『マッドサイエンティストの手帳』671

●マッドサイエンティスト日記(2018年1月前半)


主な事件
 ・播州龍野いたりきたり
 ・風呂本佳苗ピアノリサイタル@西宮(5日)
 ・New Year Jazz Party 2018(7日)
 ・堀川戎(9日)
 ・シンギュラリティサロン(14日)


1月1日(月) 元日
 午前4時、目覚めれば新年であった。
 エアコンを稼働させ、きちんと机に向かう。本日が仕事始め。SF関係ではないが、事務的業務を行う。
 8時半に朝祝い。
  *
 標準的オセチ(大半が専属料理人の手作り/「切って並べるだけ」も多いけど/数の子など塩抜きが過ぎたかもとかいっておる)でちょっと一杯。4時間ほど仕事したのだから、いいであろう。
 雑煮(餅ひとつ)もいただく。4人で2/3ほどが片づいた。オセチはこれくらいのペースで消費するのがいいのである。
 あとは朝寝。
 昼はうどんを食す。郎党は初詣で天満方面へ行ったような。
 午後はDVDで米朝『天狗裁き』『京の茶漬け』吉朝『蛸芝居』『高津の富』を見る。
 これぞ正月。
 夕刻から一族で鍋。ビール。雑炊でワインを少しばかり。
 早寝するのである。
 今年はこのパターン(早朝から仕事/午後道楽/夜晩酌)で行くか。

1月2日(火) 穴蔵/ウロウロ
 午前5時に起床、ひとり朝食、4時間ほどPCに向かう。
 仕事というよりも、PC内データの整理だけど。外付HDからDVDにファイルを整理して移す。Windows7機、あと1年は生き延びてほしいものである。
 昼はオセチで軽くビール。
 駅伝の山登りを1時間ほど見る。新「山の神」が出たのか出ないのか、よくわからん。
 運動不足なので、土産物を買うというボンクラ息子その1たちと梅田うろうろ。
 福袋諸君で混み合っている。
 人疲れするので、単独行に切替え、うめきた2期地区の定点観測。
  *
 前回から40日ほどで、あまり変わっていない。
 2期地区を西回りに歩いて帰館。
 ふだんより1時間半ほど早い晩酌。
 夕刻の新幹線でボンクラ息子その1たち帰京のためである。
 ということで、こちらも早寝するのである。

1月3日(水) 穴蔵/ウロウロ
 午前5時起床、雨が降っている。浅田飴かと思ったら、雪か霙かもしれぬ。寒いのでベランダまで出て確認はせず。
 穴蔵にて過ごす。
 午後、晴れたので散歩に出る。
 豊崎神社。3日午後ともなれば閑散。
  *
 初詣といってもお願いすることが何もない。
 自分の健康も、もうどうでもええけんねという気分だものなあ。
 しいてお願いするなら「明日の相撲の臨時評議員会が大荒れになりますように」くらいだが、熟年ヌードオバハンの乱調を願って賽銭投げるほどでもなし、ちょっと離れたところから黙礼だけして去る。
 淀川堤は寒く、一時風花が舞う。
 30分ほどで帰館する。
 ということで、夜は湯豆腐で一杯。明日は少し動く予定。

1月4日(木) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 梅田始発の阪神特急利用、客はふだんの半分以下。学生はおらず、明石〜高砂の工場もまだ休みのようである。
 9時前に着く。
 快晴で寒い。揖保川上流の雲を見るに、宍粟、佐用方面は雪のようである。
  *
 西はりま天文台の公園にはうっすらと積雪。
 タイムマシン格納庫と実家で、年末年始の雑件の処理。
 午前中に片づけて姫路に出る。
 おなじみ灘菊に初詣。
「おとうちゃん、今日は定食ないねん」
「何でもええで」
 ということで、小鉢など並べてもらう。
  *
 酒蔵会社直営店だけに、粕汁が抜群に旨い。灘菊追加、正月だからいいであろう。
 午後の新快速で帰阪。
 と、夜は専属料理人が洋風……つうかケイジャン系を並べる。
  *
 オニオングラタンを食べてたら、餅が出てきた。
 その他のも含めて、オセチ消化メニューなのであった。
 これらで安ワイン。フレンチクォーターが懐かしい。

※いい気分で飲んでる時に、貴乃花の理事解任決議のニュース。予想していたこととはいえ、評議員会の議長という「熟年ヌードのオバハン」が「(貴が)著しく礼を欠いていた」とは笑止。グラビア誌にフンドシもしないで出てくる方がよほど礼を欠いてるだろうが、ババア。それも宮沢りえに到底及ばぬ醜態ならぬ醜体。ゲロが出そうになったぜ。貴乃花の雪辱を期待する。

1月5日(金) 風呂本佳苗ピアノリサイタル@西宮
 曇天にして寒。
 昼過ぎに出て西宮北口、芸術文化センターへ。
 毎年、聴き初めはニューオリンズジャズかピアノかで、今年はピアノが先になった。
 新春恒例、小ホールにて風呂本佳苗さんのピアノリサイタルである。
 2008年から聴いているから、もう10年を超えた。
 東日本大震災以降は、復興支援のチャリティ活動として続けられている。収益を基金へ、花束などよりも復興ご支援を。
 今年のテーマは「エキゾチック・ジャーニー」。
 ドビッシー「グラナダの夕べ」、アルベニス「スペイン組曲/アストゥリアス」から始まる、世界各国を題材にした小品集とでもいうか。
 ゴドフスキーの「ガムラン」(ジャワ組曲)やバーバー「遠足」など、ここで聴かなければ一生聴くことはなかったであろう。
 おや、ロビーに今年も芦辺拓さんが……などと書くこともあるまい。風呂本さんは芦辺夫人でもある。
 2時間ほどのピアノを聴き終えて、静かな足取りで帰館。
 今年は品よく生活したいものである。無理だろうけど。

1月6日(土) 穴蔵
 寒く、晴れたり曇ったり。終日穴蔵。少しは仕事もするのであった。
 朝のテレビニュースで星野仙一の訃報。新年の大ニュース。長嶋・王・野村は生きているから、そうなるわなあ。
 70歳。おれの同級もまだ7割以上は生きているから、早い方だろうな。
 何よりもアンチ巨人に徹した姿勢がよかった。
 名将かというと、これは島野育夫がついてたからと思う(こちらご参照)。
 ただ、おれは2004年のナベツネの暴言以来、職業野球に興味を失い、テレビも新聞も見ることかがない。
 ナベツネがのうのうと生きてるのには、またも怒りがこみ上げてくるなあ。
 星野は、島野なき後、楽天で日本一になったというから、島野抜きでも名将だったのかもしれぬ。
 現役を退いてからのファンの方が多かったのではないか。
 6年ほど前、天満橋のBUNJIN HALLに寄ったとき、同じビルに「星野仙一」の表札があって驚いた。「虎仙会」という、虎ファンの星野ファンクラブというのか、そんなクラブの事務所があったのだ。商業ビルに一室構えるファンクラブも凄いなと感心した。まだあるのかな。
 たいした男であったのだ。

1月7日(日) New Year Jazz Party 2018
 昼に出て歩いて梅田へ。アホが浮かれ出ております。おれもそのひとり。
 梅田新道のスーパードライへ。
 New Year Jazz Party 2018。関西(姫路、広島も含む)のトラッド系8バンドが出演するODJCの新年恒例行事である。
 13時演奏開始。各バンド約30分で、4時間半の長丁場だが、ニューオリンズ系のみならず、シカゴスタイルやホワイトデキシーもあって聞き飽きない。
  *
 ↑結成58年を迎えるラスカルズ。
 この間、ビール、ワインなど飲み放題。そこはおれでも自制心が働くのである。
 18時頃、ほろ酔い気分で(受付を手伝っていた)専属料理人と歩いて帰館。
 早寝するのである。
 これで新年の行事は終了(あ、十日戎がある。あれは仕事のうちかな)、明日から心を入れ替えて、少しは仕事もするつもり。

1月8日(月) 穴蔵
 朝だ雨だ。終日降り続く。
 穴蔵にて過ごす。
 今ひとつ集中力なく、断続的にテレビを見る。
 それにしても気色悪いニュースだ。
 式守伊之助が先月、巡業先で若手行司にキスをするなどのセクハラ行為。日本相撲協会は懲戒処分を検討するという。
 なぜこんなタイミングで? 文春か新潮が嗅ぎつけたから発表したのであろうか。
 式守伊之助は差し違いが多いことで知られる。行司としての適性を欠くのではないか。そりゃ裸の男が目の前で組んずほぐれつしてたら、ムラムラして判断力も鈍るわなあ。処分の結果が楽しみである。

1月9日(火) 堀川戎
 曇天が午前8時過ぎると急に晴れてきた。
 午前、歩いて梅田。阪急東を抜けて堀川戎へ。
 昼前だが、えらい行列である(西宮や今宮ほどではないのだろうが)。
  *
 5分ほど並ぶが、面倒になり、ゼンジー北京師匠もいてはらへんようだから、列を抜け、斜め後ろの方からちょこっと参拝させていただく。
 5年前からタイムマシン業は、注文があれば受ける消極経営に転じていて、福笹の購入もやめている。
 もう商売繁盛を祈願する必要もないのである。会社を設立してから17年間(水面下組織の期間を含めると23年間)の感謝をお伝えする。
 参道を東に抜け、天神橋筋に面した集合住宅に黙礼(害虫駆除した2氏に対して)。
 1985年に豊田商事の永野一男が刺殺された現場である。
 天神橋筋商店街を北上。環状線天満の駅前で福娘が鏡開きをやっていた。
 昼は、もう少し北の某店へ「年始」に寄る。
 湯豆腐やドテ焼きで一杯飲ってたら、さきほどの福娘ご一行が福を授けに各店舗を回ってきた。
  *
 酒樽を積んで、通行人におちょこで振る舞われている。
 隣で飲んでいたおっさん連中が「おおっ、ギャルみこしが来たで」と騒ぎだした。
 おいおい、天神祭とちがうで、あれは通称「宝船」いうのやがな……などといって喧嘩になってもいかんので黙っていた。
 ま、これで新春行事は終了である。

1月10日(水) 穴蔵
 定刻4時頃に起きる。
 全国的に風雪の予報。
 大阪・北梅田は、7時快晴、9時頃から雲が増え、昼前から雨、また曇天、夕刻晴れ間もあったが、とつぜん雹が降った。
 寒いので終日穴蔵。
 空の変化を眺めつつ、少しは仕事もするのであった、いと少なしを。
 毎日こうありたいものである。
 夜はおでんで一杯。早寝する。

1月11日(木) 穴蔵
 西日本は大雪のようだが、大阪市内は晴。西風が強いような。
 寒そうなので終日穴蔵。少しは仕事もするのであった、いと少なしを。
 たちまち夕刻。
 専属料理人が並べてくれた数皿(肉の炒めたん、野菜刻んだん、イカの茹でたん、大根のたいたんの妖女など)でビール、黒糖焼酎湯割り。
  *
 北梅田の夜景を眺めつつ、トミフラ師匠、洋輔師匠(NYトリオ)、バロン師匠など流す。
 西側(右手)のタワーマンション(三井アーバン跡)が30数階まで迫り上がり、手前(東洋ホテル跡)の巨大クレーンが動き始めた。手前のは50階のタワーになる予定。2年ほど先には、右手視界が縦に(山尾悠子「遠近法」みたいに)遮られることになるのだろう。
 そのあたりが寿命であろうか。

1月12日(金) 穴蔵
 定刻午前4時に目覚める。
 最強寒波で大阪は零下の予報だが、4時、外は3℃、室温16℃。どうってことなし。
 ただ、BSニュース見るに、昨夜からの信越線の大雪による立ち往生はまだ続いている。
 大阪市内は快晴。
 穴蔵にいる限り快適である。
 断続的にテレビで大雪による混乱を楽しみつつ心配しつつ、机に向かう。
 たちまち夕刻。
 豚肉の煮込みなんかで安ワインを少しばかり。
 早寝するのである。

1月13日(土) 広辞苑/足立宝石店
 定刻午前4時に目覚める。
 本日も最強寒波(どこまで記録更新するのか)の予報だが、外は3℃、室温16℃で、昨日と同じ。
 大阪市内は快晴。
 さすがに運動不足なので、昼前に散歩に出る。
 まず書店にて広辞苑第7版の立ち読み。辞書の立ち読みというのも変だが、見たい項目はただひとつ「タイムスリップ」である。
※「宇宙気流」No.90に御前憲廣「『タイムスリップ』和製英語説顛末記」という記事があり。
 要約すると……昨年5月、一の日会での話題。テレビのクイズ番組の和製英語を選ぶ問題で「タイムスリップ」が正解(つまり和製英語)にされたという。これはおかしい。ディック「火星のタイムスリップ(Martian Time Slip)」出版が米国で1964年、日本での翻訳出版1966年で、それ以前に日本ではこの用語は誰も知らない。一の日会メンバーがそれぞれに調べたら、日本の多くの辞書・事典に和製英語の記述があり、英文資料からは反証(傍証)が多く得られた。それらをまとめて、代表格の広辞苑(岩波)に送ったら、ミスを認め、訂正したいとの返信があったという。以上要約。
 昨日出た第7版を見ると、
※タイム-スリップ=SFなどで瞬時に過去や未来に移動すること。
 となっていて、(和製語 time slip)の注記は削除され、より短い説明になっている。
 他の辞書も見習うように。
※ただ、野暮を承知でいえば、「タイム-トラベル」にタイムスリップと同義とあるのはちとおかしいし、「瞬時に」移動というのも、移動に時間がかかっている(同辞書によれば「瞬時」は「またたく間」)わけで、プランク時間に較べると恐ろしく長い時間をかけて移動するのだからちょっとおかしい……などと架空の現象の記述にケチつけるのはやめとこ。
 広辞苑第7版、買おうか迷ったが、日本語関係だけでも、国語事典・漢和辞典・古語辞典・類語辞典など実家書庫のも含めてたぶん50冊以上(父の遺品が多い)あるし、体力はなくなってきたしで、もう見送らせていただく。
 岩波書店の誠実さに敬意を表する。
 梅田うろうろ。
 おや、お初天神の西側、御堂筋に面した足立宝石店の解体が始まっている。
  *
 超一等地にある建物、7、8年前に閉店したまま「空き家」だったが。
 先代?の足立社長は、なぜかハチママと懇意で、(特別にジャズファンではないが)ハチに時々来られていた。70〜80年代のことである。おれも「足立のおっちゃん」などといって雑談に加わったりしていた。前マスターが亡くなられた時には弔辞を読まれた。そんな縁で、専属料理人の指輪はここで求めたものである。
 亡くなられたのは先世紀末頃だったかな。一代で名店にされた方だが「跡継ぎ」に恵まれなかった。
 あとの事情はよく知らない。
 梅田新道北側の格調高い建物が消えていくのはちょっと寂しい。
 ということで……辞書とも宝石とも関係ないが、
 男色行司・式守伊之助は3場所休場、辞職願を出しているから、その後業界を去るらしい。
 いずこへ……
 明日の初場所初日は楽しみだなあ。場内乱闘になりますよう。

1月14日(日) シンギュラリティサロン
 本日も晴れて寒。
 昼に出て、グラフロ、ナレッジキャピタルへ歩く。
 2018年最初のシンギュラリティサロンである。
 本日の講師は久しぶりに松田卓也先生で、講演は「シンギュラリティ時代の教育」について……ずいぶんマジメなテーマである。
 過去の講演でも、AIの進化が人の仕事を奪うことは指摘されてきた。
 失業した人々は、AIにできない創造的仕事をするか、既存の低賃金労働(ロボットより安い)をするか、二系統に分かれる。
 では、創造的仕事をするには何が必要か、何を学べばいいのか。
 「サピエンス全史」のユヴァル・ノア・ハラリの新著『ホモ・デウス』(未訳)はシンギュラリティ後の人類を描くものらしい。松田先生が概要紹介、そこで提示されるビジョン……ごく一部の人間はホモ・デウス(神)側で生き、多くの人間は政治的経済的に無価値な不要階級(Useless Class)となる。
 この仮説は本サロンでの議論とも重なる。
 ホモ・デウス側で生きるに、教育はどうあればいいのか。松田先生の話としては意外に?現実的なテーマである。
 既存の学校システムは陳腐化するのが早く、役に立たない。独学に近い「生涯学習」しかない。そこで、オンラインコースを試み、さらに「独学」としての「70の手習い」の実践を経験的に語られる。
 年齢的に、おれも見習わねばと思う。早朝学習などはおれも昔からやってるので共感を覚える。
 極めて真摯なお話……なのだが、松田先生がこれで終わるはずがない。
  *
 松田先生は、すでに京都「川端一条」の地下に「秘密研究所」を開設し「秘密研究」をスタートしているという。ここへの参加には色々なハードルがあるという。研究内容は謎のまま。塚本先生との質疑になって、大多数の「不要階級」はどうなるのかの議論あたりから、だんだん過激になる。これでなければ。
 まことに刺激的なシンギュラリティの2018年幕開けである。
 おれも(せめて姿勢だけは)見習わねばいかんなあ。

1月15日(月) 穴蔵
 晴れて寒。
 朝、近所の某医院へ定期検診に行く。
 マスクして重装備。9時10分前に玄関にて待つ。
 この季節、医院の待合室ほど危険な場所はない。一番乗りで待合室に入ると、たちまちドヤドヤと5人ほど来る。
 案の定、なかにひとり、マスクもしない「ゲホゲホおばはん」がいる。近くに座ったので慌てて席を変える。なんとかならんのかねえ、ウィルスまき散らしおばはん。誰に聞いても、どの医院にも必ずこの種のおばはんがいるのよね。
 5分待って診察、2分。血圧は(寒い中5分立ってたのに)ごく正常値であった。薬局に寄り、10分後に(たぶん感染せず)無事帰館。
 あとは終日穴蔵。
 シンギュラリティに備えて勉学に勤しむ。内容非公開。要するに好きな本を読むだけだけど。
 たちまち夕刻。
 気がつけば、昨日今日と、相撲中継を見忘れていた。期待したような乱闘はないようで、今場所も見ないであろう。
  *
 ということで、夜は専属料理人が並べたスズキのワイン蒸しなどで、残りの白ワインをチビチビ。うまっ。
 早寝するのである。


[最新記事] [次回へ] [前回へ] [目次]

SF HomePage