『マッドサイエンティストの手帳』723
●マッドサイエンティスト日記(2020年2月前半)
主な事件
・シンギュラリティサロン(1日)
・創サポ講義(8日)
・大阪JAZZ同好会(9日)
2月1日(土) シンギュラリティサロン
昼過ぎに出てグラフロへ歩く。
寒いのであった。
シンギュラリティサロン。
本日は5周年記念の特別企画である。
第1部は特別鼎談「シンギュラリティサロンの5年間を振り返る」。
*
左から、 塚本昌彦先生、松田卓也先生、「セーラー服おじさん」こと小林秀章氏。
この5年間の振り返ってコメントされるが「とんでもない天才、準天才、変人、怪人」などが紹介される。
おれは3年ちょっと前からの参加で、初期に登場した天才の話が聞けなかった(夭逝された方もいる)のが残念だ。
初期に登場の齊藤元章氏にも触れられた。この人も天才のひとりだが、どうも国際的な「謀略」があったらしい(ことが臭わされる)。
これについては、前にもちょっと聞いたが、周辺に怪しげな人物がいたことも不運だったのではないか。
第2部は松田卓也先生の記念講演。
「脳・腸・マイクロバイオーム相関と汎用人工知能」……ただし、汎用人工知能の話はほとんどなく、「脳腸相関……脳と腸の不思議な関係」を語られる。
昔から日本語には「腹黒い」とか「腹蔵なく話す」など、心は腹にあるような表現が多いが、近代医学は心は腹ではなく頭にあることを明らかにした。しかしここ10年ほどの研究では、頭は腹に影響されていて、これを脳腸相関という。さらに腸は腸内細菌(マイクロバイオーム)により大きく影響されていて、それも合わせて「脳腸マイクロバイオーム相関」という。
多くの慢性疾患、精神疾患は腸に原因があり、これには水溶性食物繊維が有効という話になるが、本日の結論はこのあたりまで。
汎用人工知能の論理的思考の部分は大脳の機能を真似ればいいが、人間のように考える人工知能(感情まで含む)を作ろうとするなら、腸の機能も考えなければならないのでは……というあたりは次回以降になるか。
松田先生の好奇心の強さと旺盛な向学心には驚く。
もっとも、「健康」に傾いたのは、年末に脳梗塞の徴候を感じられた(検査入院)ことが大きいらしいが。
おれも6年前に心房細動を経験しているから、実感としてわかるのであった。
2月2日(日) 穴蔵
日曜である。寒そうであった。
終日穴蔵。
机に向かって過ごす。
おれもたまにはマジメな生活をするのである。
新型コロナウィルスのニュースを見ると出歩く気にもならんのだけど。
2月3日(月) 穴蔵
午前5時、自転車でスカイビル北側の北郵便局まで。投函。近くのポストに入れるより6時間ほど早いはず。
5:20に帰館。
ゴミ出し業務など下男仕事のあと、ちょっと朝寝。
終日穴蔵。本を読み、CDを聴き、米朝DVDを見て過ごす。
たちまち夕刻。
粗食にてちょっと一杯。寝る。
2月4日(火) 吉日
朝から快晴である。
ニュースは新型コロナウィルスばかり。大阪から中国人は減っているらしいが、出歩く気分にならず。終日穴蔵。
断続的に雑事があり……主に集合住宅関係のことだが……印鑑押したり、トラブルの箇所を見に行ったり、落ち着いてられず。
ただし午後に吉報があった。
上階の一家が引っ越すというのである!
今まで書かなかったが、この穴蔵に移ってきた3年ちょっと前から、上階の騒音に悩まされてきた。
狭い2DKに4人(時々5人になる説もあり)住んでいるらしく、歩き回る音がひどいのである。
2段ベッドの上から飛び降りるとしか思えない音までする。
これは書き出すときりがないのでやめるが、抗議して、反撥でよりひどくなる可能性もあり、昨年から引越し(仕事場を実家に移して独居生活に入るとか)も検討していたのである。
騒音一家が出ていくという。あと2週間ほどの辛抱だ。
たちまち夕刻。
夜は専属料理人がガンボを作った! と思ったらオニオングラタンであった。
*
いや、これで結構。豊崎西公園南側中本酒店推奨の馬鹿旨格安ワインで祝杯をあげる。
今日はいい日だ。
2月5日(水) 穴蔵
朝は晴、午後から少しずつ曇ってきた。
出歩く気分にならず、終日穴蔵。資料を読んで過ごす。
テレビで断続的にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の報道を見る。
昨日の、バイキングで飲み食い、ダンスに浮かれている映像を見て、なんじゃいなと思っていたのが、14日間、部屋に半幽閉となったらしい。
いずれにしても手遅れ。
ここ数ヶ月、「構想だけで書けなかったSF」のことを某所に書いているが、その中にスペースコロニー舞台のSFがある。
スベースコロニーの社会システムのモデルとしてシンガポールを考えていたのである。
特に病疫に関して、シンガポールのSARS対策は凄かった(スペースコロニーものが書けなくなったのは病疫が理由ではないが)。
しかし、クルーズ船での病疫までは想像力が及ばなかったなあ。まして浮かれてダンスとは。
今後の2週間、野次馬として見守りたい。
2月6日(木) 穴蔵
朝、目覚めたのであった。
カーク・ダグラスの訃報。5日に死去。103歳。正直にいえば、まだ生きてはったのか。
『OK牧場の決闘』が代表作とされているが、西部劇なら『ガンヒルの決闘』だろう。むろん『スパルタカス』も見たが、何よりも『5月の7日間』の「ええもん」役が印象に残っている。
寒波襲来。
終日穴蔵にて過ごす……が、郵便局往復のみ外出。
豊崎1丁目の路地……
*
今まで気づかなかったが、マンションとは笑わせる。
とはいえ、うちの集合住宅の方が崩壊は早いかな。
2月7日(金) 穴蔵
冬なのであった。
寒波襲来、今期いちばんの冷え込みという予報だが、大阪市北区はたいしたことなし。
ベランダは、朝3℃、昼8℃。風なく、室内は普通である。
終日穴蔵にて資料を読んで過ごす。
さすがに運動不足なので、午後30分ほど近所を散歩。
中津1丁目の路地。
*
地下鉄の駅から徒歩1分に、まだこんな場所が残っているのである。
2月8日(土) 創サポ講義
穴蔵にて資料を読み、メモとったり、あれやこれや。
夕刻に出て、運動不足なので、中之島公園まで歩く。
天神橋から剣先の噴水を眺める。
*
東の空にほぼ満月。センチメンタルになるぜ。
エルおおさかへ。創作サポートセンターの講座である。
本日は短篇と長篇の2編についてネチネチやる。
・傷のあるCDの楽曲(音飛び)が引き起こすタイムトラベルSF。音楽への情熱と多元宇宙を結びつける意欲作である。おれとしては『10月1日では遅すぎる』を読みなさいとアドバイスする(ホイルは定常宇宙だから理論は違うが、宇宙論と音楽理論を結びつける好例として)他ない。
・19世紀後半のロンドンを舞台とする探偵小説(後半は冒険小説)。長篇400枚。ホームズ役が日本から留学中の漢方医、ワトソン役が英日ハーフの青年。ホームズもののパスティーシュではなく、日本の事情がロンドンにまで影響してくる幕末小説でもある。聴講者含めて1時間以上の議論になる。(幾つかの課題はあるものの)こんな力作が出てくるのは久しぶりである。講師冥利に尽きるというか。
2月9日(日) 大阪JAZZ同好会
昼過ぎに出て、片町線・放出のディア・ロードへ。
大阪JAZZ同好会の例会である。
本日の特集は「中間派テナー」……ドン・バイアスを久しぶりに聴く。泣かせるなあ。
新譜紹介あり、ケン・ペフの新譜を知る。ありがたいことである(大きな声ではいえないけど、買わずに済むし)。
持ち寄り企画は「ジャム・セッション」。おれの場合、モカンボか銀パリか迷ったが、やはり守安祥太郎になるな。『そして、風が走りぬけていった』は播州龍野の書庫に入れたままだ。今度再読することにしよう。
ビール飲みながらジャズを聴く時間は楽しい。
2月10日(月) 穴蔵
曇、時々晴れ間あり。寒波らしいが、穴蔵にこもっていると実感できず。
仕事したよなしないよな。
ほとんどボケーーーーッと過ごす。
締まった顔つきなら「構想を巡らしている」といえるんだろうけど。
2月11日(火) 穴蔵/ウロウロ
紀元節である。本日、仕事はしないことにした。
仕事しようとしてできないのと、はじめから放棄では、気分が違うのである。
快晴。
昼、新大阪の某店へ行ったついでに、西中島南方をうろうろする。
40年前に住んでいたあたりである。
昔の住居は外装が変わり、となりのホテルミツフだけが昔のまま。
その東に懐かしき「鯛ビル」。
*
昔は燃料店で時々灯油を買いに行った。
その後、居酒屋ができて、向かいのマンション内にチャントリの事務所があったから、カシラがよく飲みに来られた。
で、看板娘の鯛さんの娘さんといっしょになられたわけで、祝宴にコーシンが招かれて来阪した。
「こんな近い場所だったのか」と驚いていたが、あれは1977年のことであった。
今はひょうたん寿司か。
鯛ビルは残った……
2月12日(水) 穴蔵
早寝したら3時半頃に目が覚めた。
ニュースはどうかとテレビつけたら、平成紅梅亭で「米朝五年祭」というのをやっている。
早朝から米朝師匠の「らくだ」……寝起きに見ても絶品であるなあ。
あれからもう5年になるのだ。
番組最後に次回の予告。3月3日(4日未明)にもあるらしい。南光さんが気になる予告を言ったが……がんばって早起き(午前2時)することにしよう。
午前晴、午後曇、夕刻から雨。
ややこしい天気だが、終日穴蔵なので関係なし。
確定申告の準備作業を行う。1件だけ源泉徴収票が届かず、完結感に欠ける。
しかし、まあ、今年も還付金で、9月には可児市の森山威男ジャズナイトに行けそうである。
一杯飲んで早寝。
2月13日(木) 穴蔵/ウロウロ
定刻午前4時に起床、昨夜からの雨がやんだ。
曇天。が、10時過ぎに急速に晴れ、昼前から快晴になった。暖。
穴蔵でくすぶっていたが、運動不足なので、午後、久しぶりに自転車で走ることにする。
天八から長柄橋を渡り、対岸の柴島浄水場の側道、淀川堤に出て、十三方向へ。
西中島あたりから梅田方面を眺める。
*
十三商店街に寄り、丹波できららぎ漬を購入。
十三大橋を渡って帰館。
中国人ゼロだったあるよ。
たちまち夕刻。
専属料理人が4皿ほど並べたが……
なんといっても、きさらぎ漬。本日はキャベツがあった。
*
これで吉乃川を一献。うまっ。
オキシ(※)くん、飲みにきたまえ。
※無類の漬物好きなのである。
2月14日(金) 穴蔵
定刻午前4時に目覚めたら、雨がやんだところで、浅田飴を舐めそこなった。
曇天。
外は暖かいらしいが、穴蔵でじっとしていると、エアコンなしで、室温20℃。おれには肌寒い。
コタツで資料を読んで過ごす。
ニュースを断続的に見るが、新型コロナウィルス、予想通りの展開。
おれは通勤なし、散歩も人気のない場所を歩くからいいが、バス・電車通勤の諸氏はたいへんであろうな。
この期に及んで、まだオリンピックのチケット販売がどうたらとかやっておる。アホかいな。
即刻「返上」しろ。
危機感がないのかねえ。
2月15日(土) 穴蔵
本日も曇天なり。
ニュースは、新型コロナウィルスの拡散ばかり。
大型クルーズ船に、屋形船、和歌山の済生会病院と、騒がしいことだ。
すでに、そこいらへん(大阪ならミナミ一帯、梅田界隈、地下鉄御堂筋線、ウチの近所なら○○インや○○寿司など)を感染者がうろうろしたはずだから、これで治まるはずはあるまい。
出歩く気分にならず、終日穴蔵。
花のない季節である。
*
と思ったら、玄関脇の梅が開花している。
春になった。『沈黙の春』が来たというべきか(この場合、唾液飛ばして大声でしゃべりまくる中国人が少し静かになった程度だが)。
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