を打ち込むだけで、「3分」ほどで終わった。
 前の数人を見ていたら15〜20分ほどかかっていたが、何をやっていたのやら。
 5,6分の作業に3時間近い待ち時間。
 あの掲示ファイルは毎日使っているようだから、この「渋滞」は慢性的なものだろう。
 中崎商店街の信州そば(旧青空書房の向かい)で遅めの昼食、あとトボトボと自宅に向かいつつ、万博もこんなものだろうと思うのであった。
 次の更新は5年先。もうこんな目にあうことはないだろう。
 そもそも「電子証明書」なんて使ったことないし、何のための証明書かもわからない。行かなきゃよかった。

4月10日(木) 穴蔵
 曇天。暖。穴蔵生活には最適の日なり。
 早朝にゴミ出しに出ると、電動カートオバサンが、エサ場からネコのエサを回収して去るところだった。
 深夜のエサやり・早朝の回収は順調に継続されているようだ。
 ただ、食べそびれるノラもいるようで、塀の内側(エサ場の裏側)で待っている。
  *
 次のエサ到着まで「待ち時間の目安 1000分以上」……昨日のわたくしと同じか。
 それにしても、塀の内側に、回収し忘れたパレットが増えてきた。下側の隙間から差し入れられたもの。
 もう少し合理的な方法はないものか。
 ……などと心配しつつ、終日穴蔵。

4月11日(金) 穴蔵/ウロウロ
 晴れて暖。体感的に、もう寒く感じることはなさそうな。
 昼前に出て地下鉄で淀屋橋へ。
 市内でここにしかない大銀行のATMに寄る。
 あと御堂筋へ。淀屋橋ツインタワー(ツインには見えないが)の外観がほぼ出来上がっている。
  *
 褒められた景観ではないな……と眺めていたら、急に空を暗雲が覆い始めた。
 中之島図書館に逃げ込む。
 色々調べたいことがあったので、2時間ほど滞在。かなり激しい雨が降ったが、すぐにあがった。
 図書館を出て、水晶橋〜宇治電ビル〜ハチの前を通るが、ハチは最近休みが多く、昼間の営業がないので足が遠のいている。
 こちらにも事情があって、自宅以外でジャズ(特にライブ)を聴く機会が減っていくのは寂しい限りだ。
 新御堂筋を北上して帰館。
 人通りは少なく、半年ほどこんな雰囲気であってほしい。

4月12日(土) 穴蔵
 晴。気温は昨日とほとんど変わらず。
 終日穴蔵。ほとんど寝て過ごす。
 いかん。不調……というより無気力になっている。
 トランプの言動に、まるで興味が沸かない。
 近畿のあちこちで「謎の死体」が多いようだが、区別がつかない。
 明日からの万博の大混乱(あるいは閑散)に期待するしかないな。

4月13日(日) 大阪JAZZ@放出
 朝だ。雨が降っている。昼だ。まだ雨だ。ブルーインパルスは中止になったような。
 万博、初日からなかなかいい滑り出しである。
 昼に出て、三番街から大阪駅・うめきた改札まで歩き、おおさか東線で放出へ。
 午後、ディア・ロードで「大阪JAZZ同好会」例会に出る。
 色々事情あって、今年はじめての参加である。
・特集はHさんによる「ウディ・アレンの作品で挿入されたジャズ名曲」
 アレンのクラ演奏ではなく、映画作品に挿入されたジャズ演奏。これは秀逸な企画。『アニー・ホール』のアーティ・ショウから『ミッドナイト・イン・パリ』のシドニー・ベッシェまで8作品12曲、映画の予告編の映像まで見せてくれる手間のかけよう。脱帽である。
・持ち寄りは「West Coast Jazz」……これは定義が難しいなと思ったら、各氏、それぞれに渋い選曲。わたくしの場合、ウエストコートといえば(タイトルからわかる通り)ショーティ・ロジャース「Martians Go Home」しかないのだが、持っているはずのCDが見当たらず、本日は見送り。Hさんがロジャースの「Casa de Luz」をかけてくれた。
・映像は「カウント・ベイシーのカルテット演奏」教養番組30分。これまた珍しい。
 だんだん元気が出てきた。今年初めてのジャズの会で、やはり何かイベントに参加しないと気合が入らんのだなあ。
 帰りもおおさか東線。移動中に(一昨日店の前を通過したばかりの)「ハチ」の明利マスターからショートメールが入る。
「今年の8月も山下洋輔×福盛進也をやります」という連絡。さらに元気が出てきた。
 夜、BSで映画『ジャッカル』(1997)を見る。初見。「予想以上に」面白く、最後まで飽きなかった。
 気になっていたのは『ジャッカルの日』のリメイクということだったが、ド・ゴールが出てこないなど、フォーサイスの原作とはほとんど関係なし。ブルース・ウィルスとリチャード・ギアのスター対決の物語にしたのがよかったのだろう。
 それにしても『ジャッカルの日』から半世紀以上経っているのか。つい先日のような気がするが。

4月14日(月) 穴蔵
 晴。終日穴蔵。
 珍しいことだが、ほとんど机に向かって過ごす。
 色々と古い記録を調べ直しているのだが、40年前にボールペンで書いた自分のメモがひどく読みづらい。
 字の大きさや勢いから重要部分はわかるが、そんな字ほど読めない。
 これがパソコンの時代になると、どうでもいい記録が増え、重要事項を読み出すのが面倒になる。
 いずれにしても「どうでもいい」記録ばかりに思えてくる。
 シュレッダーにかけたいが、このまま資源ゴミで出しても、誰も読めないからいいか。
 千日前で見たターさん(タタキ売りのおっさん)の名言を思い出す。
「……いったいそれで何が残る? 虚しさだけやんか」
 たちまち夕刻。
 専任料理人に、グラタン、ローストビーフなど数皿並べてもらう。
  *
 ノンアルコール1缶のあと、久しぶりにワインを少しばかり。うまっ。
 虚しくはないな。

4月15日(火) 穴蔵
 浅田飴が気づけば晴、午後には急に雨が降ったり、天候不安定。
 終日穴蔵。
 昨日の作業のつづき。
 「相対性理論と相対会」なんてことを思い出す。小松さんから「語源はrelativity(関係性)でいっしょや」と教えられたが。
 そういえば……とYouTubeを調べたら深町純「赤い帽子の女」(サウンドトラック?)はアップされてるが、映画は出てこない。
 映画のサイトにはあるようだが、課金されるのかどうかよくわからん。金出して見るほどでもなし……と、ポルノのことになると逡巡して時間ばかり無駄にする。残るは虚しさだけか。


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