『マッドサイエンティストの手帳』585
●マッドサイエンティスト日記(2014年8月前半)
主な事件
・創サポ講義(2日)
・播州龍野いたりきたり
・山下洋輔SOLO at HACHI(8日)
・台風11号通過(10日)
・謎の懇親会(13日)
8月1日(金) 穴蔵
不調である。
終日穴蔵にこもるが、何もできない。
集合住宅関係でややこしい電話2件。
ますます気が滅入る。
じっとしている他なし。
8月2日(土) 穴蔵/創サポ講義
午前3時過ぎに近所のマンションで火災報知器が鳴りだし「直ちに避難してください!」のアナウンスが繰り返され、消防車が来て大騒ぎとなる。
*
20分ほどで沈静化。誤動作だったような。
そのまま起床。
おれとしては気分のいい早起きである。
少しは仕事もするのであった。
終日小雨が降りつづく。
夕刻に這い出て、地下鉄で天満橋へ。
先週に引き続き創サポ講義。
提出作品4編を中心に。
・「ボッコちゃん」のパロディ。重装備(喧嘩には強い)アンドロイドとヤクザの客という設定に変えてある。パロディとしては上出来で、「なつこん」用に書いたというから、ファン創作としては申し分ないのだが、ここから一歩踏み出す(あるいは踏み込む)にはどうすればいいか。ロボット論をさらに突き詰めるか、設定を大きく変更するか。
・怪談ショートショート。日常にふっと生じる恐怖をスケッチしようとする意図は意欲的(明らかに怪談の定型を崩そうとしている)だが、怖いかどうかの評価は微妙。「学校の怪談」がたいてい深夜パターンなのに対して、混み合った白昼の雑踏でこれが可能かという議論になる。
・なんと「後期高齢者の性愛」に迫ろうとする短編。これはひとつの「鉱脈」ではないか。老人小説なんて生やさしいものにはならないはずで、どぶ板をめくる覚悟が必要だが。
・東京の湾岸エリア(大井競馬場あたり)で展開される青春ユーモアミステリー。ミステリーとしては弱点があるが、品川の海岸あたり、モノレール駅、京急駅周辺の描写がなかなかよく、作者は20歳前後にこのあたりで暮らしたという。……せっかくなので、先月の大手前大学での講演の一部を紹介。「阪神間SF」の作者には「六甲山麓の学校で学んだ」という共通項があり、青春期を過ごした土地は「財産」なのである。
8月3日(日) 穴蔵/福吉久代展
午前5時に起きる。
雑事あれやこれや。
主に集合住宅関係。
午前中、都合のつくメンバーで修繕工事の現場チェック。平日の昼間は集まりにくいだろうと日曜にしたのだが、まあ、いたしたかなし。
まだややこしき案件は残る。嗚呼。
午後、息抜きに専属料理人と徒歩7分の茶屋町画廊へ行く。福吉久代展(8月5日まで)を見る。
*
福吉さんの個展は20年前くらいから見ているかな。本ウェブ記録では17年前から。
大作が4点。
会場に福吉さんもいてはって、会うのは10数年ぶりかな。
画家の活動というのは息が長いなあと改めて思う。
小説も見習わねばならぬ。
8月4日(月) 穴蔵
穴蔵にて過ごす。
台風の影響で雲の動き急である。
修繕工事関係で久しぶりに集合住宅の屋上に出る。
3年ぶりに梅田方面を眺める。
*
あまり変わらないような気もする。毎日放送の新ビルが目立つくらいか。
いずれにしても理事長という役職は今期で最後。もう引き受けることはないから、屋上からの眺めもこれが見納めかも。
午後は穴蔵にこもる。
外出することなく夕刻となる。
夜は専属料理人の並べた枝豆、鰺のピカタ・温野菜、トマトサラダなどでビール。
*
なんとか米で作った「本格」リゾットでワインを少しばかり。
悪くはないのだが、おれはてっちりのあとの雑炊の方がいいなあ。
8月5日(火) 穴蔵
眠り浅いまま朝。
6時過ぎに起きる。
少しは仕事もと思いつつ、気乗りせず、だらだらと本を読んで過ごす。
10:30にネットで「理研の笹井芳樹副センター長が自殺を図った」というニュース(産経新聞)を見る。
あわててテレビを見る。
11時に「笹井氏死亡」が報じられる。
とっさに想像したのは、たぶん明日発売の週刊誌か月刊誌の「スキャンダル報道」だろうということであった(伊丹十三の自殺がそうであった)。
午後に理研の会見があるというので、出かけるのをやめる。
で、14時からの理研の会見中継を見るが、遺書らしきものがあったという以外、何もわからん。
スキャンダル報道ではないらしい。
鬱状態だったような。
挫折しらずの秀才とはかくも脆いものか。
たとえは本当に悪いのだが、野々村竜太郎の神経を持ってほしかった。
8月6日(水) 穴蔵/ウロウロ
定刻午前4時に起床。
4時30分にニュースを見たら、深夜1時過ぎに大阪で震度4の地震があったという。
ほんまかいな。
眠りは浅かったはずだか、まったく気づかなかった(後刻、専属料理人に確認するに、深夜に就眠したらしいが、やはり知らないという)。
幻の地震なり。
終日穴蔵。
6月24日からはじまった集合住宅の修繕工事がやっと終了。
理事長が待機している義務はないものの、気分的にはずいぶん楽になる。
ややこしい連絡電話はだいぶ減るであろう。ほっ。
運動不足なので、久しぶりに散歩。
ジュンクドー〜ヨドバシ〜グラフロの定番コース。
*
貨物駅跡の北側、疑似緑地化(単に苔色に塗装?)が進行している。
本日は5.125歩。
明日からもう少し出歩くことにする。
8月7日(木) 大阪→播州龍野
朝の通勤ラッシュが終わった頃の電車で播州龍野へ移動する。
タイムマシン格納庫にて相棒の某くんと打合せ。
あと実家へ。
1階の部屋を開け放って風を通す。
*
室温30℃だが快適である。
座敷に寝転がって、少し本を読むが、たちまち眠くなり、3時間近く昼寝。
静かである。
夕刻、味三昧で豪華弁当を買ってくる。
夜はデフランコ師匠など聴きつつビール。
生活の拠点をこちらに移す(少なくとも理事長任期中)のもいいような気がしてくるなあ。
8月8日(金) 播州龍野→大阪/山下洋輔SOLO at HACHI
播州龍野にて午前6時に目覚める。
久しぶりの熟睡。
雑事の片づけの後、タイムマシン格納庫へ。
遠方より来客あり、マシンのデモンストレーションを行う。
格納庫内はエアコンなしで、汗がにじみ出てくるが、ヒートサイクルのテストも兼ねているのである。
午後の電車で帰阪する。
夕刻、専属料理人とインタープレイ8へ。
8/8恒例、山下洋輔さんのソロである。
開演時、ハチママも出現した。1年ぶり。山下さん来演の日は元気になるのである。
最前列、ピアノのすぐ前の席で聴く。
・You Don't Know What Love Is
・Happy Birthday
ハチママが登場して挨拶。
*
25歳でハチを始め、50歳で「引退」のつもりだったが、「大ママ(山下さんのご母堂)」から手紙(何度も読み返してもう黄ばんでいるが大事に残してある)を貰い「天職だから続けるべき」とあったので、結局80歳まで続けてきた。実質的には明利マスターに引き継いでいるので、天(井)に向かって「大ママ、もうあがってええですか」と問いかける。……「あ、ええいわはったわ」。すぐ返事があったようである。
・HA-CHI-MA-MA……これはハチママのリクエストによる即興曲(プレゼントである)。仮題。「は・ち・ま・ま」かなの呟きとともに「4音」からはじまったから。5分ほどで、これは「1年目」分だそうな。
・Night In Tunisia
・Memory Is A Funny Thing
・Yawaragi
・Bach Medley
・Bolero
・(Encore)Autumn Leaves〜It Don't Mean A Thing…
21時前までノンストップであった。
8月9日(土) 穴蔵
少し朝寝して、午前6時に起きる。強い雨が降りつづく。
台風11号が自転車で四国へ近づいているためである。
吹き降りなので、穴蔵のベランダを掃除する。室外機以外、何もないので、床面を水洗いするのは雨の日に限る。
あとは穴蔵にて、少しは仕事もするのであった。
昼前、本日の淀川花火大会は中止のニュースが流れる。これは賢明な当然の判断であろう。
8年前が8/8ライブの翌日が淀川花火大会で、「雷雨の花火大会」となった。ハチの翌日の花火はやめろということか。
と、中止が決まったとたんに雨はやむ。
午後は曇天、ほとんど晴に近い薄曇りになったり。
涼しく(外は24℃)、静かに仕事するには申し分なし。
たいした成果はないものの。
8月10日(日) 穴蔵/台風11号通過
またも朝寝坊して午前6時に起床。涼しいからであろう。
小雨が普通に降っている。
ニュース。台風11号、6時過ぎに安芸市付近に上陸という。このままだと昼に姫路あたりを通過か。
午前10時時点で大阪には「暴風警報」、予定していた某会合は自動的に中止となる(こういうシステムはなかなかいい)。
本日は外出せず、穴蔵にて過ごす。
10時過ぎ、台風11号は赤穂市付近に再上陸、北北西に時速30qで進んでいるというから、10:30頃に播州龍野を通過(新宮町あたりか)、珍しいことである。
某SNSによれば、西播の風雨はたいしたことないらしい。
昼は自宅にて和定食、ビール1缶。ときおり風雨が強くなる梅田を眺めつつ。
*
鉢植えを取り入れるほどの風は吹かず。
午後には雨はやみ、風もおさまる。
穏やかな休日であった。
夜は、大袈裟な台風被害ニュースを見ながら、枝豆、夏おでんなどでビール。
早寝するのである。
8月11日(月) 穴蔵/ウロウロ
朝、近所の某内科医院へ。定期検診。盆休前で混んでいるが、そう時間はかからず。血圧正常。ほっ。
台風一過である。
日射しは強いがエアコンなしで過ごせる。
終日穴蔵。
仕事はたいしたことできず。嗚呼。
夕刻に近い午後、市内に1箇所しかない某大銀行のATMへ行く必要が生じて、地下鉄で淀屋橋へ。
帰路、中之島公園を抜ける。
*
バラ園には誰もいない。
ハチの前を通るが、18時、まだ開いてない。盆休か。
本庄の某酒店で黒糖焼酎を買って帰館。
5,588歩となった。
夜は枝豆、鰺刺身、サラダ、肝の煮たの、野菜炒めなどで黒糖焼酎の水割り。
パキート師匠を聴きつつ。
8月12日(火) 穴蔵
おや、朝からまたも雨である。
世間は夏休みと盆休で、アホが浮かれ出ているであろう。
こんな日は穴蔵にこもるに限る。
I画伯からニューオリンズのスケッチが届いた。
*
↑ちらっと公開。
またもニューオリンズ系の某編集作業をはじめる。
たぶん神様ルイス関係はこれが最後であろう……と思うが、まだわからんなあ。
おれがニューオリンズへ行くことは、もうなさそうだが。
8月13日(水) 穴蔵/某懇親会
定刻午前4時に起きる。
少しは仕事もするのであった、金にならぬ仕事いと少なしを。
曇天で室温30℃、助かるなあ。
夕刻に這い出て、阪急で石橋へ向かう。
阪急梅田で「石橋での車両事故のためダイヤが乱れご迷惑を…」とアナウンスが繰り返されているので慌てたが、遅れた電車が等間隔で動いているだけで、ぶらっと行った客としては何の影響もなし。
車内でも何度もお詫びの繰り返しで、JRに較べると「お詫び過剰」である。
石橋の某海鮮居酒屋にて、盆と年末恒例の「謎の懇親会」を執り行う。
*
メインはひらめの活き造りで冷酒。
クチをパクパクやっておる。まったく残酷なことやるよなあ。
2時間で解散。
まっすぐ帰宅して早寝する。
8月14日(木) 穴蔵/ウロウロ
定刻午前4時に目が覚める。
生活のパターンが普通に戻ってきたような。
穴蔵にて、某ニューオリンズ系の作業のつづき。
デザイン関係に不安が残り、またも塩田さんの助けを借りることに。
午前10時にシオタデザインオフィスへ行って、色々とアドバイスを受ける。
おれが1日かかってもできないことが1時間ちょっとで片づく。やはりプロはちがうなあ。
こちらの機器とソフトに問題がありそうなことも判明(MacとWindowsの差もあるのだが)。
XP機はやはり限界なのであろうか。
文章を書くのには何の不自由も感じない(むしろ新機種にはしたくない)のだが。
昼、専属料理人が心斎橋まで出てきて合流。
が、中国人が多くてブラブラする気分にもならず、某店で天ざるうどんを食べて、おれはまっすぐ帰館。
穴蔵にて作業の仕上げ。
タイムマシン関係の相棒の某くんからメール。ちょっとややこしい事態になっているらしい。
今は国内は盆休だが、海外は関係なしだしなあ。
来週から慌ただしくなりそうな。
それに備えて、今週は休息としよう。
夜は、枝豆、ローストビーフ、ミニオムレツ、野菜色々サラダでビール、安ワインを少しばかり、いちじくのコンポートで仕上げ。
早寝するのである。
8月15日(金) 穴蔵
わ、早寝したら、午前3時前に目が覚めてしまった。
朝まで読書。
本日は盆休のつもりだったが、色々と雑事が生じる。
集合住宅関係、ニューオリンズ系の資料作成、タイムマシン関係の海外対応など。
述べ時間は3時間ほどだが、本来の仕事には集中できず。
ま、しかたあるまい。
「ミステリーズ! 66号」掲載の高島雄哉「ランドスケープと夏の定理」は注目作である。
色々と考えさせられるところあり、2、3日後に書くことにする。
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