『マッドサイエンティストの手帳』558

●マッドサイエンティスト日記(2013年7月前半)


主な事件
 ・ハナシヲノベル(5日)
 ・通信系補正(8日)
 ・ジョージ・ルイス誕生日(13日)


7月1日(月) 炎天
 7月になった。
 炎天である。
  *
 窓からの眺め。
 ボケーーーーーッと空を見て過ごす。
 明日は少しはいい日になるだろう。

7月2日(火) 穴蔵
 午後から穴蔵にて「普通の生活」モードに戻る。
 椅子にしろPC(特にキーボードとディスプレイ)にしろ、使い慣れているのが快適である。
 雑事山積。
 かなりのスピードで片づける。
 せっかくモバイル環境が整ったのだが、しばらくは穴蔵生活をつづけることにする。

7月3日(水) 穴蔵
 定刻午前4時に起床。
 やっと通常の生活モードに戻った。
 本日もほとんど穴蔵にて雑事処理に勤しむ。
 午前9時に近所のY医院へ定期検診に行く。
 血圧はきわめて良好な値であった。
 夜は集合住宅の会合。建物調査の報告会である。
 こちらは人体にたとえると血管の硬化か大腸系の老化というべきか。
 数年後には臓器の交換をやらねばならぬような。
 新陳代謝機能のないスターシップの船長になった(ならされた)気分である。
 同時進行SFを試みるか。

7月4日(木) 穴蔵
 本日も終日穴蔵にて机に向かったり寝そべって本を読んだりして過ごす。
 少しは歩かねばいかんのだが、出ようかと思ったら、とつぜん豪雨になったり。
 西日本に西から湿舌がかぶさっていて、天候不安定。
 まあ、晴歩雨読でいいではないか。
 宮内悠介さんの『ヨハネスブルグの天使たち』が第149回直木賞にノミネートされている。
 『盤上の夜』が候補になった時、(半ば冗談だが)ギャンブル小説として評価されたのではないかという話があった。
 今回は最先端にあるSFであり、ギャンブル小説云々が邪推であったことが明らかになった。予備選考委員?の皆様にお詫び申し上げます。
 宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』早川書房
 
 宮内さんの第2作品集。
 第1話「ヨハネスブルグの天使たち」を読み出して、第1章の最後(18頁)の描写に、おやっ?となった。
 内戦で荒廃した南ア・ヨハネスブルグ。兵士を襲って生活する戦災孤児スティーブは、夕刻、窓辺でいつものように外を眺める。
 「夕立の時間だ。……風を切る音がした。まもなく幾千の少女らが降った。ある者はまっすぐに、ある者は壁にぶつかり弾けながら、ビルの底へ呑まれていく。そのうちの一人と目があった気がした……」
 夕立のあと、スティーブはふつうに洗濯物を干す。
 これは主人公の見る幻影なのか、土砂降り「cats and dogs」みたいなレトリックなのか、ちょっと戸惑う。
 それが耐久性テストのために定期的に落下する日本製ロボットであることは、数頁あとから明かされていく。
 こうした語り口が見事だ。
 5篇、舞台はヨハネスブルグ、ニューヨーク、アフガン、シバーム(イエメン)、東京で、それぞれ独立した短編だが、それらをロボット「歌姫」がつないでいく。
 物語は多彩だが、911テロを描いた「ロワーサイドの幽霊たち」にひときわ凄味がある。
 『盤上の夜』の統一テーマが盤面ゲームであったのに対して、『ヨハネスブルグの天使たち』は都市論と読める。
 帯には「伊藤計劃が幻視したヴィジョンをJ・G・バラードの手法で描く」とあって、なかなか適切な惹句とおもうが、おれはむしろ日野啓三を先鋭化したような印象を受ける。
 したがって、本作は、直木賞よりも芥川賞がふさわしい気もする。
 が、ともかく、本格SFの初受賞を期待したい。

7月5日(金) ハナシをノベル
 曇天、蒸し暑い日である。
 室温31℃だが、まだエアコンは使用せず。
 終日穴蔵……のつもりがったが、某社へタイムマシンの点検に行ったり、部品の受け渡しをやったり、SF以外の仕事も幾つか発生して落ち着かず。
 夕刻、久しぶりに歩いて梅田へ。
 中之島公会堂まで歩く。
 第39回「落語再生公開堂ハナシをノベル!!」
 月亭天使「夏の医者」
 月亭文都「人間そっくり」(酉島伝法作)
 桂三扇「悋気の独楽」
 月亭文都「わあわあ言うております」(田中哲弥作)
 田中啓文とノベラーズによるぐだぐだトークあり
 八天さんから文都師匠になって初めて聴く会である。
 お、「ひいき」筋から新しい暖簾が贈られている。
  *
 (ノベラーズというのは田中啓文さんを中心とする作家陣の名称である)
 文都師匠以外のふたりがともに女性落語家というのも不思議。
 「人間そっくり」は、安部公房よりは「ディックと米朝アンドロイド」から発想されたようなロボット落語。誰がアンドロイドか人間か区別のつかない時代に噺家が落語会へ遅刻ギリギリに駆けつけるという設定。やや理詰め(アンドロイトの真似をする人間の真似をするアンドロイドとか)の話だが、仕方話や二段階オチなど、仕掛けいろいろで面白い。
 「わあわあ言うております」は、何度かかけられているらしいが、おれは初めて聴く。表題の決まり文句で話が区切られ場面が変わる「メタ落語」。それに合わせて鳴り物がほとんどアドリブで入る、上方落語ならではの趣向の爆笑ネタ。しかしこれは演者もお囃子も相当疲れるようである。
 例によって会場には作者をはじめSF関係も多し。
 軽くビールといきたいところだが、このところ「やむを得ぬ事情により」アルコールをストップしているので、歩いて帰ることにする。
 ライトアップされた公会堂。
  *
 こんな格調高い建築の内部でアホゲな会をやっとるのだからなあ……
 帰路、ハチに寄る。
 今年も8月8日に山下洋輔さんのソロがあるので、チケットを受け取る。
 阪急東通りを抜けて帰館。
 金曜夜で、ボンクラサラリーマンどもでごった返しております。
 お、久しぶりに9,685歩となった。

7月6日(土) 穴蔵
 丸善ジュンク堂往復以外、穴蔵にて過ごす。
 雑事やりつつ、ペーター・ブロッツマンの5枚組CD『LONG STORY SHORT』を聴く。
 (70歳記念のコンサート・ライブ盤で、1曲だけ、佐藤允彦・森山威男とのトリオを収録)
 この「サックスの破壊獣」(田中啓文)、70歳を超えてますます凄まじい。
 が、次から次へと登場するフリーの音響が体にいいのかどうか、不整脈を誘発するのではないかと心配になってくる。
 2枚聴いたところで4ビートに切り替える。
 5枚つづけては到底無理だな。
 一応「現物確認」したので森山ディスコグラフィーに追加する。
 そういえば毎年恒例の森山威男JazzNightが9月21日に決まった。
 むろん行くつもり(「皆勤の徒」(酉島伝法/近刊)だからなあ)で、そのために確定申告の還付金を残してあるのだが、ひとりで行くといったら、専属料理人が反対するかもしれんなあ。
 さっさと予約してしまうか。

7月7日(日) 歩幅補正
 定刻よりちと遅く、午前5時に起きる。
 早朝のニュース。
・未明にサンフランシスコでアシアナ航空機が着陸失敗、炎上
 は、むろん、大ニュースだが、おれには、
・6月3日午後に堂山町の雑居ビル5階で見つかった変死体について、同じビル2階のガールズバー「Ring」店長・秋元貴公(30)が曾根崎署に出頭
 の方に興味がある。
 このビル、ツタヤの角を東に入ったところで、一昨日も帰路に通過したばかり。ミムラさん健在の頃は週に1度は通った場所だ。ガールズバーに入ったことはないけど。以前にもムルソー前の路上でサラリーマンが撲殺されたり、物騒なところだ。
 金銭トラブルで数十発殴って財布も巻き上げていたらしいが、なぜ「翌日午後まで発見されなかったのか」「ガールズは殴るところを見てなかったのか」「どうやって5階まで運んだのか」「その後もRingは営業していたのか」など、知りたいこと色々。近いうち見物に行ってみよう。
 「かどや」か「すし政」でならおもろい話が聞けそうだが、禁酒中だからなあ……。
 それにしても「秋元貴公」とはまた立派な名前ではないか。親の顔よりも本人の顔が見たい。およそ貴公子とは無縁であろう。親が「難波弘之さんみたいになってほしい」と願望をこめてつけた名なんだろうけどさ。
 諸君、秋元貴公を忘れるな。
 ということで、本日も穴蔵にて粛々と雑事……のつもりだったが、「健康」と「認知症」について気になることあり。
 週刊文春(7月11号)にちょっと気になる記事。
 「認知症リスクは『歩幅』でわかる」
 高齢者の歩幅を「広い(70.6p以上)」「普通」「狭い(61.9p以下)」にわけると、「狭い人」は「広い人」より認知機能低下が3.4倍(女性に限れば5.8倍)起こりやすいのだという。
 数ある身体機能の数値の中で、もっとも有意差があらわれているという。
 (広い歩幅で歩けば認知症の予防になるということではない)
 おれは、この種の数値が気になる方である。
 歩数計を6年前に購入した時、約20メートルの直線距離を歩いて、p単位で歩幅を測り、「1歩80cm」と設定している。
 おれは早足の方で、雑踏ではイライラする方だから、人がいない時に普通に歩いて、こんなものである。
 が、ここ2年ほど、ちょっと遅くなった気がしていたのである。
 同じ場所(集合住宅の廊下で、歩き初めと終わりの5,6歩は捨てて、30歩の距離をp単位で測る)で調べてみる。
 5回調べて(誤差25p以内)「1歩75.9p」の結果を得た。
 6年で5%狭くなっている。認知症が進んでいるのだろうか。
 ともかく、本日から歩数計は「1歩76p」に設定する。
 ついでに、もっと長距離で調べてみることにする。
 昼前、重装備(帽子、サングラス、水筒携行)で淀川堤へ出かける。
 淀川堤にある距離標、「河口から9q」から「河口から10q」(毛馬)まで、炎天下の1qを歩くことにする。
 夏草や堤長うして家遠し
 
 結論からいえば、この実験は失敗であった。
 河川敷の水平の道をあるいたが、淀川に沿っているようで、結構ジグザグに歩いているようで、往復計測したが「1歩64.7p」で、河川の長さよりだいぶ長いとしか思えない。
 淀川堤路上の何ヶ所か赤いマークを発見、どうやら淀川マラソンの距離計測の跡らしい。
 次回はこれで調べてみることにしよう。
 帰館後シャワー。
 体重計を見るに、体脂肪率は20%をだいぶ割り込み、体年齢は41歳と若返っているではないか。
 禁酒もしてみるものだ。

※おれは、血圧、血液検査の結果、体脂肪など色々な計測値はこまめに記録し残している。
 これは健康管理というよりも、単なる好奇心、野次馬精神であろう。
 自分の生活と身体機能の相関を「見物」するのが面白いのであって、だから生活を改めようとかいう気持ちはほとんどない。
 ボンサラ時代もそうだった。
 「Plan→Do→See」まではやるが1サイクル後の「Action」はさっぱりだったものなあ。

7月8日(月) 通信系補正/殺人現場
 炎天、猛暑なり。
 久しぶりに歩いてヨドバシへ行く。
 おや、ヨドバシ東北の交差点がスクランブルに変わっている。
 
 ここは、よく利用する交差点で、競馬開催日は博打打ち諸君でごったがえすから、渡りにくい場所であった。
 ありがたいことである。
 グランフロントを含む「うめきた」再開発のなかで、最良の工事はこの交差点スクランブル化であろう。
 ヨドバシで、先日急に増えた通信チャンネルの整理を行う。
 モバイル・ルーターに替えてスマホのテザリング機能を使うことにしたため、付録にスマホが付いてきたようなもの。
 しかし、外出先でのネット接続に便利なので、従来の携帯を解約することに(おれ自身が契約に出向けなかった事情もあり、旧番号の継承はできない)。
 播州龍野用にデスクトップを(セブンがあるうちに)入れ替えるか迷うが、播州龍野行きの頻度は少なくなりそうなので見合わせ。
 某ドメイン名のひとつもやめることにする。
 通信固定費は極力削減するのである。
 ヨドバシのついでに、殺人現場を見物に行く。
 朝のニュースで、クルマで運ばれる秋元貴公の顔を見たからである。
 凶暴な目つきの男であった。
 堂山町の殺人ガールズバー「Ring」を見物に行くが……そうか、この通りは「パーク・アベニュー堂山」というのか。
 昼間のガールズバー密集地は殺風景なもの。
 
 Ringは夏の日ざかりを浴びてしんとしている。

7月9日(火) 穴蔵
 本日も炎天なり。
 朝7時過ぎ、穴蔵には東からの直射光が射し込み、地球の長い午後…じゃなかった、Hothouse状態となる。
 たちまち32℃を超える。
 2時間ほどエアコンを稼働させる。
 部屋への直射が終われば、あとは扇風機で十分である。
 終日穴蔵。
 
 昼間のベランダは34.5℃である。
 午後は寝そべって、柴田一成『太陽 大異変』(朝日新書)を読む。
 柴田先生のお話は9年前に宇宙作家クラブ・関西例会で聞いたことがある。
 この時、統計的予想として「スーパーフレア」(最大級の太陽フレアの1000倍)の可能性についても話題にされた。
 本書はその後9年間の成果を含む解説書。
 なによりも凄いのは、当時「理論的予想」だったスーパーフレアが「太陽型の星」で生じていることを宇宙望遠鏡「ケプラー」のデータから(柴田先生が指導する学生チームが)解明したことである。
 論文に、わが太陽でも千年に1度発生しうると書いたら、Nature誌のレフェリーから「そんな恐ろしいことを書いてはいけない」と削除を求められたとか。
 千年に1度の大震災を経験したわが国とのメンタリティの違いであろうか。
 それにしても、やっぱり暑い。
 太陽のせいだ。
 おれの望みは、秋元貴公の処刑の日に大勢の観衆が歓喜の叫びをあげることだけだ。

7月10日(水) 穴蔵/ウロウロ
 本日も炎天なり。
 朝からタイムマシン関係の打ち合わせで徒歩圏の某社へ出かける。
 あるデバイスを開発中で、わがマシンで性能評価を行うという。
 開発拠点は桐生市にある。
 行ってみたくなるなあ。
 30年ほど前から、東京都内のオフィスを除いて、関東一円に取引先(工場)はほとんどなくなっている。
 桐生・足利・八王子・青梅、それに最近富士山関係でよく見る富士吉田(織機が結構多かった)など、何度か行ったし、工場での泊まり込みが多かったが、面白い仕事であった……
 開発がうまく進めば、また機会もあろう。
 午後は本日も穴蔵にて雑事。
 昨日と同じ猛暑、気温は34.5℃である。
 たちまち夕刻。
 日が暮れると、風が少しあり、30℃だが、体感温度は涼しい。
  *
 暮れゆく北梅田を眺めつつノンアルコール……風流であるなあ。
 ラマダホテル(旧東洋ホテル)が年内で営業を終える。
 後の計画は発表されていないが、おそらくタワーマンションであろう。
 グランフロント以北はもうオフィス街にも商業施設にもなり得ない。
 あと10年でこの眺めも見納めであろう。
 ちょうど寿命かな。

7月11日(木) 穴蔵/『ほんじつ休ませて戴きます』
 本日も炎天なり。これで5日目かな。
 例によって朝2時間エアコンを稼働させるが、あとは扇風機。
 昼の気温、外は35℃になるが、室内は(窓を少し開けて風を通しておけば)31℃で、おれには快適である。
 終日穴蔵。
 SF関係の課題が数件あり、集中してやらねばいかんのだが……まあ、あせらずボチボチやろう。
 スマホの機能を色々試していたら、たちまち1、2時間ほど経過してしまう。
 歩きスマホはやらないし、TwitterもFacebookも参加の予定はないが、ワイヤレス・キーボードは試してみたくなる。
 たちまち夕刻。
 18:15〜NBSの関西報道番組「VOICE」に青空書房の坂本さん登場。
 90歳の坂本さん、自転車で出勤(100メートルほどだけど)、開店からの仕事ぶり、定休日「ほんじつ休ませて戴きます」ポスター作成の場面など。お元気でなによりである。
 そのポスターやエッセイをまとめた『ほんじつ休ませて戴きます』が出たので、その紹介も。
 
 おや、たまたま来ていたらしい「常連」京都のYさん(というよりも江坂遊『小さな物語のつくり方2』に傑作を寄せている「あとみっく」さんというべきか)も映る。
 青空書房……これだと定休日にポスターを見にくる客ばかりが増えるのではないかと心配になるなあ。
 2、3日中に行ってみることにしよう。
 そういえば、坂本さんと筒井康隆さんは、ずいぶん昔から親交がある。
 そのおふたりの近著。
  
 さかもとけんいち『ほんじつ休ませて戴きます』(主婦の友社)
 筒井康隆『偽文士日碌』(角川書店)
 『日碌』の帯に「奇跡の後期高齢者。」「蠱惑的日記文学。」とあるが、「後期高齢者」の「日記文学」ということではこの2冊は好一対ではないか。一種のシンクロニシティであろうか。
 ……そういえば、面白い本はたくさん読んでいるのだが、このところ、感想を書いてないなあ。
 明日から集中してアップすることにしよう。

7月12日(金) 穴蔵/ウロウロ
 本日も炎天なり。これで6日目かな。
 おれは単に事実を記述しているだけだが、「暑い暑い」と繰り返すテレビ報道の大仰さは何であろうか。
 大阪に限れば、今日の昼は33℃で、昨日に較べればずっと涼しい。ほとんどエアコン使用せずに過ごせた。
 報道は正確に(あるいは多様な表現で)願いたいものである。
 「暑い暑い」とステロタイプの言葉を聞かされるのは苦痛でしかない。
 「本当の暑さ」とは3年前の8〜9月の暑さをいうのであって、それを正確に記憶しているおれとしては、たとえばエレベーターで居住者から「暑いですね」と挨拶されても返事に困るのである。
 「あなた3年前の夏にも同じセリフをいわれましたね。あの時に較べてどうなんですか。ぼくの記憶では今日の方がずっと快適ですよ。汗もかいてませんし。同意を求められても賛成しかねます。まして暑さを何とかしてくれていわれても困りますよ。そもそも、気温は理事長の権限でどうこうできるものじゃないでしょ」……などと本音をいったら喧嘩になるかもしれんし。
 ちと被害妄想気味か。
 朝から集合住宅関係でややこしいことがあり、穴蔵で落ち着いてられなくなったからである。
 ったく、身勝手なやつが増えたことよ。
 午後、NULLの同人であったSさんから電話があり、阪急インターのラウンジで雑談。
 朝、たまたま小松左京マガジンの表紙が目に入って、睨まれているような気分になったからという。
 (同時に何か波動のようなものを覚えておれに連絡したというが、うーん、確かに先月後半だと会うのは不可能であった。むしろ3回忌が近いのであって、「波動」はそちらからではないか)
 SさんはA市在住(米朝師匠のお住まいに近い)だが、近年生活保護者が増え、某田美代子事件でイメージが低下、空気のいい箕面あたりに越したいと考えていたという。
 小松さんの墓が、その滝道に沿った瀧安寺霊園に作られたことも誘因材料になっているらしい。
 近いうち墓参に行こうかという話になるが、熱中症に注意が必要であろうなあ。

7月13日(土) ジョージ・ルイス・バースディ
 昼過ぎに地下鉄で心斎橋へ。
 マホガニーホールでジョージ・ルイス113歳のバースディ・パーティである。
 ODJC関係のルイス・ファンが集結。
 特別ゲストはつくば市からSPコレクター瀬谷徹さん。新宿アコギの会のメンバーで、4月にも来阪されている。
 本日はジョージ・ルイスのSP盤を聴く企画で解説を務めていただく。
 ルイスのSP盤と専用機器(プレイヤー、管球アンプ、スピーカーまで)が運び込まれている。たいへんな労力である。
  *
 瀬谷さんは膨大なSP盤(オーディオパークの監修もされている)をお持ちだが、ジョージ・ルイスだけのレコードコンサートは初めてだとか。
 会場にもトラッドジャズのコレクター諸氏は多いが、1940年代にルイスが吹き込んだSPを当時のままの音で聴くというのは初めてで、一様に驚いているような。
 おれはルイスに関しては、20数枚所有のLPをCD化して安物のコンポで聴く程度。そのおれが聴いても、雰囲気がまったく違うのに驚く。
 ふつうSP→LPと変わっていったと思われがちだが、50年前半は混在というか、LPが先に出て、その中からSP化される曲も多かったという。
 それらはLPを聴く装置を持てない黒人用だったとか。
 したがって、この時代になると、コレクター間でも、持ってる持ってないでややこしい議論になるらしい。
 この世界も奥が深い。
 
 おなじみケーキカット、それにピックアップメンバーによるライブも。
  *
 瀬谷徹さん(アコギタリストでもある)に河合良一さんと加藤平祐さんの2cl、村橋健さんのベース、加藤夫人のバイオリンという珍しい顔ぶれで「Shine」が聴けた。
 毎年のことながら、本日こんなことやってるのは世界中でここだけだろう。
 ルイスの誕生日来たりなばトレーンの命日遠からじ。

7月14日(日) 穴蔵/ウロウロ
 世間は3連休のど真ん中だが、意外に忙しいのであった。
 集合住宅関係……来週に予定している工事関係のことで各戸に配布された文書に不備あり、その「業者」は休みだから、こちらが修正資料を作らねばならぬ。
 ポスターを作って掲示する。面倒なことよ。
 朝からドタバタしたら一仕事終えた気分になり、何もする気がなくなる。
 久しぶりの「曇天」なので、昼前、専属料理人と梅田に出かけることにする。
 まったく無目的に歩くのはひと月ぶりであることに気づく。
 地下街を駅前ビルへ。
 CDショップ、チケットショップに寄る。
 昼はヒルトンプラザ地下の新喜楽で天ぷら定食。
 わ、「揚げ物」はひと月ぶりであることに気づく。
 デパ地下へ行く専属料理人と別れ、おれはヨドバシ〜紀伊国屋〜ジュンク堂の定番コースを歩いて帰る。
 ギョ。新御堂沿いビルの温度表示は36℃である(14:30)。明らかにおれの体感温度とちがう。
 
 そう暑くもなし。汗もかいてない。
 5分後に帰館、穴蔵のベランダは34℃である。
 (ちなみに夕刻の報道では大阪は34℃……どこかは知らんが)
 おれの記憶で2℃の差は初めてである。
 どうでもいいことが気になるのであった。
 本日は6,918歩。

7月15日(月) 穴蔵
 世間は3連休の最終日である。
 終日穴蔵。
 仕事する気分にならず。
 集合住宅の管理人は出勤日なので、昨日の「業者」不始末のフォロー。
 協力して必要な連絡先をリストアップ。電話等での連絡は管理人に依頼。
 【苦情があったので2行削除】
 あまり細かく関与すると個人情報に触れるので、ややこしいことである。
 午後は穴蔵にこもる。
 やらねばならぬ仕事あるものの気力わかず。いかんなあ。
 珍しくも「手紙」を2通書く。
 封書の宛名など含めて、1通1時間以上かかる。
 お年玉年賀ハガキの切手が残るはずである。
 午後……豊崎神社の祭りで、子供みこしが来て、穴蔵の東の空き地で休憩する。
 
 ボンクラ息子どもが太鼓を叩いていたのは遠い昔である。
 センチメンタルになるぜ。


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