『マッドサイエンティストの手帳』709

●マッドサイエンティスト日記(2019年7月後半)


主な事件
 ・神戸新聞文化センター(19日)
 ・福吉久代展@楓(21日)
 ・天神祭(25日)


7月16日(火) 穴蔵/ウロウロ
 未明。
 3時過ぎに目が覚め、4時頃から久しぶりに自転車で早朝徘徊に出かける。
 阪急東通り、3連休明けの未明で、客引きはいるけど、さすがに閑散。
 扇町公園にも人影なし。
 お、天満駅南側に御輿が飾られ、商店街には献燈が連なる。
  *
 天神祭が近いのである。
 天五中崎町商店街を抜ける。竹乃膳は繁昌しているようだが寄らず。以前のように未明からビール一杯という元気はなくなった。5時前に帰館。
 朝。
 近所の某医院へ定期検診に行く。諸数値ごく正常。最近の「不調」は精神的なものらしい。
 昼。
 ホケーーーーッと過ごす。
 夜。
 集合住宅の理事会。某おっさんの滞納など、ややこしい案件色々。また気が滅入ってくる。
 遅めの晩酌。
 寝る。

7月17日(水) 名料理に別れを
 程一彦さんの訃報。6月23日に台湾で亡くなられたという。
 龍潭(特に旧ホテル阪神の地下)へはよく行った。
 なによりも石毛先生主催の花見会では、程さんメニューが一番人気であった。この5年以上、来られなくなっていたが。
 台湾のホテルで亡くなられたということは、生涯現役であったのだろう。
 最後にお目にかかったのが6年前、西梅田のW病院ロビーで、挨拶のみ、お互い「詳しい話」はしなかった。
 おそらく心臓系ではないか。81歳。おれも見習いたいと思う。
 穴蔵にて雑事。
 昼、所用あって梅田に出る。
 梅田地下街、ホワイティ梅田ノースモールでびっくり。
 立ち呑みの老舗「大御所」のとなりに新しい立ち呑み屋がオープンしている。
 確か前は餃子店だった。これはえげつない殴り込みではないか。
  *
 大御所は串カツの「鳥の巣」や「ヨネヤ」と同じく、地下街オープン時からの店である。
 地下街では数少ない、わが愛好店で、湯豆腐が好きであった。
 5年ほど前から立ち呑みはしんどくなり、立ち寄ってない。11年前に書いたが、客層じたい高齢化しているのである。
 値段は新店の方がだいぶ安く(味は知らない)、想定する年代もちがうようだが、勢いは歴然の差であろう。
 大御所で最後の一杯をやりたい気もするが、昼前だし、立ち呑みは疲れるのでパス。
 静かに見送ることにしよう。

7月18日(木) 穴蔵
 曇天、午後には雨となる。
 終日穴蔵にあり、資料読みメモ取り。いい日のはずが、やたら中断する。
 ややこしい日だ。
 主に集合住宅関係。臨時の委員会を開くのに、日程決めるだけで数件の電話があり、折り返しこちらからもかけねばならず、その度に思考ストップ。ともかく電話は苦手だ。
 lineやる連中の気持ちがわからぬでもなし。もっともline連中はマメな連絡が好きなんだろうけど。
 さらに、昼前に京都アニメーション火災のニュース。41歳の男がガソリンまいての放火らしい。
 死者の数、刻々と増加していく。
 20:45のニュースでは、死者25人……まだ未確認の人がいるらしい。
 41歳の男がSFファンでないことを願うばかり。

 ※死者33人である。
 ※※犯人はSFファン(マニア)か?と気になったが、ちょっと考えれば、アニメおたくの方が(ダブリはあるにせよ)桁違いに多い。おれのいうSFファンとはSF大会に来るタイプ。来週さいたまでSci-conがあるというのに、関東から京都へ41歳男が来るはずがない。杞憂であろう。なお、現時点(7/19朝)で犯人の名は報じられていない。(2019.7.19 8:00)

7月19日(金) 神戸新聞文化センター
 雨天。梅雨空というよりも、強い雨が断続的に降る。
 昼前に出て神戸へ。
 雲が恐ろしく低く、三宮からオリエンタルホテルがまったく見えない。
 神戸新聞文化センターでの講座である。
 短いエッセイとショートショートの合評形式となる。
 本日は統一的なテーマはなく、「住友有芳園」「絵本の構成」「マレーシア事情」「痴呆症」「LINE」「宇宙老人ホーム」……なんだと思われそうだが、それぞれ面白い。
 特にLINEをテーマにした恐怖小説は、着眼はいいのだが、使わない人にはその拘束感とイジメの陰湿さがにまるで実感がわかず、LINEに没頭している人種は小説なんか読まないという、妙なパラドックスに陥っている。
 LINE小説は文体が散漫になりそうだしなあ。
 夕刻帰館。
 本日から専属料理人が静岡行き。
 楽しき独酌となる。
 作り置きの総菜並べてビール、酎ハイ、揖保乃糸黒帯に鮎の佃煮など載せたので仕上げ。
 京都アニメ放火殺人犯(間違いなく「犯人」であろう)、青葉真司という名前が公表された。いい名前ではないか。

7月20日(土) 穴蔵
 曇天なり。
 終日穴蔵にあり。痴呆老人生活を楽しむ。
 たちまち夕刻。
 シャワーを浴び、あとは色々並べて独酌。
 楽しきかな独居生活。
 ヨコジュンは毎日こうだったのだろうか。ちがうな。酒と古書のちがいである。
 うーん。また複雑な気分になる。

7月21日(日) 福吉久代展@楓
 午後、谷六の画廊へ。
 楓ギャラリーへ福吉久代展を見に行く。5年ぶりかな。
 緑の多い、いい雰囲気の画廊である。
  *  *
 画風は丸みを帯びた曲線基調から、夜景を思わせる深い青の作品が増えているような。
 福吉さんは美術教師を退職、今は絵に専念されているらしい。会場には教え子らしい顔ぶれも。
 心洗われた気分で、その後、少し南の空堀商店街へ。
 この商店街ははじめて歩く。
 上町台地を西に下る商店街。旨そうな焼鳥屋などが目にとまるが、いかにも古くからの店風に作った新しい店で、割と高く、客層は若く、ちと入りづらい雰囲気だ。
 松屋町を歩き、地下鉄で長堀橋から扇町に移動、天神橋筋商店街のおなじみの(本当に古い)店へ。モツ煮込みで一杯。
 楽しきかな独居生活。

7月22日(月) 穴蔵
 午後、民放ほぼ全局が中継している吉本の会見を1時間ほど見る。
 参院選の開票速報より面白いのは確かだが……岡本昭彦とういう社長、よほど知能が低いのか、質問をはぐらかそうとしているのか、関係ない経過をだらだらとしゃべり続け、質問者が途中で再質問しても同じ。ふだんと違う言葉使いで話そうとするからだけではあるまい。
 どうしてこんな男が「社長」になったのか。なれたのか。黒幕がいるような気がしてならない。
 吉本興業はもともとややこしい会社だが、10年前のどついたんは誰や!?以降、どうなったのか皆目わからん。
 吉本芸人を見ることはほとんどなくなったし、名前もさっぱりわからない。
 あいかわらずややこしい会社であることはよくわかった。
 西岡研介氏にもうひとがんばりを期待する。
 夕刻、専属料理人が帰館。
 楽しき独居老人生活は終わる。
 夜はしらす、黒半、わさび漬けなど静岡メニューが並ぶ。これはこれでいいのかも。

7月23日(火) 穴蔵
 終日穴蔵にあり、小雨、曇天、薄曇り、晴、夕刻雷雨と、変化する空をボケーーーーッと眺めていたら夕刻となる。
 非SF系の雑事とかは少しやり、本も読んでいるのだが、気力がわかないまま。
 専属料理人の並べた数皿で一杯呑み、早寝させていただく。
 明日こそホリは羽ばたく……つもり。

7月24日(水) 穴蔵
 朝5時30分からEテレビで「100分 de 名著」小松左京スペシャル「虚無回廊」の再放送を見る。
 瀬名秀明さんがゲストで出演。お元気そうでなにより。お目にかかる機会がなくなったのは寂しいが。

 こちらは痴呆症が進行してきた。
 某チェーン店の某カードが見当たらない。
 一昨日、弁当を買った時、レジで取り忘れた可能性が高い。残高は数十円のはずで、たいした損害ではないが。
 10時頃に某店へ行って訊くと、曾根崎暑へ届けたという。
 で、徒歩10分の曾根崎暑2階の「拾得課」へ出頭する。
 考えてみると、1963年2月に大阪駅で降り、鉄板の道路(梅地下の工事中であった)を歩いて、曾根崎暑の前を通り、ヌルスタジオを訪ねた。
 以来、半世紀以上、曾根崎暑前を何度通ったか。1万回はないだろうが、5000回は超えると思う。
 だが、曾根崎暑に入るのは、今日がはじめてである。
 入口が1階北側のドア1ヶ所だけというのは、はじめて知った。用心深く作ってある。
 無事カードは戻った。痴呆アタマは元には戻るまいが。
 ま、あまり来たくないところである。
 午後は心を入れ替えて、穴蔵にて机に向かう。
 晴れて、梅雨明けらしい。室温30℃、ベランダは34℃。まだ扇風機だけで快適である。

 おや、雫石鉄也さんのブログがとつぜん閉鎖!?
 ややこしいのにからまれてと推察するが、愛読者としては残念である。
 おれも10年ちょっと前にブログを開設して、色々なコメントを頂き、楽しくまた貴重な情報も多かったが、1件、嫌〜〜な書き込みがあって閉鎖し、HPに戻った。小田実が亡くなった頃だったと思う。
 見知らぬややこしい人物との関係が発生しない処置は、多くの気心知れた人たちとのコミュニケーションを犠牲にしても、やはり大事なことである。
 いつガソリンまかれるかわからん時代になっているのだし。
 雫石さんには、コメントなしのWEBに移行して継続してほしい。
ヘリコニア談話室は勉強になるなあ。(2019.7.26)

7月25日(木) 天神祭
 定刻午前4時に起きて、朝の儀式色々の後、マジメに机に向かう。終日穴蔵。
 梅雨明け。盛夏である。
 夕刻、淀川堤まで散歩。
  *
 夏の雲。奈良方面には大雨注意報・大雨警報が出ているようである。
 本日は天神祭。以前は先代歌やんの独演会があり、あと一杯飲みながら花火を見たものだが……
 夕立があれば面白いがなあと思ったが、なし。
 晩酌時、花火の音が遠雷のように響いてくる。
 もうウチからは見えず。見に行くのも面倒である。
 一杯飲んで早寝。
 明朝気分がよければ「あとの祭り」を見物に行くか。

7月26日(金) カーニバルの朝
 午前3時前に目が覚めた。
 数年ぶりに「あとの祭り」を見に行くことにする。
 3年ぶりかな。高校時代に「黒いオルフェ」を見て以来、おれは祭りの本番より、後の廃墟のごとき風景が好きなのである。
 3時に自転車で出て、新御堂〜阪急東〜西天満〜2号線を東に走って天満宮へ。ひっそり。
  *
 天神橋筋商店街に出る。所どころにゴミが堆積しているが、ゴミ収集車がいつもより多い感じで、ほとんど片づいている。
 たいしたことなくなったなあ。大阪人のマナーがよくなったのか。
 朝まで営業の酒場は増えたが「いかにも」店がほとんどで、立ち寄る気になれず。客層も若いしね。
 昔の天五屋が懐かしい。
 天五〜中崎商店街を抜けて、4時前に帰館。
 あとは終日穴蔵。
 少しは仕事もするのであった。ゼニになるかは別問題。
 とつぜん発生した台風6号の影響か、夜は風が強くなる。
 明日予定の行事に影響するか、気になるところだ。

7月27日(土) 穴蔵
 台風6号上陸で、天気不安定。各地で花火大会が中止らしい。
 午後に集合住宅で臨時委員会を開催する。
 一級建築士でボランティア的活動もやっている某氏にきて頂いて、大規模修繕の留意点についてレクチャーを受ける。
 去年の台風被害(某建物から飛来した物体でマンションに被害/テレビでも報道された)の復旧も担当されたとか。非公開の写真や相手側弁護士とのやりとりなど、生々しい話が色々出てくる。
 他人事だと面白いのだが……議事録をまとめはじめて、書けないこと多く、今後の「わが身」を思うと気が滅入ってくる。ウチは台風被害はないのだが、ややこしい住人が数名いて、その対応だけで気が重い。
 雫石さん、お互い災難ですなあ。土石流に襲われたようなもの。ちょっとちがうか。
 一杯飲んで早寝することに。

7月28日(日) 穴蔵/ウロウロ
 定刻4時に目覚める。
 昨日から今日にかけてSci-con開催中である。ネットを見るが、意外に最新情報は少ないな。
 SF大会は2008年夏に岸和田であったDAICON7が最後で、11年行ってない(2011年の静岡には行くつもりが台風で断念した)。
 やってみたい企画はあるのだが、むつかしいなあ。
 ということで、マジメに机に向かう。
 といっても、非SF系。昨日の議事録を作り、プリント、配布。
 一仕事した気分になり、昼は天ざる(専属料理人製)で軽くビール。
 午後はボケーーーーットと過ごす。いかんなあ。
 夕刻に近い午後、サプライ品を買いにヨドバシへ行く。
 北側のホテルが完成間近ではないか。
  *
 早いなあ。わが近未来年表では、竣工予定は2019年12月である。11月にはウチの近所のブランズタワー(東洋ホテル跡)が竣工する。
 ヨドバシ北館(上にホテル)と近所のタワマンを較べると、ヨドバシの工期が恐ろしく早い。たぶん潰すのも早いからであろう。
 50年先の北梅田を想像すると、いびつな景観が浮かんでくる。
 これはそれなりに根拠あり、昨日の一級建築士の話とも整合する。
 ただ、50年未来はシンギュラリティの先であって、この辺の「すりあわせ」に悩むこと多い。
 どうせおれは生きてないんだから、気楽に考えればいいか。

7月29日(月) 穴蔵/ウロウロ
 定刻4時に起床。一応マジメに机に向かうが、まあボチボチ。
 昼間の室温は31℃、外は午後には35℃となるが、アンダーシャツで扇風機回してたら快適である。
 夕刻に近い午後、散歩にでる。
 ウォーキングシューズの底に穴があきはじめたので、茶屋町の靴屋で買い替える。
 ブランドは決めていて、同じ店で、最初は2013年、2代目は2016年と、ほぼ3年ごとに買い替えている。
 推定300〜400万歩。歩数計の記録から正確な歩数は算出できないではないが、1000回の足し算は面倒だな。
 次の買い換えは、このまま歩けるなら、野々村竜太郎の生家が取り壊される頃であろうか。健脚でいたいと思う。
 店で履き替え、ジュンクドー〜中崎町を回って帰る。
  *
 週に1度は通る豊崎3丁目の某書斎は緑につつまれている。時々明かりがついているようだが。
 夕刻、31℃の穴蔵に帰館。えらいちがいだが、おれにふさわしい居室である。
 本日は4,161歩。

7月30日(火) 穴蔵
 わ、午前3時頃に目が覚めた。室温30℃。熱帯夜である。
 マジメに机に向かう。向かうだけで、効率ゼロ。さっぱりである。
 6時頃から直射光が入りはじめ、8時には室温32℃となる。
 今季はじめてエアコン(冷房)を稼働させる。
 涼しいが、気分は暗く、仕事さっぱり進まず。テーマがいかんのだろうな。
 ちなみに朝食、昼食はきちんと食べ、シャワーも浴びるのである。
 たちまち夕刻。
 専属料理人が並べた5皿でビール、酎ハイ。
 早寝するのである。
 こんな日は明日で終わりにしたい。

7月31日(水) 穴蔵
 本日も午前3時前に目覚め、ちょっと机に向かい、また寝る。
 6時頃から直射光……あとは昨日と同じパターンとなる。
 午後、集合住宅の諸々の検査があり、理事長という立場上、立ち会わざるをえない。
 久しぶりに屋上に出る。
 先日BS受信に障害のでたアンテナもチェック。
  *
 東洋ホテル跡のタワマンのせいである。確かに静止衛星の位置ギリギリのような。
 近隣のビルも軒並みらしい。ささっと対応してくれたが、言われる前に動けよ……といいたくなる。
 あとはまた机の前で鬱々とした時間を過ごす。
 ヨコジュンの晩年は毎日がこんな気分だったのだろうな。今頃わかってきた。
 おれの場合は、対処法は自明。専属料理人の並べた数皿で一杯飲んで早寝するのである。
 無為に過ごした7月が終わる。嗚呼。


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