『マッドサイエンティストの手帳』426

●マッドサイエンティスト日記(2008年4月後半)


主な事件
 ・マホガニーホール(19日)
 ・N.O.JAZZ カーニバル(20日)
 ・天満JAZZ倶楽部(20日)
 ・「live image 7」(25日)
 ・SPring-8施設公開(27日)


4月16日(水) 播州龍野の日常
 曇天から雨となる。
 下男仕事を片づけた後、タイムマシン格納庫にて組立作業。
 本日は室温16℃である。昨日とは極端な違いなり。
 ほとんどドライバーとスパナーによる作業だが、おれはボール盤も旋盤も使えるし(廃棄したけど)フライス盤も使える。ハンダ付けも(鉛フリーやRoHSでややこしいけど)ちゃんとやれる。
 ただ、諸般の事情により外注に回すことが多く、出番が少ないのが残念である……なんてことを書くのは野尻抱介さんの
何やってるんすか作業を見て、いささか嫉妬するからである。
 おれも似たような作業をやっとるのだが、どこからも「おっさん、何やってるんすか」という声はかからないものなあ。
 ま、こちらは本業だし、機密を要する作業だものなあ……と、あまり本気にしないように→エシュロンくん。
 ということで、本日も肉体労働の後、早めのダレヤメ。
 そろそろ就眠。

4月17日(木) 播州龍野の日常
 終日雨。
 午前、後期老齢者つうかほとんど末期の老母を定期検診のためにI医院へ連れて行く。
 ふだんより空いている感じだが、これは保険制度ではなく雨だからであろう。
 その老母、この2、3日耳鳴りがするといったために、クスリをドサーーーーーーーッと出された。嗚呼。
 症状はひとつだが、付随してビタミン剤とんなんとかが付いてきて、顆粒1袋+錠剤1+カプセル1が、ふだんのクスリに追加される。
 とてもじゃないが、本人が管理できるものではない。
 全部捨ててしまおうか、かなり迷うが、おれひとりで決められることでもなし。
 嗚呼。
 午後はタイムマシン格納庫にて作業。
 不足部品が判明、大阪に戻りたいが、老母事情で土曜日まで延期になりそうな。
 鬱陶しいことばかり。

4月18日(金) 播州龍野の日常
 急激な鬱気分に陥った。
 田舎ストレス+色々。
 雑事は片づけるが、生産的な仕事は何もできない。
 明日は帰阪できそうである。

4月19日(土) 播州龍野→大阪/日本橋/マホガニーホール
 朝も早よから下男仕事。
 朝食後に、慌ただしく荷物を整理して、大阪へ移動する。
 9時前というのに姫路駅前、心なしか人出が多い。「姫路菓子博」なるものが始まったためか? 「酒博」ならいいのだが。
 いったん穴蔵に帰館の後、ただちに地下鉄で難波へ移動。
 日本橋のナニワネジ、道具屋筋の*文字厨器でタイムマシンの部品を手配。
 なぜ道具筋の「厨器」店で?と思われるかもしれぬが、ここでしか入手できぬ「匠の技」が生かされた部品があるため。中国にコピーされない秘密のひとつなり。
 で、道具屋筋を抜けたところ、ジュンク堂の前で、日本ビクターが限定製造販売しているという「一体型ウッドコーン」のコンポ「EX-B1」の実演販売というのを3日間限定でやっている。
 これまた「匠の技」製品らしい。
 
 これが、これがえげつなくも凄い音。価格を聞いてびっくり。……15万くらいなら間違いなく衝動買いしていただろう。
 一般店では扱わずネット販売もしていないというが、
こちらには案内が出ている。
 BOSEの対抗商品という位置づけであろうか。
 さらに北へ歩く。
 道頓堀……くいだおれの前、なるほど野次馬ですごい人出であるなあ。
 人混みをかき分けて「金玉料理」を確認するが……やっぱりない。もはや幻のメニューである。
 心斎橋まで歩いて、マホガニーホールへ。
 ラスカルズと親交のあるカリフォルニア・ランブラーズ(7人)が来日していて、本日は内輪的コンサート。
 
 リーダーはファイア・ハウス・ファイブのメンパーの子息とか、色々と歴史を感じさせるなあ。
 夕刻まで。
 土曜なので、引き続きニューサントリー5でラスカルズとのライブということだが、田舎疲れがひどいので、まっすぐ帰館。
 雑事が溜まっているが、すべて来週送りである。

4月20日(日) N.O.JAZZカーニパル/天満JAZZ倶楽部
 快晴なり。
 早朝から、少しは雑用も片づけるのであった。
 朝5時過ぎから「日本の話芸」で桂都丸さんの「桜の宮」も見たけど。
 昼前に、専属料理人と梅田新道の「スーパードライ」へ。
 春恒例の「ニューオリンズ・ジャズ・カーニバル」で、おれは自転車で販売用の「ジョージ・ルイス」を運ぶ。専属料理人はスタッフとして受付の手伝い。
 13時、末廣光夫さんの挨拶、クリスの司会で演奏開始。
 トップは(昨日に引き続き)カリフォルニア・ランブラーズ。
 ハッピー・デキシーで、ステージ最後の曲が、途中から「鉄腕アトム(アストロボーイ)」になって、これは大受けである。
 つづいてN.O.グローリーランド・ジャズバンドの演奏……この途中で、書籍販売は専属料理人に任せて、中座。
 自転車で天六の
ワイルドバンチへ移動する。
 休日の梅田は人気がなくて爽快である。
 本日は「天満JAZZ倶楽部」の例会と重なったのである。
 ナビゲーターのSさん(「ジョージ・ルイス」の販売にも尽力してくださった方である)、先月から東京転勤となったのだが、わざわざ東京から大阪まで。この姿勢に敬意を表して。
 「天満JAZZ倶楽部」の例会は、別にむつかしい集まりではなく、ジャズ好き・ジャズに興味のある人が自由に集まるサロンの雰囲気である。
 本日は「土着ジャズ」というテーマで、ラテン(主にキューバ)〜フラメンコ(スペイン)〜ジプシー・スイングという流れ。通俗そのもの(ペレスプラード)から珍しい音源まで色々、この幅の広さが面白い。
 ハードバップ中心でなく、なんでもありなのである。
 ジプシー系が気になるが、2時間ほどいて中座。店じまいがあるからなあ。
 スーパードライに戻ると、こちらはクライマックス。
 ゲリー・グリーンと河合良一の2clセッションがたまらない。
  
 最後は例によって「聖者の行進」で演奏者もファンも場内を練り歩く大騒ぎ。
 この勢いは5月5日のビッグリバー・ジャズフェスに継続されそうな。
 ということで、片づけの後、専属料理人と黄昏の梅田を抜けて帰館。
 夜は専属料理人にキャベツ・アスパラなどどっさりの春パスタを作ってもらって白ワイン。
 充実した休日であった。
 明日こそ少しは仕事もしなければ……。

4月21日(月) 穴蔵
 終日穴蔵。
 少しは仕事も……しないといけないのだが、色々と読んだりボケーーーーツとしているうちに時間が過ぎてしまう。
 明日から田舎行きである。

4月22日(火) 大阪→播州龍野
 寝たり起きたり読んだりパソコンに向かったりしているうちに朝になったてしまった。
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 関連資料10冊ほどバッグに詰め込んだので、かなり重い。
 到着後、下男仕事色々。
 午後はタイムマシン格納庫にて組立作業。
 天気がいいので、室温33℃まで上昇した。
 というわけで、とうぜん夜のビールが旨いのだが……おれとしては珍しく控え目にして、老母の就眠後、少しは仕事もするのであった。

4月23日(水) 播州龍野の日常
 わ、夜更かししたものだから、午前6時半まで寝てしまった。
 老母が起床してゴソゴソ動き始める物音で目が覚めた。
 慌てて下男モード入り。ややこしいことである。
 朝の雑事片づけの後、少し仕事。老母が眠っている間しか仕事に集中できないとうのは困ったものだ。
 午後はまたもタイムマシン格納庫にて組立作業。
 午後は曇天だが、室温30℃まで上昇。
 ということで、1件は片づいたので、本日は、夕刻に軽くビール。
 老母が寝てから、キムチ・カイワレ・トマト・ハムをぶち込んだ盛岡冷麺で「神の河」水割り。
 酩酊寸前……だが、まだ午後9時過ぎだ。
 田舎の夜は早いなあ。

4月24日(木) 播州龍野→大阪
 今朝も早よから下男仕事。
 引き続きタイムマシン格納庫にて組立作業。
 昨日の室温30℃が本日は雨で16℃……これはおれには肌寒い気温である。
 石油ストーブは昨日片づけてしまったというのに。
 とりあえず夕刻で区切りとする。
 老母の夕食の世話をした後、夜、大阪へ移動する。
 22時帰館。

4月25日(金) 穴蔵/「live image 7」
 わ、目覚めれば7時半。
 疲労が抜けない。
 終日穴蔵にて雑事色々。
 夕刻、専属料理人と梅田地下街を北端から南端まで歩き、フェスティバルホールへ。
 『live image 7』というコンサート。
 どういうわけか、ボンクラ息子その1がチケット2枚を送ってくれたのである。
 フェスティバルホールは来年には取り壊されるから、ここで聴く最後のコンサートとなりそうな。
 ストリングスの入ったオーケストラをバックに出演者が次々登場、自分で短いMCもやって2、3曲演奏するという、ごくシンプルな構成。「顔見世」的な雰囲気である。
 背景に巨大ディスプレィが置かれてていて、映像とのコラボもあり。
 出演は、登場順に、松谷卓(p)、小松亮太(バンドネオン)、羽毛田丈史(p)、宮本笑里(vln)、加古隆(p)、元ちとせ(vo)、古澤巌(vln)、ゴンチチ(g)。さらに色々な組み合わせで数曲。
 ……こういう音楽はどうジャンル分けしたらいいのか。
 映画やテレビの主題曲などが多くて、全体にゆったりした曲想が似てないではない。
 ただ、初めて聴いたのだが、古澤巌が異彩を放っていた。
 あとは「宮本文昭の奥さんは凄い美人にちがいあるまい」という、音楽とはあまり関係ない感想を専属料理人と述べあったのであった。
 終演は午後10時前になった。
 夕食がまだだったので、何か食べようと、キタ新地〜曾根崎〜阪急東通と歩くが、連休前の給料日というせいか、午後10時でも若い人でごった返している。(後でわかったことだが、これで阪神が勝っていたら、梅田はさらに大騒ぎであったろう)
 想定していた店はほとんど満員か22時半で閉店とかLOが早くなっていたり。
 中崎西まで来たが、なんと「大甚」も満員である。
 結局、近所の食品スーパーで閉店間際に慌ただしく買い物して帰館、専属料理人が20分ほどで色々作ったり、残り物を並べたりしてくれて、午後11時を過ぎての晩酌となった。
 ちなみにメニューは、焼き空豆、中トロ刺身、じゃが煮たの、焼売2個、キャベツと豚肉の煮物でビール、冷麺で仕上げ。
 なかなか豪華なもの。これ、ご近所の「○春」より旨いと思うぞ。
 ま、安上がりであった。

4月26日(土) 穴蔵
 終日穴蔵。
 居住する集合住宅の大規模修繕工事、廊下側の壁面や扉の塗装段階に入り、建物全体に溶剤の臭いが立ちこめているような。
 気分はラリラリなり。
 仕事もしなければならぬのに、アタマがまるで働かない。
 昼前にやっと気づいてテレビを見る。本日は長野で聖火ランナーの「護送」が行われているのだ。
 ニュースでちょっと見たが、たいした騒動ではないなあ。
 ただ、この聖火騒動、おそらく4年後にも継続、今度はイスラム系が聖火テロを企むことになろう。
 聖火リレーが政治的アピールの絶好の機会であることを全世界が知ってしまったのだから。
 イギリスが5大陸なんて愚挙をきっぱりと中止、最小限の経路に変更する英断をするかどうか、今から注目されるところだ。
 ということで、仕事らしきことしないまま夕刻になってしまった。
 晩酌。
 早寝するのである。
 明日は早朝に播州龍野へ移動せねばならぬ。
 スプリング8の
施設公開の日なのである。

4月27日(日) 大阪→播州龍野/SPring-8施設公開
 早朝の電車で播州龍野へ移動する。
 到着後、最小限の下男仕事を片づけ、直ちに播磨科学公園都市へ向かう。
 本日は「SPring-8」の施設公開の日である。
 わが田舎の陋屋から「光都」の駐車場まで、約30分。ここからシャトルバスで、午前10時前にSPring-8の中央管理棟前に着いた。通勤圏感覚である。
 職員総出の雰囲気。
 まず巡回バスで一回り。外観を眺める。
 
 中央の三原栗山は蓄積リング内に残されていて、先日、熊が出たとか。
 リングの内周外周と周辺施設を一周のあと、内部見学。
 中央制御室で「2400万画素の超精密ディスプレイ初公開!」……これは羊頭狗肉の感あり。SAMSUNGの市販ディスプレイが24面3*8で並べてあった。
 続いて実験ホール。
  
 地下通路を通って、リング内側の放射光発生装置(蓄積リング)を見る……この先がシンクロトロンとの「合流部」である。
 ところで、わが記述、林譲治さんの
去年のレポート以上の新情報はあまりない。「2400万画素ディスプレイ」くらいのもの。
 今年の「目玉」は『神様のパズル』撮影現場である。  機本伸司さん原作のが映画化されることになり(6月公開)、昨秋ここ(実験ホールの一角)で撮影されたのである。
 
 ということで、おれもここで記念撮影。
 また巡回バスに乗って、「ニュースバル/中型放射光施設」「X線自由電子レーザー試験加速器」「放射光ナノテク研究所」を回る。
 新施設としてさらに巨大なXFEL(X線自由電子レーザー)棟が建設中で、公開は3年後か?
 記念品として「ダイヤモンドとガーネツトとペリドット」の詰め合わせをいただいた。サイズはいうまい。
 3時間ほど見学。
 実家陋屋に帰って「下男」に戻る、また悲しからずや。

4月28日(月) 播州龍野の日常
 朝も早よから下男仕事。
 夜明けが早いものだから、老母の目覚めも早い。
 おれが標準午前4時起床。4時半に朝刊が届いて一読。と、6時前に母が起きる物音がする。
 朝の「仕事」は無理なのである。
 朝食後、雑事色々。
 固定**税の納期がギリギリのために、郵貯から払い戻しが必要となり、老母を郵便局まで連れて行く。委任状なるものの書き方がややこしくて、老母本人が出向くしかないのである。
 と、窓口のネーちゃん、本人確認のため健康保険証等が必要という。
 「旧・特定局」なので「局長」は老母とは顔見知り(つうか、縁続き)なのだが、ま、いたしかたあるまい。
 老母をなだめ、杖をつきつつ出直しとなる。
 イラつくことだが、振り込め詐欺などが横行している昨今、かかる手続きは念入りにやる方がいいのであろふ……と、おれも人間が出来てきたなあ。10年前なら直ちに「定期預金も含めて全部解約する」といったであろう。
 あとは書斎にて、小刻みに仕事もしようと思いつつ、アタマ働かず、ボケーーーーッと過ごす。
 これではいかんので、夕刻、川沿いに30分ほど散歩。
 
 川縁の楠の木、新緑が白壁を背景に夕日に映えているのであった。
 センチメンタルになるぜ。
 晩酌後、早寝する。
 老母の「就眠後〜起床」の間にしか落ち着いて仕事が出来ないとなると、夏場は2時間が限度か。
 困ったことである。

4月29日(火) 播州龍野の日常
 相変わらずの下男仕事。
 あかん、アホになってきた。
 体を動かしている分にはいいのだが、アタマを使う方の仕事がまったくできない。
 2時間ほど机に向かうが、脳がまるで機能せず。ボケーーーと窓の外を眺めているだけ。
 ボケ進行中なりや。嗚呼。
 午後、オモテに出たら、東の空にパラグライダーが3葉(←なのかな、単位は)浮遊している。
 
 片山の
「姫路スカイスポーツクラブ」の基地から飛び立ったものらしい。
 久しぶりに見る。残念ながら墜落はせず。
 ということで、晩酌後、本日は老母に合わせて早寝してみることにする。
 午前2時頃に起きれば、少しはアタマも働くかも。
 井上康生にならって、わずかな可能性に賭けることにする。

4月30日(水) 播州龍野の日常
 昨夜早寝したものの、あかん。眠り断続的にしてアタマまるで働かず。
 朝6時前に老母が起きる物音あり、下男モード入りする。
 少しは仕事と思うものの、脳が起動しない。
 厄日である。
 午後、庭に出たら、今シーズン初めて、S字型変形生物を目撃してしまった。
 ギャーーーーーーーッと叫び声はあげないものの、嗚呼、この1年間、見たくなかったなあ。
 連休明けに予定していた「忌避剤」を散布。1週間、読み間違えた。
 ツキのない時は不運が重なるものである。
 弱り目にたたり目、泣き面に蜂、貧すりゃ貪する、藁打ゃ手を打つ、庭に出たらS字型がのたうっとる。
 嗚呼。
 なーーーーーんも仕事できないまま。
 ま、明日は「出獄」できる予定なり。

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