『マッドサイエンティストの手帳』596
●マッドサイエンティスト日記(2015年1月前半)
主な事件
・キッチン5@ニューサン(6日)
・播州龍野いたりきたり
・風呂本佳苗ピアノリサイタル(9日)
・ゼンジー北京師匠@堀川戎(10日)
・New Year Jazz Party(11日)
1月1日(木) 元日
大晦日の夜、ボケーーーーツとCDを聴いていたら、専属料理人からメールがきて、起きてたら0時にシャンパンを抜くという。
ということで、自宅へ行き、0時になったところでシャンパン開栓。
BURUDIGALAのクレセント状のパン+カマンベールでちょっと一杯。
静かなものである。
午前8時半まで寝た。
9時過ぎから改めて朝祝い。
龍力一献。
*
今年のオセチは実質的にふたりなので、つつましいもの。
雑煮を食す。数年ぶりに餅ひとつを食べる。喉に詰めずに嚥下できた。
ほっ。
ということで、あとは穴蔵にて本を読んだりCDを聴いて過ごす。
元日はニュース番組が少ないなあ。定刻のニュースもあまりない。放送法違反ではないのか。
気になるニュース。
・おれがシャンパン飲んでる時刻にアホどもが道頓堀ダイブ。
ひとりが意識不明、あと死亡確認。韓国のパスポート所持?
テレビで現場中継やれよ。
・上海市の外灘(バンド)という繁華街で、おれがシャンパン飲みおえようかという時刻(日本時間0時35分)に大規模な転倒事故が起き、35人死亡。
「階段を上ろうとする人と、下りようとする人の間で混乱が発生。上にいた一部の人が転び、下にいた人が次々に転倒」という。新潟の彌彦神社の転倒事故がまさにこれだったはず。「餅まき」に詰めかけた群衆で玉垣が倒れ、石段に積み重なって100人以上が死亡。1956年の正月で、小学5年の時だからよく覚えている。上海は半世紀前の日本とそう変わらんのか。
スマホで撮った映像が多いはずだから、早く流せよ。あ、あとでネットを調べるか。
穏やかな晴天だったのが、午後に曇り、夕刻には雪が降る。
野々村竜太郎の生家にも雪がうっすらと降り積もる。
まるで「生まれたてのヒヨコ」頭を隠すがごとく。
妙な元旦である。
【年賀状をお送りくださった方々へ】
新年の賀状をいただき、ありがとうございます。
お元気でご活躍のご様子で、うれしくまた懐かしく拝見しております。
当方、年齢その他の事情から、昨年で年賀状を最後としており、返事も差し上げず失礼いたします。
本年もよろしくお願いいたします。
1月2日(金) 穴蔵/箱根駅伝
終日穴蔵にてボケーーーーッと過ごす。
仕事始めのつもりが、いまひとつ気合いが入らず、午前中は箱根駅伝を断続的に見る。
3区の早稲田・井戸浩貴くん(播州龍野出身の好青年)は5位キープ。4位とも6位とも距離があり、中継車にはほとんど映らなかった。
堅実につないだというところか。
午後は資料読み。
明日から本格始動としよう。
1月3日(土) 穴蔵/ハチ
定刻午前4時に起きる。
今日から生活を通常モードに戻すことにした。
5時にひとりでつつましき朝食。
穴蔵にて、少しは仕事もするのであった。いと少なしを。
昼は信州そばを専属料理人に作ってもらう。
午後はボケーーーツと過ごす。
と、ハチの明利マスターからメール。今日から営業していて、若い連中がライブやっているという。
ライブはいいのだが、CDその他の用件があって、夕方に顔出し。
ハチママが元気な頃は昼間から酒盛りになったものだが、こちらももうその元気なし。
大ちゃんが来ていて、久しぶりに酌み交わす。
*
大ちゃんも今年で70代入りという。まだ「現場」では現役。不死身の男である。
40年ほど前はお互いこんな雰囲気だったのである。嗚呼。
えらいところまで来たなあ。
軽く飲んで参会。
帰宅したら、集合住宅の玄関でピザの宅配とすれ違う。
オセチに飽きたから、こういうのが食べたいなと思ったら、うちもピザであった。
*
むろん手作りで、宅配よりうまい。というか、宅配のは食べたことがないんだけど、生地から作って焼きたてだからな。
ワイン少しばかり。
早寝するのである。
1月4日(日) 穴蔵/ウロウロ
定刻午前4時に目覚める。ごく自然に目が覚めたから、日常パターンに戻ったのであろう。
穴蔵にて、少しは仕事もするのであった。いと少なしを。
運動不足なので、昼前から散歩に出る。
本日は東方向。
豊崎神社に寄り、(氏子でもないけど)形式的初詣、あと淀川堤を毛馬閘門まで歩く。
天六に戻り、天神橋筋商店街うろうろ。
昼過ぎに某居酒屋でちょっと一杯。
*
店名は書かない。密かに愛好しつつ、今まで書いてない店である。
湯豆腐200円。わかる人はわかるはず。(常連でもない)吉田類なる「居酒屋業者」が妙に称揚するから困ったもの。
(店は喜んでいるから、おれがどうこういう立場にはないのだが)
吉田に限らず、居酒屋のことを書いて生活する人種というのも変なものだな。
久住昌之氏は別格(さらにマイク・モラスキー氏は超別格)。それを商売にする気は皆無だし、店に媚びる気配もない。
「孤独のグルメ」の批評性と格調はそれ故に保たれているのである。
……などと愚考しつつ、中崎町を抜け、某市場の酒店で安ワイン(南仏)を買って帰る。
ということで、夜は、山かけ、サラダ、オムレツでビール、南仏の安ワイン少しばかり。
早寝するのである。
1月5日(月) 穴蔵
月曜である。世間はやっと始動。
おれも張り切って仕事……のつもりが、今ひとつ気合いが入らず。
本を読んだり、細々としたメモをとったり、昼はカレーを食べたり、午後はまた本を読んだりしてたら、たちまち夕刻となる。
いかんなあ。
*
夜はアクアパッツア風などで南仏の安ワイン少しばかり。
うま。
早寝するのである。
明日こそホリは羽ばたく……つもり。
1月6日(火) キッチン5@ニューサン
終日穴蔵。
たいして仕事は進まないのであった。
たちまち夕刻となる。
専属料理人と歩いて梅田、ニューサントリー5へ初詣にでかける。
今年の聴き初めはニューオリンズ・キッチンファイブ。
*
加藤平祐(cl) 秋定暢(tb) 川合純一(bj) 脇本総一郎(b) 梁瀬文博(ds)
今、大阪でもっとも生きのいいグループである。
ガゼボで何度か演奏したきたが、最近はニューサンで第一火曜に出演することが増えた。
メンバーも川合さんが兄貴分(オジキ格か)で構えてはるが、加藤平祐・秋定暢の2管を脇本総一郎と梁瀬文博のリズムが支えるピアノレス・スタイルで、アンサンブルよくレパートリーも増え、だんだんとバンドのカラーが作られてきた。
これからの関西のニューオリンズ・ジャズの中核になるのは確実である。
3ステージ、22時40分まで。
ちと飲み過ぎ。
1月7日(水) 穴蔵
わ、目覚めれば午前7時。3時間の寝坊である。
播州龍野へ行くつもりだったが、JRが遮断機の故障でラッシュ時にダイヤ混乱しているという。
面倒になり、明日に延期する。
ということで、終日穴蔵。
半分ボケーーーーッと過ごす。
宮尾登美子さんの訃報。12月30日に老衰で。88歳。
亡母が愛読者で、80歳半ばになっても繰り返し読んでいた。
実家にはほとんどの長編は残っているはず。
おれはそれほど熱心な読者ではなかったが、また読み返してみようと思う。
1月8日(木) 大阪←→播州龍野
午前3時前に目が覚める。
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
西明石を過ぎて、大久保町あたりでやっと明るくなってきた。
8時過ぎに実家に着く。
書斎の室温6℃。外も変わらず。
年末年始の処理事項があって町内うろうろ。
タイムマシン格納庫へ行って、点検作業。問題は解決である。
昼は久しぶりに室津方面へ走り、ちょっと西にある「海宝」へ。
*
煮魚、牡蠣酢など適当に選ぶ。まあまあだが、うーん、コスパがよくないつうか、ぼったくりに近い。
大阪中央卸売市場の中央食堂を見習えといいたくなる。
「七曲り」を走って戻る。
*
ああ播磨灘。
午後の電車で帰阪。
キンタマ収縮、肩がコチンコチンである。
今年初めて「入浴」する。
湯豆腐、ダンコンのたいたんの妖女、スグキ、その他で龍力の熱燗。うまっ。
早寝するのである。
1月9日(金) 風呂本佳苗ピアノリサイタル
曇天なり。
終日穴蔵にて粛々と雑事を処理する。
夕刻に這い出て、阪急で西宮北口、芸術文化センターの小ホールへ。
*
風呂本佳苗さんのピアノリサイタル。
7年前からつづく新春の恒例行事である。
なぜか芦辺拓さんも毎年現れる。
今年のテーマは「シェークスピアを奏でる」。
ヴェルディの「マクベス」からリストの結婚行進曲(「夏の夜の夢」)まで2時間。
心洗われる思いで22時前に帰館。
と、この間にフランスのゲリラ兄弟(テロというより市街戦の様相である)、この間に人質とって立てこもりらしい。
日仏、えらいちがいである。
1月10日(土) 堀川戎
午前8時まで寝た。
目覚めれば、フランスのゲリラ戦は日本時間の深夜1時頃に特殊部隊?が突入、一応終結したらしい。
重装備、ダイナマイトやロケット砲を持った戦士が3日間(ほとんど目撃情報がないまま)走り回れるというのは信じがたいが。
山田正紀『三人の「馬」』(虚栄の都市)を思い出すなあ。
大阪は平和なもの。
昼前に放蕩息子の帰還……じゃなかった、ぼんくら息子その1が配偶者と帰省。
午後、堀川戎へ行くといったら、いっしょに行くという。街歩きが好きなのである。
(配偶者の方は専属料理人とデパ地下へ行くらしい)
ということで、阪急東の風俗地帯を抜けて堀川戎まで歩く。
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いつもは9日午前中に来るのだが、10日で土曜午後となると、さすがに人出が多い。
おっ、導師の席にゼンジー北京師匠が鎮座してはる。
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一昨年からタイムマシン業は「注文があれば受けまっせ」の消極経営にして、福笹の購入はやめていたのだが、ゼンジー師匠がいてはるなら話は別である。
なにしろゼンジー師匠にお祓いしてもらった年は15年間で最高益をあげたのである。
福笹を購入して「タネもしかけもちょとある」お祓いを受ける。
大阪の零細企業にあまねく福を授けるゼンジー北京師匠に栄光あれ。
あと、東側の参道に出て、天神橋筋商店街〜中崎町商店街を抜け、中崎町を通って帰館する。
福をまき散らさないよう、寄り道はしないのである。
ということで、夜は一族揃って盛大に鉄板焼き。
油煙で部屋が曇ってきたのではないかと思ったら、眼鏡に細かい油滴が付着しているのであった。
焼肉食べたらスタミナもりもりというのは、単に顔面に牛脂が付着してそう見えるだけではないかい。
セーターなどクリーニングに出さなければ。
1月11日(日) New Year Jazz Party
曇天が昼前になって快晴になったぜ。
昼、歩いて梅田新道のスーパードライ(昔のアサヒビアホール)へ。
新春恒例、ODJC主催「New Year Jazz Party」である。
おや、専属料理人が出迎えてくれた。受付の手伝いをしているのであった。
ということで、13時〜ODJC Brass Bandの「なつかしのニューオリンズ」から始まって、4時間半、9バンド出演のトラッド大会。
この間、飲み放題。料理の質はいかんともしがたいが、贅沢はいうまい。
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↑ラスカルズ。
代替わりも進行中で、脇本総一郎(b)くんのWAKYI・Jazz・Band(白木崇峰(bj)と釘貫葵の(tp)のトリオ)がフレッシュである。
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↑次世代のリズムを支える脇本・白木に栄光あれ。
滝川雅弘さんがロイヤルフラッシュのclで参加、これが圧倒的にいい。
デフランコがデキシーを吹いたらどうなるか。こうなるのである。会場の雰囲気が変わった。
ラスカルズは2管。バーガンディがたまらない。
と、ダラダラとビールを飲み(くどいようだけど料理はまずい)4時間半。
専属料理人と歩いて帰館。
夜は、ぼんくら息子その1とその配偶者が戻ってきたので、レンコン、椎茸、山芋、エビの天ぷらなどで白ワインを少しばかり。
*
こういうのをささっと作るあたり、専属料理人、たいしたものだ。
当然ながら、スーパードライより遙かにうまい。
天茶漬けといきたいところだが、さすがに昼間からの飲酒が過ぎて、やめ。
早寝するのである。
1月12日(月) 穴蔵
世間は3連休の3日目。
終日穴蔵。
昼前にぼんくら息子その1らが帰京するので見送り。それ以外は外出することもなし。
アタマ働かず、食欲もなし。
昨日の飲み過ぎのせいであろう。
1月13日(火) 穴蔵/ウロウロ
昨日は不調、夜、クリームシチューを少し食べ胃腸薬を飲んで早寝したら、午前3時に目覚めた。
気分爽快。
穴蔵にて集中的に雑事を片づける。
あとは某講座の資料作り、タイムマシン関係のことも少し。
未明にトースト一枚だけだったので、空腹になってきた。
昼前に専属料理人と出かけることにする。
中崎町を抜けて天五へ。
先日の某所で食べた焼きそばがあまりにも悲惨だったので、天五の立飲み通りの「つる家」へ。
*
これぞ焼きそばというのを食す。
うま。
「生」さらにうまし。
路地を抜けて、ぷらてん(天満市場)へ。
*
もともと青果市場だけに、野菜果物が充実している。
両手に計5キロほどの袋を持たされて、帰路はポーターに徹す。
ということで、夜は野菜色々メニューで安ワインを少しばかり。
健康の秘訣はなんといっても早寝早起きだなあ。
早寝するのである。
1月14日(水) 穴蔵
わ、午前3時に目が覚める。
朝まで本を読む。
そのまま終日穴蔵。
集合住宅関係でまたもややこしきこと2件あり、気が重く、仕事にならん。
あと実質4ヶ月(連休明けの総会まで)、なんとか早く過ぎないものか。
それまでは、長いものは書けそうにない。
夜は専属料理人が作ったオニオングラタンスープをメインに安ワインを少しばかり。
*
ケイジャン風でなかなかと褒めたら、ありふれたフランス風という。
ま、ラスカルズの賛美歌に合うからいいではないか。
昼間の鬱陶しさがなんとか解消されたので早寝。
本日は0歩。
1月15日(木) 『宇喜多の捨て嫁』
定刻午前4時起床、5時頃から雨になる。
午前9時に近所の某医院へ行ったらガラガラ、おれひとりである。
ふだん待合室にたむろしているのは、天気が悪いと来ない元気年寄りばっかりなんだなあ。
おれも血圧きわめて正常で、悪いところはないんだけど。
9時15分に帰館。
あとは終日穴蔵。
19時過ぎからビール飲んでたら、NHKで芥川賞のニュースが流れる。
え、明日と思ってたら今日が選考委員会だったのか。
20時過ぎに穴蔵に戻り、ネットで第152回直木賞は西加奈子氏『サラバ!』と知る。
木下昌輝『宇喜多の捨て嫁』(文藝春秋)は残念ながら受賞ならず。
木下さんにはさる11月22日に創サポのゲストに来ていただいた。デビュー作『宇喜多の捨て嫁』が出た直後である。
その翌月に『宇喜多の捨て嫁』が直木賞にノミネートされたのである。
もっと早く感想を書いておくべきだった。
「捨て嫁」とは、政略結婚以上、謀略のために嫁がされる大名の娘である。
表題作は、宇喜多家から後藤家に嫁がされる娘・於葉の行動を追う、合戦ではなく、徹底して謀略戦として描く視点が凄まじい。書き下ろし4篇を含む6篇、備前を中心とする群像劇で、二人称の文体を試みるなど、きわめて意欲的。
デビュー作が直木賞候補というのも凄い。宮内悠介さんの『盤上の夜』がそうだったけど。
SFから見れば、候補になったこと自体が一人前の作家も認められたということでもある。
(実はおれは創サポで木下さんのSF作品も読んでいるのだが、時代小説にしぼってからの木下さんの作品には凄みがある)
木下昌輝さんは、ともかく急成長中なんだし、注目株ということである。
ますますの活躍を期待いたします。
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