『マッドサイエンティストの手帳』497

●マッドサイエンティスト日記(2011年2月後半)


主な事件
 ・大阪←→播州龍野、いたりきたり
 ・大塚善章カルテット(25日)
 ・マホガニーホール(27日)
 ・浅田共創知能システムプロジェクト・シンポジウム(28日)


2月16日(水) 播州龍野
 結構あわただしいのであった。
 老母の……というか亡母の確定申告は終わる。
 おれの確定申告にも影響あり、周辺事項、色々と調べなければならぬ。
 書斎にて表計算ソフトで作業してたら、本日も近所が騒がしい。
 そっと偵察すれば、裏のゴミ屋敷、トラックが2台きて、ガラクタを積み込んでいる。
 が、出しても出しても減らない印象である。
 昨日とほとんど変わらないので、写真は掲載せず。
 ゴミというのは凄いものだなあ。
 おれが死んだら、龍野の蔵書を見て、ご近所の連中は同じことを思うんだろうけど。
 そろそろ整理にかかるべき時期だなあ。
 夜は常夜鍋でビール。
 明日は大阪に帰るつもり。

2月17日(木) 播州龍野→大阪/マッドサイエンティストの晩餐
 播州龍野にて、午前4時に雨音で目が覚める。
 冬の雨なのであった。
 100畳におれひとり……こういう孤独感はたまらなくいいなあ。
 が、夜が明ければ、ゴミを出したり、雑事色々。
 田舎で生活するには、ともかく雑事がつきまとう。冬はともかく、夏になると雑草の処理がなあ。
 昼前に雨はあがった。
 午後の電車で帰阪する。
 夕刻、静岡の実家に行っていた専属料理人も帰ってきた。
 10日ぶりに「ひとり鍋」以外の晩餐。
 例によって静岡の食材が並ぶ。
 しらすおろし、(清水港揚げの)刺身、黒ハンペン揚げ、ほうれん草炒め、わさび漬け……など。
 
 なんといってもサクラエビの掻き揚げがたまらんなあ。
 ビール、熱燗、たくさん飲んで……早寝するのである。
 明日から、少しは仕事もするつもりなりけりはべりいまそかり。

2月18日(金) 穴蔵/ワイルドバンチ/ハチ
 早朝に雨音で目が覚める。
 昨日と同じパターンである。
 播州龍野で目覚めたのか……と錯覚してしまう。
 おれは今どこにいるのか。
 目が覚めるたびに迷う。老化というよりもボケが進行しているのである。嗚呼。
 終日、本を読んで過ごす。
 夜、軽く晩酌の後、市バスで長柄西、ここから歩いて「ワイルドバンチ」へ。
 酒気帯び自転車はやめたのである。
 もと星群の西浦くんが来ていて、マスター・庄内さんとターキーのロック飲みつつ雑談。
 今回の芥川賞について。
 西村賢太が(まあまあ)面白いことは短編数編を読んだだけのおれにもわかるが、朝吹真理子(申し訳ないがおれは未読)の評価がすごく高い。聞けばかなりのSFファンなのだとか。
 読まねばならぬなあ。
 西浦くんとハチへ移動する。
 こちらでは、ボサノバのグループがライブをやっていた。
 西浦くんはボンクラ息子その1の少し年上で、おれとは親子ほど年齢が違うのだが、SFや映画についてはおれと同時代の作品までよく知っていて、落語にも興味をもっているらしい。
 ハチからの帰路、太融寺(歌之助師匠や吉朝師匠の会でよく通った)の横を通り、泉の広場を上がって20メートルほどの場所にあった居酒屋「ふみの」の跡地で記念撮影。
 
 信じがたい立地だが、こんな場所に、ばあちゃんふたりでやってる激安居酒屋があって、米朝一門若手のたまり場だったのである。
 今は自転車が放置され、タオルなど洗濯物が干してある。
 時代は変わっていくなあ。

2月19日(土) 穴蔵
 終日穴蔵。
 確定申告の作業。
 家庭の事情で申告方式が今年から変わるので、表計算ファイルを作り直す。
 1日かかったが、来年からは2時間ほどでできるであろう。
 昼「自宅」へ行ったら、専属料理人は買い物に出かけたらしく、無人。
 リビングにいるはずのインコの姿がない。
 よく見たら、ベランダのガラス戸とカーテンの間で、外を眺めていた。
  *
 ひとり?でいる時は、じっと冬空を眺めていることが多いようである。
 羽ばたきたいのか、あるいは夏への扉を探しているのであろうか。
 ということで、夜は、チヂミ1片、肉とタマネギ炒、サラダでビール。
 
 菜の花のパスタでワイン2グラス。
 春は近いのである。

2月20日(日) 穴蔵
 終日穴蔵。
 ボケーーーーッと過ごす。
 黒田藩プレスから「Speculative Japan 2」が届く。
 
「開封」が「Open Up」のタイトルで掲載されている。これは星さんへのオマージュとして書いたショートショートで、思いつきだけのものと思っていたのだが、年間傑作選『虚構機関』に収録され、今度は英訳された。ありがたいことである。

2月21日(月) 穴蔵/日本橋
 朝のニュース。
 菅政権支持率が19%(毎日新聞)と末期的。状況は自民党末期と同パターンだな。小沢と共倒れさせようという官僚の高笑いが聞こえてくるような。
 金沢の主婦行方不明事件、自殺を図った「NHK外部委託カメラマン」は意識回復らしいが、なぜか(おれが見た限り)NHKだけはこのニュースを報じない。
 報道機関として怠慢ではないか。
 昼前に大淀税務署へ行って確定申告の用紙を提出する。
 日本橋へ行って、ナニワネジで部品の調達、あと恵比須町までウロウロするが、特にほしい物もなく、ジャンク屋にもあまり興味がなくなってきたなあ。
 「こけし」でカツ丼を食べて帰館。

2月22日(火) 穴蔵/ウロウロ
 終日穴蔵。
 早朝のニュースでは、シリアで軍(といっても傭兵?)がデモ隊を狙撃とか、空爆? カダフィが国外逃亡とか……
 断続的にニュースを見ていたら、10時頃にカダフィが「傘差して」トリポリにおるぞという映像が流れる。
 と、ニュージーランドで地震のニュース。
 一次情報のない憶測報道ばかりで、嫌になってテレビは消す。
 天気がいいので、午後は、梅田周辺を散歩。
 丸善ジュンクドーで、小金ちゃんとバカ息子の新書を買おうかと思ったら、横の、鈴木智彦『潜入ルポ ヤクザの修羅場』(文春新書)の方が面白そうなので、こちらにする。
 と、893円なのでギョ。こうなるように定価を850円にしたのか……。
 ビルの反射がなかなかいい。
  *
 晴れた空、歪むビル……
 『ヤクザの修羅場』……飛田新地の「ケツ持ち」が警察であるというのは納得であるなあ。
 夜のニュースで、「暴言取り調べ」の「被害者」が公判翌日に別件(パソコン泥)で逮捕というのを見ると、ケーサツは税金で食ってるヤクザであることが実感できるなあ。ああこわ。
 むろん、わしゃオカミには決して逆らいません。
 立小便で引っ張ったりせんとってくだされ。

2月23日(水) 大阪→播州龍野
 播州龍野へ移動する。
 特に早朝に行く必要もなくなったので、通勤ラッシュが終わってから出発。
 阪神の特急、最後部の「鉄席」に座って、後方に流れゆく線路を眺めつつ移動する。
  *
 加古川を通過。
 昼間の阪神〜山電がこんなに空いているとは知らなかった。
 播州龍野、タイムマシン格納庫にて打ち合わせ。
 午後は実家周辺で雑事色々。
 春の陽気で、防寒コートのままウロウロしていたら汗ばんできた。
 ということで、夜のビールがうまい。
 大阪から持ってきた総菜を温めて一杯やりつつ、DVDで『野良犬』を見る。
 レビュー小屋の場面でちらっと出てくる若き日の堺左千夫がいいなあ。

2月24日(木) 播州龍野
 播州龍野にて雑事色々。母の遺品整理ではなく、主におれの(書籍以外の)ガラクタの整理である。
 中学高校時代のを含めて、嫌になるほどある。
 ひとりでボソボソやってたのでは10年以上かかりそうな。
 恥をさらしても、身内を助っ人に頼んで、一気にかたづけるべきか。迷うところだ。
 そもそも……これららの10年ほど(←ボケずに存命としてね)、おれの仕事場を大阪にするか播州龍野にするか、決めかねているからである。
 田舎では集中できるけど刺激がないからなあ。
 2月28日の「共創知能を超えて」シンポジウムに気づいて、あわてて申し込む。浅田稔先生を中心とするグループの研究成果が聞けるのである。
 午後は書斎から庭にくる野鳥をボケーーーーッと眺める。
 
 これはモズであろう。
 おれのキンタマを突っつきには来そうにはない。
 ということで、夜は常夜鍋でビール飲みつつ、鴨居の上にセットしたスピーカーから降り注ぐ、ケンペプ、北村英治、グラッペリ師匠、谷口英治、山下洋輔NYトリオ、ハンク師匠、滝川雅弘、トミフラ師匠をランダムモードで聴く。
 酔っぱらって早寝。
 明日の夢は大阪の夢。

2月25日(金) 播州龍野→大阪/大塚善章カルテット
 播州龍野にて雑事色々。
 昼前の電車で帰ることにする。
 JR姫路駅の地下通路(と商店街)が2月末で閉鎖されるので、本日で見納めである。
 52年間……中学時代に開通して以来、よく利用してきた。
 
 石挽蕎麦・御座候と洋食のラポールの閉店は残念である。近くに移転ではなく、このまま閉店である。
 午後帰宅。
 夕刻這い出て地下鉄でナンバへ。
 と、地下鉄で江坂遊さんと同車両であったと梅田で気づく。
 2秒ほど挨拶。江坂さんは梅田で飲み会らしい。
 おれはナンバのB-Roxyへ。
 大塚善章カルテットというのかな。
 鈴木孝紀さんのライブを聴くためである。
 大塚善章(p)鈴木孝紀(cl)塩本彰(gt)廣田昌世(b)田中ヒロシ(ds)
 御大中心に若手が集まった感じ。
 スタンダード中心に3ステージ。
 鈴木くん、バスクラも2曲吹く。年末から披露しているらしい。
 
 善章さんとは「結婚式」(20年ほど前になるのかなあ)以来である。
 ロック3杯でフラフラ。弱くなったと思う。
 23時過ぎにどうにか無事帰館。

2月26日(土) 穴蔵/謎の「まぐまぐ!」
 飲み過ぎか。
 朝7時まで寝た。
 メールをチェックしたら、夜中に、メルマガ「鷲崎革命■サラリーマンの年収を1ヶ月で稼ぐ方法」?に登録完了というメールが入っている。
 申し込んだ覚えはない。
 メールには、
・「まぐまぐ!」では、配信システムを利用する発行者に対して、同意のないメールアドレスを読者登録することを固く禁じています。
・万一まったくお心当たりのない登録である場合は、発行者による不正登録の恐れがあるため、弊社にて調査いたします。恐れ入りますが下記URLへアクセスし、その旨を「まぐまぐ!」宛にご通知ください。同時に今回の読者登録も解除されます。
 などと書かれている。
 恐ろしくてアクセスできるかよ。
 名前からいって、詐欺のグループか?
 そもそも、おれはこんなメルマガ貰わなくても、ボンクラサラリーマンの年収の10倍稼ぐ方法は知っている。
 実行しないのは、面倒くさいからである。
 どなたか「まぐまぐ!」で被害を受けた方いらっしゃれば教えてくだされ。
 ということで、終日穴蔵。
 ボケーーーーッと過ごす。
 本日の収入、生活保護家庭にも及ばず。

2月27日(日) 穴蔵/マホガニーホール
 穴蔵にて粛々と金にならない雑事を遂行する。
 クラウドのYさんからメール。
 昨年出したマグナス・ヨルト・トリオのCD「Plastic Moon」がジャズオーディオ・ディスク大賞2010 インストゥルメンタル部門で銀賞受賞という。
 「ジャズ批評」誌の評価である。何よりである。
 ヨルトは今年も6月に来日、大阪へも来るらしい。
 午後、心斎橋のマホガニーホールへ。
 トラッド・ジャズの聖地である。
 本日は珍しくスイング系で、細川綾子さん(vo)と高岡正人さん(p)をゲストに招いてのコンサート。
  *
 ラスカルズとレッドビーンズのメンバーも参加。
 最後は「Meet again, Some sunny day」と名唱……「博士の異常な愛情」のエンディングを思い出すなあ。
 午後の3時間、ビール、ワイン飲みつつ……酔っぱらってしまった。
 帰館、早寝するのである。

2月28日(月) 浅田共創知能システムプロジェクト・シンポジウム
 昼前に出て、千里中央のライフサイエンスセンターへ。
 浅田共創知能システムプロジェクトの総括的シンポジウム「共創知能を超えて」を聞きに行く。
 浅田稔先生を中心に5年あまり続けられたプロジェクトの成果発表。
 脳科学研究へのロボット利用……程度に考えてはいかんのであった。
 とても一度に咀嚼できない密度で報告と討論が行われたが、脳科学、特に認知発達科学とロボテックスの境界に壮大な研究領域が創成された印象だ。
 
 ロビーでのロボットのデモンストレーションも、アシモやサッカーロボとちがって、赤ちゃんや幼児のロボが多く、今までのロボット・セミナーとは雰囲気がまるでちがう。生首なんてインパクトが大きい。
 面白いヒントを色々いただく。
 会場には林譲治さん、それに鹿野司さんが東京から来ている。
 明日の「太陽系外惑星と宇宙生物学」とあわせての取材らしい。
 こちらもそそられるなあ。


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