『マッドサイエンティストの手帳』502
●マッドサイエンティスト日記(2011年5月前半)
主な事件
・大阪←→播州龍野、いたりきたり
・某創立記念日(2日)
・3clセッション(3日)
・JAZZ AT CHURCH 2011(5日)
・Sunday at Jazz Club(8日)
・創元SF短編賞(12日)
5月1日(日) 大阪→播州龍野
世間では大型連休3日目である。
穴蔵にて粛々と雑事の処理。
夕食と朝食用の食材を持って、午後の電車で播州龍野へ移動する。
播州龍野にて、ひとり寂しく晩酌。
早寝するのである。
5月2日(月) 某創立記念日/播州龍野→大阪
定刻午前4時に起床。
さすがに暖房器具は使わなくても済む季節になった。
早朝に墓参……というか、枯れた花の入れ替えと掃除を執り行う。
9時に法務局へ行って、先日来準備してきた「登記申請」を行う。
その他、関連事項の処理。
5月2日が創立記念日となる。
ということで、帰館後、門扉に用意していた表札を取り付ける。
*
おれは「壽館」とか「樟影舎」とか、亡母にちなむ漢字の社名を考えていたのだが、他の発起人2名が謎めいたのがいいと主張、2対1でこの商号に決まったのである。
事業目的は……ま、秘密にしておこう。
たぶん死ぬまで、おれが「社長」ということになる。
盛り場で客引きに「社長!」と呼ばれても間違いではないことになる。
そう呼ばれても気分がいいわけではないけど。
午後の電車で帰阪。
米軍がウサマ・ビンラディンを殺害のニュースを見ながら晩酌。
またしばらくはアメリカ(ニューオリンズ)行きは見合わせなければならぬ。
10年前の6月に会社を辞めて、秋にニューオリンズへ行こうと思ってたら9.11の同時多発テロである。
その後も、数年おきに、行こうかなと思ったら、似たようなテロ未遂などがあって、通関が面倒になる。
そうこうしているうちに母の具合が悪くなって、海外旅行どころではなくなった。
今年の秋にと思っていたところにこれである。
ニューオリンズに忌避されているとしか思えなくなってくるなあ。
ま、ニューオリンズはもういいか。
大阪でラスカルズを聴いている方がずっといいわけだし。
5月3日(火) 穴蔵/3clセッション
世間は大型連休の後半に入るらしい。
わしゃ穴蔵にて粛々と資料(某コンテストの候補作)を読む。
連休明けまでに読めばいいのだが、面白いので一昨日から読み続けて、全部読んでしまい、選評も書き終える。ただし来週までに(逆順で)再読するつもりである。選考委員会は来週。
たちまち夕刻となった。
専属料理人と歩いて梅田へ。
ロイヤルホースで5月恒例の「3clセッション」を聴く。
谷口英治(cl)滝川雅弘(cl)鈴木孝紀(cl)大野綾子(p)宮上啓仁(b)高阪照雄(ds)
今年で4回目。
2008年の谷口・滝川2clから始まり、昨年から鈴木さんが加入して3clになったのである。
谷口さんが「こんなレベルで3clセッションやれるのは関西でしかない」といったが、鈴木さんの急成長もあって、これからの日本ジャズ・クラリネットの中核となる3人が揃った感じだ。
「サボイでストンプ」から始まって、スタンダードを色々と堪能。
ジャイアント・ステップスやパーカー・ナンバーをクラリネットで軽々と(と聞こえる)吹きこなす力量にも感嘆するが、「ルパン三世のテーマ」(これは大野雄二作曲)では、アドリブに3人の個性がくっきりと現れて、ものすごく面白かった。
2ステージ、22時過ぎまで。
谷口さんと記念撮影。撮影は鈴木さん。
ノーフラッシュ。頭上からの照明が露骨なので、写真の「上部」はカットした。太陽がまぶし過ぎるせいだ。
帰路、阪急東通を通る。人出多し。
風俗の客引きが(横に専属料理人がいるにもかかわらず)「社長、どうすかっ!」と声をかけ、ケバイ姉ちゃん(年齢はともかく、専属料理人よりはレベルが低いと思うぞ)が「いかがですか」とチラシを渡そうとするのには、専属料理人ともども、思わず笑ってしまった。
通行人には誰でも声をかけろというマニュアルを忠実に実行しているのであろう。
5月4日(水) 穴蔵
大型連休の中でもいちばん意味不明の「みどりの日」なる休日。
ヒノキ花粉がそろそろ終息して、新緑を楽しむにはいいのだろうが、あいにくの黄砂で、出歩く気分にならない。
本日は、高槻ジャズストリートに谷口さん滝川さん出演だが、昨夜十分に聴いたので、まあいいであろう。高槻ジャズストリートはがっばってはるのだが、Tシャツ購入が苦痛で、この3年、行ってない。行ったら○千円のカンパはするのだが、Tシャツは着ないからいらない。すると、どの会場でもカンパを求められるから、これが苦痛になる。Tシャツ相当のワッペンがあれば気楽に行けるのだがなあ。買ったTシャツを死蔵するとか捨ててしまうのはもったいないではないか。
大阪駅のステーションシティがオープンの日でもあり、来週のチケット予約に行こうかとも思ったが、混雑してそうなのでやめる。
結局、終日、本を読んで過ごす。
明日は島之内教会だ。
早寝するのである。
5月5日(木) JAZZ AT CHURCH 2011
昼前に心斎橋から徒歩5分、南警察署近くの島之内教会へ行く。
ここはラスカルズが何度かコンサートを行った教会だが、意外にもおれは初めて。
書籍の販売、入口の整理などのスタッフとして参加させていただく。
東日本大震災復興支援……各バンドが賛美歌を入れて演奏する。
13時開演。
ODJCマーチングバンド
早稲田大学ニューオルリンズ・ジャズクラブ(1)
ニューオリンズ・フォーティーズ
ニューオリンズ・レッドビーンズ+TONTON
マホガニーホール・ストンパーズ
ニューオリンズ・ラスカルズ+ジェフ・ブル
早稲田大学ニューオルリンズ・ジャズクラブ(2)
ODJCマーチングバンド
17時まで。
*
↑写真はラスカルズ。
満員の盛況で、一部立ち見となった。
おれは入り口付近で流れ出てくる音を聴いていたが、ラスカルズから後は、2階の配電盤むき出しの屋根裏みたいな部屋の隅で聴く。
ここが音響は抜群によろしく、思いがけぬ役得となった。
ラスカルズのあと、早稲田ジャズクラブにトリというのは可哀想な……と思ったが、この若い諸君がなかなかの健闘。パンチのある演奏を聴かせた。
毎年、早稲田には女性クラのうまいのがいるが、今年も聴かせましたぜ。
会場にとべくまさんと、その友人のジャズ住職が来てはったので、終演後、近くの海鮮居酒屋か串カツ屋かわからん居酒屋でビール。
このメンバーで飲むのは、オーネット公演以来、5年ぶりである。
ジャズその他、SFや震災後の経済事情や色々しゃべってたら、たちまち2時間。
明日が早いので、19時過ぎに失礼する。
楽しいこどもの日であった。
5月6日(金) 大阪←→播州龍野
さほど早朝でない時刻(7時前)に出て、姫路に9時前に着く。
電車や人通りを見るに、半分仕事、半分はまだ連休中なのであろうか。
姫路の朝の雰囲気は「閑散」である。
某行の開店を待って、ちょっとした事務処理。
姫新線で10時過ぎに播州龍野に着く。
こちらでも事務処理あれやこれや。
で、午後に某務局に電話したら「まだ手続きは完了してません。今日は無理でしょう。週明けになります」という、木で鼻をくくったような対応。本日の予定といったはずなんだけどなあ(相手側のメモもあり)。
役人は気楽に連休中らしい。
抗議していじわるされても困るので、来週に出直さざるを得ない。
ま、他にも用事は色々あるから、無駄足ではないんだけどね。
夕刻の電車で帰阪する。
ついでに大阪駅ステーションシティをちょっと見学。
*
通行の規制がひどくて、ほとんどの場所が一方通行、出口と入口が決められている場所が多く、広場は赤いプラスチックのガードでコースが決められている。
あちこちでガーやんがマイクでがなり、ちょっとはみ出すと中卒(にしか見えない)ガーやんが、なんとかかんとかやめて、とかなんとかマイクで怒鳴りつける。
上層階はまだ非公開。
ぶらぶらできる雰囲気ではなく、決して楽しくはない。
ま、半年ほどしてからだな。面倒だからもう来ないかもしれんけど。
ただ、普通に大阪駅から電車に乗るには面倒になった。
特にヨドバシ側からは階段を利用しなければならない。北側から駅に平面移動するルートはない。唯一のルートがいちばん混雑する大阪駅東側の横断歩道で、これは弱者には辛いのではないかなあ。
5月7日(土) 穴蔵
終日穴蔵。
居住する集合住宅の管理がややこしくなっており、議事録を色々調べて管理規約の整備。資料作成。
近日「副理事長」に就任する方とは何度がいっしょに理事を務めた仲なので、作成した資料をもとに、午後、色々と打ち合わせを行う。
ともに30年以上住んでいるから、高齢化が進んでいるのだなあと実感する。
ということで、夜は専属料理人に6品(ヤッコ、枝豆、生生姜になんとか味噌、豚肉の炒めたの、サラダ、厚揚げの煮たのになんとか、他に定番品などのありふれたメニュー)ほど並べて貰ってビール。
晩酌中、インコはずっと専属料理人の肩から腕を上下しつつ、比較的おとなしくしておる。
早寝。
5月8日(日) 玉一イサク店/シューズショップ富士屋/Sunday at Jazz Club
定刻午前4時に起床して、少しは仕事もするのであった。
自宅へ行って朝食。
バラが咲いた、バラが咲いた、白いバラが……
ベランダのバラが開いているのであった。
曇天が、昼前から五月晴れになった。
自転車で出かける。
天五へ。
昼、玉一イサク店で、チヂミで生中をいただき、あとは冷麺。
今シーズン初である。冷麺の季節になったのである。
あと、天五の靴屋「富士屋」に寄ったら、大将がおれの靴を見て、
「○○○の×××番……それ、3年前に製造中止になってます」
「ここで買うたんや」
「5年前でしょ、あ、横が剥がれかけてますから、雨水が染みこむでしょ」
その通りであって、買い換えようかなと思っていたのである。
(さらに、調べてみたら、前に買ったのは2006年5月2日で、まさに5年前である)
そういえば、5年前、ウォーキングシューズを買おうかと覗いた時に、一目で「あ、ペダラをお履きの方なら、奧の方の……これくらいのクラスでないとだめですよ」と、割と高級なのを買わされてしまったのである。
今回も、
「あ、ウォーキングでも紐はだめなんですね(確かにおれは蝶々結びができない)。絶対にお薦めのがあります、ぜひとも履いてみてください、間違いないです」
と、出てきたのが Reagal Walker の紐の代わりにワイヤーをダイアルで締める不思議なタイプの。
履いてみたら良さそうなので、その場で履き替えた。
歩いてみると、なかなかいい感触である。
その観察眼、記憶力、説得力(口のうまさ)……富士屋の大将はプロ中のプロであるなあ。
また5年後に買い換えることにするからね。
黒崎町のバンブークラブへ行く。
Sunday at Jazz Clubの例会である。
本日の特集は「親子・兄妹・夫婦ミュージシャン」
マルサリス一家、ヒース・ブラザースはじめ色々。
おれは、坂田明・坂田学のデュオをと思ったのだが、なぜかCDが見つからず、南里文雄とティーブ釜范の共演を持参……息子が共に親父を超えられなかった見本(ここだけの話)として。
楽しき3時間であった。
夜は、専属料理人に色々並べてもらってビール、ワイン。
午後にボンクラ息子その1から、クール宅急便でワインが届いたとか。
母の日のプレゼント。どうやら、その配偶者の気遣いらしい。
ありがたくご相伴にあずかる。
早寝するのである。明日はリーガルで歩きまっせ。
5月9日(月) 大阪→播州龍野
昼間の電車で播州龍野へ移動する。
実家の前の「休耕畑」、雑草がえげつなく生い茂っている。
家庭菜園にすればいいのだが、断続的にしかこないからなあ。
おれはこのままでいいと思うが、近所から苦情が出るかもしれず(虫が湧くとか)、シルバー人材センターに除草を依頼するか、迷うところだ。
龍野にて、諸々の手続きがあるのだが、本日は「お日柄」がよろしくなく、すべては明日(大安)に送る。
ということで、実家の暖房器具など片づけ、すっきりしたところで、枝豆を茹で、大阪から持ってきた総菜を並べて、ひとり寂しく晩酌。
トミフラ師匠、ウイントン・ケリー師匠、ハンク師匠などを聴きつつ……
5月10日(火) 播州龍野
朝だ。雨が降っている。浅田飴だ。
雨にもめげず、はりきって雑事を処理する。
某務局へ行き、あと某金融機関へ行き、昼は太子町の「あやがわうどん」へ行き、午後は某会計事務所へ行き、15時頃に片づいたが、雨脚が強くなり、歩くのが面倒になる。
龍野にもう一泊ということにする。
食品スーパーで最小限の食材を買ってきて、ひとり寂しく晩酌。
ちなみにメニューは、枝豆、一口カツ、ビール、徳山冷麺にキムチとトマトをドバドバ、「神の河」水割り。
ルイス師匠、デフランコ師匠、藤家虹二師匠を聴きつつ……
5月11日(水) 播州龍野→大阪/某噺家インタビュー
朝だ。雨が降っている……もういいか。
通勤ラッシュの終わった頃に大阪へ移動する。
いったん穴蔵に帰館。
夕刻に近い午後、梅田へ。
かんべむさし氏、小佐田定雄氏、それにカメラを持った青年と会う。
近くの喫茶室でインタビューを受ける。
小佐田さんの質問に、かんべさんとおれが、某上方落語家につてい、あれこれ思い出しながら話す。
合間に、青年がデジタル一眼で撮影する。
このカメラマンが、その噺家の長男で、28歳である。
その面影があるようなないような。
秋には「七回忌」に合わせて出版される予定である。
おれは上方落語に関しては普通(よりもちょっと深入りした程度)のファンであるが、かんべさんは、ずいぶん色々な相談を受けていたのだなあ。初めて聞く話もあって驚く。
秋の出版を刮目して待たれよ。
5月12日(木) 大阪←→東京/創元SF短編賞
昼頃にに出て東京へ。
前回の上京が3月4日だったから、東日本大震災以来はじめての上京である。
東京も雨である。
在来線のエスカレーターの多くは停まっていて、心なしか暗い。
夕刻に近い午後に東京創元社へ。
創元SF短編賞の選考委員会……今回のゲスト選考委員として声をかけていただいたのである。
大森望氏、日下三蔵氏、小浜徹也氏と最終候補作18篇についてあれやこれや。
上位の作品を絞るまでは、さほど意見の違いはなかったが、最終的な決定になると、ずいぶん時間がかかる。
途中、ボンクラ息子その1からメール。「東京駅近くまでは行けそうにない」
帰阪前にちょっと会おうかという約束だったのである。
「こちらも無理になった」と返信。
ということで、(ネットで発表されているから公表してもいいであろう)受賞作は酉島伝法『皆勤の徒』に決まる。
会議室から電話連絡、委員それぞれが祝辞など。
酉島氏はなんと大阪の此花区在住である。それでこんなペンネームだったのか。
酉島伝法というペンネームは、おれが「豊崎中津」と名乗るようなもの。大阪市民ならわかってくれるであろう。
酉島さんに「大阪の堀です。おめでとうございます」と挨拶したら、
「今の勤務先がタコヤキ屋のそばで、堀さんが時々来られることは知ってます」
へぇ〜〜〜!
大阪は狭いなあ。白木くん(というか「隣の人間国宝」のtakanetchくん)がやってるマーガレットのことである。
そのうち一杯飲みましょうということになる。
ちなみに受賞作「皆勤の徒」は、タイトルから、勤勉なサラリーマンの話などと思ってはいけない。ともかくとんでもない世界が描かれているのである。
7月に刊行予定の『年間SF傑作選』に収録予定。刮目して待たれよ。
ということで、21時発ののぞみで帰阪。
このところ東京は日帰りばかり。ホテル泊が面倒になってきたのである。
車中、サンドイッチでビール飲みつつ『NOVA4』を拾い読み。
SFはやっぱり面白いなあ。
深夜帰館。
5月13日(金) 穴蔵
朝7時過ぎまで寝た。
久しぶりの朝寝である。
終日穴蔵。
天気晴朗なので、冬物や暖房機器を片づけ、夏モードに切り替える……かなと思ったが、面倒になり、明日に送る。
専属料理人(兼・専属洗濯人)の都合もあるからなあ。
雑事で1日が終わる。
早寝するのである。
明日こそホリは働く。
5月14日(土) 穴蔵/天五
快晴である。
早朝から始動。
穴蔵を夏モードに切り替える。
大量の冬物衣料と毛布などを「自宅」へ運び、専属洗濯人に洗濯を命ず。
コタツ布団を干す。
書籍とCDの整理。
掃除機をかけたり、床を雑巾で拭いたり。
だいぶすっきりした。
昼は天五へ。玉一でひとり豪勢に焼肉定食のランチ。
(広島の腹くんは元気だろうか)
一応、専属料理人も誘ったのだが、蕎麦かなにかでいいという。
ま、肉体労働のあとだから、生中をいただいてもいいであろう。野菜どっさり。
CDショップなど回って帰館。
ケンペプとダバーンの共演を見つけたので、これを聴き、あとちょっと昼寝。
ま、本日はこれにて、いいであろう。
5月15日(日) 穴蔵
明窓浄机。
穴蔵にて、少しは仕事もするのであった。
室温25℃にして快適なり。
この夏は大阪も節電になりそうな。おれはもともと節電は徹底していて、よほどのことがない限りエアコンは使用しない。テレビもほとんど見ない。夏もパソコンと扇風機でしのげるはずだが、昨年の9月以降の気温だけはなあ……。
ま、ボケーーーッとしてたら、なんとかなるだろう。
夕刻、淀川堤を30分ほど散歩する。
ウォーキングシューズを新しくしただけでこれだから、靴には金を惜しむべきではないなあ。
十三北に落ちる夕陽を「河口から8キロ」の距離標で定点観測。
*
夏至が近く、ずいぶん日没点はずいぶん北にシフトしている。
次の南下点(冬至)まで、なんとか普通に過ごしたいところだが……。
センチメンタルになるぜ。
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