『マッドサイエンティストの手帳』189

●滝川雅弘×谷口英治　２cl２days

谷口英治さんが久しぶりに来阪、大阪の誇るデフランコ派の滝川雅弘さんと、２日に渡って白熱の２クラ・セッションを繰り広げた。

　谷口英治さんが、滝川雅弘さんのコンサートにスペシャル・ゲストとして参加することになった。メインは３月２日、門真ルミエールホールでの滝川雅弘カルテット・コンサートへのゲスト出演。……が、前夜のライブといい、当日のコンサートといい、実質的には「２クラ・セッション」。モダン・クラでは今や東西の両雄といっていいふたりが、２日に渡って吹きまくった。いやあ、もうこれは至福の２日間でありました。

３月１日（木）
　前夜祭というか肩慣らしというか、門真でのコンサート前夜、谷九のＳＵＢで滝川雅弘４＋谷口英治のライブが開かれることになった。谷口英治公式ホームページの掲示板に案内があっただけで、ほとんどクチコミで集まった感じ。なにしろ、この店、西っしゃん経営で古くて狭くて汚いライブハウス、客は２０人くらいしか入れない。よく３０年以上続いてきたものだと不思議でならない店なのである。
　
　店の奥がステージ。客はカウンターと狭いテーブル４つくらい。しかし、その分、密度も高く、もうなんの遠慮もない（ジャズで「遠慮」はおかしいけど、翌日のコンサートでは、あまりうまくもない女性ヴォーカルという夾雑物が入ったからねえ）徹底したジャズライブになった。
　20:30開演。のっけから「Midgets」というハイテンポの曲で、後半、ふたりが猛烈なバトルを展開、この一曲だけでもう圧倒されてしまった。
　客席も「身内」ばかりの雰囲気。わしゃ同じく谷口ファンの専属料理人それに北野勇作さんといっしょであったが、隣の席にネットで知り合いのゆかりんさんグループ、その向こうに滝川さんのＣＤのライナーを書かれた、ジャズクラ研究の第一人者・平井常哉氏の顔も見える。
　 　2ステージ目、近くに事務所のある吉川裕之さんもクラを持ってきた。
　吉川さんが「バーガンディ・ストリート・ブルース」を吹いて、これが本日はじめてのブルース。ちょっと雰囲気が変わった。……よく考えると、これは1996年に西宮で開かれた「クラリネット・サミット」と同じ顔ぶれである。谷口英治さんを初めて聴いたのがこの時であったのだ……。翌年の「クラリネット・サミット」もこのメンバーが中心。もう５年になるのかと感慨無量である。
　クラリネット・サミットふたたび……しかし、本日は23時過ぎまで、モダン・クラに徹底した夜であった。

３月２日（金）
　この日は東京で日本ＳＦ大賞の受賞式がある日である。無理すれば行けないではなかったが、日帰りが辛い（金曜夜のくだりは特に混み合う）のと、やはり２クラ・コンサートが気になって、ＳＦよりジャズを選んでしまった。
　夕刻、京阪古川橋の門真市民文化会館・ルミエールホールへ。
　前夜が白熱のジャズ・ライブなら本日はややフォーマルなコンサート。といっても、第一部が前夜と同じ編成の２クラ・セッションで、
　But not for me
　2B♭ Amigos
　Memories of you
　Capriccio
　Anthoropology
　デンマン、デフランコ、グッドマン、デンマン、パーカーの順で、加熱しすぎないように配慮してある。
　メンバーは、滝川雅弘(cl)　八木隆幸(p)　山口裕之(b)　佐藤英宣(ds)　＋谷口英治(cl)。
　
　第二部では、「女性ヴォーカル」３人が登場して２曲ずつ、３人でブルース１曲……まあ、門真市文化振興事業団の主催ということで、口当たりのいい演出も必要なのかな。ただ、改めて感想を書きたいとも思わぬレベルのものであった。ゴメン。歌伴のうまさのみ聴いておりました。
　最後に２クラで「Midgets」！　前夜のっけの演奏がこの日のラストナンバーであったのだ。
　アンコールにＡ列車、終演21時過ぎ。
　会場にNam-laboの南方慶照さんと「研究員」の尾田純人さん。昨夜のゆかりんさんや平井常哉さんなど、やっぱり皆さん来ている。
　帰路、平井常哉さんに色々話を伺う。滝川＊谷口２クラ・セッションは、今回初めて聴いたのだが（北村英治さんなどとの３クラ、４クラはある）、最初は95年、新宿の「Ｊ」で、平井さんは仕掛人でもあったらしい。その他、京橋まで20分ほどであったが、クラに限らず、戦後のジャズ事情に関して恐ろしく密度の高い話を聞く。なんとか集成していただきたいものだ。
　南方さん、尾田さんと京橋で下車。
　近所の居酒屋でほとぼりを覚ます。
　
　23時に散会。居酒屋を出たところで記念撮影。シャッターは通りかかった金型製作専門家の横田さん。ありがとうございました。

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