『マッドサイエンティストの手帳』552

●マッドサイエンティスト日記(2013年4月前半)


主な事件
 ・上京(5〜6日)
 ・大阪←→播州龍野いたりきたり
 ・フロンティア3000(12日)
 ・文学フリマ前夜祭(13日)


4月1日(月) 穴蔵
 終日穴蔵……のつもりであったが、月末・年度末の処理事項が残っており、金融機関に寄る必要もあって、昼休みを挟んで1時間半ほど梅田ウロウロ。
 晴。暖。春風嫋々。
 荷風散人にならって散歩しようかと迷うが、花粉濃密、マスクをしていてもクシャミひどし。
 毛馬〜大川あたりは本日が花見に最高の日であろうが。
 本年度の花見はやめて、穴蔵に戻る。
 午後は新年度用に帳簿類の整備。
 たちまち夕刻となる。
 事情あって、本日はアルコールは抜き。
 15分ほどで夕食終了。
 DVDで米朝師匠『質屋蔵』『世帯念仏』『看板の一』を見る。
 早寝……はできそうにないなあ。
 ともかく枕頭に本を積み上げて、睡眠を試みることに。

4月2日(火) 穴蔵
 ほとんど眠れず。
 朝食抜き。
 9時に近所のY医院へ行き、春の健康診断を受ける。
 10時過ぎに帰館。
 遅い朝食というか早めの朝食……と、その後、急に気分が悪くなってきた。
 悪寒、鼻水、くしゃみ、喉痛。
 花粉症かと思ったが、そうでもなさそうな。
 冬の厚いパジャマを出してきて、布団に潜り込む。
 夕食、ほとんど食べられず、ただじっとしているのみ。

4月3日(水) 穴蔵
 明け方まで時々寝返りをうつ以外、じっとして過ごす。
 朝はバナナ1本。
 だいぶ寝汗をかいたようで、下着を替えて、また寝る。
 昼はうどん一杯。
 午後には起きられるようになったが、むろん外出はせず。
 1時間机に向かい、1時間コタツ、1時間布団……これを2サイクルやったら夕刻となる。
 粗食を軽くいただく。ビールは飲む気にならない。
 また、たぶん朝まで、ちょっと本を読んだり眠ったりの繰り返しとなろう。嗚呼。

4月4日(木) 穴蔵
 明け方まで、ほとんど眠れず。昼間に寝過ぎたためである。
 ただし本は読めるので、朝まで、平谷美樹『採薬使佐平次』(角川書店)、蓮見恭子『アンフェイスフル』(角川文庫)を読む。ともに傑作。面白い作品を読ませていただいたのだから感想アップすべきところだが、まだ気力が戻らず。近日に。
 終日穴蔵。
 体調はほぼ正常に戻ったが、念のため、本日も外出はせず。
 3日続けて歩数計は0歩である。
 夜、専属料理人に数品並べてもらって、4月になって初めてのビールをいただく。
 安ワインも少し。
 なかなか結構な。
 で、一杯飲みつつ、専属料理人の趣味につきあって、サンテレで久しぶりに職業野球中継(阪神〜中日戦)を見る。
 ナベツネの暴言(「たかが選手」ね)以来、おれは日本の職業野球に興味をなくしているから、ほとんどが知らない選手。鳥谷は覚えてるが、新井良太なんて初めて見た。こいつ(新井)がダメ。エラーで失点、援護がなーーーんもできぬまま、好投の投手見殺し、ダメ虎の本領発揮みたいな(つまり阪神本流の)選手ではないか。今年も期待できるぞ……などといいつつ、本日は例外中の例外。おれはナベツネが生きている間は、日本の職業野球なんて見ないからね。
 このところ、ナベツネの話題は聞かんが、死んだとも聞かず、たぶん生きとるのだろう。
 衰弱しとるのか?
 おれも、この3日間、いつどうなるかわからん気分になった。ただ、生きているうちに、ナベツネの断末魔だけは見たい。
 さっさと(おれより先に)逝ってくれんかねえ。

4月5日(金) 穴蔵/花見
 まず、昨日の記述について訂正1件。
 阪神の試合について「好投の投手見殺し」と書いた。朝刊の記事に「(阪神)榎田見殺し」とあって、これはおかしいと気づいた。「見殺し」とは「見ていながら助けない」ことをいう。新井健太はエラーで榎田を「殺した」のだから、なぜこれを「見殺し」といえようか。お詫びして訂正いたします。
 思い出すのは、(記憶で書くが)20年ほど前の広島・前田智徳である。読売戦で、凡フライを捕球ミスしてランニング・ホームラン、同点にしてしまった。北別府が好投していたから、慚愧に耐えぬ気持ちだったろう。その後、2ランホーマーを放って試合を決めた。だが、お立ち台には出てこなかった。前田が大打者として成長していくのはそれからである。
 現時点での結論。新井良太は大打者にはなれないだろう。終わり。
 定刻4時に起きる。
 体調は復帰。
 机に向かって雑事あれこれ。
 たいした仕事をしているわけではないが、普通に机に向かえるということは幸せであるなあと、改めて実感する。
 これからは、仕事の質を高めなければなあ。
 昼休みを挟んで2時間ほど外出。
 本日は久しぶりに自転車。
 昼前に青空書房へ。
 坂本さん、シャッターを開けて、表に棚を並べてはるところだった。
 先日の「にっぽん紀行」の反響について聞く。
「えらいこってすわ。京都や姫路なんかは普通で、えらい遠来の客がありますわ。東京や、こないだは北海道からわざわざ。不思議なもんですなあ。テレビ見た人は、みな、私だけが見て、私だけがよう知ってるよ、みたいに思てはるんでなあ。太宰になったような気分ですわ。写真撮って握手して…本は買わはりませんけど」
 ま、いいではないか。
 (青空書房、最近は日曜以外に、木曜も休み。その間、ポスターはちゃんと更新してはる)
 天六で金融機関に寄ったあと、天気がいいので毛馬閘門まで行く。
 大阪(毛馬〜大川沿い)の桜は本日が正真正銘の満開である。
  *  *
 春風や堤長うして家遠し
 人出は少なく、暖かく、散策しつつ花を見るには最高の日であろう。
 明日は「花に嵐」らしいから、今夜は宴会が多いかな。
 ということで、午後も穴蔵にて机に向かう。
 夕刻、専属料理人に頼まれて、中本酒店へビール買いに行く。
 と、豊崎西公園、もう桜はだいぶ散っとるのに、5、6組がシート広げて宴会を始めている。
 ピザ宅配の兄ちゃんが、どのグループかわからず、ウロウロしている。
 ちゃんと「公衆便所の横」とか、場所をきちんと連絡してやれよ。
 ということで、夜は粗食にて軽くビール。
 明日は上京だが、天気が気がかりである。

4月6日(土) 大阪→東京/山下洋輔ソロ/湾岸
 専属料理人と朝の「のぞみ」で上京する。
 天気予報では「爆弾低気圧」「暴風雨」「無理な外出は控えるよう」と騒がしいことでが、雨は降らず。
 昼前に東京着、日本橋室町の「砂場」へ行く。
  *
 2番目の客なので「庭」に面した席に案内された。
 なかなか結構な。
 八重洲口からバスに乗り、かちどき橋を渡って晴海へ。
 第一生命ホールで山下洋輔さんのソロ・コンサート
 ソロは毎年8/8にハチで聴いているが、ホールでは毎年春のここだけ。6年ぶりである。
 14時〜「I Remember April」からはじまって「さくら」「キエフの大門」最後の「鳥の歌」まで、至福の2時間を過ごす。
 ここは客層よく、朝日ネットでおなじみの諸氏も数人。
 コンサート終わると雨になっていた。
 ボンクラ息子その1がクルマで迎えに来てくれた。
 晴海から10分ほどの某所へ。
 昨年末にこちにら引っ越してきたので、その見物を兼ねての上京なのである。
  *
 夜、風雨が強くなったが、静かなもの。
 レインボーブリッジなど、雨に煙る夜景を眺めつつ、刺身やローストビーフなどで、ビール、ワイン、水割り。
 「ゲストルーム」なる部屋に泊めてもらう。

4月7日(日) ウロウロ/東京→大阪
 台風一過……ではなく、晴れているが、風は強い。
  *
 快晴だと富士山が見えるらしいが、本日は丹沢の向こうには雲がかかっている……らしい。
 朝、近所を1時間ほど散歩。
 東京港周辺の設備や水門などが面白いが、大型設備が多くて、町歩きの楽しみはないなあ。
 自転車があるというが、本日は強風で危険である。
 昼前に、4人(ボンクラ息子その1とその配偶者、専属料理人とおれ)で、クルマで出かける。
 東京港周辺を見物。
 ゲートブリッジ近くで……強風の中をつぎつぎと羽田へ降りてくる飛行機をしばらく見物、残念ながら無事故であった。
 新木場〜大島〜を抜けて、スカイツリー(本日は強風によりエレベーターは停止)を東側から見る。
  *
 あと、本所吾妻橋の「鰻禅」へ。
 タイミングよく、奥の座敷席に4人座れた。
 40分ほどビール飲みつつダラダラ。
  *
 で、こういうものをいただく。
 たまらんなあ。まあ、これで当分の食い納めとなろう。
 ボンクラ息子その1とはここで別れ、あと、専属料理人と浅草界隈散策。
 田原町から地下鉄。
 銀座のあと静岡の実家へ行くという専属料理人と別れ、おれは末広町で下車、神田明神〜湯島聖堂を経由、お茶の水まで歩く。
 DISKUNIONで中古CD2枚のみ。
 夕刻の「のぞみ」で帰阪。
  *
 強風による遅れもなし。
 夕刻の富士を見るのは意外にも初めてである。
 ボンサラ時代はたいてい東京を午後7、8時頃であったし、最近は混み合う時間をさけて、午後3時前に乗車がほとんどだものなあ。

4月8日(月) 穴蔵
 終日穴蔵。
 ボケーーーーツと過ごす。
 昼休みを挟んで1時間ほど梅田。
 低気圧が去ったあとの快晴、いつもの散歩経路はもう新緑の季節である。
 
 季節の移り変わりが急であるなあ。

4月9日(火) 大阪→播州龍野
 朝の電車で播州龍野へ向かう。
 2週間来ないうちに、また雰囲気が変わっている。
 白木蓮は散り、木瓜はひからび、桜はまったく見ない間にほとんど散っている。
  *
 紫木蓮の季節に変わっていた。
 雑事色々。
 タイムマシン格納庫でも、相棒の某くんと打合せあれこれ。
 ヨーロッパの某国から引き合いがくるが、円安のせいとは思えない。アベノミクスの御利益なんて期待してないからな。
 夜は台湾産の枝豆を茹で、豆腐工房のヤッコ、チクワ梅肉和えなどでビール。
 藤家虹二師匠、デフランコ師匠、トミフラ師匠を聴きつつ。
 あと、今季はじめて、ハム・キムチ・トマトどばどばの盛岡冷麺を作って「神の河」ロック。
 播州龍野の夜は早い。
 寝る。

4月10日(水) 播州龍野
 播州龍野にて雑事色々あり。
 庭掃除、畑の雑草関係、ガラクタの処理、その他。
 朝と昼、ニュースを見るが、北朝鮮のミサイル発射が今日にもという予想なれど、カリアゲのチンピラ独裁者、決断力ゼロのような。
 やるんなら早よやってちょうだい、と、怪芸人カウスでなくても、いいたくもなるよなあ。
 たちまち夕刻となる。
 昨日と似たようなメニューで晩酌。
 スーパーの食材の単位が二人前だから、ひとりだと連続メニューになるのよね。
 ハンク師匠、英治師匠など聴きつつ、伍魚福の鯛入りチクワ、カイワレなどでビール。
 具沢山の盛岡冷麺で「神の河」ロック。
 播州龍野の夜は早い。
 資料を読みつつ、早寝するのである。

4月11日(木) 播州龍野→姫路→大阪
 うへ、寒い。
 午前6時の室温は9℃。大阪なら真冬の気温である。
 厚着して、机下のハロゲンヒーターをつけてキンタマを暖める。
 あまり動く気にならない。
 午後の電車で帰阪することに。
 姫路で降りて、駅前の工事状況を見物。
 地下街がオープンしていた。
 以前の通路をリニューアルして、半分くらいの店が戻り、半分は新規開店。
 「えきそば」「担々麺」も地下に戻ったが、特筆すべきは「石挽蕎麦 御座候」が再オープンしたことだ。
   *
 とにかく、ここの蕎麦は播州でいちばんと思う。
 2年前に閉店、本店にはクルマでしか行けないからなあ。
 わかっていたら昼前に出てきたのだが、ま、次回の楽しみとしよう。
 夕刻帰館。
 専属料理人不在のため、夜は近く(かっぱ北側のガード下あたり)の店で「もつ鍋」を試みたが、悲惨。
 濃厚醤油ラーメンをさらに煮詰めたような塩辛さで、このおれが辟易する辛さだから、よくよくのことである。
 ニラは中国産かもしれんしさ。これからは自作だな。ああ、春吉の「なかむら」へ行きたい。

4月12日(金) 穴蔵/フロンティア3000
 終日穴蔵。
 明日某講座があり、資料を読んで過ごす。
 夕刻に近い午後に這い出て梅田へ。
 新阪急での「フロンティア3000」の会合に出る。これは小松師匠が元気な頃から続いている勉強会。
 本日のゲストはフリーアナの紀平真理さんと薗田涼子さんで、おふたりが主催している「リボンの騎士 ナイト」の活動について聞く。
 “がんの撲滅・啓発”イベントを中心に活動していて、もう7年になるという。
 この種の「がん(治療・予防・啓蒙・その他)団体」は多く、堂々と「ビジネス」と名乗るNPO団体も多いとか。
 おれの調べたところでは、この40年、“未来を食いものにしている”3大利権は「がん撲滅」「地震予知」「核融合(これはちょっと縮小)」だものなあ。
 あと、懇親会。
 20時前に帰館。
 酔っぱらったので早寝。

4月13日(土) 穴蔵/創サポ/マーガレット
 午前3時前に起きる。
 資料読み。
 5時過ぎから机に向かう。
 と、5時33分に地震。本棚の前面に積んでいた文庫が崩れた。「地震予知」の悪口を書いたせいでもあるまいが。
 揺れは20秒ほどだが、ずいぶん長く感じる。震源は淡路島付近。大阪市北区は震度3。早朝の時間といい、どうしても18年前の記憶が甦るなあ。
 理事長氏不在なので、おれが代行して、理事数氏と集合住宅内部を点検。エレベーターは自動停止。特に大きな被害はないようである。
 終日穴蔵。なんとなく落ち着かない。
 夕刻に近い午後に這い出て、天満。エルおおさかへ。
 創サポ専科の講義。
 提出作品、長めの3編についてコメントしつつあれこれ。
・ハーグ条約の制約で悩んでいる離婚した母と子を、日本から乗り込んだ「探偵」がアメリカから脱出させる冒険もの。逆拉致とでもいうべき設定が面白い。
・平穏な山村にへんな「超常現象」が生じたために起こるミニバブル騒動。埋蔵金発見でも隕石落下でも成立する話だが、超常現象の設定がとぼけていてユニーク。
・明石署に配属された美形のキャリアー刑事が少女連続殺人を捜査する、ちょっと変わった警察小説。
 SFではないが、それぞれ面白い。
 20時まで。
 地下鉄で天六へ移動。
 マーガレットへ。
 酉島さん、理山さん、オキシさんら(←揃って今年の星雲賞短編候補である)らSF新鋭諸氏や明日の文学フリマへの参加者など十数人が「前夜祭」開催中。
 なんと宮内悠介さんも。フリマの「被出展者」として大阪へ遊びに来たらしい。
 串カツ、タコヤキでビール飲みつつ、2時間ほどガヤガヤ。
 「高山羽根子さんの旦那」が恐ろしくジャズに詳しいのに驚く。
  *
 記念撮影して、ちょっと先に帰らせていただく。早寝早起きのおれには、深夜まではもう無理である。
 5、6時間以上ぶっつづけで議論できる若さがちょっと羨ましく、また懐かしくもあり。
 歩いて帰館、本日は9,560歩となった。

4月14日(日) 穴蔵
 わ、午前7時まで寝てしまった。
 終日穴蔵にてボケーーーーーーーッと過ごす。
 本を読んだり『愛國戦隊大日本』を見たり。
 夕刻、専属料理人が実家から帰ってきた。
 ということで、夜は例によって静岡メニュー。
 
 吉田のしらすおろし、焼津のヒラメ刺身、イカボイル、清水のカジキなんとか、わさび漬けなどでビール、熱燗少し。
 黒ハンペンと桜エビ関係は明日である。
 早寝するのである。

4月15日(月) 穴蔵
 終日穴蔵。
 ボケーーーーッとではないけど、非効率的な雑務で一日が過ぎる。
 昼休みを挟んで1時間ほど散歩。
 たちまち夕刻となる。
 本日も専属料理人が静岡メニューを並べる。
 ヤッコ、黒ハンペンでビール。
 
 あと、駿河湾の桜エビ、イカ、タケノコなどの春パスタで白ワイン。
 なかなか結構な。
 早寝するのである。


[最新記事] [次回へ] [前回へ] [目次]

SF HomePage