『マッドサイエンティストの手帳』818
●マッドサイエンティスト日記(2023年12月前半)
主な事件
・播州龍野いたりきたり
・忘年会的SF検討会(9日)
・マホガニーホール(10日)
・KLL例会(15日)
12月1日(金) 大阪←→播州龍野
4時前に目覚め、朝の儀式のあと、早朝の電車で播州龍野へ移動する。
朝8時36分に本竜野到着。寒いのであった。
雑事色々。
実家で庭木の剪定中。シルバー関係は入れ替わりが激しく(そりゃそうだわなあ)、連絡ミス多発でたいへんである。
昼、龍野公園まで散歩。
*
聚遠亭への道、人はほとんどいない。
モミジの色づきはいまひとつ。木によってムラがあるようだ。
雑事はだいぶ積み残し。また来週ということにして、夕刻の電車で帰阪する。
体が冷え、久しぶりに入浴、一杯飲んで早寝することに。
12月2日(土) 穴蔵
晴。終日穴蔵。
昨日歩き過ぎた(12000歩ほど)反動で、出歩く気がしない。
午前、ニューオリンズ・ジャズ関係の作業をする。
午後、コタツで本を読んで過ごす。
(面白い作品を色々読んでるのに、そのことを書いてないなあ。ちょっと反省。明日から、少しは書くことにする。)
夜、数皿並べてもらって一杯やったら、そろそろ眠くなってきた。
ニューサン、ついでに梅田のイルミネーションを見ようかなとも思うが……夜に出歩くことがなくなったなあ。
本日も早寝。
12月3日(日) 穴蔵
晴。寒い。終日穴蔵。
間の抜けたというか、手遅れというか、つまらん一日であった。
・朝、定刻に起きてBSニュース見たら、昨夜遅くのフィリピン地震で津波が押し寄せそうなという。
南海トラフではないから慌てることではないものの、落ち着かないことよ。
・昼、そんなことも影響して、気がつけばオンラインでの「シンギュラリティサロン」の時間を過ぎていた。
テーマが「アルトマン解任事件」だから気になってたのに見逃し。たぶんYuoTubeで見られるだろうが。
・夜、某方面からハム・ソーセージなどを頂き、専任料理人が色々作った。
*
これでビール、あとブルディガラのクレセントパンでワイン。
なかなか結構で、機嫌よく飲んでたら、普段の晩酌時間を30分ほど超過していた。
テレビで『アルキメデスの大戦』という映画をやっていて、見てみようかと思っていたのが見逃しである。
たぶんもう見ることはないだろう。たいし作品ではなかった……と思うしかない。
手遅れ事項ばかり増えていくような。
手遅れにないうちに早寝する……つもり。
12月4日(月) 穴蔵/ウロウロ
晴。目覚めれば月曜であった。
最近……というより、今年になって、郵便物が遅くなったと思う。
手紙やハガキは(年賀状は10年ほど前からやめている)メール、書籍や小包はプリントパックだから、当方からの発送は関係ないものの、郵送されてくる伝票類の到着がひどく遅い。土曜の配達がなくなったことが大きい。配達以外の作業も休んでいるのではないか。
以前は土曜に届いていた伝票が、本日(月曜)も届かず。処理を急ぎたいのにイライラして過ごす。
・昼前。地下鉄で淀屋橋まで。市内でここにしかないATMに寄る。
御堂筋を歩いて戻る。
御堂筋の銀杏が全体に貧相になった。以前(本町勤務中)はもっと葉が豊かに繁っていた印象だ。
*
きれいだなと思うのは中之島の日銀前だけであった。
・午後は穴蔵。
夕方、テレビで日大「アメフト部」に関する会見をしばらく見るが……
そもそも「競技スポーツ部」という存在がさっぱりわからん。正規の学部ではないらしい。アメフト部員(に限らず、相撲など部活でやってる学生)は履歴書にどう書くのだろう。法学部とか文学部を卒業と書くのが普通ではないか。スポーツ科学部という学部はあるが、その下に「部活」があるとは思えない。
競技スポーツ部というのが正規の「学部」なら、アメフト部は「アメフト学科」ではないのか。
ネットで「組織図」を見たが、皆目わからない。そもそもポン大生は「学問」をやってるのか? あの横綱・輪島だって「卒論」を書いたはずだぜ。
苦労して調べることではないか。そのうちどこかが特集をやるだろう。
12月5日(火) 穴蔵
曇天。陰鬱な冬空である。終日穴蔵。
あまりアタマが働かず。
・午後、BSで久しぶりに『日本沈没』(73)を見る。
傑作! と思えるのは、たぶんその後に2006年版を見たからだろうな。
小林桂樹と二谷英明以外、東宝アクションの悪役諸君が勢ぞろい……みたいで面白い。
・夜、『座頭市物語』を見る。DVDがあるのに、見出したらやめられなくなる。やはり傑作。天知茂が最高である。
・衝撃のニュース。新宿でハトを轢き殺したとして、タクの運ちゃん小沢敦史(50)を逮捕。連行される場面まで映された。一罰百戒の見せしめ逮捕か。
……わたくしも近所で一度ハトが轢かれる瞬間を見たことがあるが、通報は考えもしなかった。市民としての義務違反になるのだろうか。嫌な時代になりそうな。
古い話だが、映画『暗殺』で丹波哲郎が町人の首を切り落として逃げる場面。寺の境内に駆け込んだ瞬間にハトが十数羽舞い上がる……この場面の撮影時、ハトを数羽踏み殺したと語っていた。半世紀以上前だから時効だろうが。
ちなみにわたくしはハト嫌いではない。公園でハトにパン屑をやる子供を叱りつける「教条主義的オバハン」の方が苦手である。
と、本日、丹波哲郎、カツシン、天知茂と、チャンバラの名優勢ぞろいの日であった。
・豊田有恒さんの訃報。11月28日。85歳。
わたくしがSFイベントに初めて出席したのは1962年8月の「関西SFの集い」だが、この時、いちばん親しく話してくれたのが豊田さんだった。以来、関西にはよく来られ(といっても年1度くらい)、作品のモニターになってほしいと言われて、宇宙塵やSFマガジンに作品が載るたびにつたない感想文を送り、その返事をいただき、ずいぶん「文通」した時期がある。初対面の時、豊田さんはまだ「学生」という身分だつたから、友人感覚でつきあってもらえたのだろう。
それ以降……思い出すことが多過ぎて書ききれない。
代表作は『モンゴルの残光』から始まる歴史SF、その後の『ヤマトタケル』などの古代史ものになるだろうが、わたくしは『遥かなり幻の星』(宇宙塵連載)のような50年代SFの雰囲気が濃厚な方向も好きであった。
12月6日(水) 穴蔵/税務署
朝、近くの税務署へ出向く。
決算説明会とインボイス制度説明会の案内が届いたからである。
確定申告の方式(書式)が大きく変わるのかと思って行ったのだが、基本的には関係なさそうであった。
わたくしの場合、年収1000万なんて夢のまた夢で、インボイス発行業者なんてものになる必要はなし(それで値引き要求されたり注文がなければ廃業……そう覚悟しているのである)。
無駄な時間を過ごしてしまった。
昼に戻ってテレビ、あいかわらず安倍派のパーティ会費ネコババ事件を報じている。
年収が1000万に到底及ばぬフリー貧困業者から、わずかな消費税を巻き上げるために、やたら面倒な事務作業を押し付ける制度(インボイス)を推し進めた連中が、1000万以上(それも無税)を懐に入れているのだからなあ。
貧困層は面倒な経理をやってまで消費税を献上し、安倍派は濡れ手で粟。
革命が起こらないのが不思議だが……これが気配もなし、政権交代すら起きる可能性がないのだなあ。せいぜい数名辞任か。
政治の問題になるから、これ以上は書かない(政治・宗教・血液型については書かないことにしているので)。
特捜諸君の健闘を祈る。
12月7日(木) 穴蔵
外は薄曇りの冬空。
終日穴蔵。
そう多忙な身ではないはずが、年末のせいか、あれこれ連絡(電話、メール)が多い。
年内、8件ほどの用件(忘年会も含むのだが)で埋まってきた。まだ15,6件詰め込めるか。無理はしないけど。
明日から色々動くことに。
12月8日(金) 大阪←→播州龍野
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
雑事色々。
クルマ関係で龍野東端まで行ったり、庭木のことでシルバーセンターへ相談に行ったり、タイムマシン格納庫で相棒と形式的に棚卸をやったり、地元の信用金庫に寄ったり、某不動産でインボイス制度がらみの交渉をしたり……
昼、市役所の裏手、中河原の堤から揖保川(千鳥ケ浜河川敷)を眺める。
*
やはり川沿いを歩くと気分が安らぐ。
大阪では、自宅から淀川堤に出られなくなって3年……これから10年ほど(つまり一生)堤を歩けそうにない。
さらに周辺は、左岸線、貨物線高架跡、近所の公園の下水設備と工事だらけ。そのうち隣接する市営廃墟(野々村竜太郎の生家)も解体工事が始まるかもしれない。
単身で播州龍野に戻るのもいいかなと思えてくる。
本日、実家の清掃はできぬまま。2,3日泊まり込みで来るしかないようだ。
色々迷いつつ、夕刻の電車で帰阪。
一杯飲んで早寝する……つもり。
12月9日(土) 穴蔵/SF検討会
終日穴蔵。
外出は、昼前に天八のスーパー往復(重量物の運搬役)のみ。
夕刻、かんべむさし氏来穴蔵。久しぶりに忘年会を兼ねた定員2名内容非公開のSF検討会を開催する。
非公開といっても、亡くなった友人知人のことと、自分の番が来る前に、諸々の遺品(特にパソコンのデータ)をどうしておくかという話がほとんど。
わたくしの場合、後期高齢者になってから入院を三度経験しており、その前後に余計なテータはほとんど削除したので、遺族の目に触れて困るものはもうない。
物体(書籍とCDなど)の方をどうするかの方が問題で……やはり荷風を見習うのがいい気がしてくるなあ。
気がつけば3時間半ほど。久しぶりによく飲んだ。
12月10日(日) マホガニーホール
本日も小春日和。
地下鉄で心斎橋へ。御堂筋両側の歩道がずいぶん拡大している(車道が中央の4車線のみ)のに驚く。
コロナ禍で4年ほど来ていなかった。後期高齢者になってミナミは初めてか。
久しぶりにジャズの聖地マホガニーホールを訪問する。
*
いつもながら、懐かしきニューオリンズを感じさせる佇まいである。
ODJC関連である企画を思いついて、口羽さんに相談したら、関係者がマホガニーで集まるから、そこで話そうということになった。
河合夫人、口羽さんご夫妻、クリス、早稲田ジャズクラブOB氏など勢ぞろいで、「企画」は想像以上に進行。色々な協力も得られることになった。何をやるのかは後日に。
ついでに……マホガニーホールを大阪の「文化財」として残せないかという話が出た。ただ、これは難しいような。
この場所(心斎橋の繁華街)で築○十年の建物を残すとなると、お金が降りて来るわけではないから、維持がたいへんなことになるらしい。確かに、播州龍野の「堀家住宅」も(こちらはど田舎だが)同様の問題をかかえているからなあ。
色々打ち合わせのあと、近くの和食店で結構な昼御膳をご馳走になる。
本日の会、先月の偲ぶ会の慰労会というか「お疲れさま」の食事会であったようだ。
わたくしごときが紛れ込ませていただいて申し訳ないというか……家内がちょっと手伝った程度だつたからなあ。
午後は穴蔵に戻る。
夕刻にSF関係のことでzoom会議の予定だったが……
なぜかインターネット接続ができない。
自宅へ「電話」したら、つながらない。「自宅」へ行ってパソコン作動させたら、こちらも(別回線)もネット接続できない。
個別のPCのトラブルではない。スマホで調べるに、広域のトラブルはないような。集合住宅の回線か。これは日曜で調べにくい。
zoom会議はスマホ短時間で勘弁していただく。どうなることやら。
12月11日(月) 穴蔵
本日も小春日和。
電話回線は相変わらず不調。
9時にNTTへスマホから電話する。色々やりとりあり、明日午前に修理にきてくれることになった。
集合住宅の管理人とも相談。他の住人からの苦情はないらしい。
本日はネット離れて(おもに本、CDで)過ごす。これはこれでいいように思える。
16時頃にネット接続してみると、なんと普通につながるではないか。
あわててNTTに連絡(これも結構手間がかかる)すると「前倒しして今日修理したのかもしれない」という回答。
管理人に聞くと、午後にNTTが来て、1階の配電盤を1時間などいじって「直りました」と帰ったという。
こちらには何も連絡なし。どうなっているのか。原因は不明のまま。
……しかし、ネットなし生活もいいかなと考える機会にはなった。
夕刻から雨になる。
取り急ぎ本WEBのアップ。一杯飲んで早寝。
12月12日(火) 穴蔵
未明に雨はあがるが陰鬱な曇天。
ほぼ終日穴蔵にあり。
雑事色々。主に決算関係だが、郵便物(伝票類)がなかなか届かない。
土曜の配達がなくなっただけでなく、発行元(半官の某センター)がサボり出したとしか思えない。
来年から電子帳簿保存法(これも皆目わからん/警告でもない限り何もしないけど)実施というのに大丈夫なのかねえ。
せめて伝票類はメールで送ってくれないものか、シルバー人材センターさんよ。
午後、茶屋町のジュンク堂&丸善の2階に上がってびっくり。文庫売り場(北半分)が文芸書(南側)の売りが似移り、文芸書は3階に移っている。3階以上は……よくわからんが、詰めていって、全体に本の売り場面積を縮小したのだろう。
元の文庫売り場は文具や洋書のバーゲンをやってるが、一時的なものだろう。
「売り場面積日本一」の位置は転落か。書籍が売れているとは思えなかったからなあ。
今後、さらに縮小していくとしか思えない。寂しいことだが。
たちまち夕刻。
専任料理人がグラタンを並べた……と思ったら、フランだという。
よくわからん(料理名はあまり訊ねない)が、洋風茶碗蒸しらしい。
*
さらにブルディガラのクレセントパンが出て、白ワインを少しばかり。なかなか結構な。
12月13日(水) 穴蔵
天気晴朗なれど、どうも不調である。
終日穴蔵。一応机に向かってだらだらと事務作業。たいして進まず。
昼、事始めで、祇園「井上流」家元に芸者舞子衆が訪れる様子がニュースで流れる。
米朝師匠のご自宅では、体調悪化の2010年頃からなくなった。山口組はどうしとるのか、報道されない。
事始めは一門の儀式だから、第三者は入れない。
話に聞くだけだった。米朝邸の事始めを体験できなかったことだけが、人生の心残りだ。
12月14日(木) 穴蔵/ウロウロ
4時に目覚め起床。普通に朝の儀式(朝食含む)を執り行い、6時前から机(PC)に向かう。
少しは仕事もするのであった(収入にはならないけど)。
4時間ほど集中して作業。
どうも「不調」の原因は運動不足にあるらしい。
天気がいいので歩くことにする。
貨物線の北側に出て、佐伯祐三の生家、冨島神社、中津商店街など歩き、十三大橋を歩いて淀川右岸まで。
*
やはり淀川を眺めると気分が晴れる。
十三商店街まで行き、おなじみの某店で買い物、横浜方面にも送る。
同じコースを歩いて昼前に帰館。久しぶりに1万歩を超えた。
午後は穴蔵。
また「仕事」のつづき。昼寝したくなるが、ここは辛抱である。
たちまち夕刻。
専任料理人に色々並べてもらって晩酌。
21時頃にベッドに潜り込み、雑読、早寝させていただく……つもり。
12月15日(金) KLL例会
矢来の雨、朝にはあがる。
昼前に出て、阪急で三宮へ。
いつもは弁当を食べている人の多い東遊園地は閑散としている。
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10月に咲いていた花は、11月には枯れ出し、もう見る影もない。「末期」にふさわしい眺めである。
午後、神戸文芸ラボ(KLL)の例会に出席。
本日は出席者7人。エッセイ3篇、短篇3篇。この短編が異色作揃い。
・定年後の再就職の話が消えた男、帰宅して妻に言い出せないが……という老夫婦の「会話小説」だが、予想外の展開を見せる。
・40年近く「片思い」を続けてきた男が死の間際に「真相」をパノラマ視するが……どうSFになるのかと思っていたら、これが歪な恋愛小説であった。SFしか書かなかったはずのIさんが、こんな異色作に挑むとは。見習わねば。
・カラスに関する蘊蓄をぎっしり詰め込んだ異色作。ただ全体の構成がよく見えない。「ユーモア・スケッチ」の方法で数編に「分離」すれば傑作になると思うが、説明が難しい。
ちなみに、わたくしは昔思いついた「クマSF」のことを最近頻発するクマ騒ぎで思い出して、エッセイのかたちで(先月)出していたが、先行する傑作があった。筒井康隆「羆」(『カーテンコール』所収)はクマ狩り老人小説。そして「熊文学誕生」と話題の河ア秋子『ともぐい』は今回直木賞候補作になっている。有力候補と思う。ともに今年のクマ出没より前に書かれてた作品。出版のタイミングに現実が追いついてきたわけで、こうした潜在的予見力も才能なのだろう。
20年ほど前のアイデアだが、わたくしも再チャレンジしてみるか。今から書いてもキワモノか。
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