『マッドサイエンティストの手帳』829
●マッドサイエンティスト日記(2024年5月後半)
主な事件
・KLL例会(17日)
5月16日(木) 穴蔵
天候不安定な日であった。
朝、直射光が差し込み、明るい室内で本を読んでいたら、7時50分に急に暗雲が立ち込め、突然篠突く雨、5分でやむ。
公園横を出勤中の諸君、雨宿りする場所もなく、走るしかないような。
あとは曇、午後は晴れるが……出歩く気分になれず、終日穴蔵。
・「アホの坂田」(昨年末)につづいてキダ・タロー氏の訃報。14日。93歳。やはり老衰か。
作品がこれだけ人口に膾炙している作曲家は他にいないだろうな。
夕刻(18時半)、気がつけば東の空に虹がかかっている。
*
雨が降ったとは思えない(地面も濡れていない)のだが。
豊崎4丁目(東側)に通り雨、中津(西側)は晴れ、ここが境界で、こうなったのか。
キツネの嫁入りでキツネにつままれたような気分だ。
5月17日(金) KLL例会
晴。いい季節になった。
昼前に出て兵庫県(三宮)へ越境する。
旧居留地エリアをちょっと歩く。
*
本格的に調べたい(大阪の川口居留地跡との比較/えらい違いなのである)のだが、見て歩くだけても半日はかかりそうな。
東遊園地では消防音楽隊諸君が演奏中であった。
午後、神戸文芸ラボ(KLL)の例会に出席。
「問題エッセイ」1篇。
水原一平の事件報道についてのテレビ報道批判というか、一種のマスコミ論だが、同様の被害(スケールは違うが)を受けた知人の例と比較して論じられる。この「身近で起こった事件」が面白いのだが、詳述するわけにはいかないだろう。これこそ小説にすべき題材と思う。
詳しくは紹介できないが、「大恩人と信じてきた人物が、実はそうではなく、判明した時には、その人物は自分の義父であった……大恩人の娘を妻にして、家族関係は良好であった」という、ややこしい話である。
わたくしのコメントは、これは「水原一平事件」ではなく「宝島殺人事件」と比較した方が絶対に面白い、ということだが、これも詳しくは書けない。そもそも本稿執筆時点で、宝島事件は起きていなかったのだし。
近い将来の事件小説化に期待である。
KLL会誌発行の打ち合わせ。Iさんの奮闘で大きく進展、来月にはかたちになりそうな。
5月18日(土) 穴蔵
晴。室温は終日25℃くらい。初夏なのであろう。
終日穴蔵。
午後、専任料理人と天八のスーパー往復、重量物(主にアルコール系飲料)のポーターを務める。
土曜の外出はこればっかりになったような。
・「つばさの党」の3人逮捕。黒川敦彦が踊りながら移送されたが、虚勢をどこまで貫けるか。
ガーシーみたいに腰砕けとなるか、要注目だ。
色々なアホが出てくるから、娯楽にはこと欠かないな。
・大相撲夏場所。霧島休場。これも引退か。残りは2個。頑張るなよ。
たちまち夕刻。
専任料理人が枝豆、ヤッコ、カレイのソテー、貝柱のカルパッチョ、サラダなど洋風寄りのメニューを並べた。
*
これらでビール、ワイン少しばかり。
パキートを流しながら。キューバン・サウンドを聴いていると元気が出てくる。
ちなみにCDは『Spice It Up!』。
5月19日(日) 穴蔵
曇天、10時頃には雨になった。
終日穴蔵。
出歩くことなく、机とベッドの往復(少し机、大部分はベッド)で過ごす。
起きてからまったく着替えなくて済むのがありがたい。
……じつは、先日から戦後史関係の資料を読み出したらやめらなくなり(すべて再読/本を片づけようとしてこうなった)、やっと60年安保を過ぎて、高度成長期入り。NULLに入会した頃まで来た。しばらくこんな状態が続きそうな。
終活のつもりで始めたことが……困ったことよ。
5月20日(月) 穴蔵/らくだの日
定刻朝4時に起床。雨はやんだような。
・5時からBS-TBS「落語研究会」で五街道雲助『らくだ』を(5月12日早朝の南光師匠の「らくだ」に引き続き)見る。
雲助という噺家は初めて見るが、名前負けしたような善人面である。江戸版「らくだ」も初めて。
上方とは細部がずいぶん違う。ノーテンの熊が浪人者(侍)みたいな印象だし、屑屋の酒の飲み方がずいぶん違う。酒ばかりで、肴には手を出さない(したがって箸使いの変化が演じられない)。剃刀を借りに行かない(したがってらくだの頭を湿らすために口に含んだ酒を飲んでしまう名場面もない)。ともかく屑屋の変化がぜんぜん面白くない。江戸版がもともとこうかのか、省略してこうなったのかは不明。
いずれにしても、早朝から見るものではないな。
・午後、早朝の口直しに、DVDで桂米朝『らくだ』を見る。やはり桁違いの面白さ。
しかし、昼間から見るものではないなあ。
本日はらくだ疲れ。一杯飲んで早寝。
5月21日(火) 穴蔵/続らくだの日
定刻4時に起床。晴。5時過ぎには直射光が入る。着替える必要もなく、快適な日である。
午前、気になって昨日の「らくだ」のつづき。
YouTubeで笑福亭松鶴『らくだ』を見る。
熊五郎を「地で演っている」としか見えず、桶を運ぶ経路も詳しく、最後の乞食坊主が焼ける横で隠亡が酒を飲むところまで完全収録。やはりこれが「決定版」であろう。
しかし、朝から見るものではないな。
YouTubeでは東京の名人の「らくだ」も色々見られるようで、東西の細部の比較もできそうだが、もう終わりにする。他のことが何もできなくなってしまうからなあ。
終日穴蔵。
色々資料を読んで過ごす。
たちまち夕刻。一杯飲んで早寝。
5月22日(水) 穴蔵/市立図書館
晴。暖かく、ありがたい季節になった。
朝、近所の某医院へ。定期健診。諸数値は極めて正常であった。
午前、地下鉄で西長堀の中央図書館へ出向く。あるはずの資料が見つからず、こちらか龍野の書庫かも不明。図書館利用がいちばん便利というのも困ったものだ。
地下鉄(特に難波ホーム)、バカでかいキャリーケースを引きずるインバウンドが大量発生。歩きにくい……というより、身の危険を感じるほど。困ったものだ。
図書館は空いていて快適であった。
久しぶりに大正区を歩いてみたかったが、面倒になり、まっすぐ帰館。
午後は穴蔵にこもる。
5月23日(木) 穴蔵/通常集会
曇のち晴。暖。
終日穴蔵。何もせず。
夜、集合住宅の通常集会。昨年ほどややこしい事案はなかったが、理事に頼りないのが多いのは確か。
それなら「お前やれ!」((C)福笑)といわれても困るのだが。
コロナ禍の副作用が尾を引いているのであろう。
遅めの晩酌。ちと悪酔い。
5月24日(金) 穴蔵
晴。暖。昼間は室温・外気ともに25〜27℃で推移。
快適で終日穴蔵、何もせず。
……ではいかんので、昨夜の案件、集合住宅関係の調査を行う。
竣工図面のPDF化(これはわたくしが10年前にやった)データがあるのだが、誰も覚えていない。
2時間ほど図面を調べ、現状確認のため、午後、周辺を一周。
問題のポイントはわかったが、あまり関わらない方が賢明であることも理解できた。
意見書をまとめて理事会にお任せとする。
ウチとは関係ないのだが、市営廃墟の東側の老朽アパートにシートが被せられている。
*
野々村竜太郎の生家とは市道を挟んで向かい側にある。
面白いことが色々あった所だが、ここも取り壊しか。寂しいことである。
5月25日(土) 穴蔵
晴。暖。昼間は室温・外気ともに26〜27℃で推移。
終日穴蔵、何もせず。
……ではなく、この2週間ほど、本を片づけようと試みて、出てきた本の再読ばかりで過ごしているのである。
やっと70年まで来て、万博もハイジャックも簡単に通過するが、案の定、11月25日で停滞してしまった。
半世紀過ぎたあたりで、もうわからんのだからいいと区切りをつけたはずなのに、困ったことだ。
5,6冊拾い読みして、やっぱりよくわからんまま1日が過ぎる。
本の整理はまるで進まず。嗚呼。
専任料理人に色々並べてもらって晩酌。
*
メインは久しぶりにパエリア。ワイン少しばかりグビグビ。
お楽しみはこれだけだ。
5月26日(日) 穴蔵
晴。ほぼ終日穴蔵。
雑多な本の「整理読み」で1日が過ぎる。ぜんぜん片づかないけど。
外出は重量物(主に発泡性飲料)のポーター役で天八往復のみ。
・大相撲夏場所の千秋楽。テレビで最後の30分ほどを見る。
上位5個全滅(休場/引退)を期待していたのだが、大関2個が千秋楽まで残った。面白くねえな。
大の里が阿炎を撃破して優勝、これがせめてもの救いであった。
ところで……阿炎を「アビ」と呼んでいる。ふだんは新聞の相撲欄の流し読みだから、てっきり「アエン」だと思っていた。阿鼻叫喚と間違えたのではないか。
休場しているが尊富士という取的、「ミコトフジ」と思ってたら「タケルフジ」と呼ぶらしい。これはヤマトタケルと勘違いしたのではないか? 武富士ならわかるが、サラ金と紛らわしいのでやめたのか。
四股名もキラキラネームと同じで、どう読もうと勝手という理屈なのか? しかし一応国技のはず。文部省、なんともいわないのかねえ。
そういえば昔、闘牙という取的がいた。当然「トウガ」と読んでいたが「トウキ」であった。これが誤読の初めであったか。
阿炎も尊富士もさっさと引退するように。来場所に期待。
5月27日(月) 穴蔵
午前3時に目覚め、ゴミ出し。エサ場周辺にトラがうろちょろ(見間違いでなければ3匹)している。エサにはありついたらしい。
雨が降り出し、市営廃墟内の雨がしのげる場所へ散っていった模様。
1時間ほど机に向かい、雑事処理。
4時から2時間ほど「朝の定例儀式」。あとは寝たり読んだり。
終日穴蔵。天気不安定。
近所の老朽アパートの解体工事現場を見物に行くと、早くも屋根が消えている。
現場隅の紫陽花も多分切り倒されるのであろう。
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野々村竜太郎の生家前の花も消えゆくのであった。
・「波」6月号。筒井さんの休載が寂しい。
川本三郎「荷風の昭和」、尾張屋のトイレでの転倒事件に触れているが、淡白な扱い。同年3月1日のアリゾナの出来事と「相前後している」と、日時は特定されていない。
そろそろ大詰めなのであろうか。
5月28日(火) 穴蔵
3時(未明)に目覚める。小雨。一応浅田飴だ。
終日雨が降り続く。大雨の予報だが、大阪市内はふつう。午後に「本降り」程度である。
終日穴蔵。
・早朝、北朝鮮の衛星打ち上げロケット(弾道ミサイル)失敗のニュース。
深夜に打ち上げたが、1分40秒に爆発。派手な花火を打ち上げてくれるぜ。
あと2回失敗して開発担当処刑となるか。楽しみといえば楽しみだが、気の毒でもある。
・全国的にあちこちで大雨洪水警報。近畿では姫新線が終日運転取りやめ。姫新線だけとは珍しい。
揖保川のライブカメラを見るが、たいしたことなし。
佐用(千種川)は時々氾濫するが、播磨新宮〜姫路間も運休ということは、夢前川が危ないのか。不明のまま。
・木造人工衛星「リグノサット」完成のニュース。へえっ。
真空中に木材ということでは、学生時代に苦い経験がある。
卒論の実験で、衝撃波管の内径を変化させるために材木を使おうとした(安いのと加工が容易だから)。ところが管内を真空にしていくとサイズが大きく変化して大失敗。木材内部の空気が抜けることによる変形だった。
(今から考えると、テーマを「真空中における木材の形状変化について」に変更してもよかったのだが……文献調査も間に合わなかっただろうな。材料工学科でも木材研究はやってなかったようだし。)
この時から「木造宇宙船」なんてファンタジーでも使えないなと思っていた。
あれから半世紀以上たって、京大と住友林業が人工衛星で実用化しようとしている。
リリースを見ると、「ISSで約10ヶ月間の宇宙空間曝露実験」「木材の割れ、反り、剥がれなどはなく」「劣化は極めて軽微」で「優れた耐久性」が確認されたという。
たいしたものだ。
5月29日(水) 穴蔵
晴。穴蔵生活が続いて、この数日、睡眠がまたも不規則モードに陥った。
歩かねばならぬ。
午前、豊崎郵便局へ出向いたついでに、東南エリア(天六〜天五〜扇町公園〜中崎町〜豊崎)を一周する。
あちこちに新店オープン。とうぜん閉店する店も多い。
近所に昨年7月にオープンのトンカツ屋、1年も持たなかったようである。
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店名が悪かったな。開店記念で「本日は無料」かと勘違いするものな。
気の毒だが……新規まき直しを祈る。
8000歩を超えた。
5月30日(木) 穴蔵
晴。普通に4時起き、午前は資料を読んで過ごす。
午後は薄曇。本日も歩くことにする。
ジュンク堂に寄った後、南西エリア(ヨドバシ〜グラフロ〜うめきた2期地区〜スカイビル〜阪急中津〜豊崎)を一周するる
スカイビル周辺の渓谷の緑、田植えの終った里山がなかなか(播州龍野の方がいいと思うが、来週だな)。
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ちょっとしんどかったけど7500歩(外出時携行する歩数計のカウント数/本HPの記載はすべてそう)歩いた。
ゴミ出しや室内・廊下。階段などをウロウロする歩数を加えると、1万歩は超えたであろう。
たちまち夕刻。
晩酌。枝豆、ヤッコ、揚げ物、鶏肉シチュー、サラダなどが並ぶ。
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ビール、ワインだらだら飲み。50年代のジョージ・ルイスを聴きつつ。
お楽しみはこれだけだ。
5月31日(金) 穴蔵/西長堀〜大正
曇。体感的には肌寒く、陰鬱な日かと思ったら……
・朝のニュース。
「不倫口止め料」裁判でトランプに有罪の評決! 久々に明るいニュースである。
これから半年ほど、楽しませてくれそうな。
宇野宗佑もこれくらい開き直ってみせればよかったのに。
……トランプ以外、無理か。ふつう、人間は「恥」を知っているからなあ。
通勤ラッシュの終った9時頃に出て、地下鉄で西長堀の市立図書館へ。
3階の大阪コーナーであれこれ。空いていて快適であった。
昼過ぎに出て西へ。木津川の右岸歩道を歩いて大正橋まで。
*
運河は濁っていた。
ここから川面を眺めると考えること多し。大ガス関係とか、歌やんのこととか……以下略。
ひさしぶりに、大正駅近くの「いちゃりば」で沖縄ソバを食す。
あと三軒家あたり(大大阪時代の産業遺跡)をウロウロしたかったが、小雨が降り出した。
地下鉄で帰館。
あとは穴蔵にこもる。
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