『マッドサイエンティストの手帳』40
●クラリネット・サミット(9月28日)
谷口英治はまちがいなく21世紀のジャズ・クラリネットの中核になる!
9月28日の夜、大阪の「ニューサントリー5」で「クラリネット・サミット」というコンサートが開かれた。
サウスサイド・バンドのリーダー、吉川裕之のプロデュースで、2回目。前回、はじめて谷口英治を聴いて、その音色とテクニックそしてグッドマンからエリントン・ナンバーまでこなすフレッシュな感覚に感嘆した。
今回5人のクラが結集。
吉川裕之はもうプロ30年のベテラン。ブルースを吹けば日本一であろう。
岩田直樹氏はクラシック畑で活躍されているというが、クリアで軽快な演奏。インディアナが素晴らしかった。
坂井原正光氏は長身でハンサム、若々しい演奏で「将来性は一番」という全員の意見。サントリー5で時々吹いている。
滝川雅弘氏は浪速のストリートにこの男ありと知られるミュージシャン。れっきとしたプロでありながら、梅田・阪急デパート東側の路上で抜群にうまいトリオを聴かれた方は大阪には多いはずだ。
そして谷口英治……。吉川は谷口英治を「クラリネットを吹くために生まれてきた男」であり「天才」であると評する。同感である。30年の経歴をもつ吉川が、本当に谷口ファンで、谷口の演奏中、その指遣いにまで見とれているところに感激した。大阪のクラリネット・ファンのために谷口英治を紹介したいために、吉川が企画したとしか思えないのである。谷口英治はまだ30歳前。……北村英治さんも元気だし、石川順三(デキシーキングスの初代のクラ)もコンサートをやるとかいう。コンデさんも元気。しかし、あと20年(ほくの寿命)聴けるかとなると、ちょっと不安である。しかし、谷口英治がいる限り、ぼくは一生ナマのクラリネットには不自由しないだろう。
谷口英治は間違いなく来世紀のジャズ・クラリネットの中核になる。
追っかけるぞ。
いい夜であった。クラ5本が並んでフライングホームを吹きまくるのは壮観でありました。
写真は左から、谷口英治、坂井原正光、岩田直樹、吉川裕之、滝川雅弘の各氏。
谷口英治氏のホームページがあり、コンサート情報もわかる。CDの存在も知ってさっそく取り寄せた。むろん素晴らしい出来映えだが、現実の谷口英治はさらに進んでいる。
もっともいきのいい演奏は97年11月22日21時から、NHK−FMの「セッション97」で聴けるはずだ。
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