『マッドサイエンティストの手帳』574
●マッドサイエンティスト日記(2014年2月後半)
主な事件
・穴蔵の日々
・創サポ講義(22日)
・播州龍野いたりきたり
2月16日(日) 穴蔵
定刻4時起床。
終日穴蔵。
久しぶりに晴れたので散歩と思ったのだが、出歩くのが面倒になった。
集合住宅関係の雑事をやってると、たちまち夕刻となった。
夜は専属料理人にポテトのなんとかケーキ、鮭のムニエル、サラダその他を並べてもらって安ワインを少しばかり。
梅田の夜景を眺めつつ。
こういう場合はバド・パウエルがよろしいなあ。
*
それにしても、去年と較べても雰囲気が変わった。
彼方にグラフロが輝いているが、閉館したラマダ(旧東洋ホテル)が不気味だ。
2年後にはどうなることやら。
2月17日(月) 穴蔵/ウロウロ
朝だ。晴れている。浅田飴はいらないのであった。
大淀税務署へ行って確定申告の用紙を貰ってくる。
修正したデータで書き直し。
1時間の作業で還付金○千円アップ、まあ時給に換算すれば悪い仕事ではなし。
昼前に大淀税務署に提出。
あと、歩いて梅田へ。
ボンサラ時代の知人と会い、伊勢丹10階の美々卯にて天ざるで一杯。
おれより少し遅れての親の介護で、夜に居酒屋で一献というのが難しいのである。
いずこも似た事情多し。
ついでに「風の広場」に出る。
*
ああ貨物駅。
コンクリート塊が破砕されて、更地化は着々と進行している。
ヨドバシに寄って、デジ1用の「巾着袋」(ETSUMI製のポーチ、980円)を購入。専属料理人にキルト製の専用袋を作ってもらうつもりだったのだが、何でもあるんだなあ。
2月18日(火) 穴蔵/ウロウロ
定刻午前4時に起床。
穴蔵にて資料を読んで過ごす。
時々ニュースを見る。
大雪、バリ島でのダイバー遭難などあって、ソチ五輪一辺倒でないのはいいが、いちばん知りたい事件については報道いっさいなし。
他でもない、内閣府職員の水死事件である。
もう2週間になるのに、活字メディアも含めていっさい報道されない。
国家的な箝口令が敷かれているのだろうか。よくよくの機密事項なのか、ばれると国家的「恥」となるあほらしい事情が隠されているのか。
ソチはいいから、内閣府職員の行動を調べてくれ。
夕刻に近い午後、本日は中崎町界隈を1時間ほど散歩。
*
雑貨屋とカフェ、相変わらず増殖中だが、人通りはほとんどなし。
4℃。
粉雪がちらついてきたので、早足で帰館。
夜は専属料理人の並べた、ミストローネなんとか、鶏肉のかんとかグリル、エビやアボガドのサラダなどでイタリアン・ワインを少しばかり。
早寝するのである。
2月19日(水) 穴蔵/理事会
定刻より少し早く、午前3時頃に目覚めてしまった。
24時間ニュースでもチェック……と思ったら『地球防衛未亡人』の予告篇みたいなのをやっている。
心斎橋で上映中らしいが、わざわざ見に行くほどではないなあ。だいたいの面白さも予測がつくし。
この手のはSF大会なんかで上映して、みんなでチャチャ入れながら観るのがいいのである。(『日本以外全部沈没』はDVDで観てるけどね)
集合住宅関係の雑事色々。
昼前に眠くなり、3時間ほど昼寝。
また生活パターンが不規則になりそうな。
夜は集合住宅の理事会。
某調査診断の報告を受け、某アンケートの集計結果を見る。
このふたつは別テーマなのだが、ともに大がかりなことになりそうな。
わが任期(あと1年数ヶ月)中に進めるべきという、妙な雰囲気になってくる。
が、予想されるゴタゴタとそれによるストレスを考えると、明らかに寿命を縮めることになる。
うーん。
あっさり転居してしまうべきか……
2月20日(木) 穴蔵
終日穴蔵。
集合住宅関係の雑事。
10年前なら2、3時間で片づけられたことに半日かかってしまう。
能率が低下したなあ。
あとは資料を読んで過ごす。
と、夜(管理人不在時)になって、某共用設備が不調と連絡が来る。
面倒なことである。
管理会社のサービス部門に電話、寒い中待機、あれやこれやの後、結局は明日送りとなる。
播州龍野へ行くつもりであったが、来週に延ばさざるを得ない。
困ったものだ。
2月21日(金) 穴蔵
終日穴蔵。
明日の講義ための資料を読んで過ごす。
昨日の集合住宅のトラブルが引きずり、出歩くわけにいかず。
夕刻に近い午後に、やっと業者が来て、応急処理を行う。
面倒なことである。
夜はスペアリブなどでビール、ワインを少しばかり。
早寝することにする。
2月22日(土) 穴蔵/創サポ講義
穴蔵にて、色々読んで過ごす。
運動不足である。
夕刻に近い午後、天満まで歩くことにする。
梅田から水晶橋を渡り、中之島公園。
先端の剣先にて虹を鑑賞。
*
午後5時、日没前。日脚が長くなったなあ。
午後6時からエルおおさかで創サポの講義。
提出作品3篇を中心に。
・インフラが整備された未来地下都市を舞台にしたハードボイルド。設定がアシモフみたいで、話は中年男のところに美少女が転がり込んでくるところから。これ、一頃の全共闘系ハードボイルド(飲んだくれの中年男に若い女が「おじさん、どうしたの」なんて声をかけてくるパターン。そのナルシズムが鼻持ちならない)かなと警戒したら、それを逆手にとる陰謀であった。作者は女性で、なかなか冷酷だ。
・娘を無差別殺人で失った30代女性の変化を描く中編。ほとんどが女性心理描写で、自分を変えるためにヤヤコシイ部分の「美容整形」を受ける描写など恐ろしくなってくる。作者は男性で「中年男が女性心理を描写するのは無理筋か」と質問されるが、とんでもない、おれには到底真似の出来ない意欲作である。
・今川義元の生涯を「地味で目立たないが忠義な」家臣の視点で描く長編。今川義元となるとクライマックスが桶狭間と誰でも知っているわけだが、テーマは「経済史観」にあって、信長の「近代経済」に変わっていく過程が読ませる力作。
いずれも何作か読んだ作者だが、それぞれに新領域にチャレンジしている。こちらも準備にかなり時間がかかるのだが、商業誌の標準作を読むよりはるかに面白いのである。
帰路は地下鉄。
と、21時20分頃、御堂筋線がストップ。新金岡で転落事故という。酔っぱらいの転落か。
梅田からは歩いて帰館。
本日は6,650歩。
2月23日(日) 穴蔵
天気晴朗なれど終日穴蔵。
なぜか動く気になれず。
ボケーーーーッと過ごす。
いかんなあ。
2月24日(月) 穴蔵/ウロウロ
天気晴朗なれどいまひとつ気合いが入らず。
机の周辺を整理したり、本を読んだり。あまり生産的な仕事はできず。
いかんなあ。
運動不足なので、午後、散歩に出る。
ヨドバシの北側スクランブル、レンタカーが突入してくるのではないかと警戒してしまうなあ。
秋葉原→広小路通とくれば、大阪でやるならここだろう。グラフロの*リックス・レンタカーで借りたら200メートルほどだものなあ。
散歩のコースを変更する方がいいかも。
貨物駅の南側を回ってスカイビル。
農園で水彩画スケッチ。
*
デジ1でだけど。
たいした出来ではないな。
淀川堤を歩いて帰館。
6,517歩。
夜はトヨウケの湯豆腐、メンチカツにサラダという普通のメニューで「神の河」湯割り。
気分転換に、明日から播州龍野の書斎に移動する……つもり。
2月25日(火) 大阪→播州龍野
朝の通勤ラッシュが終わった頃の電車で播州龍野へ移動する。
晴れているが春霞がかかったような。PM2.5が濃厚らしい(大阪は午後に急上昇、70を超えている)。
マスク着用……気休めにしかならんけど。
昼前に本竜野着。
龍野書斎の室温は11℃。
落ち着いて机に……と思ったけど、やっぱり雑事いろいろあり。
午後1時間ほど龍野公園まで散歩。
* *
人影はほとんどなし。
あとひと月ちょっとで桜が満開とは信じがたい雰囲気である。
夜は豚キムチ鍋を買ってきて、豆腐、キムチ、もやしを追加してビール。
中華麺をぶちこんで「神の河」湯割り。
楽しきかなひとり酒盛。
ニュース。箕面で「白昼の通り魔」。
午後2時頃に会社員がカッターナイフで首を切られたという。これ、小松の親っさんのご自宅近くではないか。犯人(男)は走って逃げたというが、そう人通りは多くない場所だし、雑踏に紛れ込むのは不可能のはず。住人か?
2月26日(水) 播州龍野→大阪
わ、目覚めれば午前7時である。
播州龍野の方が熟睡できるような。
播州龍野の陋屋、1階50畳ほど換気して掃除機をかけたいところだが、本日もPM2.5濃厚である。
雨天の日に専属掃除婦を呼び寄せることにしよう。
雑事色々。
午後の電車で帰阪する。
本日は226で某記念日である。
白身のカルパッチョ、なんとかパイ、その他を並べてもらって、わが家としてはきわめて高価な×千円のワイン(某実家方面から頂いたという)を開栓。
うーん、樽の香りがなんたららしいが、よくわからん。
松田卓也先生の『2045年問題』に着手。
この問題については最近まで知らなかった。
改めて書くことに。
2月27日(木) 穴蔵
雨が降り続く。
終日穴蔵。
終日寝て暮らす。
睡眠が不規則といってたら、専属料理人が敷き布団を追加してくれたのである。頭部から脚部までわたの厚みが調整してある「バランスタイプ」というやつで、確かに寝心地がいい。
ということで、終日布団にて本を読んで過ごす。
まさに松田卓也先生推奨(?)の「明るい寝たきり生活」の実践である。(※)
ニュース雑感。
・ISSの宇宙飛行士が船外活動中、ヘルメット内に1.5リットルの水がたまって窒息死する危険があったという。
宇宙服のヘルメット内でゲロを吐いて「助かる」話を書いたことがあるけど(「真空漂流」)、案外リアリズムだったんだなあ。
・カリフォルニアに住む夫婦、庭で缶に入った金貨1400枚を発掘、「1枚100万ドル」のも含まれているという。
これで思い出すのは「武田の埋蔵金を掘り続けている一族」……70年代にはまだ継続していたはずだが、その後どうなったのか。あと50センチだったかもしれんぞ、ご遺族さんよ。
※松田卓也『2045年問題』(廣済堂新書)
副題は「コンピュータが人類を超える日」
ムーアの法則が代表的だが、コンピュータ技術の進歩は指数関数的で、その結果2045年に「技術的特異点」に達する。その前後に何が起こるか。多角的に考察された、たいへん刺激的な本である。
コンピュータと人類の未来について4つのシナリオが提示されるが、「明るい寝たきり生活」はそのひとつで、おれもこれがいい。(どんな生活かは本書に当たってください)
面白そうなのだが、確実なのは、おれが2045年に立ち会うのは不可能なことである(生きてても101歳)。そうか、すぐにでも「義体化」実験に参加して延命をはかる手もあるか。
2月28日(金) 穴蔵/ウロウロ
よく寝た。
一昨日の夜から、延べ30時間ほど寝ていたような。
むろんずっと眠っていたわけではなく、睡眠と読書の繰り返しである。
あまり寝心地がいいのも考え物だな。
運動不足なので、昼前に専属料理人と出かける。
地下鉄で本町へ。
富士フィルムフォトサロンで「日本の写真史を飾った写真家の『私の一枚』」を見る。フォトサロン、今は丸紅の1階にあるのだった。
ボンクラサラリーマン時代の勤務先周辺を散歩。
博労町の「うな茂」で遅めのランチ。
わ、うな茂定食、3年前に較べると、高くなったなあ。
新梅田食道街の菱竹みたいにステーキ屋(!)に転業した店もあるほどだから、時代の流れであろうな。
心斎橋から地下鉄で帰館。
ソチが終わって、やっと面白いニュースが報道されるようになった。
・「全日展」で前会長が相当数の「受賞作」を「自分で書いて捏造(?)」
要するに、架空の名で書いた自分の「書」を自分で受賞作にしたらしく、佐村河内とは逆パターン。
犯人(?)の龍源斎大峰はん、ネズミ講かマルチ商法の親玉かと思ったら、書家であったか。
しかし、何十枚もの「受賞作」を書き分けるとは、なかなかの実力ではないか。
・ソチ騒ぎで気づかず、今ごろ山本邦山の訃報を知る。
山本邦山といえば『銀界』が知られているが、おれが面白いと思うのは1964年に日本に来ていたトニー・スコットとの競演盤「禅」(MUSIC FOR ZEN MEDITATION)だ。尺八、琴、クラで、ジャズというより、スコットが邦楽に歩み寄ってきた雰囲気。ファンキー・ブームの時代にこんな演奏やってたのだから、恐ろしく先駆的だ。
ということで、夜は湯割り飲みつつ禅で瞑想する。
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