『マッドサイエンティストの手帳』609

●マッドサイエンティスト日記(2015年7月後半)


主な事件
 ・台風11号通過
 ・創サポ講義(18日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・滝川雅弘@ガゼボ(24日)
 ・同窓会(25日)
 ・ブライアン・オールディス『寄港地のない船』(原書房文庫)
 ・新垣隆『音楽という<真実>』(小学館)


7月16日(木) 穴蔵/台風接近
 深夜からの雨が朝にやみ、あとは曇天。だんだん風が強くなる。
 台風11号が四国沖を接近中で、深夜に四国に上陸、明日午後に日本海に抜ける?らしい。
 4年前の台風に似たコースとパターンという。2011年9月はじめの台風12号のことである。
 この時、静岡でSF大会開催中で、新幹線の運行がどうなるかわからず、参加を断念した。
 播州赤穂付近に上陸。姫路や佐用町などに避難勧告が出たり、西も東もたいへんであった。
 大阪は(雨のほとんどが紀伊半島に降ったので)静かなものであった。
 今回も、大阪でじっとしているに限る。
 ということで、終日穴蔵。
・新国立競技場の選考に関して安藤忠雄氏の記者会見を見る。昼前の20分ほど。
 「釈明」の内容はともかく、安藤さん、健康状態がひどく悪そうである。
 半年ほど前に近所のコンビニでばったり会ったが(同じ町内会だからな/挨拶したのは27年前で、覚えてはらんだろうから声はかけないことにしている)、お元気そうであった。今回、目の隈とか痩せ方がひどい。話し方もしんどそうである。
 オリンピックなんてつまらんことに関わらず、ともかく休養していただきたいと思う。
 それはそうと、競技場を作るなんてことより、オリンピックの開催自体を「返上」できぬものか。
 誰がいったか知らないが「国民も2週間楽しむのだから(新国立競技場に)相応の負担はすべき」というのを聞いた。
 おれは、東京から遙か離れたところに住んでいるが、テレビででもオリンピックを「楽しむ」気なんてはさらさらないぞ。
 ともかく騒がしくて迷惑この上ないからな。
 気分の重い日がつづく。

7月17日(金) 穴蔵/台風通過
 定刻午前4時に起床。
 窓を少し開けていたら涼しく、よく眠れた。
 台風11号は観音寺あたり。大阪は、雨が降っているが、風はほとんどなく、静かなもの。
 午前6時過ぎ、台風は倉敷付近に「再上陸」。
 少しは仕事もするのであった。
 AIMP3+Timedomainでデフランコ師匠、パキート師匠、3Eiji(北村・花岡・谷口)師匠などをランダムモードで聴きつつ。
 断続的に台風のニュースを見る。
 昼前には、米子〜境港あたりのようである。
 そういえば今年のSF大会はコメコン(米子/8/29-30)だ。だいぶ迷っていたが、やはり残念ながら参加は無理だな。ひとりでの外泊が難しい事情による。
 午後は雨が強くなった。風向きが変わり、大阪湾から直撃、紀伊半島が防御壁にならなくなったのであろう。
 姫路方面は「運転見合わせ」(おそらく市川の増水)、姫新線は終日とまっている(たぶん林田川などの増水)。
 播州龍野が気になる。
 河川ライブカメラで揖保川の状況を見るに、水量多し。まだ危険水位ではないかな。
 行くとしても来週である。
 夕方のニュース。
・新国立競技場について、安倍くんが「現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで計画を見直す」(コンペやり直し?)と発表。
 結構なことだが、悪いことはいわん(つまり、いいことをいう)、今からでも遅くないから「オリンピック返上」を検討しろ。
 ややこしい問題は全部解決するではないか。
 ということで、夜は雨に煙る北梅田の夜景を眺めつつ晩酌。
  *
 枝豆、翁豆腐(豊崎/弥七の向かい)のヤッコ、夏風おでん(翁豆腐の厚揚@25円のがうまい)、キズシ、トマトサラダなど並べて貰ってビール、焼酎水割り。
 トミフラ師匠、パウエル師匠、ハンク師匠、バロン師匠など、ピアノトリオが合うなあ。

7月18日(土) 台風余波/創サポ講義
 少し朝寝してしまい、目覚めれば5時半。
 小雨がつづいているが、9時頃にやむ。室温29℃で快適である。
 昼前から晴れ間もあり、午後は快晴となる。
 JRが全面的運休。山陽線・東海道線(京都〜上郡)、東西線(奈良〜大阪)、環状線、福知山線、その他関西のほとんどが運転見合わせらしい。
 昨日の降水量が「規定」を超えたため、線路の状況確認、昼過ぎでも動いてないような。
 野次馬としては、ガラガラの大阪駅〜淀川上橋梁あたりを見物に行きたいが、まだ右足が不安で、出歩けない。
 残念であるなあ。
 終日穴蔵。
 夕刻這い出る。
 古いスニーカーのひもを緩めて履くと、なんとか普通に歩けるようである。
 地下鉄で天満橋へ。八軒家浜あたりを歩く。
  *
 大川は濁っていた。淀川増水時特有の利休色?に濁った川面がいいねえ。
 普通に歩くのは1週間ぶりで、まことに気分がいい。散歩できるのはありがたいことである。
 エルおおさかで創作サポートセンターの講義。
 提出作品3篇を中心に。
・著名なノーベル賞学者が研究助成金を申請してくるが、それは受賞対象となった発明以上の大発明で、過去に敗訴した特許訴訟に対する「復讐」が目的らしい……。連作として書かれている「著名科学事件」のパロディ作品。よく勉強して特許法の抜け穴を探しているのはわかるが、実務10年を経験した立場から見ると、現実の方が悪知恵のレベルが高い(サブマリン特許とか公開前の取り下げとか)。
・婚姻と出産の制度が大きく変わった近未来での「ルーツ探し」短編。これは舞台もテーマもまったく違うが、話の構造が、読んだばかりの『エクソダス症候群』に(評価に迷うところも含めて)きわめて類似しているのに驚く。変則的だが、2通りの評価を述べる。
・生類哀れみの令を背景に、「○使い」女芸人、犬が原因で片腕を失った左官、春画のモデルにされた女、女犯僧などが、市井でたくましく生きる姿を描く群像劇。後半のエピソードが書き急ぎになっているが、改稿すればさらに面白い長編になるはず。
 まっすぐ帰館。
 本日は久しぶりに4,190歩となった。

7月19日(日) 穴蔵/ウロウロ
 目覚めれば午前5時。
 夜更かししたから、こんなものか。
 終日穴蔵。雑読・CD・うたた寝・ボケーーーーッの繰り返し。
 これではいかんので、夕刻、下駄ばきでジュンクドー往復。
 茶屋町一帯で「ゆかた祭り」というのをやっていて、打ち水大会とか冷酒(日本酒ロック)の試飲セット販売とか。
  *
 ゆかた着だと何か「特典」があるらしい。1着あるゆかた(何だったかの記念でいただいた「米朝一門」のゆかた地である)を着てきてもよかったのだが、この歳になると、もう照れくさいね。
 冷酒セット(3グラス500円)に、ふだん冷酒など飲まないような女性たちの長蛇の列。
 飲んでみたくないではないが、日本酒ロックには早すぎる。
 中本酒店で「吉乃川」を買って帰り急冷、夜は翁豆腐のヤッコでこれを一献。
 早寝するのである。

7月20日(月) 穴蔵
 睡眠パターンが不規則になった。
 深夜に目覚めて明け方まで雑事、仮眠したら、強い日射しで午前8時に目が覚める。
 快晴……つうか、ギラギラの真夏日のようである。
 穴蔵を「盛夏モード」に変更する。
 専属料理人に手伝ってもらって、室内掃除、シーツ、クッションのカバー類の洗濯、エアコンのフィルター掃除、ベランダ清掃、室外機に日除けカバーかけなど。
 かなりすっきりした。作業終る頃に東からの直射も終わり、少しは仕事もするのであった。
 室温は32℃だがカラッとしているので、扇風機のみ、エアコンはまだ使用する必要はなし。
 夕刻に近い午後、日影を選んで歩けそうなので散歩に出る。
  *
 公園でタコが茹だっていた。
 東南方向、中崎町界隈をうろうろして帰館。
 タコ酢なんか冷酒を飲みたい気分だが、夜は餃子・野菜炒めなど中華系であった。嗚呼。
 ビールを盛大に飲みたいが、まあ控えめに。これはこれでいいか。
 早寝。

7月21日(火) 穴蔵/ウロウロ
 盛夏である。爽やかでよろしい。雑事あれこれ。
 午後、連休明けの処理事項などあり、西回りコースうろうろ。
 スカイビル北側の中央郵便局へ行き、貨物駅南側を経て大阪駅へ。
  *
 貨物駅跡を定点撮影。「緑地」がだんだん増えてきた。
 ヨドバシ〜銀行ATM〜紀伊国屋〜ジュンクドー。
 茶屋町、ロフトの近くの路上にて。
  *
 いったい何がはじまるのやら。
※西伊豆での「電気柵」による感電死事故。
 昨日からテレビ報道を断続的に見て、新聞の記事もチェックするが、やっぱりよくわからん。
 特にテレビ報道はめちゃくちゃ。
 表現が不正確で、「電流が流れる」という「馬から落馬」はざら、「○○ボルトの電流が流れていて」なんてのまであった。
 電気柵に関する説明でも(多くの電気柵は)「30V、20mAの電気が流れている」というが、それだと2kwh以上が消費されているというのか? 電気代が月数万円。
 中学生でもおかしいと感じるはず。おそらく「電線に30Vの電圧がかかっていて、シカが触れると(シカの鼻から脚へ)最大20mAの電気が流れる」という仕様ではないのか? いや、おれもアタマが中学生レベルに退化しているから、詳しい資料を調べないと自信がないが、テレビ番組作ってるアホよりはましだぜ。少なくともオームの法則は知ってるからな。

7月22日(水) 穴蔵/ウロウロ/關基久さんの訃報
 曇天、午前8時頃から断続的に強い雨となった。
 雨がやんだ時間に出て、地下鉄で西長堀の中央図書館へ。
 珍しくも近代文学関係で調べたいことが生じ、地下1階の「文学全集」コーナーに行くに、なぜか谷崎潤一郎全集がまったくない。漱石も鴎外も荷風も藤村も小松左京もあるのに。
 相談窓口で聞けば、発行からの期間により書庫へ移すのだという。えっと思って端末で再調査すると、中央公論新社から刊行されはじめた全集はすべて(まだ2巻だが)貸出中(予約もあり)で、旧全集(80年頃)は書庫入りということらしい。大谷崎を開架コーナーに置かないのはおかしいぜ。
 ま、谷崎が主目的ではないので、出庫依頼はしなかったけど。
 ついでに新聞を読んでいて、ロイヤルホースのオーナー關基久さんの訃報に気づく。
 7月20日に心不全で亡くなられていて、今がちょうど葬儀の時刻である。
 おれよりも3歳ほど若い。ワイルドバンチの庄内さんといい、このところ、ジャズは祟られているのかなあ。
 昼、雨がやんでいるので、幻の湾岸区エリアをぶらぶら。
  *
 昔、交通科学博物館があったあたり。ボンクラ息子どもを何度か連れてきた。古い車両が放置してある。
 そのネキにある某居酒屋でランチ。
 カツ丼を食すが……うーん、ボリュームだけは評価するが……
 また雨が強くなったので、路地裏散策は中止、まっすぐ期間。
 午後は借り出してきた資料を読む。
 カツ丼の油がいまひとつであったか、夕刻になっても腹がもたれて食欲なし。
 夜、肉系メニューは明日に延期してもらい、和風淡泊系にてビール、焼酎水割りを少しばかり。
 早寝するのである。

7月23日(木) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 雨、断続的に強い。
 車中、週刊誌のコラムを読んでいて、7月8日に相倉久人氏が亡くなられていたことを知る。
 昨日「ジャズはたたられているのか」と書いたばかりだが、庄内さんに引き続き、こんな訃報があったとは。
 新聞をほとんど読まないし、twitterもLINEも関係ない生活をしているから、世間から外れていくなあ。
 播州龍野、タイムマシン格納庫にて見張り番。
 午後には雨はやむ。
 揖保川の増水状況を見物に行く。
 旭橋を渡って、右岸(西岸)・水神の河川ライブカメラを確認する。
  *
 カメラが東北方向を向いておれば、わが実家付近が大阪からでもチェックできるのである。
 本日、水量やや多し。
 夕刻の電車で帰阪。
 色々並べてもらって、ちょっと一杯。
 疲れたから早寝するのである。

7月24日(金) 穴蔵/滝川雅弘@ガゼボ
 盛夏なり。
 穴蔵にて、少しは仕事もするのであった、いと少なしを。
 夕刻這い出て、地下鉄で本町、西へ歩いて、靫公園東のガゼボへ行く。
 池田信夫さんのライブ(年1回かな/去年は6月20日であった)。
 行ったとたんに、池田くん「あれっ、堀ちゃん、今日はミスター某'sじゃなかったの?」……本日、森山威男トリオの出演日であったか。
 忘れてた……というより、もともと予定表に書き込んでない。森山さんには申し訳ないが、あそこのおネエちゃん、おっかねえからなあ。おれにはもう入店する度胸がない。
 ま、森山さん出演日に「弟子」が地下鉄2駅離れた店でドラムを叩くのもいいではないか。
 ガゼボのママは優しく、気配り細やかで気分がいい。ランチにもいい店である。
 ということで、名物カツサンドでビール飲みつつ滝川雅弘カルテットの演奏を楽しむ。
  *
 滝川雅弘(cl)木村ヒロヨシ(p)奥崎久男(b)池田信夫(ds)
 スタンダード中心に21時半頃まで。
 数曲挟まれるパーカー・ナンバーがやはり最高。ワンホーンで吹きまくるスタイル、デフランコ亡きあと、クラで本格的にパップを吹くのは滝川さんだけではないか。

7月25日(土) 同窓会
 炎天なり。
 穴蔵にて資料を読んで過ごす。
 夕刻這い出て、歩いて梅田へ。
 天神祭で人出多し。
 お初天神に近い居酒屋にて3年ぶりの同窓会。
 前回より1名減って、寂しくなる。この傾向は加速していくのだろうな。
 ほとんどのメンバーがリタイア組だが、業界情報は気になるらしく、色々と面白い話が出てくる。
 運転免許の高齢者講習が話題になり、その流れで自動車関係の某くんに色々聞くに、最近の自動ブレーキは統一的な規格はなく、各社まちまちらしい。
 トヨタ車と日産車が正面衝突して、過失割合で裁判になるのが楽しみである。
 奉納花火が終わったころにゾロゾロと新地へ移動。これも3年前と同じパターン。
 23時頃の帰館となった。

7月26日(日) 穴蔵
 わ、目覚めれば午前7時である。
 東からの直射光で室温が急上昇して目覚めた。
 うーん、アタマが働かない。飲み過ぎである。
 朝はアイスティとレーズンパン1片。
 今期はじめてエアコンを稼働させて、また寝る。
 仕事するなら扇風機でいいが、朝寝するにはエアコン。贅沢なことである。
 昼まで寝たり本を読んだり。
 午後、なんとか気分回復。
 夕刻に近い午後、日影を歩いてジュンクドーまで。
 ブライアン・オールディス『寄港地のない船(NON-STOP)』(竹書房文庫)が出たことを知って買いにいく(伊藤典夫さんのSFスキャナーで知ってから45年以上のはず/70年の国際SFシンポジウムでオールディス氏に会ったときに、伊藤さんに通訳してもらって話題にした記憶がある)。
 徒歩7分のところに売場面積日本一の書店があるのはありがたいことである。
 夜は専属料理人にグラタン、イタリアン風のサラダなど並べてもらって、ビール、ワイン少しばかり。
 『ノンストップ』を読みつつ、早寝するのである。

7月27日(月) 穴蔵
 睡眠が不規則になった。
 明け方まで本を読んでいて、東からの直射光で目覚めれば午前8時。
 エアコンを稼働させて、また寝る。
 昼前に起きる。
 外気(ベランダ/日影/1.5メートル)は35℃。
  *
 野々村竜太郎の生家にも盛夏が訪れるのであった。
 午後はボケーーーーッと過ごす。
 本は色々読んでいるので、幾つか感想を書き留めておくことにする。

ブライアン・オールディス『寄港地のない船』(原書房文庫)
 オールディスの初のSF長編『Non-Stop』がとつぜん訳出された。ほぼ半世紀待っていた作品である。
 
 いわゆるスターシップもの(今は狭義に「世代宇宙船」と呼ぶようだが)の幻の作品であった。
 このジャンルのSFを読んだのは、わが読書歴からいうと、
・ミルトン・レッサー『第2の太陽へ』(石泉社)
・チャド・オリヴァー「吹きわたる風」(SFマガジン1960年10月号)
 そして、伊藤典夫さんのSFスキャナーでの『Non-Stop』紹介記事を読んだのがSFマガジン1966年10月号。
 『宇宙の孤児』はずっと後である。
 書かれた順と読んだ(翻訳された)順をきちんとチェックしないと、話がややこしくなる。おれの場合「吹きわたる風」に驚き、スターシップものに興味をもった。
 伊藤さんの紹介記事を読んで、これはぜひとも読みたいと思った。この頃から漠然とスターシップを書きたかったからである。
 訳者・中村融氏の解説に「本書を読むに当たっては(オールディスの業績など)いったん忘れてもらいたい」とある。
 1958年の作品、ニューウェーブ、スペキュレイティブ・フィクション以前である。
 読後の印象をいえば、これは50年代SFの代表的傑作というべきだろう。
 船内の植物描写などに後の作品を思わせるところがあるが、基本的にはアイデア・ストーリーであり、船内での「活劇」や小道具の使い方など、まさに本流のSFである。
 で、以下はまったく個人的な感想。
 おれはスターシップものを書きたくて、66年頃から10年ほど色々と考えていた。
 『寄港地のない船』を読んで、漠然と抱いていたわが「構想」に類似しているのに驚いたのである。アイデアは別物だが、主人公がある種の衝動から「船尾から船首へ」旅する、幾つかの難所を抜けて全体像を知る、自分に課せられていた使命を知る、ついでに最後の「ネズミのスタンピート」まで。
 これは結局書けなくて(世代宇宙船という考え方がスペースコロニーに移行して、入り組んだ巨大宇宙船というのが書きにくくなった事情がある)、舞台を地球のある場所に設定して別の作品にした。だから『寄港地のない船』との類似はまず気づかれないだろう。
 だが、作者としては、伊藤さんの紹介記事に触発されるところがあって、10年後に別のかたちで現れたような気がしてならない。
 SFマガジン旧号は手元にないので、今度播州龍野へ行ったときに確認することに。

新垣隆『音楽という<真実>』(小学館)
 あの新垣隆氏(ゴースト事件の主役のひとりというより、おれには「N/Y」で登場した気鋭の演奏家の印象が強い)の「語りおろし」である。
 ロングインタビューをまとめたというか、ゴースト事件を含めて、音楽人生を語ったもの。
 ゴーストライターによる作品ではなく、構成者もきちんと記載されている。
 
 ゴースト事件がメインではない。
 事件のノンフィクションとしては神山典士『ペテン師と天才』(文藝春秋)の方が遙かに詳しい。
 新垣氏が天才かどうかはともかく、神童であったのは間違いない。小学時代から楽々と写譜をこなし、現代音楽の世界へ進んでいく。
 その音楽歴、音楽観を語るときは実に楽しく嬉しそうだが、事件になると、やや口が重く、あまり悪口がいえない性格らしい。
 ひとつのクライマックスともいうべき、NHK特番での佐村河内が「一晩密室にこもって譜面を書き上げる」場面。NHKスタッフが詰めているからスコアを渡せない。別名で時間指定して宅配便で送るのだが、この件りも『ペテン師と天才』で詳細に書かれている。
 新垣氏はごく簡単に記述して、こう付け加える。
 「一晩何もしないのも大変だったろう」
 いいなあ、この感覚。
 性格が優しく気弱、だから強くいわれる(あるいは懇願される)と断り切れないところがあるのだろう。
 テレビタレントとしての露出も多いようだが、きちんとしたマネージャーがついた方がいいのではと心配になる。
 あ、「N/Y」ライブツアーが始まる。
 大阪は8月8日ロイヤルホースだ。行きたいが、この日は45年間恒例ハチでの8/8ライブ(山下洋輔)と重なっている。徒歩5分の距離だが。
 別会場へ行くべきか。迷うなあ……

7月28日(火) 穴蔵/ウロウロ
 おや、涼しくなった。
 昼前の気温(ベランダ)が昨日35℃→本日33℃。
 室温は31℃だが、体感温度がずいぶんちがう。
 終日穴蔵にて、扇風機の風に吹かれつつ、雑事色々。
 集合住宅関係のことで前期のやり残し事項があり、半日これにかかる。
 夕刻に近い午後に散歩。
 ヨドバシまで行ってみる。Windows10「前夜」だが、別に「予告」が掲示してあるでもなく、静かなもの。
 明日が大騒ぎになるのであろうか。
 おれには年内は関係なさそうだけど。

7月29日(水) 穴蔵/ウロウロ
 定刻午前4時に目が覚め、粛々と平日モードで過ごす。
 午前中曇、昼前から晴れるというありがたい天気である。
 昨日からの雑事を片づけ、昼前にヤマト便で発送。集合住宅関係は一区切りとなる。
 ついでに天六へ。
 玉一にて、冷麺を食すつもりで行ったが、店内に入ると、この際汗をドバッと出した方が健康的かなという気分になり、こういうものをいただく。
  *
 水分補給も怠りなし。
 帰路、青空書房にちょっと寄って坂本さんに挨拶。
 この前通った時が閉店だったので気になっていたのである。
 相変わらずお元気でなにより。
 午後はエアコン稼働させて『コロンビア・ゼロ』を読む。
 パワーアップと成熟が同時進行しているなあ。

7月30日(木) 穴蔵
 薄曇りで快適な日である。
 終日穴蔵にてボケーーーーッと過ごす。
 体調が悪いわけではないが、気力がわかず。
 午後2時頃に激しい雷鳴が響いてキンタマが縮むが、雨は降らず。
 一日を無為に過ごす。
 夜のニュース。
・三浦海岸小網代湾でシートに巻かれコンクリート・ブロックがつけられた女性の死体があがる。生きたまま海に沈められたらしい。
 「太陽がいっぱい」を思い出すなあ。沖に沈めたはずが、ヨットに引きずられてきたのではないか。
 展開が楽しみな事件である。
・中国の前中央軍事委員会副主席・郭伯雄が失脚。
 興味はこやつのアタマが偽装かどうかだけである。近平くん、民衆が見たいものを見せたまえ。

7月31日(金) 穴蔵/未明散策
 エアコンつけて早寝したら午前3時に目が覚めた。
 外気は30℃である。
 久しぶりに「朝遊び」したくなり、自転車で出かける。
 新御堂南下、堂山町あたり、客引き諸君が多いが、開いてる店は案外少ない。
 阪急東通りを東へ。扇町公園を抜ける。
  *
 西の空に赤い十六夜の月。
 天五界隈、焼鳥屋と海鮮は営業しているが、入る気分にならず。
 「ひろや」は相変わらずだが、おれが入る雰囲気の店ではなくなった。
 中崎町商店街へ。
 お、「こまいち」が再オープンしているではないか(稲田酒店のちょっと東)。
 経営が同じかは不明だが、天神橋筋の店が閉店して3年ほどになるかな。
 ビールでも飲みたいが、営業は午前4時までで、閉店間際である。またにする。
 西へ。「竹乃膳」は、外から見るに、相変わらず客層悪し。ヤッコがうまいんだけどね。
 結局、自転車で梅田ひとまわりしただけで帰館。
 アイスティをがぶ飲みして朝寝。
 わ、目覚めれば正午。ベランダは38℃である。
 本日昼間、専属料理人不在。
 おれもでかけるつもりでいたが、さすがに炎天下はつらい。
 コンビニで弁当を買ってきて、ビール1缶。
 午後はボケーーーーッと過ごす。
 無為に過ごした7月が終わる。嗚呼。


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