HORI AKIRA JALINET

『マッドサイエンティストの手帳』278

●マッドサイエンティスト日記(2003年7月前半)


主な事件
 ・ルン吉くん live & well(1日)
 ・滝川雅弘、ベニー・グッドマン生誕95年記念ライブ(6日)
 ・森山威男カルテット、祇園祭ライブ(14日)
 ・グズラ大阪に現る(15日)

2003年

7月1日(火)
 9月19-20日に可児市文化創造センターでMORIYAMA JAZZ NIGHT2003がある。
 森山カルテットに加えて、海外からジョージ・ガゾーンとエイブラハム・バートン、それにベースの井上陽介も参加。今年は2日各2ステージ、4つのテーマが2日間で完結するという企画。
 これに【宿泊+バス送迎セットプラン】というのが付いていて、申込みが本日から。
 昨日処理できなかった銀行関係の雑用があるので、ついでにさっそく申し込む。
 あと80日か……。
 小雨のなか、他の雑務もあって梅田界隈を歩く。
 と、帰路、泉の広場の上、定位置にルン吉くんがいるではないか!
 off
 久しぶりであるなあ。5月9日に天四に寝ているのを見て以来、約50日ぶり。赤い防寒服は変わらず。蒸し暑そうだけどなあ。元気でいてくれて何よりである。
 午後は穴蔵。
 半年の区切りで、パソコンのデータはじめ、整理すべきデータが多い。
 【砲弾男逮捕】
 宅配便の爆発事件で、裾野市で不発弾を盗掘してネットで販売していた男が逮捕されている。10年ほど前からやっていたというが、この商売は古いよなあ。大阪のアパッチが短期間で壊滅したのとちがって、こちらは米軍演習地ができてからずっと続いているはず。おれが知ったのは1960年の東映映画『弾丸大将』を観てだもの、もう40年以上前だ。赤江行夫の『不発弾』を映画化したもので、群馬の米軍演習地を跋扈する弾丸泥の話。南広がいい味を出していた。もう一度観たい映画の一本だが、ビデオ化はされてないだろうなあ。この事件がきっかけでビデオ化されればうれしいけど。

7月2日
 早朝の電車で播州龍野のタイムマシン格納庫へ移動。
 来客あり、昼、近くにある「製麺会社直営」のアンテナショップで昼飯。
 ふだんは日替わり定食だが、季節限定「二刀流弁当」というのがあるので、それを頼む。連続ドラマ「武蔵」あやかり商品で、龍野は「修練の地」なのである。ドラマは見ていないけど。
 で、「二刀流弁当」は単に「そうめんとうどんの相盛り」なのであった。
 実家にも寄り、夕刻帰阪。

7月3日(木)
 終日穴蔵……のつもりであったが、どうしてもわからぬことが出てきて、地下鉄で西長堀の中央図書館へ。
 ついでに富樫雅彦やジミー竹内のCDなどを借りてくる。意外に入手しにくいCDが置いてある。
 午後はCDを聴きながら穴蔵。
 耳鳴りは月曜をピークとして治まってきた感じ。

7月4日(金)
 福岡の一家4人殺害に関してコンビニで15分ほど立ち読み。
 各誌というか、文芸春秋、新潮社、講談社、それぞれスタンスが違う。
 ・週刊文春……夫人側の親族、「衣料品の親族」が主犯と断定している(と読める)。
 ・週刊新潮……先週、亭主側の親族が主犯と断定(と読める)、動機は遺産相続としたのが、今週は大幅に後退。「衣料品の親族」が一番怪しく、しかし、他にも怪しいのが色々ある。バーベル買った「バンダナ男」の情報はデマ臭いとか、ともかく錯綜。ネタがとれないらしい。はっきりいって腰砕け。
 ・フライデー……短い記事ながら、双方その他に怪しいのがいると色々紹介。「衣料品の親族」のコメントもとっていて、これを読むと、いかに「俺ではない」と「他のネタ」をチクりまくったかまで読みとれる内容。地元記者の発言として「警察は主犯を特定していて、実行犯の割り出しと裏付けを急いでいる(らしい)」と、文春に近い線。前だとフォーカスがこんな書き方をしたはずだが。
 週刊新潮危うし、であるな。先週の記事は「衣料品の親族」の話を信じ込んでそのまま書いたってところじゃないのか。そら危ないで〜〜。昔のネチネチした取材力が相当低下しているようである。
 
7月5日(土)
 終日穴蔵。
 珍しくも、ちょっと必要もあって、終日、司馬遼太郎を読む。

7月6日(日)
 午後、近鉄で奈良へ。
 ホテル・アジール奈良で滝川雅弘さんのライブである。
 「ベニー・グッドマン生誕95年記念ライブ」
 滝川雅弘(cl),畑ひろし(g),八木隆幸(p),佐藤英宣(ds),宮野友(b)のクインテットに、スペシャル・ゲストとして鍋島直昶(Vib)さん。
 主催は青丹よしジャズフレンズというグループ。
 off
 百人ほど。こういう「同好会的なグループ」、わしゃ人見知りする方だから、初めて来ると席に困る。幸い、SUB常連の池田さんが「娘婿」といっしょにかぶりつきにいて、その横へ。なんと滝川さんの前1メートルの席になってしまった。
 グッドマン・ナンバーを中心になんと「3部構成」。さらに飛び入りでELIJAH LEVIが3曲歌う。さらに、休憩時間に長いくどいMCと「テーマ曲」の歌唱指導など入る。これだから雑談タイムがなくなって演奏中にお年寄りとオバハン連の私語が多くなる。
 高齢化社会になると、こういう同好会的ライブは増えるのだろうが、しゃべりがくどくなる傾向は自戒しなきゃいかんなあ。
 グッドマン・ナンバーもむろんいいが、それぞれのフューチャー曲が素晴らしい。
 滝川さんの「メモリーズ・オブ・ユー」は当然として、鍋島直昶さんの「夢見る頃を過ぎても」が泣かせるし、八木隆幸さんが「A列車」をブギウギで弾いたのも面白い。
 何より聴きほれたのが畑ひろしの「Body and Soul」。
 畑ひろしは実は初めて聴く。昨年の中山正治ジャズ大賞受賞者、来月には東京TUCで谷口英治とのセッション予定。情感といいスイング感といいシャレっ気といいクラとの相性といい、すごくいい。東京へも行きたくなるなあ。
 最後の方で、クラなら避けて通れぬ「鈴懸の経」……まあ、この年代が揃えば「鈴懸の経」は避けては通れないだろうけど、なんとカラオケ……じゃなかった実力派ミュージシャンをバックに主催者のアマチュア・デュオ。ははは。ちょっと脱力笑い。まいりましたね。
 最後に鍋島さん作曲(9.11で仕事に窮したNYジャズメン支援にやったライブの曲)の「メモリーズ・オブ・ニューヨーク」(もとの題は9.11ブルース)、曲想も演奏もすごくモダンな感覚で、米朝師匠と同年とは信じられない若々しさであった。
 駅近くの商店街で奈良漬けを買う。
 夜は奈良漬けで冷酒を飲むのであった。

7月7日(月)
 月曜日で多少雑用があるのであった。
 午前中、市内をウロウロするのであった。
 午後は穴蔵に籠もるのであった。
 たいして仕事はしないのであった。

7月8日(火)
 午前中市内ウロウロ、午後は穴蔵。雑読日である。
 阪神が広島に圧勝してマジック49が点灯というが、巨人がヤクルトに延長サヨナラ負け、こちらの方が嬉しい。が、まだ2位というのが気に入らない。最下位までの逆マジックはないのか。横浜に点灯しているのかな? 巨人には最下位争いに参加してほしいものだ。

7月9日(水)
 朝刊に、長崎の幼児殺しで中学1年生を「補導」というニュース。
 このニュースとは関係なく、朝から電話とFAXが錯綜、播州龍野のタイムマシン格納庫行きの予定を大阪市内での打ち合わせに変更、午前中は穴蔵でニュースのサーフィン。
 ややこしい日である。
 夕刻、かんべむさし氏来穴蔵。バカ話1時間で少し気分が晴れる。
 巨人がサヨナラ負けでますます楽しくなるが、阪神までサヨナラ負けをつき合うことはなかろう。

7月10日(木)
 阪急石橋の印刷会社へ。
 ボンクラ・サラリーマン時代から20年以上のつき合い。
 セイコープロセスという極めて良心的な会社なのでよろしく。……ソリトンもここでお願いしているのだが、本日は別件。
 久しぶりに石橋界隈を歩く。ここにも讃岐うどんの店が増えている。
 「こんぴら」という店で昼食。なかなかのものであった。
 夜、一部でちょっと話題になった『愛するためになんとやら』というテレビドラマを見る。
 なんじゃい、これは。
 ……これ、伏線らしき黒木瞳場面の思わせぶりな映像から思うに、宇宙ものに見せてマトリックスなのか? 黒木以外の役者がセリフ棒読みのデクノボー演技なのがそれでなければ納得できない。いずれにしてもセリフがあまりにも観念的。宇宙飛行士訓練生にトレンディドラマやらしてどうなるのよ。……最後の方の「あなたにとって宇宙とはなんですか」というセリフには笑ってしまった。逆の質問をした方がリアリティがあるぜ。「宇宙にとってあなたとは何ですか」「ゴミです」なんてね。
 ま、つづきを見ることはないけど。

7月11日(金)
 日の出の時刻が少しずつ遅くなっているのが実感できる。朝5時半ではまだ外光で新聞が読みにくい。1日1分の変化が毎日わかる。……もう秋が近いんだなあ。
 雑件が多い日である。
 昼、自転車で梅田を通りかかると、ルン吉くん、堂山町交差点近くの「車道」で思索に耽っている。
 7月1日には歩道であったが、車道進出か。
 off
 何を考察しているのであろうか。
 上田文世『笑わせてわらわせて 桂枝雀』(淡交社)を読む。よく取材してあるが無難にして淡泊。
 夜、ビール飲みながら阪神と読売の試合中継を見る。1-14のボロ負け。ともかく痛快。敗戦処理に出てきた河原が容赦なく打たれるに至ってはもう感動的である。
 ともかく河原の暗さが堪らない。おれは大ファンである。
 梅田はアホの大騒ぎであろうか。

7月12日(土)
 午後、久しぶりに地下鉄で恵比須町へ。ここから部品屋、ジャンク屋、パソコン・ショップなどを回る。ビックカメラとヨドバシの影響で閑散と伝えられているが、昔から行ってた店は全部健在である。
 ディスクピアでデフランコのヴァーブ時代の復刻CD化を1枚。
 ソニー・クラークが参加している時期の『PRETTY MOOD』(UCCV-9046)
 そのまま歩いて千日前のミナミのレコードショップ兼カフェ「Musicraft」(難波千日前6-5 音楽ビル2階 06-4396-2027)へ。
 トラッド中心にLPが多く、デフランコも数枚ある。迷うなあ。が、今からLPの蒐集はちょっとつらい。
 ここでODJC事務局長・口羽、マホガニーホール・ストンパーズのコルネット高居(ピンカラ)、ODJCの高井(うわばみ)の3氏とODJC・HP開設の打ち合わせ。近い将来的には「うわばみ」氏が管理人をやることになりそうである。うわばみ氏はパソコンを増やしてリナックス検討中というから頼もしい。
 17時過ぎまで。
 off
 ピンカラ氏は和歌山からバイクである。
 バイクだから飲めないピンカラといったん別れて、残り3人は地下鉄で梅田・新梅田食堂街の「春駒」へ移動。土曜日なので比較的ネタが残っている日であった。
 少しビールを飲みだしたところで、早くも9点入れられて読売がボロ負けの気配。
 午後8時前にサントリー5へ移動。
 ニューオリンズ・ラスカルズの出演日、甲子園の熱狂に関係なく満員の盛況である。
 ピンカラもゲスト出演。
 ドイツからの客あり、そのピアノも1曲披露。
 off off
 途中で14-0でっせという声も聞こえてくる。
 河原が出ているのなら見たいが。
 結局最終ステージまで。

7月13日(日)
 雨、終日本降りである。
 終日雨読なのであった。
 笠原和夫『映画はやくざなり』を読む。やっぱり凄い。

7月14日(月)
 夕刻に近い午後、特急で京都へ。
 河原町。風が涼しい。祇園祭のお囃子が流れてくるが、まだ宵々々山とかで、そう人出は多くない。
 ぶらぶら歩いてRAGへ午後6時少し前に到着。と、1階で森山威男さんとばったり。セッティングが終わって、これから食事ということらしい。つき合いたいが、こちらは席を確保するのが先だからなあ。
 森山掲示板でお馴染みのnamoさん、それにチケット確保してくれた京都の山下さんと合流、中程のテーブルを確保。音響的にはいちばんいい場所である。
 ちなみにnamoさん(下の写真中央)は北海道・登別市からの参加。ついこないだは岐阜に出現し、昨日は岩見沢で山下洋輔を聴いていたという、神出鬼没の人である。飛行機の格安チケットに関してはジャズ関係でいちばん詳しいという説もある。
 知り合いちらほら。ドラマー氏はかぶりつきにいる。
 田中信正(p)望月英明(b)音川英二(ts,ss)森山威男(ds)
 off off
 1stステージはコルトレーン・ナンバー中心。
 ・Giant Steps
 ・Afro Blue ……この曲だけソプラノ
 ・I Want To Talk About You
 ・Mr.PC
 森山「最近やっぱりコルトレーンはいいなあと思いだして、2週間前にはじめて本格的に聴きました」……ホンマかいな。
 2ndステージはおなじみの曲。
 ・Sound River
 ・Gratitude
 ・Sunrise
 ・Hush-a-bye
 ・Good bye
 ……Good byeが演奏されたら、だいたいみんな納得・満足なのだが、本日は拍手の中、田中信正さんと森山さんが再登場。
 近々ソロアルバムの出る信正さんに森山さんが「せっかくだからソロを1曲やれ」といったところ「首がちぎれそうなほど横に振るものだから」と御大もいっしょに登場となったのである。デュオで、
 ・Danny Boy
 終演22時頃。
 しばらくビール。会場に戻ってきた森山さんたちにちょっと挨拶をして、歩いて河原町へ。
 もう少し飲んでいたかったが、京都→大阪方向は意外に終電が早いのである。
 夜風が涼しく、いい気分であった。

7月15日(火)
 夕方まで穴蔵。
 少しは仕事もするのであった。しかも、ひょっとしたらということがあるので、朝からがんばって昼過ぎに片づける。やればできるじゃないか。
 が、特別のこともなく、午後は雑読。
 夕食時、ビールを飲む。
 ホロ酔いで穴蔵に戻ったら電話。
 望月「グズラ」英明さんからである。
 昨夜「明日、大阪へ行くかもしれない」ということだったので、わしゃ昼過ぎに仕事を片づけていたのである。
 わが名刺を忘れて、夕刻からあちこちに訊きまくり、東京方面経由でやっとわかったということらしい。
 午後9時過ぎに谷九のSUBで合流。
 滝川雅弘カルテットの月例ライブの日であり、2ステージ目に間に合う。
 本日のベースは中村尚美さん。
 ベテラン・ヘーシストの出現にちょっとびっくりのようである。……滝川さんが「一曲どうですか」と声をかけたが、グズラさん、午後2時頃から飲んでいたそうで本日の演奏はなし。
 終演後、しばらく雑談。
 off
 本日のドラムはいつもの佐藤さんじゃなくて、ごめん、名前失念の若手(写真左)がトラであったが「森山さんに憧れてドラムを叩きだした」というから、演奏なしはちょっと残念だったかもしれない。
 あとグズラさんとさぬきやへ移動。
 わが紹介ページを見て一度来てみたかったという。
 ここで、おでんを食べながら、グズラさんは日本酒冷や、わしゃ焼酎湯割り。
 off
 何をしゃべったか……ほとんど覚えていないなあ。
 うどんで仕上げたのが午前1時頃であった……はずである。
 明日は(もう今日か)タイムマシン格納庫行きのはずなのだが……。


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