『マッドサイエンティストの手帳』74
●マッドサイエンティスト日記(1998年9月前半)
主な事件
・ボンクラサラリーマン生活継続中
・ニューオリンズ・ラスカルズに吉川裕之が参加
1998年
9月1日(火)
昨日、北朝鮮の発射したミサイルが日本列島を飛び越して太平洋まで届いたという。
9月2日(水)
午前2時起床。ホームページの更新をしようと思ったら、FTPがうまく動かず、ファイルが遅れない。どうしたのか。別の原稿を朝まで。
午前7時から午後6時までボンクラサララーマン。
12時間近く同じ椅子に座るのは、小説を書く場合を除くと、かなり辛い。
9月3日(木)
午前7時に出社。
午前10時頃に、近くの特許事務所についでがあって、自転車でアトソン大阪分室に寄る。ホームページのトラブル、ハードディスクの容量不足と判明。
夜つないでみると復旧している。
9月4日(金)
午後、生まれ故郷の近所に急な出張。
車中、小林信彦「ムーンリバーの向こう側」を新潮文庫で読む。中原弓彦時代から全作品を読んできた作家だが、この作品から「文庫」で読むことになった。うーん、理由は特にないが、全作品を初版で揃える情熱がなくなったのである。作品に興味を失ったわけではない。が、読むのを2年ほど待つのが苦痛でもなくなった。ぼくの老化である。
9月5日(土)
世間は休日なれど、堺沖人工島で肉体労働、久しぶりである。
9月6日(日)
世間は休日なれど、堺沖人工島で肉体労働、使い慣れない筋肉使用で身体がつらい。
夕方帰宅すると、ニュースで黒沢明の死去、本日昼過ぎらしい。
9月7日(月)
ボンクラサラリーマン生活。
9月8日(火)
昼、某大手コンピュータ会社に勤務の従兄弟と昼飯。
リアリストのH君の話は凄い。先日の「2年で億に近い資産使い果たしの母子家庭」の話をしたら、「世の中はよくできているものである。母は老人ホーム、息子はどうせ借金を作るから飯場行き、労働と酒の繰り返しでやがて公園の野垂れ死に。これでひとつの家系が途絶えて一件落着。一生の分はもう十分に消費しているからこれでいい。標準的なパターンで考えれば、落ち着き先はこうなろう」うーむ、確かに。
この不況、「男のホームレス、女のソープランドは日常生活と背中合わせ」とはっきり書いている経済評論家し島野某氏だけである。
夜、大阪へ出張の兄と会う。
通信関係の世界3極構造の話を聞く。うーん、すごいことになっとるのだなあ。22時過ぎまで。
9月9日(水)
ボンクラサラリーマン生活。
夜、文庫で今頃、真保裕一「ホワイトアウト」を読む。良く書けているのは確かであるが、いいたいことも色々。
9月10日(木)
スーダラサラリーマン生活。
堺の人工島で仕事のついでに、堺市・寺地町「銀シャリ屋/げこ亭」へ行く。銀シャリが抜群とか聞いていたが、普通のメシ屋……メシはやわらか気味で、水準以下である。泉州方面の味覚はおかしいんじゃないか。
ぼくの理想とする銀シャリは「楡家の人びと」の冒頭に出てくる、楡病院の大釜で炊かれたメシである。あれが一度食べてみたい。「げこ亭」には期待過剰だったようである。
9月11日(金)
スーダラサラリーマンの日。
9月12日(土)
久しぶりに休日である。ゴロ寝とジャズをテープで聴く1日。
夕食のあと、21時頃にサントリー5へ。久しぶりにニューオリンズ・ラスカルズを聴こうと行ったら、カウンター席で、しかも……煙突男に挟まれて視界いまひとつの席。テーブル席には、ハナコ系がらしき団体が目立つ。まあ、しかし、これはしかたないことだろうな。女性客が増えるのはいいことだが、どれくらいがトラディショナル・ジャズのファンになるのだろう。最終ステージでやっとゆっくり聴ける。……本日、珍しくジョージ・ルイス直系のリーダー・クラ、河合良一氏が休みで、サウスサイドバンドの吉川裕之がクラを吹いている。これが意外にいい。ふだんの絶妙のアンサンブルが崩れて、クラ一本で雰囲気ががらっと変わってしまうのが凄い。吉川裕之おそるべし。
ニューサントリー5がホームページを開いたという。へえ。
帰宅して覗いてみると、大阪のライブハウスを集めたホームページらしい。ちょこざいにも「史上最低のライブハウス『ロイヤルホース』」と並んでいる。困ったものである。ぼくにとっては天国と地獄である。
9月13日(日)
朝刊に吉沢元治氏(ベース)の死亡記事。1973年の新宿フリー・ジャズ大祭の記録が「インスピレーション&パワー」2枚組に残されている。山下洋輔トリオの「クレイ」とともに突出しているのが吉沢元治のベースソロだった。
午後、梅田でソリトン編集スタッフと別冊の打ち合わせ。いよいよ大詰めである。
9月14日(月)
珍しく熱血サラリーマンの一日。
夜は居住している集合住宅の理事会、またも原稿作成の仕事が回ってくる。
9月15日(火)
平日に一日休日があると体が楽なはずなのに、納期の迫った(原稿の場合は納期といわず締め切りという)仕事で、老骨にむち打って、堺沖人工島で肉体労働。
午後、浜寺から難波へ向かうが、和歌山方面行きが異様に混んでいる。岸和田の「だんじり」見物に行く人波と判明。……大工方の家系であった「謎の美少女」アリスさんは長野へ嫁いだが、元気であろうか。来年は長野でSF大会。うーん、だんじりとSF大会では、集客力が桁違いである。
帰宅してネットを見ると、9月24日に「カンゾー先生」試写会、ホワイトで一杯という企画が、筒井康隆・山下洋輔氏らで進められている。この日は、本来上京の予定していたのが、某社ご担当ご来阪ということらにって、先週スケジュール調整を終えたところではないか。とほほ気分でビールを飲んで寝る。