『マッドサイエンティストの手帳』605

●マッドサイエンティスト日記(2015年5月後半)


主な事件
 ・創サポ(16日)
 ・住民投票(17日)
 ・播州龍野いたりきたり
 ・某墓参(30日)


5月16日(土) 解放記念日/バラ園/創サポ講義
 未明まで降り続いた強い雨が、朝にはやみ、薄曇りとなる。
 なんとなく気分のいい方向に変化していくような。
 ということで、午後に集合住宅の定期総会。
 特にややこしい議論もなく、40分ほどで終わる。
 先日から整理していた資料を後任者に渡し、これにて2年間の理事長職から解放された。
 理事長という立場は、別に事務処理に時間をとられるものではない。ただトラブルが起きると必ず「ご一報」が入り、これが多いと精神的に耐え難い。問題を起こすのは約6戸と判明していて、そいつらの生活態度を知ってしまうことで気が重くなり、時にはそんな連中とコミュニケーション(が成立するはずもないのだが)をとらねばならぬことが最大の苦痛なのである。
 後任者は物静かな好青年で、ややこしい「規約違反」が起こらないことを願うばかりだ。
 夕方に近い午後に外出。中之島まで歩き、バラ園へ。
 薄曇り、バラ見に最適らしく、人出多し。
  *
 多種多様なバラが咲いているが、西端「入口」のバラがいちばんの好みで、これだけ見れば、あとはさっと通過していいような。
 バラ園を抜けて、天満のエル大阪へ。
 創作サポートセンター専科の講義である。
 提出作品は、ショートショート1篇と長編1篇という不思議な組み合わせ。
 いずれも面白い作品である。
・きわめて特異な状況をネット中継しようというショートショート。これは抜群のアイデアで、明かすわけにはいかない。オチが弱いのと、作者自身がアイデアの凄さを自覚していないところがある。肉付けして短編にすることを勧める。うまくいけば『凶暴な口』に匹敵する恐怖SFになるのではないか。このアイデアはまだ書かれていないと思う。誰かに先行されないよう、がんばってほしい。
・地方都市(具体的にはわが実家に近い西播)を舞台に、ドラムを叩くことで「引きこもり」的生活から抜け出していく少年を描く青春ジャズ小説。ただし全体にコメディタッチ。これはおれの好きな設定で、作者は長年ドラムをやっているらしく、演奏描写や曲目の選定センスなど、なかなかいい。作品評というよりも、半分以上ジャズ談義になってしまった。作者は映画『セッション』も見ていて、ラストを「名演」で終わるハッピーエンドにしていないところがいい(映画公開以前に書かれている)。ポイントはジャズ描写で、コードや奏法など「専門用語」と演奏者の「内面描写」のバランスだろうが、演奏者のアタマの中はおれにもわからず、実技者である作者の方が詳しいはず。いくつかの事例をあげて話すが、むしろいっしょに研究してみようというところかな。おれも、ジャズ小説は無理だが、演奏場面が入るSFを書いてみたくなる。

5月17日(日) 住民投票/穴蔵
 快晴である。
 午前10時頃に投票所(豊崎小学校)へ行って、初めての「住民投票」を行う。
 あと、話題の「湾岸区」あたりをぶらぶらしたいと思ってたのだが、日射しが強く、散策にはつらい。
 ジュンクドーを覗いて帰館。
 あとは終日穴蔵。
 本を整理しようと作業をはじめるが、積み上げていた新書を読み出したら(再読だが)結局読み終えてしまい、目が疲れてうたた寝、気がつけば夕刻に近い。
 この調子だと、わが余生に読む本は保証されているということか。
 それにしても、選挙カーと選挙管理委員会の放送がうるさいことよ。
 ということで、夜は、枝豆、ヤッコ、長芋のチヂミ、トマトサラダといった健康食でビール。
 住民投票の結果。
 おれの予想は、「賛成40%、反対60%」であるが、21時前のNHKの出口調査では半々という。
 へえ。
 結果が出るのは深夜になりそうなので、早寝(定刻の就眠)することにする。

5月18日(月) 幻の湾岸区
 定刻午前4時に起床、都構想の住民投票はとっくに決着がついていた。
 「賛成」694,844 「反対」705,585
 わが予想は……
 ・有権者210万、投票率49%。票数は100万。
 ・「よくわからない」「どうでもいい」層は動かない。
 ・二重行政解消といいつつ役人が減らないことにがっかりしたのが多い。
 ・湾岸区に該当する区はたぶん猛反対。住所書くのが面倒だもの(なぜ西区にできないかというと、現西区が中央区になるため。歌やんやないけど、笑ろてしまいますな)。
 ・その結果、賛成40万 反対60万
 ……というものであった。
 投票数140万は意外であったなあ。
 そうか、政治家でなく構想に投票するからか。落としたい顔ばかり並ぶ選挙とちがって、構想への票はストレートに反映されるわけだ。いかに市民が政治家なんて人種を信用していないかの証明でもあるなあ。
 もうひとつの予想外れは開票時間。深夜までもつれると思ってたら、22時頃に結果が出たらしい。賛成反対の二択だから開票作業も早いのであった。こんなことも予想できないなんて、SF作家失格であろう。嗚呼。
 と、以上は野次馬としての感想で、都構想についてのわが賛否表明ではありません(おれは政治・宗教・血液型について自分の立場は明かさないことにしている)。
 カーニバルの朝。
 久しぶりに静かな朝である。
 午前、ちょっと調べたいことあり、西長堀の中央図書館へ。
 あと木津川沿いに歩いて大正へ。
 薄曇りなので「湾岸区」を歩くことにする。
 平尾あたりまで行ってみたかったが、バスがとぎれたので、ガード下の「いちゃりば」で昼飯。
 定番の沖縄そば定食。
  *
 あと尻無川沿い、三軒家あたりを散策する。
 湾岸区の風景であるなあ。
 尻無川水門まではしんどいので後日とする。
 ということで……
 夜は出所祝い、じゃなかった某役職解放祝い。
 白身の刺身でビール。
  *
 専属料理人に、富山の白エビの揚げたん、竹田農場のトマトのサラダ、初夏パスタなど並べてもらって安ワイン。
 ラベル汚れで680円だが絶対にうまいでっせと勧められたスペインワイン。
 これがバカうま。
 豊崎西公園南側の中本酒店に栄光あれ。

5月19日(火) 穴蔵
 未明まで降り続いた雨があがり、午前中は曇天、午後には晴れるという、東向き穴蔵の生息者にとっては快適な日である。
 思うところあって本の整理。
 30年間利用していない科学系(主に解説書)は処分することにする。
 こういってはなんだが、セーガンの本は一度読んだら十分だな。
 とはいいつつ、途中で拾い読みするから、なかなか片づかず。今月までとするか。
 たちまち夕刻。
 自宅へ行き、リビングから夕映えを眺めつつ晩酌。
  *
 白身のカルパッチョなどで中本酒店で購入の高品質安ワイン。
 いい季節である。

5月20日(水) 穴蔵
 快晴である。
 終日穴蔵。
 昨日の続き本の整理(正確には雑多なファイルや紙資料の整理)を行う。
 床に積み上げているのを整理していくが、長期間、掃除機をかけてないから、やたらくしゃみと鼻水がでる。
 処分する前に一読。これをやってると、作業は進まんなあ。
 本日も0歩。

5月21日(木) 穴蔵
 快晴である。
 本日も穴蔵の整理作業。
 目標は、本棚は増やさず、床に積み上げた本と雑資料を整理、ルンバが徘徊できるようにすることである(掃除ロボを導入するわけではないが)。
 処分すべき古雑誌、紙資料、集合住宅関係のファイルなどを一室に詰め込んでいったら、かなりの床面が露出してきた。
 午後、専属料理人掃除婦が自宅からクリーナーを持ってくる。
 綿ぼこりどっさり。
 目標の半分くらいまで達成か。
 問題はオーディオ関係だな。MDとはいったい何だったのか。むなしくなるなあ。
 ということで……
 夜は専属料理人に色々並べてもらって晩酌。
  *
 ボンゴレ。
 枝豆。
 トマト・レタス・オニオン・カイワレ・ホタテのサラダ。
 ポテトとコンビーフの炒めたん。
 ミニステーキ。
 これで高品質格安ワイン(中本酒店で買った格安ワインが抜群だったので、追加で数本買ってきたという)。
 残ったボンゴレのスープでミニリゾット。
  *
 早寝するのである。

5月22日(金) インコ記念日
 快晴である。
 朝、梅田の某デンタルクリニックへ。
 簡単な検査で終わり。これで一連の治療は終了し、今後は数ヶ月に1度の定期検査となる。
 ついでに市内ウロウロのつもりでいたら、集合住宅関係の連絡があり、まっすぐ帰館。
 先日の定期総会の議事録については「議長」の署名捺印が必要という。
 議事録をチェック、これで完全にお役御免。
 その気になれば1、2週間の自由時間がとれるから、最後のニューオリンズ行きを検討するか。
 ま、しばらくは色々と計画を練る楽しい時間を過ごすことにしよう。
 ということで、たちまち夕刻。
 本日は「インコ記念日」である。
 わが家はもう、誕生日とか何かの祝日といっても特別のことはしないが、5月22日だけは特別で、5年前に廊下でPiPiを保護した日なのである。
 おれは和風の初夏メニュー(枝豆、オクラの小鉢、刺身、穴子のなんとか、など)でビール、冷酒。
  *
 PiPiは好物の麦芽パンを焼いてもらうことになり、おとなしく待機しておる。
  *
 人間換算ではもう高齢者になるのかな。
 いったいどんな経過で7階の廊下にいたのか謎のままだが、いい所に拾われたのであろうな。

5月23日(土) 穴蔵/ウロウロ/「拳銃は俺のパスポート」
 薄曇りである。
 昼前から散歩に出る。2日間歩かないと、ヒザがひどく疲れやすい。毎日歩かないといかん。
 東南コース。
 中崎町をうろうろ、中崎町商店街を抜け、青空書房の坂本さんにちょっと挨拶してから、天五の某店でこういうものを食す。
  *
 なかなか結構なのだが、キュウリを刻んだのが数片入っていて、手間がかかることよ。
 扇町公園を抜け、Musicmanを覗き、阪急東通りを西へ。
 ツタヤで『拳銃は俺のパスポート』と『殺しのテクニック』を借りて帰館。
 7,196歩となった。
 午後、久しぶりに(20年ぶりくらいか)『拳銃は俺のパスポート』を見る。
 今頃だが、野村孝監督の死去を知ったのである。
 5月5日、肺炎で死去。89歳。
 いうまでもなく代表作は『拳銃は俺のパスポート』、これは宍戸錠の代表作であり、日活アクションのベスト1でもあろう。
 1967年に石橋劇場で見ている。これは前年にヒットした『殺しのテクニック』の影響下で作られた作品(狙撃シーンから始まる、男ふたりの組織との対決など)だが、『殺しのテクニック』よりも数段出来がよい。
 西脇英夫「日本のアクション映画」によれば、本作は「四日間で脚本、二十余日間の撮影」「Bクラス以下の予算」というから信じがたい出来映えだ。
 何よりも宍戸錠がいい。渡り鳥シリーズ以降のコミカルな要素を排し、『街が眠る時』冒頭で赤木圭一郎を射殺する不気味な殺し屋の雰囲気に徹しているのがすばらしい。最後の埋立地での銃撃戦で見せる体技は日本人離れしていて、日本アクション映画史で屈指の名演である。
 さらに、女が足手まといにならないのがいい。ここが『殺しの烙印』との決定的な差である。ジョーは女に惚れてはいかんのである。
 あ、野村孝監督追悼であった。しかし日活作品は意外に少なかったのだなあ。
 夜は『殺しのテクニック』(こちらはほぼ半世紀ぶり)を見る。
 面白いのだが、やはり『拳銃は俺のパスポート』の方が桁違いにいい。

※配役など確認しようと「拳銃は俺のパスポート」でググッてみると、デタラメ記事の多いことに気づく。
 上位のここには「塩崎(ジェリー藤尾)は津川に殺されていた。…塩崎の死と大田原の裏切りを知った上村(宍戸錠)は怒り狂い、必死にとめようとする美奈を振り切って、三組の待つ埋立地に向った」
 またこちらには「塩崎は津川に拷問の末殺されていた」とある。
 同じ間違いが他にもちらほら。出所は同じなのか?
 ストーリーを明かすのは本意ではないが、ジェリー藤尾は、拷問は受けるが殺されてはいない。何を見とるのかアホども。あ「見てない」のか。塩崎の身柄と引き替えに上村は時間と場所を指定して銃撃戦にのぞむ。要するに「決闘」なのである。
 アホのつまらん書き込みが検索上位にくるとは困ったものよ。
 (きちんとした鋭い批評もあることは付記しておきたい)

5月24日(日) 穴蔵/ウロウロ
 天気予報では「午前雨、午後曇」であったが、雨は降らず、薄曇りから晴、夏日である。
 世間の休日に合わせて、特に仕事はせず。
 穴蔵の整理。
 書籍に引き続き、CD、DVDを整理する。
 落語・お笑い係はJAZZほど多くないので、演者別に入れ替える。
 米朝師匠より枝雀師匠の方が多い。意外といえば意外。
 散歩もしなければならぬ。
 午後、1時間半ほど。ツタヤへ行ったついでに、なるべく人通りの少ない路地を選んで、中崎町界隈をうろうろして帰る。
  *
 路地のランタナ。
 野々村竜太郎の生家近くにも花は咲くのであった。こればっかりだな。
 そろそろ就眠と思った頃におもろいニュース。
※今朝、和泉府中で、黒川覚太郎(88)が弟・黒川恒次郎氏(82)の家にガソリンまいて放火。相続をめぐって「積年の恨み」があったとか。
 親が何年前に死んだのか知らないが、兄弟ともに長生きであるなあ。
 ウチの兄弟もかくありたいものである(あ、ウチは揉め事はまったくないけど)。

5月25日(月) 大阪←→播州龍野
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 姫路で通勤通学の諸君といっしょになる。
 午前9時前に龍野書斎着。
 夏至近く、播州龍野行きにはいちばん快適な季節である。
 ややこしい案件が2、3あり、しかし、案外簡単に片づいた。
 龍野公園を30分ほど散策。月曜の昼で人影なし。
 新緑は過ぎて、夏の濃緑の気配である。
  *
 聚遠亭の庭は夏の日ざかりの日を浴びてしんとしている。
 雑草の処理とか夏モードへの変更など、雑事があるのだが、6月に送る。
 夕刻に近い午後に帰阪。
 10,475歩となった。
 夜は粗食にて一献。
 早寝するのである。

※おっ小松左京ライブラリーに『果しなき流れの果に』創作メモ発見のニュース。
 わがコメントも掲載されているが、これは1965年頃に小松さんと何度か会う機会があり、その時の記憶によるもの。
 これに関連して、さらに面白い資料が発見されたらしい。近日発表されるのではないか。
 小松ライブラリーもだけど、米朝師匠の資料からも、今後色々と発掘されそうだなあ。
 やはり、あと10年はボケないまま生きていたいものである。

5月26日(火) 穴蔵
 室温は終日ほぼ28℃で快適、さわやかな日である。
 終日穴蔵。雑事色々。これといった生産的な仕事はできぬまま。嗚呼。
 ニュース雑感。
 女性が殺されたり遺棄されたりの事件が頻発、どれがどうなのか、よくわからん。
 興味があるのは、24日の和泉市府中町(阪和線・和泉府中)での黒川覚太郎(88)による放火事件である。
 なぜこの事件に惹かれるのか。
 その後詳報はないが、昼にちょっと見たテレビ報道では「遺産相続にからむ積年の恨み」は「工場跡地が幹線道路にかかって高額で売れたことに起因」「親は42年前に死んでいる」らしい。
 この「工場」が「織布工場」であれば、おれが1972年に仕事で行ったところではないか?
 このあたりで工場といえば繊維関係の可能性は高い。
 もしそうなら覚ちゃん45歳の時である。おれは若造だったから、会った相手は係長クラス。名刺は交換していないはず。
 現地へ行ってみたくなるなあ。
 おれは泉州一帯の繊維工場が70〜80年代に閉鎖したり業種転換していった時のドラマにすごく興味がある。
 40年経っても、ドラマは続いているのである。
 ジャズ住職(福島区の方とは別)、寶國寺の南方和尚に教えてもらうことにするか。同じ町内だからなあ。

5月27日(水) 厄日
 おれは占いのたぐいは信じないが、本日はどうも厄日らしい。
 仕事にならず。本を読んで過ごす気分にもなれず。
 愚痴になるから書かないが、やっと理事長職から離れたというのに、つまらんトラブルが家庭に及んできたような気分である。
 夜は、専属料理人が「炊事は無理」というので、コンビニ弁当でビール。
 播州龍野へ避難しておればよかった。

5月28日(木) 穴蔵
 厄日のつづき……朝9時半頃に自宅のライフライン(水道)復旧したと連絡あり。
 自宅へ行って新茶を喫す。やれやれ。
 もうひとつの災難。
 昨日、椅子の金具が破損、高さの調節がきかなくなった。
 20年使ってきた椅子で、困った事態である。
 昼、炎天下を歩いてヨドバシへ。地下のパソコンチェアの売り場で10脚ほどに座ってみる。
 それなりにいいのもあるが、どれも「まがい物」に見えないではない。
 椅子ばかりは、しばらく使ってみないことにはわからないからなあ。
 やはり本物のハーマンミラーを購入すべきか。
 おれは椅子と靴に金を惜しむ気はないのだが、あと何年机に向かえるのか(遺品を愛用してくれそうな身内はおらんし)、色々迷うところだ。
 いましばし検討することに。
 当面、椅子に座布団2枚を重ねて座ることにするが、落ち着かぬことである。

5月29日(金) 米朝師の日/夜飲み
 穴蔵にてダラダラと過ごす(椅子不調につき、机に向かうのが快適でないのである)。
 TBSの『落語研究会 桂米朝全集』が届いた。
  *
 これで吉朝全集と並んで師弟が揃ったことになる。吉朝さんの方が先というのがちょっと哀しいが。
 「どうらんの幸助」は米朝師46歳の映像である。
 これから1日2席ずつの楽しみ。
 『ユリイカ』の桂米朝特集。
 色々な方が短い文章を寄せられていて、それぞれ面白いが、異彩を放っているのが月亭可朝のインタビューである。
 ユリイカと可朝とは信じがたい組み合わせだが、ともかくこれがいちがん鋭く深い。談志の「米朝がいなくなれば上方落語は終わりだ」に対して「上方落語の江戸落語的な部分が消えるだけ」など、可朝にしか発言できまい。可朝恐るべし。上岡龍太郎も面白い。ともに米朝師の芸の継承者ではない距離感からか。これに較べると、ざこば師匠、米團治師匠の談話は追悼番組で何度も聴いた内容の繰り返し。不思議なものだ。
 しかし、ともかく米朝師追悼はまだまだつづく。
 夕刻、梅田で同級のMくんと会う。
 7月に久しぶりに同窓会をやろうかという相談である。
 かっぱ横丁の酔鯨亭で一杯。どろめ、カツオタタキなど定番メニューで酔鯨の冷酒。
 あと、静かな場所でうち合わせしようかとアプローズに行くが、いつも使うラウンジは19時まで。いかんぜよ。
 近所ぶらぶら。
 たまたま目についた鶴野町のバーに入ったら、これがなかなかいい雰囲気。
  *
 水割りを2杯ばかり。水割りがこんなにうまいと感じるのは久しぶりである。
 知る人ぞ知る店らしい。

5月30日(土) 墓参
 昼前に阪急沿線の駅に3名が集合、某くんのクルマにピックアップしてもらって、4人で琵琶湖西岸に向かう。
 比叡山の東斜面になるのかな、遠くに琵琶湖を望む広大な霊園へ。
  *
 広い霊園が何層も拡がっている。
 その一角にある新しい墓にお参り。
 春に亡くなられた、前の勤務先で70〜80年代の上司であったN氏の墓である。
 タイムマシン事業を立ち上げた中核メンバーのひとりであり、1号機の設計者。
 その機種は、データ処理などの方法は変わったものの、計測のコアの部分は(規格化されていることもあって)40年以上経った今も現役なのである。
 享年82歳で、早いといえば早い。
 おれの場合、もと勤務先の上司の墓参(あるいは葬儀参列)はこれが最後である。
 残ってるのに尊敬に値する人物はゼロ。アホばかりがのうのうと生きている。
 夕刻に近い午後にもとの阪急沿線に帰着。
 精進落としというか法要というか懇親会というか、海鮮居酒屋にて当時のことを思い出しつつ、軽く少しばかり冷酒をいたただく。

5月31日(日) 造園の魅力
 昼前に専属料理人と地下鉄で難波、高島屋へ。
 「造園の魅力」展を見る。
 大阪芸大生が制作したジオラマがメインで、難波からアベノハルカスまでを「緑の回廊」でつなごうという提案である。
  *  *
 アベノ〜天王寺公園〜新世界〜恵比須町〜電器店街(堺筋)〜ナンバはよく歩くコースである。
 提案内容のコアは堺筋を緑の並木道してトラムを走らせるというもの。
 これは道幅から実現は難しいだろうが、その企図はすばらしい。
 巨大航空写真の上に建築模型を置いて、写真部分には入れる。
 恒久的な展示物ではないので、平面のフロアに作られていて、アベノから新世界への坂道(上町台地の斜面)が作られていないのが惜しいが、贅沢はいうまい。
 大阪芸大生諸君の情熱に拍手を送る。
 ぶらぶら歩いて心斎橋へ。明治軒で串カツとオムライスのセットを食して帰館。
 午後、少しは仕事もするのであった。非SF系だけど。
 ということで、たちまち夕刻。
 暮れゆく梅田を眺めつつ、ローストビーフに野菜どっさりのオープンサンドで、中本酒店推奨の高品質安ワインを少しばかり。
  *
 東の空に未練な十三夜の月。センチメンタルになるぜ。
 無為に過ごした5月が過ぎていく。嗚呼。


[最新記事] [次回へ] [前回へ] [目次]

SF HomePage