『マッドサイエンティストの手帳』445
●マッドサイエンティスト日記(2009年1月前半)
主な事件
・播州龍野の元旦(1日)
・堀川戎(9日)
・創サポ講義(10日)
・NEW YEAR JAZZ PARTY(11日)
1月1日(木) 播州龍野の元日
定刻午前4時に目が覚めた。
チラシどっさりの朝刊を読む。フレディ・ハバードが亡くなったのか……。
始動。
雑煮の用意と並行して洗濯もする。下男だものなあ。
午前7時に朝祝い。
餅が苦手なおれは、食べるものがない。老母が雑煮食べている前でたまごかけごはんというのも嫌みだろうし。
結局、オセチと餅抜き雑煮(吸物というべきか)で龍力の熱燗。
いかん。
正月(に限らずだが)の朝酒は3年前からやめていたのに。
やっぱりしんどい。
洗濯物を干したり、雑事片づけのあと仮眠。
目覚めれば12時半。
慌てて居間に降りると、老母は「昼はお餅を焼いてすませた」という。
手間が省けた。
再びベッドに潜り込んで、夕方まで、読んだり寝たり。
だらしない新年である。
普通に夕食をすませて早寝する。
一年の計が元旦にあるなら、今年はダラダラの年になりそうな。ここ数年そうであったか。
1月2日(金) 播州龍野←→大阪
朝も早よから下男仕事。
朝食後、大阪へ移動する。
ちょっと息抜きというか、資料を忘れたのやら年賀状が気になるやらボンクラ息子その1が帰るかもやら、諸々のことあって帰阪。
10時前に穴蔵に着く。
雑事処理。
ボンクラ息子その1改めボンクラ親父の息子その1が、昼前にとつぜん帰ってきた。本当は大晦日あたりに帰阪、友人と飲んだりしていた様子である。明日仕事あり、今日帰京という。がんばっておるのだ。10分ほど雑談。専属料理人は2、3時間しかいないのが不満らしいが、おれなんぞ30前後は3年ほど帰省しなかったものである。
穴蔵には3時間ほどいて、また播州龍野へ戻ることにする。
梅田まで歩く。
年末年始、しばらくいない間に、大阪は大きく変貌している。
大阪駅、北ヤード、阪急デパート、茶屋町、近所の高層マンションなど、ずっと工事が続いているから当然なのだが、驚いたのは、カトリック北野教会が塀で囲われてしまっていることだ。
掲示を見たら、建て替え、18階建てのビルで、教会・ホテル・大学になるという。
→
北野教会は都心にある小さい教会で、桜の老木があり、庭に入るとほっとする場所であった。
11月27日に書いた通り、梅田と穴蔵の途中にあるオアシスみたいな場所である。
ピアスタワーの東側、茶屋町アプローズの北側という立地を考えれば、ビル中教会になるのもいたしかたなしか。
1月2日というのに、梅田、えげつない人出である。福袋を買いに出てきた諸君か。不況どこ吹く風であるなあ。おれなんぞ、福袋買う金もないぞ。
夕刻、播州龍野に戻る。
さあ、少しは仕事を……と思いつつ、まあ明日からでいいか。
1月3日(土) 播州龍野の日常
朝も早よから楽しく下男仕事。
8時から関テレ「扇町寄席」、米朝一門「米團治襲名」特別番組を見る。
襲名披露口上〜米朝師匠を囲む座談〜米團治「親子茶屋」の1時間。
米朝師匠に、「あの一言は本当ですか?」という質問があって、20年ほど前、小米朝の「崇徳院」の出来が悪く、楽屋で色々言い訳したところ、米朝師匠が小米朝さんに一言「……ヘタなんや」
南光「覚えてはりまっか?」
米朝「覚えとらんけど、ホンマやろな」
この話はおれも聞いたことがある。続きがあったはずだ。
「ヘタなんや」に続いて、
米朝「見てみい、吉朝なんかせせら笑ろとるやないか」
吉朝あわてて「笑ろてへん笑ろてへん!」
米團治師匠もだけど、みんなうまくなってるなあ。
いや朝からええ番組を見せてもろうて……
少しは仕事を……と思いつつ、寒くて体が動かない。
机下のヒロゲンヒーターでキンタマ暖めつつボケーーーッと過ごす。
午後、オセチに飽きたので、夕食の食材を買いに某スーパーへ行く。
駐車場が混んでいる。ちょうど出ていったスペースに停めたが、見渡せば満車、入りきらないクルマが巡回しているような状態。
ここまで詰まった状態は初めて見る。
が、食品レジなんてほとんど人が並んでない。
ということは「特設会場」での餅つき大会とか大正琴(失笑)の演奏会目当てか。
昨日の梅田の人出にも驚いたが、事情は同じことなのだろうな。
不況どこ吹く風は間違い。
要するに娯楽がなく、遊びに行くにも、こんな場所しかないのであろう。
おれも貧しいけど、大正琴で沖縄民謡やっとるのより、CDでデフランコ聴いてる方がましだぜ。
ということで帰館。
午後も書斎でボケーーーーッ。
と、庭に黒猫が来て、寒いのに2時間ほど、植木の影や庭石や塀の上と色々位置を変えて思索にふけっている。
野良には見えず、いい猫である。よほどウチの庭が気に入っているのだろうか。
たぶん猫も他に遊びに行く場所がないのであろう。
日没前に去った。謎の黒猫である。
ということで、アサリの酒蒸し(老母にはアサリの吸物にするきめの細かさ)明太子のパスタ、その他オセチ以外に色々並べてビール、ワイン。そろそろ就眠。
1月4日(日) 播州龍野の日常
朝刊に訃報。
3人並んでいる順に、永田寿康(飛び降り自殺)山崎正友(急性腎不全)ドナルド・ウォストレーク(心臓発作)。不思議な組み合わせだ。
おれの驚き順・惜別順は正反対。
悪党パーカーというより、リー・マービン主演『ポイント・ブランク』の作者の死が惜しく、宗教界のヤスキンといわれる男(よく似ていた)の死は某明新聞の扱いが興味あるところ、偽メールはそんな事件があったなあという程度である。いずれも衰弱死ではないような。死んだら終わり。
明日は我が身であるなあ。
張り切って下男仕事。
その間に少しは仕事もしなければいかんのだが、どうにも気力がわかない。
いかんなあ。明日出所の予定なので仕事が手につかないのである。
大阪から持ってきた資料、そのまま持って帰ることになりそうな。
午後、暖かくなったので、龍野旧市街から龍野公園まで1時間ほど散歩する。
醤油蔵〜城趾〜公園、しんとして人影なし。
異星人が降りてきそうな雰囲気ではないが、寂れた城下町を「呪われた街」にするのは面白いかも。
おかしな大名行列が出てきたりしてね。
ということで、夜は冷蔵庫整理メニューでビール、湯割り。
22時前、そろそろ就眠である。
1月5日(月) 播州龍野→大阪/神戸途中下車
晴れた空、そよぐ風。
出所の朝を迎える。
いそいそと洗濯、掃除、年末年始のゴミの整理などを執り行う。
助っ人来たりて役務交替、2週間ほどの仮出所と相成る。
資料類を詰めた袋を下げて(仕事ははかどらず、ほとんどそのまま持ち帰りである/某さん、しばしお待ちを)、昼前の電車で大阪方面へ移動する。
三宮で途中下車。
ここで専属料理人と合流。
山本通(神戸女子大の北側)の「燕京」へ行く。
オセチ+ワンのメニューに飽きて、久しぶりに中華が食べたくなつたのである。
この店は昨年の神戸JSで、清水万紀夫と花岡詠二の間に五目焼きそばを食べた店(名前はトンボちゃんから聞いていた)。その旨さに驚嘆。ひとりだと1、2品が限度、もう少し食べてみたいから、専属料理人を神戸まで呼び寄せたのである。
餃子、牛バラ、五目焼きそばでビール。いずれも絶品。
おれのビールのピッチに専属料理人があきれて「刑務所から出てきたみたい」という。
専属料理人はこのページを読んでないから、おれがしきりに「出所」と書いているのを知らない。
半分シャレで出所と書いたつもりだが、意外にリアリズムなんだなあ。
いや、こんなにうまいとガツガツするぜ。
味といい値段といい接客といい「燕京」は神戸でぶっちぎりの店である。ということは関西一。関東は知らんが、日本一の可能性は高いな。
ということで、いい気分で帰館。
明日から少しは仕事もいたします。
1月6日(火) 穴蔵/ウロウロ
暖かいなあ、穴蔵。
雑事を急テンポで片づける。
昼前に自転車で出て、大阪中央郵便局(不在時の郵便物を受け取る窓口は梅田スカイビルの北側へ移転している)へ行く。新梅田シティ散策後、北ヤードの西側を南下する。
北ヤードが大きく変貌中だが、西側(2期開発地区)がどうなるのか皆目わからないから、楽しみなような、生きてるうちに見られんから残念なような……。
桜橋経由で東へ走り「ハチ」へ。年始の挨拶である。
ここでランチ。
まっすぐ帰館。
午後は雑事残っているものの、午前中に張り切ったので効率が落ちた。
穴蔵から、建築中の「レジデンス梅田ローレルタワー」をボケーーーッと見上げる。
35階までの外観ができあがっている。あと屋上に冠みたいなのが載るのかな。
→
昨年8月10日に予想したのとほぼ同じ眺めになった。
最上部7階が「自由設計」の豪邸になるはず。外観が違うところが嫌みだなあ。
この部分に住むのでなければ、あまり快適とは思えない。
どんな種族が入ってくるのか、楽しみに観察することにしよう。っても秋以降のことだけど。
ということで、夜は専属料理人に色々並べてもらってビール、湯割り。
皿洗いなしというのは快適である。
早寝するのである。
1月7日(水) 穴蔵
いかん。アタマが働かず体を動かすのも面倒になった。
終日穴蔵にて本を読みCDを聴いて過ごす。
年末年始の反動であろう。
ま、昨日から正月休みが始まったと考えて、三が日は休むことにする。
1月8日(木) 穴蔵
終日穴蔵。
ポストとの往復に一度外出しただけであった。
明日から始動……のつもりである。
1月9日(金) 穴蔵/堀川戎/ふたり新年会
穴蔵にて粛々と仕事始め。
昼、堀川戎へ出かける。
タイムマシン業の繁盛祈願である。あくまでもタイムマシン業限定で、SF業は別。こちらは実力の世界だからなあ。
昼前というのに人出は例年より多い。皆さん神頼みなのであろう。
が、残念ながらゼンジー北京師匠はいない。桂米八師匠も座ってない。「関西演芸協会の出場者リスト」に載っているのだが、時間までは不明なのである。
過去の実績からは、ゼンジー師匠が最高で、つづいて米八師匠である。ビッグ2が不在だと、今年はどうなるのであろうか。
例年通りの福笹(熊手)を求めるが、今年は「普通のおばちゃん」がジャラジャラとお祓いしてくれた。御利益はいかばかりや。
帰路、参道で写真家の永野一晃さんとばったり。
取材かと思ったら読売新聞関係で出てきたということらしい。
福をまき散らしてはいかんので、ハチその他への寄り道せず、まっすぐ帰館。
夕刻、かんべむさし氏来穴蔵。
2名限定新年会的SF検討会なるものを開催。久しぶりである。
かんべ氏はラジオのパーソナリティが終わった7月以来、ほとんど仕事場にこもっているから、話題はもっぱら小説関係ばかり。
栗焼酎を湯割りで、ちと飲み過ぎてしまった。
1月10日(土) 穴蔵/創サポ講義
わ、朝7時まで寝てしまった。
久々の朝寝坊である。午前7時の起床でも誰に迷惑かけるわけではないのだが。
朝のニュース。
怪芸人・中田カウスが暴漢に襲われて金属バットで殴られたという。
面白いやんけ。
大阪府警諸君の健闘に期待する。動機の解明が待たれるところだ。
終日穴蔵にて雑事色々。
夕刻、天満へ。
天満橋から見る大川夕景。センチメンタルになるぜ。
エルおおさかにて創作サポートセンターの講義。
一方的な講義ではつまらないので、今回からうどん屋の「手打ち実演コーナー」型に方式を変えたのだが、どうであったか。
2時間しゃべり通しで、ちと疲れた。
「実演」で途中まで作った作品(近未来の北ヤードを舞台にした中編)、65点程度である。一応保管しておいて再検討するか。私は自分の作品を客観的に評価できるんです。○っちゃんとはちがうんです。
ということで、まっすぐ帰館。
鍋でビール飲んでいたら夜中に近くなってしまった。
明日こそホリは羽ばたく…つもり。
1月11日(日) NEW YEAR JAZZ PARTY
昼前に専属料理人と歩いて梅田新道の「スーパードライ」へ。
新春恒例の「NEW YEAR JAZZ PARTY」である。
大ビアホール会場で関西のディキシー系6バンドが出演。
オーディエンスの平均年齢はたぶん60を超えているはず。
ディキシー・ファンの賀詞交換会を兼ねたパーティで満員の盛況である。
本日はK夫人が風邪でダウンということで、専属料理人は受付、おれはCD・書籍売り場を担当する。
ビール飲みながら「店番」……SF大会でディーラーズ・ルームにいるようなものである。
たちまちラストのニューオリンズ・ラスカルズとなる。
歩いて帰館。
チビチビのつもりが、4時間だと結構飲んでいたような。
早寝。
1月12日(月) 穴蔵/ウロウロ
わ、午前7時まで寝ていた。
定刻より3時間も寝坊しているのだが、最近では驚くほどのことではないか。
7時半頃に自転車で梅田へ。
ピアスタワー東側のモータープールに観光バス数十台。
日帰りツアーで山陰や北陸へカニ食べに行く人たちで大盛況である。だいたい7:30〜8時に出発する。こういうツアー利用するならウチから徒歩5分だから便利なのだが、「客層」から車内の雰囲気を想像すると乗る気にはならんなあ。
久しぶりに新梅田食堂街「奴」へ行って朝飯。
まっすぐ帰館、あとは終日穴蔵にて粛々と雑事。
基本的には9時〜12時、13時〜17時は穴蔵ということにしているのだが、本日はちょっと早めに店じまいして、16時過ぎから1時間ほど散歩。
毎日放送〜ロフト〜紀伊国屋〜ヨドバシ〜北ヤード〜ツクモ電機。
阪急百貨店の新ビルが全容を現してきた。
北ヤードには三越。
キタの数ヶ所で「定点観測」を始めることにしよう。
夕刻、大相撲初場所の最後の方を見る。
えらい熱気である。客が何を期待しているのかははっきりしているのだが、朝やん、相変わらず「期待を裏切る」男だなあ……。
ということで、夜は専属料理人に色々並べてもらってビール、「神の河」湯割り。
中央左から、つくね芋海苔巻きの天ぷら、牛肉炒め+キャベツ、切り干し大根、ほうれん草、なんとかの生ハム巻き、である。
そろそろ寝るのである。
1月13日(火) 穴蔵/ハチ
終日穴蔵……のつもりであったが、午後、自転車でチーハへ行ってヒーコ。
寒風吹きすさび、キンタマが収縮してしまいますがな。
この夏、ハチは開店50周年を迎える。
恒例・山下洋輔さんのライブは決定(1/10に西宮でのコンサートへ行って、ハチママが最終確認してきたのである)、あとは記念パーティや、その二次会(りんご追分け、ね)となるから、その打ち合わせである。
まだ時間はあるが、ハチ50年史をぼちぼち整理していかねばの娘となるのかなあ。
寒い。
夜はチーズ・フォンデュで白ワイン。
早寝するのである。
1月14日(水) 穴蔵
終日穴蔵。
粛々と仕事をするのであった。
食事で「自宅」へ行く以外、外出もせず。
毎日がこうでなくてはいかんのだがなあ。
1月15日(木) 穴蔵
終日穴蔵。
粛々と仕事をするのであった。
散歩にも出ず。
昨日またかくありけり、今日もまたかくてありなむ、明日もまたかく……いや、明日は俗塵の巷に這い出るつもりだ。
閉じこもってておもろいことないもんね。
それにしても朝青龍ってのは期待を裏切る野郎だなあ……ったくもう。
ふて寝するのである。
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