『マッドサイエンティストの手帳』819
●マッドサイエンティスト日記(2023年12月後半)
主な事件
・忘年会@池田(20日)
・大阪JAZZ@放出(24日)
12月16日(土) 穴蔵
陰。微雨断続的に降る。
終日穴蔵。少しは仕事も(非SF系だが)するのであった。
歩かねばならぬ。公園南側のポストまでハガキ投函に往復。
公園には誰もいない……と思ったら、タコの口の中に若い男がひとり座っている。
*
飲んでいるのかスマホを見ているのか、なんとなく不気味。
背景の工事塀の中では、直径20メートル、深さ40メートルの穴が掘られはじめている。
使えそうな気がする。
たちまち夕刻。一杯飲んで早寝させていただく。
12月17日(日) 穴蔵
晴。外は寒そう。年末の日曜、人出が多いことであろう。
終日穴蔵にこもる。
仕事らしきことはたいして進まず。たちまち夕刻。
……これ、意識の時間は不変で、肉体の時間が(年末/終末に向かって)急加速しているのだろうか。
使えそうな気がするが、小松さんのショートショート(※)にあったような気もする。
5皿ほど並べてもらって晩酌。
数冊選んで、とりあえずベッドに潜り込む。たぶん早寝。
※「まぼろしの二十一世紀」という作品だった。2000年12月31日23時59分を過ぎて、21世紀直前でとつぜん地球の自転がのろくなり、宇宙全体が動きをとめてしまう。そこから先に「時間」がなかった……そんなアホなという話。筒井康隆「急流」と対称をなす。(12/18)
12月18日(月) 穴蔵
早朝、元関脇寺尾(錣山親方)の訃報。60歳。
元関脇鶴ケ嶺の息子、井筒三兄弟の三男(福薗好文)である。
長男・鶴嶺山(福薗好政)は2020年に60歳で死亡。
二男・逆鉾(福薗好昭)は2019年に58歳で死亡。
わたくしは、二男好昭くんのサラリーマン時代、背中合わせで仕事をしたことがあるので、この三兄弟に興味があったのだが、揃って早世となったなあ……。
月曜日であった。
寒い。7時、室温18℃、ベランダ5℃、アメダス3.1℃。エアコンでしばらく暖房。
穴蔵にこもっているに限る。
が、午後、ATMその他に出向く用事あり、ついでに近所を散歩。
公園には誰もいない。
*
最後の一葉。
終日10℃を超える事なし。冬であるなあ。
12月19日(火) 穴蔵
寒いのであった。
夜中にエサやりオバサンが自転車で来てエサを置き、未明に片づけオバサンが電動カートで来て片づけていく。
この間に4,5匹の野良たちが食べているらしいが、昼間はまったく見かけなくなった。
これからの3ヶ月ほどの厳冬をどう過ごすのか。昨年の4匹も、今時々見かけるのは2匹になったからなあ。
ネコの心配などしておれぬ。
こちらは終日穴蔵。コタツでじっとして過ごす。
たちまち夕刻。
こちらはエサやり専任料理人が肉豆腐、野菜炒め、刺身、明太子など並べてくれた。
*
ありがたくビールから熱燗方向に進む。野良たちよりだいぶいい。
あと専任片づけ人が片づけ。
BSで『忠臣蔵』(1958/大映/長谷川一夫版)。これは初見。見せ場が小間切れで詰め込んであるから飽きない。最後まで見てしまった。
オールスター映画で、大映総動員だが、化粧が厚く、役者の顔つきが皆同じに見える。大石以外、雷蔵(浅野)、カツシン(赤垣)、鶴田浩二(岡野)がかろうじて判別できる程度。女優になると、京マチ子、山本富士子、木暮美千代、淡島千景、若尾文子が登場するが、皆目わからん。
春日太一『忠臣蔵入門』で配役など確認。脇坂淡路守は菅原謙二であったか。「早撮りの名手」渡辺邦男を東映から招聘して35日で撮ったというから、それはそれでたいしたものだ。
12月20日(水) 忘年会@池田
・朝のニュース。
京都の廃墟ホテルにきた連中を恐喝して「クボタ」社員・田尻諭(32)ら3人逮捕。
おかしな社員がいるものだな。同級の某君がいたが、もうリタイアしているか。そんなおかしな会社ではなかったのだが。
・夕刻に近い午後、阪急で池田へ。
昔の勤務先のあった伏尾に行ってみたかったが、バスが恐ろしく不便になっていて断念する。
宝塚線沿線には他にも寄りたい場所が何ヵ所かあるのだが、日を改めることに。
駅で3名集合、サカエ商店街の入口にある「太郎兵衛寿司」へ。
*
池田勤務時代からよく利用してきた店である。
ペーパーカンパニーとして残っているタイムマシン製造業の株主総会兼忘年会。
飲みながら、池田で「不遇な目に合わされた」時代のことあれやこれや。1号機を出してから半世紀、独立してから23年、よく続いたものである。
せっかく池田まで来たのだ。駅前の酒屋で「呉春大吟醸」を買って帰館。
正月が楽しみである。
・夜のニュース。
ダイハツが認証取得不正で「全車種出荷停止」! これは大事件。同級の某君がいたが、もうリタイアしているか。そんなおかしな会社ではなかったのだが。
12月21日(木) 穴蔵
・朝のニュース。
ダイハツの認証取得不正、30年以上前からという。同級の某君が勤務していた時期からではないか。
ややこしいことを命じた立場でなかったことを祈る。
・寒いのであった。
ベランダの気温、正午の8℃をピークに下がり続ける(アメダスでは6.4℃から夕刻の4.1℃へ)。
終日穴蔵。
今年の仕事は終った気がして何もせず(人生の仕事が終ったのか……)。
文春砲の「西村康稔の愛人秘書スクープ」が面白い。大いに話題になってほしいところ。
たちまち夕刻。
おでんなどで一献。早寝させていただく……つもり。
12月22日(金) 穴蔵/冬至/最強寒波
早寝したら3時過ぎに目が覚め、資源ゴミ出し。ネコのエサ場に容器あり、ほとんどカラ。野良たち、寒い深夜に食べているらしい。
エアコン稼働させ、一応机に向かう。
・冬至である。そこに最強寒波襲来という。テレビでは日本海側の大雪映像。
大阪は晴。朝、近所の某医院へ定期健診のために行くが、開院前に5分ほど並ぶだけで、体が冷え切ってしまった。
数値は良好であった。近所の薬局に寄り、ついでに梅田のATMまで。40分ほど外を歩く。
下半身が冷え、キンタマが縮んでしまった。
・午後は穴蔵。
エアコン稼働させるが、体温戻らず。コタツで雑多な本を読んで過ごす。
たちまち夕刻。
柚子風呂に入って、やっと一息ついたのであった。
・京都の某さんからスグキを送ったいただいた。
一昨日買ってきた呉春と並べると、正月最強のコンビ誕生である。
*
正月が楽しみな……なんていってられない。我慢できず1杯2杯だけ。うまっ。
しかし、ここは辛抱しなければ。あと10日ほどである。
ローストビーフやサラダ、鱈のホイル焼きなど、洋風を並べてもらい、安ワインを少しばかり。
・ベランダは昼間6℃、夕刻5℃、21時4℃と急速に下がってきた。
(アメダスでは昼間5.5℃から21時2.4℃)
大阪市内、雪の気配はないものの、最強寒波には違いあるまい。どこまで下がることやら。
12月23日(土) 穴蔵/神戸
4時に目覚める。
室温18℃、ベランダ4℃(アメダス0.9℃)、体感的には昨日より少しマシ。
・朝のニュース。
中核派の大坂正明に懲役20年の判決。1971年の「渋谷暴動事件」以来、逃亡生活を続け、2017年に広島のアジトで逮捕された。
なぜか近所の大淀署に拘置されて、その数日後に東京へ移送された。即日控訴。あれから6年経ってやっと判決。
逃亡46年、拘置6年、今74歳。梅宮辰夫の『わが恐喝の人生』(これは面白かった)を思い出して、「わが逃亡の人生」というタイトルを思いつくが……面白い人生だったのだろうか。
即日控訴。いずれにしても、出てくる時には90歳近いだろう。
・昼前に出て、阪急で三宮へ移動する。
KCCのロビーで高井信さんと会い、借りていた資料の返却。高井さんの講義が始まるまで雑談。
高井さんの講座は20年続いていて、そうか、神戸在住の頃からか。高井さんはネオヌル(神戸)のショートショートがデビュー作となり、あれは1975年頃だった。つまり高井さんのSF人生は大坂正明の逃亡人生にスッポリ納まってしまうのである。
センター街を少しぶらぶら歩き。元町まで歩いて古書店巡りとも考えたが、寒くて断念。
午後帰阪。
・夜、ニューサンでラスカルズの本年度聴き納めと思ったが、寒くて出る気になれない。
一杯飲んで早寝。
12月24日(日) 大阪JAZZ@放出
晴。7時、ベランダ5℃(アメダス3.1℃)で、昨日よりマシ。最強寒波は過ぎたような。
昼に出て梅田へ。年末の日曜でクリスマス・イブとあって、三番街〜ヨドバシ〜グラフロ、たいへんな人出である。
おおさか東線で放出へ。ディア・ロードで大阪JAZZ同好会の例会である。
本日の「特集」はわたくしの担当で「ニューオリンズ・ラスカルズの60年」。今夏亡くなられた河合良一さんを偲んで、その足跡をたどる企画。
ルイスとの共演(1963)から、まだCD化されていない「Burgundy Street Blues」私的録音まで9曲。わが選曲に異論はあろうが(ODJCからも数氏参加/そのコレクションはわたくしの比ではない)、はずみで決まったような企画などでご容赦を。
Fさんの「新譜紹介」は「東京ブギウギ」が楽しい。インスト演奏の新譜が出ているのだ。
持ち寄り企画は「モダン・ジャズ・ギタリスト」で、ジョー・パスやチャーリー・クリスチャンに、サル・サルドバールの珍しい録音まで。
ついでに番外編で、ラスカルズのソノシートで出した初期録音や7インチLPも。Tさんも恐るべきコレクターである。
夕刻帰館。
夜は骨きもも肉の定番メニュー。
*
ジョージ・ルイスと河合良一のHYMNSを流しつつワインをいただく。
あと何回こんな聖夜を過ごせるのやら。
12月25日(月) 穴蔵
定刻4時に目覚める。
室温18℃、ベランダ5℃、アメダス3.3℃。昨日より1℃高く、最強寒波は過ぎたようである。
終日穴蔵にあり。
年末の雑事を少しずつ片づけていく。
・「午前4時」に起きて、河合良一・ジョージ・ルイスを聴いた翌朝なのに、なぜかコルトレーンを思い出した。
わたくしは40年以上「早寝早起」を続けていて、22時就眠4時起床がいちばん体質にあっている。
コルトレーンの死亡時刻は午前4時であった。
わたくしはジャズは何でも聴くので、70年代、トレーンの『変遷(Transition)』はよく聴いた。ご詠歌みたいな『至上の愛』より好きであった。このアルバムの最後の「組曲」、その最終章?が「午前4時(4 A.M)」なのである。
当時、これは「祈りと瞑想」の果てに、午前4時にある境地に達したのだろうと思っていた。
しかし、20年ほど経って、これは死後に発売されたアルバムで、タイトルは適当につけられたのではないかと疑うようになった。
トレーンの死亡時刻に合わせるのはあざといのではないか。ジャズはジャズ的思考?から生まれるので、宗教観からではないはず。
色々調べてみたが、よくわからないままである。
わたくしが気分よく目覚めるのがトレーンの死亡時刻というのもなあ。
ということで、今世紀になって、トレーンの「思索的」アルバムはあまり聴かなくなった。バラードは時々聴くけどね。
・どうでもいいけど気になるニュース。
高島屋が通販で売ったクリスマスケーキが大量に「崩れた」状態で届けられたという。
5400円のケーキ。責任は高島屋だろうが、原因はどこにあったのか。設計(監修者)か製造(菓子会社)か物流(ヤマト運輸)か。
ダイハツの認証制度不正と同列に見てはいかんかもしれんが、製造業だからなあ。
そういえば、昨夜、わが家でも、最後に専任料理人の手作りケーキが出た。
*
甘いのは苦手だが、甘くはなく、ワインにも合うという。
「何というケーキやねん」「婆おらん」「婆なら、ひとりおるやないか」「ババ・オ・ラムです」
高いケーキを買うより手作り。自動車はそうはいかんが。
12月26日(火) 穴蔵
午前4時に起床。
晴。体は快調なれどアタマは絶不調(というより、これが普通か、要するにボケ進行中)。
終日穴蔵。コタツで本を読んで過ごす。
たちまち夕刻。
夜は専任料理人が並べたスペアリブなどで盛大にビール。
*
このところ食べ物のことしか書いてないような。
飲食にしか興味がなくなったのだが、「波」連載「美食日記」の足元にも及ばぬのが情けない。
早寝する……つもり。
12月27日(水) 穴蔵
晴。午前4時に起きて終日穴蔵。
健康のため、午後、天六のスーパー往復。重量物(正月用飲料)の運搬役なり。
それ以外、コタツで雑読。
年の瀬である。明日はもう少し動く……つもり。
12月28日(木) 穴蔵
定刻4時に起床。晴。そう寒くはない1日。
午前、所用で7000歩ほど歩き回り、午後は穴蔵にて雑事。SF的なことはなし。
その間にニュースも色々見るが、ドタマを刺激することは何もなく、したがって書くこともなし。
思考力低下で何事にも鈍感になったのだろう。
一杯飲んで早寝する……つもり。
12月29日(金) 穴蔵/ウロウロ
年の瀬である。世間は仕事納のような。
わたくしはとっくに仕事納しているのだから、そろそろ年貢の納め時か。
・未明、最後の資源ゴミ収集日であり、ダンボール・瓶・缶・PET類を出す。
・午前、部屋の掃除をする。本はなかなか片づかない。
・午後、北梅田ウロウロ。金融機関、ヨドバシ、ジュンクドー、ミニスーパーなど。
A先生の研究所前を通りかかったら、ダンボールにカレンダーが色々入れてあり「ご自由にお取りください」の表記。
*
ありがたく卓上カレンダーをひとついただく。播州龍野(実家)の仕事机用に。
ついでに……来年からは播州龍野での仕事時間を増やそうと思う。家族の反対もあろうが、残り時間は少ない。
・夜、専任料理人に数皿並べてもらって安酒一献。
呉春、磯自慢、伊佐美、ヤマザキのワインなどはあとしばらくの辛抱である。
12月30日(土) 穴蔵
睡眠断続的。定刻4時に目覚めるものの、今ひとつ調子がでない。
朝6時、定番の朝食を食す。
非SF系の年末雑事をこなす。
昼はうどん。
非SF系の来年の業務準備を行う。
夜、専任料理人が用意したチーズフォンジュで(非ヤマザキ系)安ワインを少しばかりいただく。
*
(↑この写真ではわかりにくいが)梅田・御堂筋北端から立ち上がるレーザーを眺める。
御堂筋沿いはイルミネーションが派手なようだが、今年も見ずじまい。
新天体が窓の外に出現しているのに文献調査に熱中している天文学者……という設定は、昔ショートショートにした気がするな。
早寝させていただく……つもり。
12月31日(日) 穴蔵/ウロウロ
今年を振り返りつつ、のんびりした大晦日を過ごすつもりが、意外に忙しいのであった。
・3時過ぎに起きて机に向かう。年明けにやる予定だった某報告書を年内に片づけてしまうため。
イラチな性分だから、しかたがない。
・5時、定番の朝食をとりつつ、米朝師匠の名があったので、MBS『らくごのお時間』を見る。
『たちぎれ線香』で、これは手持ちの「全集」に収録されている89年版だった。悪くはないが、あとが文枝(三枝)。数少ない落語番組がこれではなあ。
・坂田利夫(アホの坂田)の訃報。29日。「老衰」で。82歳で老衰というのがどんなものか想像できない。ギャグとも思えないし。
・こんな日に限って、コタツのヒーターが壊れた。
エアコンなら平気だが、コタツだけは困る。
新大阪のホームセンターまで行って取替ヒーターを買ってくる。
10時前。地下鉄もホームセンターもガラガラであった。
・昼は専任料理人の作った鴨だし蕎麦で軽く一献。大晦日であるなあ。
・午後、友人の某さんとzoom会議を行う。
電話ですむ内容なのだが、先日、別のzoom会議である機能に不調が生じたので、調整・確認のため、こちらからお願いして。
はじめてホスト役をやったが、無事に務められることも確認できた。
・夕刻。専任料理人の並べたミニステーキやフランなどで晩酌。
*
ブルディガラのクレセントパンでワイン少しばかり。大晦日というより元旦の前夜祭の雰囲気。もう新年宴会モードに突入してもいいであろう。
テレビでは、ニュースのあと、早々と国民的学芸会が始まり、しらける。
ワイングラス持って穴蔵に移り、8時過ぎからBSで『荒野の決闘』を見る。
小学時代から数十回見ていて、DVDも持っているというのに、見始めたらやめられない。忘れていた名場面続出。やはり映画史上の最高傑作である。
米朝師匠に始まりジョン・フォードで終る、最高の大晦日であった。
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