『マッドサイエンティストの手帳』548

●マッドサイエンティスト日記(2013年2月前半)


主な事件
 ・不発弾処理(3日)
 ・創サポ講義(9日)
 ・大阪←→播州龍野いたりきたり
 ・ハナシをノベル(15日)


2月1日(金) 穴蔵/不発弾(下見)
 朝、近所のY医院へ定期検診に行く。
 最初に看てもらったので5分もかからず。ごく正常であった。
 あとは、ほぼ終日穴蔵。
 たいして仕事はしないのであった。
 昼休みを挟んで2時間ほど散歩。
 本日は東方向へ。
 先日から集合住宅に、2月3日(日)午前に長柄2丁目で「不発弾の処理」があるという掲示があり。
 詳しくは不発弾処理のプレスリリース。
 毛馬橋西側で、昔(1970年)からよく通る場所……三共の工場跡である。
 当日は半径300メートル以内は立入禁止、住民6000人が避難するらしい。
 本日下見に行く。
  *
 ここはリバーサイドながらやさざなみプラザ、市営住宅など、マンションと団地に囲われているようなもの。
 1トン爆弾の威力がどんなものか見たい気もするが、ふたつに裂けているから爆発はしないであろう。
 三共が爆弾の上で半世紀ほど操業していたとはすごいね。浜本はん、いてはったのかな。
 活断層どころじゃないぜ。知らぬが仏というべきか。
 本日の散歩、実は構想中の作品に不発弾を登場させたいと思っていたので、ま、取材でもある。
 当日の取材は報道関係者に限られるので、避難活動を遠望するしかないような。

2月2日(土) 穴蔵/ウロウロ
 夜来の雨が明け方にはやみ、薄曇り、朝9時頃には晴れてきた。
 ほぼ終日穴蔵。こればっかり。
 土曜なので仕事はしないことにした。
 ボケーーーーーッと過ごす。
 夕刻散歩に出る。
 本日は西へ。
 淀川堤を下流へ歩く。十三大橋より西へ来るのは、北区に35年住んでいるが、初めてである。
 河川敷公園があり、日没の瞬間を眺める。
  *
 帰路は大淀配水所の横から、路地を歩いて帰る。
 このあたりも初めて歩く場所である。
 日本ペイントはこんなに近くだったのか。
 おおっ、立ち飲みで有名な橘田酒店(「KITTUTA」と表記)はここであったか。
  *
 土曜日で、立ち飲みコーナーは休みのようである。また改めて表敬訪問することにしよう。
 歩いてみるものだなあ。
 阪急中津のガード下を抜けて帰る。
 暖かくて、汗ばんでくる。
 お茶のペットボトルを買おうと近所のコンビニに寄ったら、A藤忠雄さんとばったり。同じ町内会だから不思議ではないんだけど。一応面識はあるのだが、黙礼してすれ違い。
 そういえば、同じ町内会のB東英二はんはどうしてはるのか。
 さらに同じ町内に事務所?らしきものがあったK永中はんは韓国に渡りはったようだし。
 色々あるなあ。

2月3日(日) 不発弾処理
 朝8時前、本日は自転車で天八方向へ向かう。
 「不発弾処理」見物である。
 日曜の朝なので、もともと交通量は少なく、静かなもの。
 天八から城北公園通を毛馬方向へ。
 不発弾処理、作業は9時からで、立入禁止区域から出てくる人もちらほら。「避難民」が列を作って移動するわけではない。
 交差点のあちこちにケーサツと市役所の腕章を巻いたのが立っている。休日出勤手当で大喜びであろう。
 むろん、おれは「おい、こら」と怒鳴られるのはいやだから近づかない。
 規制線に沿って、天満橋筋を南下。ここは立入禁止区域のはずだが、9時前で、まだ規制は緩い。「現場」のクレーンも見える。
  * *
 立入禁止区域の南端、西側のコンビニでは店頭で恵方巻きを売っていた。
 「不発弾に負けない恵方巻き、帰りに買うてや」
 がんばっておるなあ、デイリーヤマサキくん。。
 このエリアを半径十倍(面積で百倍)くらいに広げれば、中で「大虐殺」が行われても、外には静かな日常があるはずで、『日本アパッチ族』のリアリティを改めて実感する。
 不発弾といえば……こちらで『スクラップ集団』が話題になっているが、この種の映画でもう一度観たいのは、東映『弾丸大将』(1960)だ。このことは前にも書いたかな。赤江行夫『不発弾』を映画化したもので、米軍演習地を跋扈する不発弾泥を南廣が快演している。DVD化はされてないし、可能性があるとすればスカパー(東映チャンネル)か。ただ、いつ放映されるかわからん作品のために契約するのもなあ……。
 ま、ともかく「戦後」は終わっていないのである。これをどう書くかは今後の課題だが。
 1時間ほど立入禁止区域の周辺をウロウロして帰館。
 当然ながら、陸上自衛隊不発弾処理隊諸君の活動実態はわからぬままであった。

2月4日(月) 穴蔵/ウロウロ
 久しぶりに浅田飴だ。
 通勤ラッシュ時間に梅田を歩いて桜橋へ。
 雨天の方が、北京から飛来する汚染物質PM2.5を吸入する量が少ないようで、気が楽である。
 某院にて、ちょっと気になる診断を受けるが、特に問題なしであった。
 ほっ。
 しかし、いつ何があるかわからんので、身辺整理はしておいた方がいいような。
 ヨドバシ〜丸善&ジュンクドー経由で昼前に帰館。
 午後は穴蔵にて粛々と雑事。
 明日から播州龍野行きの予定が、色々と連絡錯綜、しばらくは大阪となる。
 気分的にはもう少し体を動かしたいのだが。
 夜は久しぶりにDVDで『殺しの烙印』を観る。
 (『弾丸大将』が観たいが、かわりに。南廣が「ランク落ち」の殺し屋で出ているのである)
 観念的殺し屋映画。宍戸錠が「女房連れの殺し屋」というのがヘンだが、この女房に魅力がないのがいかん。真理アンヌは妖艶だが、1シーン、腹がぽっこりしているのが興ざめ。面白いのは埠頭でクルマの下に潜っての銃撃戦だけである。

2月5日(火) 穴蔵
 朝のニュース。
 宍戸錠の自宅が全焼という。
 昨夜『殺しの烙印』を観ていた時刻には、すでに全焼していたのか。
 おれが好きなスターの家が全焼というのは谷敬(1969年)以来、44年ぶりではないか。
 (谷敬は見舞客に心配かけまいと、焼け跡で麻雀をやった)
 気の毒ではあるが……
 曇天なり。
 播州龍野行きの予定が変わり、終日穴蔵。
 いまひとつ気力がわかず、ボケーーーーッと過ごす。
 少しは生産的なことをやらねば。
 明日こそホリは羽ばたく……つもり。

2月6日(水) 穴蔵
 早朝にコンビニで週刊新潮と週刊文春を10分ほどでざっと読む。
 先日とつぜん徳田毅国交省政務官が「女性問題」で辞任したが、理由がさっぱりわからなかった。「新潮」の取材であったか。
 ハニートラップかと期待してたら、10年ほど前の未成年女性「准強姦」暴露。いやはや。
 ただし、マスコミが報道しないのは、事件の背景が怪しいからであろう。
・「和解」したはずが、なぜ今頃蒸し返されるのか。特に女性の「彼氏」というのが500万円貰いながら、なぜまた取材に応じて発言しているのか。
・徳田側が「美人局ではないか」と疑うのもゆえなしとは思えない。
・「文春」によれば、背景には医療法人徳州会の内部抗争があるらしい。
 これじゃ新聞もテレビも二の足を踏むわなあ。
 ぜひとも泥仕合化して暴露合戦をやってほしいところだ。
 徳田毅の政治生命が終わったのは確かだけど、身から出た錆というべきであろう。
 終日穴蔵。
 精力的に活動するつもりだったけど、相棒の某くんが午前中に資料を届けてくれたので、穴蔵にて事務作業。
 支那から飛来する有毒汚染物質PM2.5が立ちこめているような気がして、出歩く気分にならず。
 空気清浄機の導入を検討することにしよう。

2月7日(木) 穴蔵
 曇天なり。
 ほぼ終日穴蔵にこもる。
 某講義のための資料を読んで過ごす。
 ニュース雑感。
・県立越ケ谷高校の教諭がナンパ指南書「ロビンの恋愛商材」を作製、ネットで1冊3万円で販売(30冊売ったらしい)して懲戒処分、依願退職したという。学校で作成(コピー)していてばれたらしい。愉快な男だ。おれもやってみようかな。SFは売れないけど、こういう実用書は3万円でも売れるんだなあ。
・ソリトンシステムズの元執行役員を1.7億円の横領で逮捕。
 これは去年夏から騒がれていた事件だ。
 夕刻のテレビで、野村くんがインタビューに応じて「全部ギャンブルで使い果たしました」と堂々と答えている。バカラですったらしい。痛快な男だ。
 この会社にはシンパシーを覚えているのだがなあ。
 おれはソリトン株式会社の代表取締役である。
 ずっと前(1994年)にsoliton.comというドメインを取得しようとしたのだが、カナダの会社に先を越された。
 で、soliton.co.jpは当然ながらソリトンシステムズが先である。
 したがって、わが社はWEB開設はしないのである。
 ソリトンシステムズの諸君、1.7億の穴埋めはたいへんだろうが、がんばってくれたまえ。
 運動不足なので、夕刻に近い午後、1時間ほど梅田を散歩。
 支那から飛来する有毒汚染物質PM2.5が不気味なので、主に地下街、三番街から駅前ビルあたりまで。
 夜は豚肉のなんたら煮込みやサラダなどでワイン。
  *
 インコのPiPiが最近は傍若無人で、食卓を運動場と思いこんでいるような。
 皿やグラスの間をやたら駆け回る。
 明日はヤキトリにするか。

2月8日(金) 穴蔵
 曇天なり。
 穴蔵にこもって、少しは仕事もするのであった。
 運動不足なので、夕刻に近い午後、1時間ほど散歩。
 支那から飛来する汚染物質が不気味で、主に地下街コース。
 帰路、文房具の一品種を買うために梅田ロフトに寄る。8階の某ブランド店が閉店セールをやっていた。米朝事務所近くで長年「閉店セール」をやっている靴屋(「オットー」ね)とちがって、本物の店じまいである。売り場はほとんどガラガラ。大阪駅店に集約するらしいが、このフロアに限らず、ロフトは閑散としている印象。梅田は商業施設が増えすぎであるなあ。
 17時、屋外の気温は2℃である。
 
 だが、日脚は延びているし、そう寒くも感じない。春は近いのである。

2月9日(土) 穴蔵/創サポ講義
 本日は晴天なり。
 穴蔵にこもって、少しは仕事もするのであった。
 夕刻、地下鉄で天満へ。
 八軒家浜の夕暮れ。
 17時40分。
  *
 天満に来るのはいつもこの時刻。12月は暗かったのが、まだ西空は明るい。
 春は近いのである。
 18時からエルおおさかで創作サポートセンター・専科の講義。
 提出作品5編にコメントするかたちで話す。
・ストーカーのモノローグと思わせて意外なオチのある巧緻な短編。秀作。
・18世紀ロンドンの水彩画家というユニークな題材の短編。
・子供の日記体による奇妙なショートショート。
・IT企業を舞台に仕事をカリカチャイズしたドタバタ。
・雪山で遭難しかけた男が遭遇するけったいな災難を描くショートショート。
 最後の「雪山ショートショート」……これは「雪男(ゴリラ型)」と「雪女(美女?)」の中間的な存在「雪**」を登場させたもので、成功作とはいえないのだが、発想が面白い。
 作者がいうには、江坂遊さんの『小さな物語のつくり方』の「アイデア表」を「愚直に実行」した結果だという。
 これは面白く、表計算ソフトのちょっとした応用なのだが、色々な「発展系」が考えられる。
 最後の15分はこの方法が議論となった。
 アイデア表だけでなく、江坂方式の他の項目、おれが提示した「プロット展開パターン」や、枝雀師匠のオチの分類、キャラクター設定、その他10項目以上(原理的には無限)がひとつの表に組み込め、ちょっとした操作で無限に展開できるのである。
 さっそく検討してみることにする。
 これ以上は書かないし、ソフトも公開しない。(世間は3連休の初日だというのに集まった熱心な)生徒約20人の共有財産である。
 ただし、これは、楽々と作品が構成できるソフトではなく、これを眺めながら「ウンウン苦しむ」ためのソフトであることはいうまでもない。
 21時過ぎに帰館。
 おでんで一杯。

2月10日(日) 穴蔵
 午前6時まで寝てしまった。
 で、NHKニュースを見たら「PC遠隔操作犯の逮捕状が出た」「容疑がかたまり次第逮捕」と報じる。
 7時には「江東区の30歳の男を逮捕」という。
 住所から、どきっとするが、ボンクラ息子その1よりは少し若いのでホッ。ま、ボンクラ息子その1がふだん使っているのはiPadだし、そんな複雑な操作はできるわけないのだが。
 ……などと愚考しつつ断続的にニュースをチェックしてたら、そうか、この容疑者、「のまネコ問題」の時に実刑くらった「犯人」だったのか。この事件は覚えている。
 姓が変わっているのは、「前科」を隠すために両親が離婚するとかあったのかな。
 「人生の大幅な軌道修正」というのはこういうことなのであろうか。
 ただ、おれにはやっぱりよくわからない。これでは、あまりにも「当たり前」過ぎて、なぜ捜査にここまで時間がかかったのか、なぜマスコミ各社が揃って前日の行動を「隠し撮り」可能だつたのか、とか色々。
 監視カメラやMシステムの恐ろしさは実感できるけどね。
 この事件を契機に、ネット犯罪の「前科者データベース(含容疑者/予備軍)」がこれから構築されたり、ネットの監視システム(Mシステムのネット版)が作られたり、ということになるのかな。嫌な時代になるぞ。
 しばらくは沈黙して事件の推移を観察することにしよう。あまりこのWEBを監視しないでね→エシュロンくん、その他類似の諸君。
 快晴である。
 午後、1時間ほど散歩する以外、穴蔵にこもって過ごす。
 夜は「とようけ」の湯豆腐などでちょっと一杯。
 グラッペリ師匠、モンク師匠など聴きつつ。

2月11日(月) 穴蔵
 世間は3連休の最終日である。
 終日穴蔵。
 本を読んだり、時々テレビニュースを見て過ごす。
 東京創元社の季刊誌『ミステリーズ!』57号が「創元SF50周年」ということで、巻頭にSFを2篇掲載。
 そうか、創元SFも半世紀になるのか。
 SFの第1巻がフレドリック・ブラウン『未来世界から来た男』……なつかしいなあ。
 ショートショート集で、むろんおれは出るなり読んだ。「猫泥棒」とか「人魚物語」なんて唖然としたものなあ。おれがいちばん影響を受けたのはその後の「闘技場」だけど、ともかくSFの初心がびっしり詰まっていた。
 で、『ミステリーズ!』57号。
 
 巻頭の酉島伝法『百々似隊商』(ももんじたいしょう)はとんでもない傑作である。
 『皆勤の徒』『洞の街』につながる設定で、200枚の中編。
 舞台はさらに拡大して、「百々似」という、白いモヤモヤ・フワフワした、羊の毛だけで覆われた巨大な虫みたいな生物の群れを、西部劇の牛みたいに引き連れて旅する話(←以上、きわめてわかりやすく翻訳)だが、ともかくその描写力が常識はずれ。特異な造語感覚とイメージの喚起力をフルに発揮して、前2作どころではない密度で異世界が描かれている。しかも、例によってグロテスクであり過酷な世界でありながら、ナウシカにもつながる詩情が感じられるのである。
 「異形の天才、第二回創元SF短編賞受賞者の贈る渾身の二百枚。これは現代SFの到達点」とあるのは、決してオーバーな表現ではない。イラスト(も酉島氏)も含めて、圧倒された。
 いずれ「この世界」を描いた作品集で1冊になるのかな。すごいことになりそうな。
 酉島伝法さんが、この特異な文体しか書かないのかというと、そうではない。プロローグの描写は端正で、さらに色々な傾向の作品が書ける人だと思う。
 楽しみなことで、これだと、まだ当分死にたくないなあという気分になってくる。
 ……そういえば、昨年秋頃からずいぶん面白い本を色々読んでいながら、感想を書いていない。
 近日、まとめてアップすることにしよう。
 本日は歩行計0歩であった。
 明日は早朝から動くことにする。

2月12日(火) 大阪←→播州龍野
 定刻午前4時に起床。
 本日は行動を詳しく書くことにする。
 5:25に穴蔵を出て梅田へ歩く。
 6時始発の阪神(山陽電車)姫路行き特急に乗る。播州龍野行きの場合、これを利用することが多い。
 通勤特急なので、高砂以西、「荒井」にも7時過ぎに停車する。三菱重工やタクマなどへ出勤する諸君が大量に下車するからである。
 姫路に7:35に到着。
 JR姫路駅へ。
 姫新線ホームから見る姫路城。
  *
 以前は大手前通の正面に姫路城(工事中)が望めたのが、手前に駅ビル西端の鉄骨フレームが組まれている。
 ここが展望台になるらしい。
 姫新線ホームからの眺望は悪くなるなあ。
 姫新線で8:36に本竜野着。
 実家およびタイムマシン格納庫にて雑事を精力的に片づける。
 昼は「得々」でうどん。
 だいたい片づいたので、本竜野14:46の姫新線で帰ることにする。
 姫路に15:06着。
 大阪方面行きの新快速、15:12のは始発ではないので、構内の書店に寄って1本ずらし、15:27姫路始発の新快速に乗る。
 大阪に16:30に着いて、歩いて17時過ぎに帰館。
 で、夕刻のニュースを見たら、北朝鮮の核実験につづいて「山電特急がトレーラーと衝突、脱線」(※)、荒井駅ホーム乗り上げという。
 この電車は15:34姫路発の梅田行き特急というではないか。
 おれは、だいたい、梅田→姫路は山電、姫路→大阪はJRを利用する。始発に乗って本を読みながら移動というパターンである。
 ただし、JRはダイヤが乱れることが多く、その時は山電に切り替える。
 本日、JRをやめて山電にしていたら、この電車に乗っていた可能性がきわめて高い。
 JRが正常に運行されていたのは幸いであった。
 しかし……荒井(に限らず、東二見、高砂など)に通勤している諸氏はたいへんであろうなあ。
 東二見〜飾磨がストップ、明日も回復しそうにない。
 朝電車でいっしょだった諸君は無事に帰宅できただろうか。
 夕刻からは雨が本降りになった。

 弱り目に祟り目、泣き面に蜂
 貧すりゃ貪する、藁打ちゃ手を打つ
 駅へ行ったら電車が転んどる

 ツキが落ちるときはそういうものである。
 ご同情申し上げます。
 といいつつ、当方は豆腐チゲでビール、ごはんをぶち込んでクッパにして焼酎水割り。
 ちょっと申し訳ない気分になる。

 ※トレーラーは後刻「トラック」に訂正されている。車両運搬用トラックで「ローダー」と呼ばれる車種のようだ。この運ちゃんが踏切の先と信号までの距離を見誤ったのが事故の主因のようである。

2月13日(水) 穴蔵/西成ジャズライブ
 定刻午前4時に起床。
 ほとんど終日穴蔵にて雑事色々。
 夕刻、専属料理人と出かける。
 難波から日本橋、新世界をぶらぶら。
 日没後に、新今宮の南側、西成署のちょっと手前……つまり釜ヶ崎のど真ん中の立ち飲み屋へ行く。
 ドヤ街の中心だが、最近は外人観光客も目立つなあ。
  * *
 立ち飲み「難波屋」……ここがどんな店かは、たとえばこちらをご参照。
 本日はここで滝川雅弘グループのライブ。
 西成ジャズライブのひとつである。
 ともかく、カンウターにおっさん連中がずらっと並んで飲んでいる奥にライブスペースがあるなんて、想像もできない。
 ところが、意外にも音響がいいのである。
  *
 滝川雅弘(cl) 光岡尚紀(b) 松田順司(ds)
 「ステラ・バイ・スターライト」から始まって、パーカー・ナンバーなどを快演。
 ピアノレスだが、光岡尚紀がなかなかよく歌うラファーロ型のベースで、心地よいインタープレイを聴かせてくれた。
 湯豆腐100円、ポテサラ150円、唐揚げ200円など(ちゃんと奥のスペースまで運んでくれる)を並べて生ビール250円を盛大に飲む。
 専属料理人は嫌がるかと思ったら、喜んで飲み食いしていた。
 21時まで。
 帰路は地下鉄で直行だから、交通至便。
 西成ジャズの聖地「難波屋」に栄光あれ。

2月14日(木) 穴蔵/ウロウロ
 穴蔵にて粛々と雑事。
 昼、ボンクラ・サラリーマン時代の知人からメール連絡あり、梅田へ来るというというので、散歩を兼ねて出ていく。
 お初天神の「瓢亭」で、山芋の海苔巻きなどでちょっと一杯やったあと夕霧そば。
 「これからは、メール連絡は長文でも携帯メールの方にくれ」という。
 スマホに変更したからという。
 機能や料金について教えてもらう。
 迷うところだ。
 おれは、携帯電話は基本的にメールしか使わない。7割くらいは専属料理人との連絡で「食事の用意できました」「了解」がほとんどである。
 播州龍野の書斎のパソコンは老母の死後、ADSLを解約し、E-Mobileのデータカードを2年ほど従量制で使っている。が、調べてみると、そう使わないのに結構割高である。
 最新のモバイルWi-Fiルーターに切り替えようと思ったら、播州龍野のパソコン(e-machine)はXP SP2で使えない。
 スマホにすれば、今の携帯とデータカードの合計金額より安くなる可能性がある。
 帰路、ヨドバシで色々見るが、よくわからん。
 スマホ、タブレット(ウィンドウズ/アンドロイド/iPad)、Windows8ノートの区別はだいたいわかったが、細かい機能と料金体系はさっぱり。
 時代から取り残されつつあるのを実感するなあ。
 ヨドバシは「これが一番でっせ」とネクサス7(ヘンリー・ミラーみたいで名前はいいけど)を勧めるが、小型のタブレット機も持ち歩くには不便なようだし、今の生活パターンからすると「ポケットに入らないものは持ち歩かない」から、結局はスマホしかないか。

2月15日(金) 穴蔵/ハナシをノベル
 穴蔵にて粛々と雑事……のつもりが、あまりアタマが働かず、ボケーーーーッと過ごす。
 おや、午後3時過ぎにNHKで寄席番組。
 小佐田定雄氏の司会で、桂歌之助『悋気の独楽』、桂団朝『寄合酒』。
 ともにテンポがよくて、生きがいいというか、勢いを感じさせる。
 しかし、平日の昼間にこんなのを見てていいのかなあという気分にもなるなあ。
 少しは生産的なことをやらねば。
 夕刻に這い出て、中之島まで歩く。
  *
 ライトアップされた中央公会堂がなかなかの風情。
 こんな格調高い建物の地下で落語会だからなあ……
 第37回ハナシをノベル!!
 月亭八天さんと田中啓文さんが組んで始めた創作落語の会、今回が「月亭八天としては最後のノベル」である。
 結構な入り。
 森奈津子作の「片付けられない女」をまだ見習い天使の月亭天使さんが、
 月亭天使作の「夢見るカリーポッター」を月亭八天さんが、
 オキシタケヒコ作の「出涸らし」を月亭八天さんが、それぞれ演じ、
 その間に作家によるぐだぐだトークありという構成。
 ネタおろしはオキシタケヒコ「出涸らし」で……家賃滞納中のフリーターがアラジンのランプを入手する。アホな願い事によってどんな目に遭うのかと思ったら、意外にもハートウォーミングなオチであった。
 なお、八天さんと書くのは本日が最後、次からは文都師匠と表記させていただく。
 会場には、田中啓文さん、オキシさんはじめ、酉島伝法さんや理山貞二さんら、SF関係が7、8人。
 SF関係が集まるのは、SFよりも落語会の方が多いような。
 昼間見た小佐田はんも来てはった。
 会場撤収後に一杯というパターンらしいが、おれは近年体力的に夜更かしができないので、先に失礼する。
 落語会のあと「ふみの」か「百番」で一杯、ガヤガヤは80年代の吉朝さん、歌やんの会のあとがピークだったなあ。
 帰路、ハチを覗いたが、ライブをやっていて、満員の盛況、これはこれで結構であった。
 まっすぐ帰館。
 ニュースを見たら、ロシアに隕石落下。衝撃波で1000人近くが負傷という。
 明朝に地球近傍を通過する小惑星の「前座」か。
 『神の鉄槌』なら北朝鮮に落とされるべきだろうに。


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