『マッドサイエンティストの手帳』564
●マッドサイエンティスト日記(2013年10月前半)
主な事件
・大阪←→播州龍野いたりきたり
・SACLA見学(1日)
・SF検討会(4日)
・ラスカルズ@ニューサン(12日)
・蕪村エリアを行く(13日)
10月1日(火) 大阪→播州龍野/SACLA見学
早朝の電車で播州龍野へ移動する。
ひと月ぶりである。
雑事色々。
昼過ぎにクルマで出て、スプリング8へ向かう。
約30分の距離。
相生からバスで来たSF作家クラブ・関西在住の有志諸氏と構内のバス停で合流する。
X線自由電子レーザー施設SACLAの見学意見交換会である(一般見学というと入場に問題あるやもしれず、おれは零細タイムマシンメーカーの代表取締役として参加)。
春の施設公開にこの前来たのが5年前で、まだ建設中(XFELと呼ばれ、まだSACLAの名はなかった)であった。
矢橋先生から色々とレクチャーを受け、あと全長700メートルの施設を案内していただく。
* *
左端が電子銃側。広角でもカメラに収まらない。
加速器棟だけで400メートル、棟内移動が自転車というのがいいなあ。
説明聴きつつ右端の実験研究棟まで歩いて1時間以上かかった。
*
定番位置で記念撮影。
あと色々と質疑応答やってたら18時を過ぎてしまった。
播州の高原、たちまち暗くなる。
あと、相生で懇親会という話があるのだが、おれはクルマなのと、あまり飲めない事情もあって、ひとり寂しく播州龍野の実家に戻る。
田舎の夜は早いのである。
10月2日(水) 播州龍野
久しぶりに播州龍野にて目覚める。夏場は日帰りばかりだったから半年ぶりか。
雑事山積。SFともタイムマンンとも関係のない、たとえば掃除とか雑草処理とか夏物の整理とか、いわゆる下男仕事。
本日も秋晴れで、適当に体を動かしている分には快適である。
近所を散歩。
ひと月来ないうちに季節は変わっている。すでに刈り取られた稲田もあり。
*
彼岸花は萎れ、もうコスモスの季節なのである。
夜は昨夜と似たようなメニュー。
即ち味三昧で840円の豪華弁当を買ってきて缶ビール、いと少なしを。
調理が面倒になったわけではないが、こちらのスーパーではひとり分の食材を売ってないのである。
夜のニュースで「帝銀事件・平沢の「養子」平沢武彦(54)氏が孤独死」という。
ちょうど読み始めた芦辺拓『時の審廷』と妙にシンクロニシティを覚えるのであった。
これは時代を呼び寄せる作品なのか?
10月3日(木) 播州龍野→大阪
午前6時、播州龍野にて目覚める。
明るくなって目が覚めるというのは健康的でよろしい。
雑事のつづき。
午後の電車で帰阪する。
ちょっと疲れた。
早寝するのである。
10月4日(金) 穴蔵/SF検討会
定刻午前4時に目覚める。
朝の気温は外20℃、室内26℃と快適で、穴蔵にこもっていたいが、所用あり、昼前から外出。
3時間ほど梅田ウロウロ。
定例コース、ステーションシティ「風の広場」から貨物駅をながめ、ついでに「屋上農園」まで上がってみる。
こちらもコスモスが満開であった。
15時に帰館。
夕刻、かんべむさし氏が来穴蔵。
久しぶりに定員2名内容非公開のSF検討会を開催する。
きれいな旨みの本格麦焼酎「ささいなた」をいただく。
ラベルが黄金のカエルだが、先日NASAで打ち上げ時に宙を飛んだカエルに似ているなあ。
薄い水割りをなめつつ、「技術史と小松左京文明」とか、精神科医の「お商売」とか、「発表できる可能性がまずない」原稿の扱いとか、「枝雀らくごの舞台裏」について論じていたら、4時間近くが経過。
……ちなみに、かんべ氏はこちらの「9月・秋の特別篇」を見てもわかるとおり、SF・小説・笑いについて、明らかに枝雀的に考えるタイプであり、おれは半世紀以上「SFとは何か」について、もともと考える必要がないから、定義上の迷いが生じたことなど一度もない(作品の出来が悪いことについては落ち込むけどね)。どちらがいいとかエライというものではないのだが、おれはSFに関しては脳天気というか、じつに気楽なのである。
悩みがないので早寝する。
10月5日(土) 穴蔵
わ、夜中に目が覚めて本を読んでいたら、朝7時まで寝てしまった。
別に誰に迷惑かけるわけではないのだが。
10月の朝顔。さすがにもう力尽きかけている感じだ。
夏が終わる。Too late.
終日穴蔵。
公園横のポストまで歩いただけ。
冊子小包の投函のため。
書籍やCDを送るには、費用、スピード、営業時間、営業所までの距離など、すべての点でヤマト運輸のメール便の方がよく、この数年、もっぱらメール便を利用してきた。
だが、来年消費税アップになると、郵便物には1-2円の切手を貼り足すことになりそうで、そんな面倒な作業はできないから、3000円分ほどある切手が無駄になること確実である。
これからしばらくは冊子小包で切手を使い切ることにする。
その後は郵便局は利用しない。この際、年賀状もやめるか。
ちょうどいいタイミングかも。
ということで、たちまち夕刻。
某料理人の誕生日(完全に失念)だそうである。
肉料理メインで、けっこういい(らしい)ワインを少しばかり。
*
PiPiがパンのカリカリ部分をもらっておる。
10月6日(日) 穴蔵
眠り不規則であったが、午前4時半に起きる。
朝から机に向かう。
6時に朝食。
またパソコンに向かって仕事。
わっ、12:02に地震。震源は高槻? ドスンと縦揺れしただけで、上階で何かが倒れたのかと思った。
昼食後、また机に向かう。
夕刻に一区切りつく。
マジメな一日であった。毎日そうすればいいじゃねえか。はい。
そうしたいのだが、明日から3週間ほど集合住宅の某工事が始まる。在室しているとわかれば、何かとややこしい話が持ち込まれそうで気が重い。もめ事が1件あるだけで、仕事する気力が失せてしまうからである。
明日の打合せは行うが、あとはしばらく逃げ出す算段をした方がいいようである。
ノンアルコールにて粗食。
早寝するのである。
10月7日(月) 穴蔵/マーガレット
集合住宅の某工事スタート。
朝9時に「業者」がとつぜん穴蔵のチャイムを鳴らす。
管理人に「工事担当者が来たら連絡してくれ」と伝えておいたのに、管理人が勘違いして「部屋に来い」といったと思ったらしい。めったにやらないことだが、管理人を叱責。予告なしの戸別訪問は警察にも禁止したというのに、何をトチ狂っているのか。理事長も一住民なのである。
打合せのあと、戸別への直接チャイムは「工事対象者の工事予定日に限定」の掲示を作成して張り出す。
面倒なことよ。
この分だとまた何度かありそうだなあ。
穴蔵にこもるが、気分落ち着かず。どこかへ逃げ出したくなる。
で、逃げ出すわけでもないが、夕刻に近い午後、天六のマーガレットへ。
某資料の返却など。
ついでにハートランドをいただく。
うまーーーーっ。キムチになんとかゴマを振りかける。うまーーーーっ。
店内の一角にダンボールが並べられていて、LP数百枚(千枚近い)という。
先年亡くなられたKさんのコレクションで、マーガレットに寄贈されることになったのだとか。白木くんの人徳であろう。
トラッド系中心で、稀覯盤もあるらしい。ジャズファンの客にとってはありがたくも嬉しいことである。
さっそくアルバート・ニコラスをかけてもらう。
ハートランドに合うなあ。
マーガレットは本来たこ焼き屋なのだが、いつの間にか、ライブもやれるジャズスペースに変わってきた。
ジャズたこ焼きSFつきのマーガレットに栄光あれ。
10月8日(火) 穴蔵
曇天なり。
ぶらっとどこかへ出かけたかったが、本日から集合住宅の某工事が本格的に始まるため、不在だと何かあった場合の連絡に困ると専属料理人からクレーム。
ま、2、3日はしかたないか(3週間ほどかかる予定)。
穴蔵にて仕事……のつもりだが、いまひとつ落ち着かない。
工事のトラブルはないが、ケーサツが来て、また防犯ビデオ。通り魔に似たヤツが前の道を通ったと通報があったらしい。
たいして生産的なことできぬまま夕刻となる。
【ニュース雑感】
・札幌で、タオルケットに穴が開いていたと「しまむら」の女店員2名を土下座させ、写真をツイッターに投稿した青木万利子(43)が「強要容疑」で逮捕された。
・発売前の週刊文春を撮影、画像をネットに投稿した配送バイトの佐藤秀樹(44)が著作権侵害で逮捕された。
同情はしないが、ともに一罰百戒の気配濃厚だな。
と、NHK「クローズアップ現代」が「土下座」を取り上げている。
へえ、テレビドラマで土下座シーンが人気なのか。
たしかにその前から企業の不祥事で土下座報道が多かったからなあ。土下座がお詫びの定型になっているのだ。
しかし「靴でビール」には及ばないな。
テレビドラマも、これからは「靴ビール」やってほしい。
10月9日(水) 穴蔵
曇天なり。
わ、午前9時前、とつぜんえげつない土砂降りになった。
台風24号が日本海通過中。
集合住宅のわが「自宅」の工事時間と重なったため、たいへんである。
角部屋なので雨が容赦なく吹きつけ、作業員諸君はだいぶ濡れたような。
ま、工事は専属料理人まかせで、おれは関係なく、穴蔵にこもる。
雨は1時間ほどでやみ、たちまち青空となった。
少しは仕事もするのであった。
10月10日(木) 穴蔵/京橋
昼前、ちょっと調べたいことができて、旧「アパッチ居留地」へ行くことにする。
地下鉄中津からのバスはほとんどが守口車庫前行きだが、30分に1本、京橋行きがある。
どんな経路か知らないが、これに乗ってみる。
バスは毛馬橋を渡り、大東町→赤川3丁目、右折して高倉町→都島本通、左折して東野田から京橋にいたる。
ずいぶん遠回りだが、赤川商店街や森小路方面など、昔(70年代はじめ)うろうろした場所を通過、昔のままの店もあり、途中下車したくなる。
近いうち自転車で来ることにしよう。
京橋まで35分200円かかった。大阪駅まで歩いて環状線160円の方が安くて早いな。
旧「櫓」の先まで、30分ほどウロウロ。
思い違いが気になっていたのだが、記憶どおり、耄碌はしていなかった。
京橋にもどって、数年ぶりに「京橋浪花」できつね。
うまーーーーっ。なんといっても15秒で出てくる早さがすばらしい。
やはり立ち食いでは屈指の名店である。
帰路は環状線。
豊崎西公園南側の中本酒店で兄ちゃんお薦めの「金賞ワイン」を買って帰る。
夜は枝豆、串カツ、サラダなどでドライゼロ。
あと、ブルスケッタでワインを少しばかり。
後藤勇一郎『私季』を聴きつつ。
秋であるなあ。
10月11日(金) 穴蔵/ウロウロ
朝6時の気温、室温30℃、外は26℃。テレビは喧しいことだが、おれには快適である。
終日穴蔵。
……のつもりであったが、連休明けに集合住宅の理事会があるので、その準備をしなければならぬ。
通り魔や不審者侵入があったものだから、防犯関係の告知と防犯カメラについて、管理規約を整備しなければならない。
昼前から徒歩圏をウロウロすることに。
他の集合住宅の防犯カメラや「防犯表示」がどうなのか視察のためである。
おれひとりでは不審者と思われそうだから、専属料理人に声をかけたら、喜んでついてきた(そのため、昼は菱竹で鰻丼を振る舞うことになってしまったが……管理組合に振るわけにはいかんわなあ。政治家なら平気で「視察費」に計上するんだろうけど)。
ということで、本日の昼前後、北区の集合住宅の防犯カメラにデジカメ持った不審者の映像が残っていると思うけど、敷地外からの見学ですから。
14時過ぎに帰館。
あとは管理規約の改訂案と細則の試案作成。
面倒なことである。
10月12日(土) 穴蔵/ラスカルズ@ニューサン
午前4時に起きてきちんと机に向かう。
室温29℃、外は25℃。冬は近い。
早朝に報道番組を見ていたら、明日から始まるドラマの予告が流れた。
キムタク主演の『安堂ロイド』だと(失笑)。
そこで……
【大予言】キムタクのSFドラマは大コケするぞ。
視聴率低迷が約束されているようなもの。
なんといってもTBSのやるSFものはあかんのだよ。
ちょうど10年前に、日本初の有人宇宙飛行を描く連続ドラマがあるというので、宇宙作家クラブ会員としては、期待してテレビに向かったものである。結果は、唖然呆然憤然憮然……なんじゃいな、これはと、言葉も失う大愚作。
(Wikipediaにもこちらに記載されている。神話的アホSFなのである)
おれはSFドラマを否定しているのじゃないよ。
TBSがダメなのと、キムタクで「愛がどうとか」いってるものだから、こりゃあかんわと確信したわけ。
その低迷ぶりが楽しみである。むろん見ないけど。
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終日穴蔵。
非SF系の雑事を色々。
専属料理人は昼前に知り合いに誘われて甲子園へ行ってしまった。長年大阪で生活していると、いつの間にか阪神ファンになってしまったらしい。
クライマックスシリーズが今日からという。
おれが職業野球を見ていた頃にこんなものはなかった。潔さのないことである。
両リーグの覇者が闘うのが日本シリーズであろうに。
ナベツネが始めたのか。選手会も一応はスポーツマンであるからには、反対しなかったのだろうか。
ま、ナベツネが死んだら廃止されるだろうけど。
本日は神戸ジャズストリートの日でもある。
だが、今年から、ニューオリンズ・ラスカルズは出演しない。フルメンバーで数ステージ演奏するのが難しくなったからである。
ラスカルズの出ないバプチスト教会へ行ってもなあ……
ということで、夜、ニューサンに出るので、そちらに聴きに行くことにする。
と、甲子園から帰ったきた専属料理人もいっしょに行くという。遊びすぎではないか。
(阪神ボロ負けだったらしい。神戸でどこかのバンドが「タイガーラグ」を演ったのだろう)
ニューサン、満員の盛況。ラスカルズは河合さんと福田さんの2人で、リズムセクションは神戸面帰ってきたニューオリンズ・フォーティズの面々。
*
本日も正面席で。
「セントジェームス病院」がたまらないねえ。
深夜近くに帰館。
10月13日(日) 穴蔵/ウロウロ
夜更かししたので、午前6時起床となる。
室温26℃、外は18℃で、20℃を切る。
いかん、アタマがボケーーーーッとして働かない。
世間は3連休の中日だから、おれも仕事はしないことにする。
天気がいいので、先日バスから見て気になったエリアへ自転車で行ってみることにする。
豊崎〜天八〜長柄〜毛馬橋を渡って大東町〜赤川3丁目へ。
赤三商栄街……さびれたなあ。
右折、バス路線に沿って赤川1丁目へ。
バス停裏側の居酒屋「大関」はそのまま残っている。
70年代はじめ、ここの2階でビールを飲みながら、城東貨物線を走るSLを眺めたものである。
その城東貨物線の高架が工事中である。
*
新駅ができるらしい。
城東貨物線改め「おおさか東線」の都島駅(仮称)である。
そうか、バス通り裏の大関は、駅前居酒屋になるのか。よかったではないか。
(ちなみにこの駅は地下鉄も京阪もJRにも連絡していない。大関の反対側に赤一のバス停があるのみ。その分、住民にとっては便利な駅ともいえる。赤川鉄橋の「人道」が閉鎖された埋め合わせであろうか)
大東商店街(今は「蕪村通り商店街」というのか)を抜ける。
ここもさびれている。
当時「大東文化」という映画館があって『トルコ風呂王将戦』はここで見たことを思い出す。
毛馬橋から大川に沿って都島橋まで南下。
都島橋を渡り、天六経由で帰館。
ちょっといい運動になった。
10月14日(月) 穴蔵/「週刊朝日」危篤
秋晴れである。
終日穴蔵。
世間は3連休の最終日なれど、A興業はんが頑張って集合住宅の工事をやっとるので、理事長としては、なるべく在室している方がいいのである。
SF系のことはできず。理事会用資料づくりに勤しむ。
産経のコラムで、「週刊朝日」編集長・小境郁也が懲戒免職になったことを知る。
去年の「ハシシタ」騒動で前編集長が更迭されたが、新任の小境郁也がセクハラで懲戒免職。
それも「週刊文春」がすっぱ抜いたから、発売前に懲戒解雇にしたらしい。と、あくまでも前記コラムから。
文春の記事は読んでいる。
大阪では、橋下が選任した校長のセクハラ率が高いが、小境郁也のそれは、契約社員に正社員にしてやるからと体を要求したというから、ケタが違うわ。その他女グセの悪さゾロゾロ。それも常習化していたとは……
ということで、昼過ぎ、散歩のついでにジュンクドーで「週刊朝日」を15分ほど立ち読みする。
廃刊の危機というのもむべなるかな。こんな週刊誌、来週消えても誰も気づかないのではないか。それほど読む記事なし。
唯一面白いのが、亀和田武「マガジンの虎」という書評コラムだけとは(亀ちゃん、「本の雑誌」のサンリオSF特集を取り上げていて面白い)。
ともかく週刊誌1冊の中で、読むに値する記事が2〜3枚のコラム1篇というのは尋常ではない。
それ以外、なんもなし。連載陣の老化もひどい。山藤章二の頁は見る気も起こらず、東海林サダオはとっくに寿命を過ぎている。「橋下の失速記事」(堺市長選敗退、都構想頓挫、維新分裂)を載せているが、橋下が登用した民間校長のセクハラ率の高さに触れてないのはいかんなあ。書けんか。
結局、週刊朝日はハシシタと共倒れの運命か。
ともに冥福は祈らんけど。
10月15日(火) 穴蔵
いかん、睡眠が不規則になってきた。
本を読んでいたら目が疲れて眠くなり、本を閉じたら眠れず、30分ほどうたた寝。
この繰り返し。
6時に朝食。
その後も午前中、同じパターンがつづく。
午後、雨が強くなり、台風接近の場合の工事予定変更など、集合住宅関係の打ち合わせなどあり、生産的な仕事はできぬまま夕刻となった。
ほぼ終日、室温26℃、外は21℃。
布団、衣類などを秋冬モードに変更する。
風雨は明日未明がピークらしい。
早寝はできそうにないが、横になって本を読むことに。
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